wakky
banner
wakky55.bsky.social
wakky
@wakky55.bsky.social
人間は等しく、愚か(映画『おんどりの鳴く前に』より)
マイケル・チャベス監督『死霊館 最後の儀式』を観た。実在した心霊研究家エド&ロレイン夫妻の活躍を中心に描くシリーズ最終章。1986年に起きたスマール家の呪われた鏡事件を題材なのだけど、スマール家の皆さんは割ととばっちりというか、そんなに娘のジュディを手に入れたいのなら真っ直ぐウォーレン一家のところに行けばいいのに……と思わなくもない。恐怖と悪魔に打ち克つ/打ち勝つために愛と勇気を確かめ合う二人が本シリーズの見所の一つと言っても過言ではないのだけど、それだって依頼された案件を通して描かれるべきだと思うので、もう少しスマール家の皆さんをじっくり描いた上でやって欲しかったなあと思ったりした。
November 19, 2025 at 3:58 PM
日曜夜に永田琴監督『愚か者の身分』を観た。闇ビジネスに手を染めた若者たちのお話。ジャパニーズ・ノワールというには非常さが足りないような気がして、それが物足りなさでもあり、嫌いになれないところでもあり。そこはそう思わせる章立てとキャスティングの勝利なのかもしれない。綾野剛演じる桐谷の章の詰めの甘さが目立つのだけど、半グレ集団なら色々と雑なのか?と納得しようと思えば思えなくもないし、何より容赦の無い結末にしなかったのは作り手の願望のような気もして、そこは悪くないような気がした。物足りなくはあるのだけれど。メインの3人、特に若手の2人(林裕太と北村匠海)はとても良かったです。鯵の煮付け。
November 18, 2025 at 11:16 PM
ル・シネマ渋谷宮下で団塚唯我監督『見はらし世代』を観た。都市の再開発とある家族の物語。ドラマ部分にそれほど惹かれなかったからそう思うのかもしれないけど(天井から落ちてきたある物の破片を集めるところで終わっていれば良かったのに)、もしかしたら、この映画が本領を発揮するのは数十年後、現在の街の面影が完全に失われてからなのかもしれない。私が旧作邦画を観た時のように、今とは違う日本の景観に目が行くように、「あの頃の渋谷ってあんな感じだったんだね」と本作に登場する宮下パークとLUUPを眺めて欲しいと思った。
November 16, 2025 at 10:36 AM
日帰り観光は北鎌倉〜鎌倉の散策でした。紅葉/黄葉は始まったばかりでまだまだこれからって感じだったけど、色づき始めた木々が青い空に映えて美しく、少し冷たい空気が気持ち良かったです。合計18,546歩。
November 15, 2025 at 10:16 AM
昨日、カンドゥルン監督『一つの夜と三つの夏』を観た。小学生の頃の苦い記憶を映画にするために故郷のラサに戻ってきた女性のお話。子供時代と現在、過去の記憶とのすれ違いを劇中劇(映画内映画)を使って描いている。ラサ出身の監督は1995年生まれでまだ30歳。主人公の年齢も26歳なのでメインキャストも若い。QAでの「チベット色を出さなかったのは何か理由が?」という質問には「私たちが普通に暮らしている今のラサを撮りたかった」と回答。それは十分に伝わっていたと思う。アジアの未来部門らしく応援したくなる何かがあった。
#東京国際映画祭
November 4, 2025 at 12:37 AM
ペンエーグ・ラッタナルアーン監督『死のキッチン』を観た。タイ、バンコクの高級レストランで働いていた女性が手料理でもって復讐するお話。劇中の台詞によると15年もの月日が経っていたらしい。サクッと殺らなかったのは、生殺与奪の権を握って支配したかったからなんだと思うのだけど、そのために復讐相手と結婚までしている彼女の意図はきちんと相手に伝わっていたんだろうか。クリストファー・ドイルの撮影は調理過程から美しく美味しそうだったので観ていてお腹が空く。
#東京国際映画祭
November 3, 2025 at 12:18 PM
パールフィ・ジョルジ監督『雌鶏』を観た。養鶏場から逃げ出した1羽の雌鶏を主人公にしたお話。ずっと鶏を観ていられるので楽しくはあったのだけど、あからさまに擬人化していなかったとしても人間が撮っている以上どうしたって人間臭さが出てしまうから動物が主人公の映画(動物視点の映画)は難しいよね……と思う(『FLOW』の時にもそれは感じた)。主人公を演じる鶏は全部で8羽、彼らに負担をかけないように20分以上は撮影しないようにしたらしい。ドラマが始まってからより、冒頭の養鶏場の場面が一番恐ろしかった。
#東京国際映画祭
November 2, 2025 at 2:42 PM
ロイ・アンブリス&アルトゥーロ・アンブリス監督『私はフランケルダ』を観た。創作に携わる人へのエールと「あなたはあなた自身の物語の作り手である」というメッセージをダークな世界観でお届けする114分。ストップモーションにしては長く、お話もとっ散らかっている印象が否めないのだけど、メキシコ初の長編ストップモーション制作に込めた熱量に圧倒されて嫌いになれないどころか凄く好きな114分だった。要所要所でミュージカル調にもなる。エンドロールでメイキングを流してくれるのも良かったです。
#東京国際映画祭
November 2, 2025 at 3:52 AM
10/27(月)夕方、ザヴェン・ナジャール監督『アラーの神にもいわれはない』を観た。一人の少年兵が語る想定の物語。西アフリカの歴史やリベリア・シエラレオネ内戦の背景も語ってくれる親切設計。語りで進むのが苦手で途中、何度かウトウトしてしまったのだけど、色使いなどアニメーションとしては好みだった。序盤の語りの中に「ヤギのヒゲみたいに無礼なやつ」的なことを言っているのがあって面白かったのだけどもしかしたら記憶違いかもしれない。
#東京国際映画祭
November 1, 2025 at 7:29 AM
10/30(木)夜、テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督『マザー』を観た。1948年のカルカッタを舞台にした作品。自身の修道会を立ち上げようとする40代のマザー・テレサがジリジリした気持ちで認可が下りるのを待つ7日間。『ペトルーニャに祝福を』の監督、ノオミ・ラパスが主演、聖人になる前のマザー・テレサをパンクロック風に描くと聞いたら、もっと激しいものを想像すると思うのだけど、思っていたよりは大人しめだったような気がする。食事を終えたシスターたちが経血の染み込んだナプキンをベリッと剥がして水を張った洗い桶に投げ込んでいく場面などは印象に残った。
#東京国際映画祭
November 1, 2025 at 6:40 AM
満席のシアター・イメージフォーラムでパメラ・ホーガン監督『女性の休日』を観た。アイスランドの女性の9割が参加したという50年前の一斉ストライキを振り返るドキュメンタリー。当時の映像と現在のインタビューをアニメーションがつなぐ71分。インタビューに出てくる女性(男性もいる)を紹介するのが名前だけなのも良かった。アイスランドではみんな知っているからかもしれないけど、ここで必要なこと大事なことは社会的地位や肩書きではなく、あの場に参加した有名無名を問わない大勢の女性の一人だということ。それが名前だけのテロップに表れているような気がした。とても面白かったです。
November 1, 2025 at 6:04 AM
10/30(木)夜、ヘイリー・ゲイツ監督『アトロピア』も観た。2006年アメリカ、中東の街並みを再現した架空都市アトロピアを砂漠の中に作り、従軍経験のない新兵の訓練を行った……という設定が気になっての観賞だったのだけど、映画のノリやテンションが合わず、魅かれたはずの設定も観ていて少し腹立たしくなったりした。基本的にはコメディーだし、米軍や戦争行為に対する風刺だと思うので腹を立てるのもどうかと思うものの、余り面白いと思えなかったのもあり苦々しい顔になってしまった。笑うに笑えない状況を笑い飛ばすには昨今の国際情勢が酷すぎて……。
#東京国際映画祭
November 1, 2025 at 3:52 AM
ノエル・バスタン&バティスト・ボガルト監督『ヴィトリヴァル』を観た。ベルギー、全員が顔見知りみたいな田舎の小さな村で男性器を模した落書きと自殺者が相次ぎ、従兄弟同士でコンビを組んでいる若い警察官がパトロールを続ける。それだけといえばそれだけなんだけど割と面白かった。長閑な閉塞感といった感じは考えようによっては怖いかもしれない。個人的にはもう少し短い方が好みかな。
#東京国際映画祭
October 28, 2025 at 2:15 PM
成瀬巳喜男監督『めし 4Kデジタルリマスター版』を観た。初見。戦後大阪、長屋で暮らす結婚5年目の夫婦のお話を、家事で一日が終わる毎日に疑問を感じて結婚生活に、ひいては人生に迷いが生じた妻の側から描いている。1951年制作なので当時とは生活様式も金銭感覚もがらりと変わってはいるのだけれど、この映画で描かれていることは、80年近く経った今も変わらず存在しているのではないだろうか。ラスト、元の鞘に収まったようでいて完全には火種が消えていない感じも良かった。原節子と子猫の組み合わせも素晴らしい。とても面白かったです。
#東京国際映画祭
October 27, 2025 at 2:32 PM
東京国際映画祭、初日から参加で、今日はアニメ🇫🇷→旧作邦画🇯🇵の2本の予定。雨が上がって良かったね
October 27, 2025 at 6:33 AM
カーソン・ランド監督『さよならはスローボールで』を観た。中学校建設のために取り壊しが決まった野球場で地元の草野球チームのおじさん達が最後の試合をする。少し動いただけで息は上がるし、舌はもつれる。足ももつれるし、視力もおぼつかない。スピットライトも当たらない。それでも試合は終わらない、人生は続くのだ……というお話。ずっとヨレヨレのグダグダなのに、いつまで続くんだ?って感じの試合なのに、とても美しい映画だったように思う。名画座で上映する時はリチャード・リンクレイター監督の『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』と二本立てにして欲しいと思った。
October 22, 2025 at 1:31 PM
第97回ポルトガル代表のミゲル・ゴメス監督『グランドツアー』を観た。1918年とコロナ禍の現代、結婚式当日に逃げ出した男とそれを追う女がアジア各国(ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、日本、中国)を旅するお話。所々、退屈になるドラマパートよりもドキュメンタリー部分、現地の様子を撮った映像の方が面白いから困ってしまう。この映画に対し、エキゾチシズムでオリエンタリズムだ、搾取的だと批判することは出来るけれど、その批判はそのまま自分に、色々な国の映画で馴染みのない生活習慣や街並みを観るのが好きな自分に返ってくる。その点では(その点でも)居心地の悪い映画だった。
#各国代表映画祭
October 19, 2025 at 1:15 PM
きのね堂の焼き菓子便が届いた。結構みっちり。1枚1枚がしっかりしていて食べ応えがあるので、1日1〜2枚にして食べ過ぎを防ぎたいと思っているけど、多分守れないと思う。
October 17, 2025 at 2:09 AM
10/9(木)、ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督特集で『DREAMS』と『LOVE』を観た。女性教師のヨハンナに対する思いを手記にしたためた17歳のヨハンネの独白(前者)と結婚願望のない泌尿器科医のマリアンヌやゲイの看護師トールたちが語る性や愛について(後者)。先に観ていた『SEX』でも思ったのだけど、このトリロジーを観ていると社会のステージが一歩や二歩どころか何歩も進んでいるように思える。中には「マッチングアプリの女性は無料の売春婦」なんて言う輩も出てくるし、偏見に苦しんでいる人がいることも語られるので、問題がないわけではないけれど、それでも日本に比べたらずっと進んでいるのではないだろうか。
October 13, 2025 at 5:11 AM
10/9(木)、アンドレア・アーノルド監督『バード ここから羽ばたく』を観た。12歳の少女ベイリーが生きる世界。そこは10代の少年たちが自警団を作って虐待されている子供を救い出さないとならないくらい、マジカルおじさん(フランツ・ロゴフスキ演じるバード)の存在が必要なくらい過酷な環境だということ。新しい恋人と結婚することに夢中の父親は子供たちに対して愛情がある分、母親の現恋人に比べれば数段マシではあるけれど、養育しているとは言えない状況。生き物たちは美しく、海も空もどこまでも広がっているけれど、一人でもどこにだって行ける年齢とは言えない少女は、もう少しここで暮らすしかないのだ。
October 12, 2025 at 6:51 AM
ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督特集で『SEX』を観た。煙突掃除会社で働く既婚中年男性二人が仕事の後の雑談で、一人は夢の中でデヴィッド・ボウイに女として見られた話を、もう一人は客の男性とセックスしたことを打ち明ける。主人公同士やそれぞれの夫婦、息子との会話を通して描くのは、アイデンティティの揺らぎだったり、意見が一致するとは限らない相手との対話についてだったり、個人的なことを第三者に話すことだったりするんだけど、距離の取り方や開かれ方がとても良くて好きだった。何を不貞行為とするかの線引きがパートナー間で一致するとは限らない、だから話し合う(出来れば事前に)ことが大事だというのも誠実だと思う。
October 7, 2025 at 1:26 PM
目黒シネマのショーン・ベイカー監督特集で見逃していた『プリンス・オブ・ブロードウェイ』と何度も観ている『タンジェリン』を観てきた。後者は何度も観ているくらいなので言わずもがなだけど前者もとても良かったです。偽ブランド店の客引きをして稼ぐビザ無しの黒人青年が元カノから「あんたの子なんだから2週間預かれ」といきなり1歳半の子供を託されて右往左往するお話。2008年制作、17年前の作品なので、偽ブランド店の店長を演じる常連のカレン・カラグリアンが今よりも物理的に軽くてそれも良かった。そんな彼が自分の胸にしまうラストは何だか少し人情小噺みたいだった。
October 5, 2025 at 2:32 PM
次に観た映画もたいへん面白かったのでケーキが美味い。
October 5, 2025 at 7:40 AM
蓮實重彦著「日本映画のために」刊行記念特集で伏水修監督『東京の女性』を観た。戦前の東京、自動車会社でタイピストをしていた女性が働かない/働けない父に代わって家計を支えるためにセールスマンに転身するお話。妬み嫉みから足を引っ張る同僚男性の小ささには辟易するしかないんだけど、めちゃくちゃ面白かった。何よりもまず主人公の節子を演じる原節子がかっこいい。ラストも凄くて、決意表明と解放のアクセルを踏む主人公と共にタイトルがどーんと出るの。これが『東京の女性』です!って、当時の女性がどう観たのか分からないけど、2025年の私はグッと拳を握りました。
October 5, 2025 at 4:39 AM
ザンドラ・ヒュラー特集でハンス=クリスティアン・シュミット監督『レクイエム』を観た。1970年代ドイツ、敬虔なクリスチャンの家庭で育った20代女性のお話。アンネリーゼ・ミシェル事件を基に描かれた映画だという投稿を事前に目にしていたのだけど、そのことをすっかり失念しており、信仰と家族に対して揺らぐ気持ちとてんかんの症状に悩む主人公ミヒャエラのことを両親がしっかり抱きしめて(受け止めて)、その上で適切な医療に繋げてあげれば良かったのではないの?と思いながら観ていたので、投げ出されたように示される最後の一文にポカンとしてしまった。親身になってくれる友人の言葉が良い。
October 4, 2025 at 9:53 AM