わっか
LightNews LightNews
banner
wakka-en-maru.bsky.social
わっか
@wakka-en-maru.bsky.social
21 followers 15 following 500 posts
字書きもどき。pkmnだいすき。🌳右固定。
Posts Replies Media Videos
wakka-en-maru.bsky.social
家に帰ったら母もいたし2もいた…マジか任天ﾄﾞｰさん仕事早すぎませんか
November 1, 2025 at 7:58 AM
wakka-en-maru.bsky.social
(8/8)
「あの頃小生が連れていたのはフカマル……そう、フカマル先輩だったのです。だったのですが、何しろフカマル先輩は寒いのが滅法苦手でしょう。凍った道を歩き回ることも出来ず、ボールに戻そうにも、ポケモンの目線で辺りを警戒してもらう必要もあり……他の子達も皆似たような有り様で、慌てて引き返そうとした時には、すっかり奥まで迷い込んでしまいまして。ゴルバットの群れに追われて、出口も分からない状態になってしまい……あの時は、もうフスベには帰れないんじゃないかと心底絶望したものです」 　ハッサクはしみじみと語りながら、手元に寄せたままのドウファーをようやく一匙だけ口に運んだ。アオキも溶けかけたジェラートを忘れない内に食べ進める。 「結局、無事に脱出は出来たんですか」 「はい、大丈夫でした。小生のセグレイブ……当時はセビエですね。タマゴから孵って間もない、ほとんど赤ちゃんみたいなセビエが、自分ならば寒さに強いからとぶるぶる震えながらも前に出て……思えば、あれがセグレイブの初陣でしたねえ」 「そんなことが……」 　セグレイブといえば、今ではすっかり頼りになるハッサクの相棒、兼、切り札的存在である。バトル中の堂々とした佇まい、リビングのフローリングでゆったりとくつろぐ仕草。アオキが知るそんな日頃の姿からは、幼いセビエだった頃の様子は想像もつかない。 　だが、どうして突然そんなことを思い出したのか。それも、つい言葉を溢してしまうほどの印象強さで。 　アオキの疑問を汲んだように、ハッサクは昔語りの続きを始めた。 「それでですねえ、その時、どうにか外に出られたの はよいのですが……どうも、フスベ側の出口とは違うところに辿り着いてしまったようでしてね。辺り一面山の中で……それでも、ようやく陽の光のあるところまで来られたのだというあの時の安心感は、忘れがたいものがありましたですよ。すぐにフスベにいる大人達に連絡を取って、迎えにきてもらった時にはそれはもうこっぴどく叱られたものです」 　アオキは相槌を打つ代わりにハッサクへと目を合わせ、黙しつつもその続きを促した。️ 「季節はちょうど秋も盛りで……キンモクセイが辺り一面に咲いていて。あの香りで思い出した一番最初の思い出が、それだったのですよ」 　その時の光景を目蓋の裏にでも思い描いているのだろうか。ハッサクは目を閉じたまま、どこか遠くを見つめるように、ゆったりとひとつ深呼吸をする。 「今になって思えば、大した距離ではなかったのでしょうねえ。何の折だったか、キンモクセイは人里にしかない樹だとコルさんからに教えてもらったことがあったのですが、よくよく思い返してみればあの時も民家や畑は近くにあった筈なのですよ」 「それを、さっき急に思い出したんですか？」 「忘れていたわけではなかったつもりなのですが……そうですねえ。久しぶりに、昔、あんなことがあったのだと懐かしくなってしまいまして…………アオキ？　どうかいたしましたか？」 「いや……別に、何でもないです」 　何でもないわけではない。 　遠い遠い、アオキの知り得ない過去に想いを馳せるハッサクの表情が無性に愛しく、そして少しだけ遠く 感じた。それだけのことだ。 「……ただ、ハッサクさんにもそんな悪ガキ時代があったんですね、と思って」 「いやはや、お恥ずかしい……もう昔の話でございますよ」 「今だって家出してるみたいなもんですけどね」 「それは……まあそうですが……それはそれ、これはこれでしょう」 「そういうもんですかね」 「そういうものです」 　話が脱線し始めた。うっかり自分自身へのお小言が飛び出しそうな方向への路線変更を阻止するべく、アオキは言おうか言うまいか躊躇っていた本音をちらりと溢してみせることにする。 「……でも、そうですね。どんなだったのか見てみたい気もします……きっとハッサクさんにとって、忘れがたい景色だったんだろうな、と」 　そんなことを言いながら目を細めてみれば、アオキの脳裏にはハッサク少年とセビエやフカマル達の大冒険の様子が描き出される。 　暗く凍える洞窟を抜けた先、乞いに焦がれたあたたかな陽光。そのぬくもりと同じ、噎せかえるような金色の、キンモクセイの甘い匂いに染まった青い空。 　ハッサクがその眼に映す美しい世界を、出来ることなら少しだけでも知りたいと思う。その気持ちは、アオキがハッサクという人と共に生きるようになった日から変わらずにずっと胸の内にある。 　いつになく素直なアオキの感情の発露に触れて、ハッサクもまた金の眼の眦をしわくちゃに綻ばせた。 「ええ、是非とも。いつかきっと、セグレイブと一緒にご案内いたしますですよ」 「そうですか。楽しみにしてますね」 　叶うかどうかも分からない約束ごとを交わしつつ、めいめいデザートの残りに手を伸ばす。 　とっくに飲み干した筈の桂花陳酒の優しい香りが、二人の胸の奥でかすかに、だが確かにふんわりと残り続けていた。
October 27, 2025 at 8:15 PM
wakka-en-maru.bsky.social
(8/8)
「あの頃小生が連れていたのはフカマル……そう、フカマル先輩だったのです。だったのですが、何しろフカマル先輩は寒いのが滅法苦手でしょう。凍った道を歩き回ることも出来ず、ボールに戻そうにも、ポケモンの目線で辺りを警戒してもらう必要もあり……他の子達も皆似たような有り様で、慌てて引き返そうとした時には、すっかり奥まで迷い込んでしまいまして。ゴルバットの群れに追われて、出口も分からない状態になってしまい……あの時は、もうフスベには帰れないんじゃないかと心底絶望したものです」 　ハッサクはしみじみと語りながら、手元に寄せたままのドウファーをようやく一匙だけ口に運んだ。アオキも溶けかけたジェラートを忘れない内に食べ進める。 「結局、無事に脱出は出来たんですか」 「はい、大丈夫でした。小生のセグレイブ……当時はセビエですね。タマゴから孵って間もない、ほとんど赤ちゃんみたいなセビエが、自分ならば寒さに強いからとぶるぶる震えながらも前に出て……思えば、あれがセグレイブの初陣でしたねえ」 「そんなことが……」 　セグレイブといえば、今ではすっかり頼りになるハッサクの相棒、兼、切り札的存在である。バトル中の堂々とした佇まい、リビングのフローリングでゆったりとくつろぐ仕草。アオキが知るそんな日頃の姿からは、幼いセビエだった頃の様子は想像もつかない。 　だが、どうして突然そんなことを思い出したのか。それも、つい言葉を溢してしまうほどの印象強さで。 　アオキの疑問を汲んだように、ハッサクは昔語りの続きを始めた。 「それでですねえ、その時、どうにか外に出られたの はよいのですが……どうも、フスベ側の出口とは違うところに辿り着いてしまったようでしてね。辺り一面山の中で……それでも、ようやく陽の光のあるところまで来られたのだというあの時の安心感は、忘れがたいものがありましたですよ。すぐにフスベにいる大人達に連絡を取って、迎えにきてもらった時にはそれはもうこっぴどく叱られたものです」 　アオキは相槌を打つ代わりにハッサクへと目を合わせ、黙しつつもその続きを促した。️ 「季節はちょうど秋も盛りで……キンモクセイが辺り一面に咲いていて。あの香りで思い出した一番最初の思い出が、それだったのですよ」 　その時の光景を目蓋の裏にでも思い描いているのだろうか。ハッサクは目を閉じたまま、どこか遠くを見つめるように、ゆったりとひとつ深呼吸をする。 「今になって思えば、大した距離ではなかったのでしょうねえ。何の折だったか、キンモクセイは人里にしかない樹だとコルさんからに教えてもらったことがあったのですが、よくよく思い返してみればあの時も民家や畑は近くにあった筈なのですよ」 「それを、さっき急に思い出したんですか？」 「忘れていたわけではなかったつもりなのですが……そうですねえ。久しぶりに、昔、あんなことがあったのだと懐かしくなってしまいまして…………アオキ？　どうかいたしましたか？」 「いや……別に、何でもないです」 　何でもないわけではない。 　遠い遠い、アオキの知り得ない過去に想いを馳せるハッサクの表情が無性に愛しく、そして少しだけ遠く 感じた。それだけのことだ。 「……ただ、ハッサクさんにもそんな悪ガキ時代があったんですね、と思って」 「いやはや、お恥ずかしい……もう昔の話でございますよ」 「今だって家出してるみたいなもんですけどね」 「それは……まあそうですが……それはそれ、これはこれでしょう」 「そういうもんですかね」 「そういうものです」 　話が脱線し始めた。うっかり自分自身へのお小言が飛び出しそうな方向への路線変更を阻止するべく、アオキは言おうか言うまいか躊躇っていた本音をちらりと溢してみせることにする。 「……でも、そうですね。どんなだったのか見てみたい気もします……きっとハッサクさんにとって、忘れがたい景色だったんだろうな、と」 　そんなことを言いながら目を細めてみれば、アオキの脳裏にはハッサク少年とセビエやフカマル達の大冒険の様子が描き出される。 　暗く凍える洞窟を抜けた先、乞いに焦がれたあたたかな陽光。そのぬくもりと同じ、噎せかえるような金色の、キンモクセイの甘い匂いに染まった青い空。 　ハッサクがその眼に映す美しい世界を、出来ることなら少しだけでも知りたいと思う。その気持ちは、アオキがハッサクという人と共に生きるようになった日から変わらずにずっと胸の内にある。 　いつになく素直なアオキの感情の発露に触れて、ハッサクもまた金の眼の眦をしわくちゃに綻ばせた。 「ええ、是非とも。いつかきっと、セグレイブと一緒にご案内いたしますですよ」 「そうですか。楽しみにしてますね」 　叶うかどうかも分からない約束ごとを交わしつつ、めいめいデザートの残りに手を伸ばす。 　とっくに飲み干した筈の桂花陳酒の優しい香りが、二人の胸の奥でかすかに、だが確かにふんわりと残り続けていた。
October 27, 2025 at 8:14 PM
wakka-en-maru.bsky.social
こないだのワンライチャレンジ失敗の名残な🍊🌳(4/8)
🍊さんの子供時代、跡取り息子として厳しく躾けられつつも程よくガキ大将みもあったらいいなあという妄想をしてますという捏造だらけ
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / ユーザーアップロード画像 / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　これは常連さんにサービスなんだい、という気っ風のいい台詞と共に、品のいい杯がふたつ、アオキとハッサクの前へと置かれた。とろりとした金色の美しい液体が、照明を反射して艶やかに揺れた。 「ハイダイさん、これは？」 「もしかして……キンモクセイでしょうか？」 「うおっ、流石、ハッサクさんにゃあ分かるかい！　いやあ、マリナードの市場に珍しいもんが出とったもんだから、つい競り落としちまってなあ！」 「そうでございましたか……確かに、キンモクセイのお酒とは珍しいものを。素敵なサービスをありがとうございますですよ」 「ああ……確かに。かぎ覚えのある匂いだと思いました」 　ハッサクとハイダイのやりとりをそっちのけにしながら、アオキは手にした杯から溢れる芳しい香りを無造作な仕草で確かめた。 　どこで、という情報を付け加えなかったのは、アオキなりの気遣いである。一時期宝食堂の手洗い場をフローラルな空間に染め上げていたのとよく似た匂いだとは、決して言うまい。 「普段は出さんものだが、お前さんらに振る舞うにはちょうどいいってなもんでね。食前酒にもぴったりの一品、是非とも味わっとくれい！」 　やって来た時と同様、恰幅の良い身体をきびきびと動かしながら、カラフきっての名料理長は厨房へと慌ただしく戻っていった。ディナータイムのピークは過ぎたものの、店内にはアオキ達二人以外にもそれなりに多くの客がいる。ハイダイ倶楽部は今日も大繁盛だ。 「せっかくですから、早速いただきましょうか……それにしても、キンモクセイのお酒なんていうものがあるんですねえ。知りませんでした」 「そうですね……でも、甘くて美味そ……いや、普通に美味いです、これ」 　きらきらと揺らめく黄金色の花酒を、ハッサクの金の瞳が楽しげに見つめた。そんな絵になりそうな光景をよそに、アオキは酒杯を手に取りあっさりと口許へと運んだ。 　花の香りと同じ、華やかな風味が舌の上を転がる。と言ってもただ甘いだけではない。白ワインの爽やかな酸味が、ふわふわした甘さにも輪郭を与えていた。なるほど、美味い。 「……あなたねえ。乾杯くらいしませんか」 「あ、忘れてました」 　一人でさっさと酒精を楽しむアオキに、ハッサクが諦め半分、呆れ半分といった様子で声をかけた。 「ハッサクさんもどうぞ。美味いですよ」 「それはもう聞きましたですよ！　まったく、もうちょっとマナーというものを意識したらどうなんです」 「必要ならそうしますけど……ハッサクさん相手なら、別にいいかと」 　それはどういう意味ですか、と今にも問い質してきそうなハッサクに先んじて、アオキは「今さら、あなたの前で肩肘張る必要もないでしょう？」と付け加えた。更に、追い討ちとして掬い上げるような視線を向けてやる。ものの見事に出鼻をくじかれたハッサクは、甘い香りの酒と共にぐうの音を飲み干す羽目になった。 ※ 　晩餐も進み、二人そろって程よく心地好い酔い加減に浸っていた頃合いの時である。 　適当な会話のやりとりがふと途絶え、それぞれの皿に取り分けた主菜に舌鼓を打ちながらハッサクが、 「…………ああ、そうだ。氷の抜け穴の」 　と、誰に言うでもない、かすかな声で呟いた。 「何か言いました？」 「ああ、いや……すみません、何でもありませんですよ。ただの独り言です」 　ハッサクにしては珍しい振る舞いに、アオキは首を傾げて問う。だがハッサクはおどけるように肩を竦め、アオキが投げかけた疑問をいともあっさりと受け流してしまった。 ※ 　食後のデザート。 　ムクロジとのコラボだという杏仁豆腐のジェラートのしゃりしゃりとした氷の粒の食感を楽しみながら、アオキはふと先ほどハッサクが溢した一言を思い出した。一度思い出してしまったが最後、それは喉につっかえたサシカマスの小骨のように気にかかって仕方がない。 「そう言えばなんですけど……氷の抜け穴って、ジョウトのフスベシティの近くにあるっていう、あれですか？」 　ドラゴン使いの総本山とも言われる、歴史ある土地である。ハッサクもまた幼少の頃から幾度も足を運んだことがあるのだという話は、アオキも聞いたことが あった。 　ハッサクはきらきらとまばゆい双眸をぱちくりと瞬かせ、アオキの唐突な問いかけへの戸惑いを示してみせた。 「え？　……ええ。確かにそれですが……それがどうかいたしましたか」 「いや、どうかも何も。ハッサクさんがさっき言ってたじゃないですか。氷の抜け穴がどうかしたんですか」 「ああ……言いましたっけ。大したことではないですし、気にしないでくださいですよ」 「いや、普通に気になりますよ。……もちろん、差し支えなければ、ですけど」 「差し支えなんてございませんが、本当に大したことじゃないのですよ？　昔、小生がフスベに行った時の話なのですけどもね││」 　※ 　ハッサクがぽつりぽつりと語ったのは、幼かった頃のハッサク少年と、小さな小さなセビエの話だった。 　各地に点在するドラゴン使いの集団の代表者は、近況報告や人材あるいはポケモンの交流を目的として、定期的にそれなりの規模の集会を開く。父と共にその集いへと訪れたハッサク少年は、大人達の社交にすっかり飽き飽きしてしまった。そして地元の子供達を巻き込んで、ちょっとした大冒険……要するに、とんだ大騒ぎを巻き起こしたのだ。 「基本的には皆、ドラゴンタイプのポケモンをパートナーに持つような子達ばかりでしたからね。氷窟に突っ込んでいくなんて命知らずもいいところ、という話です」 「……それで、どうなったんですか」
October 27, 2025 at 8:14 PM
wakka-en-maru.bsky.social
前回の🍊🌳ﾜﾝﾗｲ書ききれなかったの名残
October 15, 2025 at 1:41 PM
wakka-en-maru.bsky.social
今日の夕焼け凄かった
October 8, 2025 at 10:29 AM
wakka-en-maru.bsky.social
この人に超越者がどうあるべきかを説いて導いたのがこの吸血おじさんなんですって
もういろいろとあかんやつです
October 7, 2025 at 9:25 AM
wakka-en-maru.bsky.social
こちらが今わたしの中で🌳さんに並ぶくらいの推しこと未来視おじです。お納めください

未来視おじさんはいいぞ
October 7, 2025 at 9:20 AM
wakka-en-maru.bsky.social
買ってしまったった
ただでさえお労しい未来視おじさんがますますお労しいことになってると聞いていてもたってもいられなかった

仕事終わったら読むぞぉー
October 7, 2025 at 3:57 AM
wakka-en-maru.bsky.social
野生のマシェ一ド大量発生しとる
October 3, 2025 at 7:34 AM
wakka-en-maru.bsky.social
シオンは むらさき とうとい いろ ▼
September 19, 2025 at 7:41 AM
wakka-en-maru.bsky.social
ちっちゃい秋みっけ
September 14, 2025 at 7:23 AM
wakka-en-maru.bsky.social
叔母ちゃん業、がんばって調子乗ってみました。じゃりん子達を火祭りに処しますよ
！手持ち花火もたくさん買ったよ！
August 13, 2025 at 10:37 AM
wakka-en-maru.bsky.social
#HskAok1WD
🍊🌳ワンライドロ開催ありがとうございます。お題「酷暑」お借りいたしました！
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Aaron Burden on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　思えば、予兆は既にあったのだ。 　数日前、トレーナーショップのショーウィンドウに飾られた『特性パッチ』をまじまじと見つめていたチルタリスの姿を、アオキは脳裏に思い描く。ポケモンの隠れた特性を引き出すというアイテムはその効果の希少さをそのまま数字にしたような値札をひっさげ、飾り棚の最も目立つ位置に悠々と鎮座していた。 　チルタリスの秘める特性は《ノーてんき》。天候の影響を受けないという、天空を舞う竜鳥にたいへん似つかわしいものである。パッチを使えばその特性を得られるのだと本能的に感じる部分が果たしてあったのかなかったのか、チルタリスの瞳はガラスの向こうの高額商品に釘付けだった。 　主人からかけられた「流石にそれは買ってやれないぞ」というくたびれた声で、彼女が大人しく引き下がってくれたのは幸いなことだった。どちらかといえば高給取りだという自負のあるアオキだが、何十万もの額をぽんと出せるような余裕など、いくらなんでもありはしない。 　素直にモンスターボールへと戻ったチルタリスを懐におさめ、宵の口だというのに茹だる空気の中を帰路に着く。残業で遅くなると言っていたハッサクさんには悪いけど、家についたら真っ先に冷えたビールでも流し込もう。その時のアオキは、呑気にもそんなことを考えていた。 ※ 　そして、今日。 　リビングに繋がる扉を開けた瞬間、アオキはだらしなく脱ぎかけていた背広を再びしっかりと身体に巻き付けた。 　季節は夏の盛り、とりわけ今年は例年をはるかに上 回る酷暑の様相を呈している││それが一体、この寒さはどうしたことか。 　アオキが霜と氷に覆われた室内を見渡したところ、ソファの上に白くふわふわと丸まった綿……ではなく、翼のかたまりを見つけることができた。そこから覗くのは青い優美な首がひとつ、黄色く愛らしい頭がひとつ。本日の留守番組、チルタリスとオドリドリの二頭が身を寄せ合った姿だ。リビングの床には、部屋の惨状に戸惑いつつも、いつもより心なしか顔色のいいセグレイブ。他のポケモン達はボールの中に避難したのだろう、頭数分のモンスターボールが卓上で無造作に転がっていた。 「……というわけです。ざっと片付けはしましたけど、まだあちこち濡れてると思うんで気をつけてください」 「本当にお疲れさまでしたですよ……それにしても、相当派手にやったのですねえ。ちょっと小生も見てみたかった気がします」 「勘弁してくれませんかね……」 　自分は肝が冷えましたよ、物理的に。そう言って、アオキは出来上がったばかりの即席麺をすすった。熱いスープが麺に絡んで、凍える身によく沁みる。 　アオキから遅れること二時間、遅い帰宅をするなり「今日の夕飯、インスタントのラーメンとかでもいいですか」と告げられたハッサクは当然のごとく戸惑いの表情を浮かべた。それはそうだろう。この暑い中、夕食は冷たいものをさっぱり……といきたいのが、普通の感性に違いない。 　が、居間を襲った局所的大寒波、そしてその後片付けに終始したアオキの苦労を知り、ハッサクは笑い半分、労い半分で、遅めの夕食の準備に参加してくれた。 「まあでも、セグレイブにはかえって具合がよかったみたいですね。少し、元気そうに見えましたよ」 「ええ、ここのところの暑さ続きで《ねつこうかん》 が暴走気味でしたからね。チルタリスのおかげです」 「ほら、ハッサクさんもこう言ってるんだし……チルタリス、別に誰も怒ってないから。出てきていいんだぞ」 　アオキとハッサクの目線の先で、チルタリスのモンスターボールがまるで首を横に振ったようにかたりと揺れる。ボールの前には手つかずのポケモンフーズ。《れいとうビーム》を暴走させて部屋中を凍りつかせた犯人は、どうやら自主的に反省の意を示すことにしたようだった。 「そういえばあの子、ちょっと前に『特性パッチ』を気にしてたことがありまして。もしかして、《ノーてんき》になれば暑さを和らげられるとでも思ったのかもしれません」 「そんなことが……ですが、気持ちは分かりますですよ。うちの子達も、最近はすっかり夏バテしてしまっておりますし……流石のドラゴンも天候には敵わないようで」 「バトル中は《かえんほうしゃ》だろうが《フレアドライブ》だろうが平気な顔してるんですけどね……不思議なもんです」 「まあ、バトルと日常生活は違うものでございますから」 「そうやって考えると、ハッサクさんのとこの子って結構夏が苦手な子が多いですよね。セグレイブだけじゃなく、ドラミドロは鰭が乾くと駄目だし、オンバーンは強い陽射しが得意じゃないですし、……」 「アップリューも、林檎羽が乾いてしまうので迂闊に日光浴が出来ないのですよ……ちなみにジュラルドンは炎天下で過ごそうものならあっという間に炎タイプになってしまいますね」 「うちのトロピウスも葉っぱが萎れそうになって、最近はもっぱらボールの中にいることが増えましたね……もう少しこの暑さがましになってくれればいいん ですけど」 「こうなったらいっそのこと、パルデアにレックウザでも呼びたいものですね」 「ハッサクさんなら本当に連れてきそうですね……でもそれってつまり、発想がチルタリスと同じじゃないですか？」 　だらだらと続く会話が出発点に帰結して、二人は揃って苦笑いを浮かべた。 　いつもより涼しくなった室内で、いつもどおりに温かく穏やかな団欒の時間が続く。 　なべて我が家はこともなし。二人とポケモン達の暮らしは、その日も、また次の日も、変わらず平和に過ぎてゆくのだった。
July 19, 2025 at 1:23 PM
wakka-en-maru.bsky.social
すみませんすみません
すぐにひとさまの🍊🌳で妄想遊び始めてしまってすみません
June 23, 2025 at 2:39 PM
wakka-en-maru.bsky.social
え？まって？？よくわかんないまま貯まってた無償💎だけで挑んだ一回目のｶﾞﾁｬなのに？？？
June 11, 2025 at 9:23 AM
wakka-en-maru.bsky.social
初代青版ノマpk縛りクリアしたぞー！次はクリスタル版飛行pk縛りかな
June 1, 2025 at 7:24 AM
wakka-en-maru.bsky.social
修理に出してたライトくんあっという間に帰ってきました
そして修理費に愕然としている
May 25, 2025 at 3:29 AM
wakka-en-maru.bsky.social
(7/7)
か、真っ昼間からジョッキを片手に何やら盛り上がっていた。どうやら試合は大盛況だったらしい。 　そうしてたどり着いた、チャンプルジムのオフィスビルにて。 　ハッサクが差し出したムクロジの紙袋を見るなり、アオキは一瞬目を輝かせ……次の瞬間、ほんのわずかばかり眉を潜めた。とてもではないが、歓喜の表情とは言い難いリアクションだった。 「気持ちはありがたいのですが、今はちょっと……」 　とてもアオキのものとは思えない発言であり、ハッサクが抱え続ける不安感の急所をこれでもかと直撃する一言だった。ついでに、涙腺へのこうかもばつぐんだった。 　涙目のハッサクをアオキは「ひとまずこっちに」と誰もいない更衣室へと放り込んだ。人目を憚る話なのは間違いないので、手荒ながらもありがたい配慮である。 「アオキ……小生、何かあなたの気に障るようなことをいたしましたでしょうか」 「はい？」 「昨晩からずっと考えてはいたのですが、申し訳ないことに全く自覚がなく……」 「あー……それは、その……ハッサクさん。違うんです」 　それは昨日も聞いた台詞だ。ハッサクがそう言うと、アオキはようやくその理由を白状した。 「実は、口の中を切ってしまってまして。こうして喋ってるだけでも、結構痛いんです」 　んあ、と小さな口を目一杯に開いて、中を指差してみせる。そうしたところで見えはしないが、どうやらそういうことらしい。 「そのせいで一昨日から飯もまともに食えてなくて……黙っててすみません」 「いや、それは……ですが、それならそうと昨日言ってくれればよかったですのに」 「言ったらハッサクさん、絶対怒るでしょうから……出来れば言いたくなかったんですよ」 「何を怒る必要があるのです」 　アオキがぼそぼそと語るには、二日前のジムチャレンジ中、トレーナー同士の小競り合いを仲裁する際に負ったものだという。 　どうにかその場だけでことを納めたが、最終的に勝ち抜いた挑戦者のうち一人がその当事者だった。適正レベルだけ（・・）は満たしていたものの、街中で揉め事を起こすその素行には少々問題を感じたので、バトルを通して丁重（・・）にお灸を据えておいた、と話を締め括った。 「……それで、その後お医者様には？」 「目に見える怪我をしたわけじゃないですから。そんな暇もないですし」 「なるほど。よーく分かりました。……それを聞いて、どうして小生が怒ると？」 「……以前、同じようなことで長々説教されましたので」 「言いたいことはいろいろありますですが……とりあえずは、それを覚えていてくれただけでも良しとしておきましょうかね」 　どうやら昨晩のハッサクはショックを受けている場合ではなく、アオキを詰問してその真意を聞き出し、 医務室にでも引っ張っていくのが正解だったらしい。 　力が抜けてしまったハッサクをよそに、告げるべきことを告げてすっきりしたアオキは紙袋の中身をあらためながら「これ、季節限定の……絶対美味いですけど、柑橘って染みるんですよね……」と残念そうに呟いた。 ※ 　翌日。 　ことの顛末を伝えたところミモザには盛大に笑い飛ばされた後、割と真剣な顔で「何と言うか……ハッサク先生、コイビトさんをもっとちゃんと見ててあげてくださいね」という金言を与えられた。言われるまでもなくそのつもりのハッサクは「もちろんです」と力強く頷き返す。 　今度、アオキと共にミモザへの返礼品を買いに行く予定だ。事情を知って「そういうことならお代は自分が」と申し出てくれたアオキには少々悪いが、迷惑にならない程度に最高のものを贈りたいものである。 　ならば、次の視察はセルクルで決定だろう。アオキじみた己の考えにハッサクは少し笑い、「あっ、先生、今すっごい惚気たコト考えてるでしょ」とミモザにからかわれるのだった。
April 26, 2025 at 3:51 PM
wakka-en-maru.bsky.social
🍊🌳ワンライがサンライになってしまいました(4/7)
お題「オレンジ」お借りしたつもりだったのですが、こちらも大分逸れてしまい…それでも一応書いてはみたのでこっそり上げます
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Jonny Lindner on pixabay / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　││今日のハッサク先生、元気がない。 　パイプベッドをソファ代わりにくつろぐ学生たちがそんなことを言うのを、保健室の天使ことミモザは備品整理をしながらぼんやりと聞いていた。ポケモン用の傷薬は相変わらずすぐに切らしがちよね、と考える傍ら、同僚の美術教師の面影が脳裏にちらついた。 　朗らかさを絵に描いたらこうなりました、というような人である。外見と違わぬ人柄で老若男女を問わず学生から慕われ、それ故に美術室は保健室と並んでアカデミーでも屈指の人気スポットだ。 　そんなハッサクの元気がないなら、それは割と深刻な問題でもあるのではなかろうか。ミモザからすれば他人事ではあるが、人の好い同僚が萎れているのならばそれを心配に思う気持ちも嘘ではない。 　やがて講義の時間が始まり、純然たるサボり学生を教室に追いたててミモザ一人になった保健室を訪れたのは、その噂の人物││ハッサクその人であった。 　頼まれたフカマル先輩用の傷薬を渡しながら、ミモザはまじまじと目の前に佇むハッサクを観察してみる。相変わらず、整った顔立ちに歳相応の深みを滲ませた男前である。だが、しかし。 「……ハッサク先生、どうかしました？　眉間、シワがすごいです」 「どうか……と言われましても、特にどうもしておりませんが……」 「保健室に来た学生が心配してましたよ。先生が元気ないって」 「そうでしたか……それはまた、心配かけてしまいましたですね。ですが、別にこれと言った理由は││」 「あるにはあるけど、学生相手にはとっても言えない……ですか？」 「…………はい。いえ、本当に些細なことですし、誰かに相談するようなことでもございませんし。お気に なさらず、ですよ」 「お気にならないわけないでしょ！　愚痴くらい、アタシでよければ聞きますから。ここは保健室なんです、ちょっとくらい休んでってください。今、お茶淹れますね」 　そうして半ば無理やりハッサクを座らせ、聞き出した話が以下の通りである。 　昨晩のこと。 　久々に同じ職場で顔を会わせることになった恋人は、どうにも浮かない様子だった。退勤時間の都合があえば夕食を共にするのが常だったが、どういうわけだか首を横に降る。では喫茶室でお茶だけでも、と食い下がってみても、答えは同じ。 　挙げ句の果てに、別れの際にキスのひとつでも、と腰を抱き唇を寄せた途端、どん、と文字通りに突き放された。 　直後、恋人は我に返った様子で「違うんです」と言いながら取り繕おうとしたものの、その露骨な拒絶はハッサクの顔面から血の気を引かせるに十二分だった。弁解を聞くのが怖くて「無理強いしてしまったならすみません」と口早に告げ、逃げるように別れてしまった。 　帰宅後、恋人からは「今日はすみませんでした。しばらく日を空けてまた声をかけていただけると助かります」という短いメッセージが届いていた。素っ気ない言葉選びはいつものことで、そこから感情を読み取ることは難しい。直接声を聞きたいとおそるおそる電話をかけてみたが、相手はもう休んでしまったのか応答は無いままだった。 　気を揉んだまま眠れぬ夜を過ごし、仕事に私情を持ち込むわけにもいかないのでどうにか常通りに出勤したはいいものの、いつにない恋人の態度が気がかりで 気がかりで仕方がない。 　││とまあ、そんなようなことを、個人に関する情報を一切伏せつつハッサクは語って聞かせた。 　要するに、痴情のもつれだ。 「ゴメンなんですけど、あの……言ってもいいですか」 「是非とも」 「思った以上にしょーもなかったです」 「おっしゃる通りです……」 「ってもハッサク先生には一大事ですよね。で、それ……何か思いあたるフシはあるんです？　コイビトさんの機嫌損ねるようなことしちゃったとか？」 「問題はそれなのですよ……」 「どしたんですか？」 「……いえ、特にこれといった直接の理由は分からないのですが……そうやって考えてみると日頃から思い当たる節しかなくて頭痛が痛いだけです」 　曰く、説教が長いと鬱陶しがられてばかりいること。 　曰く、することなすことにいちいち口を挟まないでほしいと言われたことがあること。 　曰く、優しいのはいいが度を越せばただの過保護だと、自分はあなたのポケモンでもなんでもないのだと怒られもしたこと。 　つまるところ、ハッサクは想う相手に対して可干渉気味であり、その自覚もあり、そのせいで愛想をつかされようとしているのではないか……という話らしい。 　ミモザが思うに、それが原因で破綻するのならば、もっと違う形で、もっとじわじわとヒビが入るものだ。 「うー……んんー…………もうっ仕方ない！　ハッサク先生、コレあげます！」 　えいや！とばかりに立ち上がり、ミモザは私物入れのロッカーに仕舞っていたとっておきの逸品をハッサクの前に差し出した。 　スレッドトラップ柄の、ムクロジの紙袋。オレンジをたっぷり使ったチーズタルトは、季節の限定品だ。 「ホントはサワちゃん先生とお茶会するつもりだったんですけど、ハッサク先生とコイビトさんの仲の方が大切ですから。確か、食べるの好きな人って言ってましたよね？　コレ持って会いに行って、しっかり話し合って、しっかり仲直りしてください」 「いや、そこまで気を遣っていただかなくても……」 「気を遣ってるワケじゃないですよ。これは、貸し！　仲直りした暁には、そこんトコきっちりばっちり聞かせてもらいたいってだけのコトですから。……ふふっ、ハッサク先生の恋バナなんて滅多に聞けるもんじゃないですしね」 　※ 　その日の午後。 　アカデミーの勤務を終えたハッサクは、ミモザから託されたオレンジタルトを抱えてチャンプルの街を歩いていた。もともと、各地ジムの視察をするつもりで空けていたスケジュールだ。 　チャンプルジムを訪れる方便は十分にある。アオキは確か、午後の始めにチャレンジ合格者とのジム戦を二件、その後は夕刻まではリーグのチャンプル支部に詰めている筈だ。 　念のため宝食堂に顔を出すと、ヨクバリスを連れた常連客が他の観戦者達と「今日のジムリーダーもすごかったねえ、以心伝心っていうのかね。特にあれだ、何も言わずにムクホークに見事に指示を出して……いやあ、さすがうちの街のジムリーダーだよ」とか何と
April 26, 2025 at 3:51 PM
wakka-en-maru.bsky.social
今年ももう射干の花が咲いてました
昔から好きな花なんですが、去年あたりからどうもどっかの三留学生のせいかは知らんけど「おじいちゃん…」ってなってしまうし🐝ちゃんかわいいねえ
April 19, 2025 at 4:52 AM
wakka-en-maru.bsky.social
より一層ふわふわしてる方がハルジオン！っていう判別基準が一番ふわふわしてる
けどこれはたぶんヒメジョオンじゃなくてハルジオン
April 19, 2025 at 4:36 AM
wakka-en-maru.bsky.social
午前中にお仕事上がりだったので、前々から気になってた出勤途中の道端の野花を調べてみました
あなたホタルカズラっていうのね！
April 19, 2025 at 2:24 AM
wakka-en-maru.bsky.social
何か続いてしまった
April 16, 2025 at 3:56 AM
wakka-en-maru.bsky.social
また何かメモが増えてる…(🍊🌳🦪一家の話)
April 15, 2025 at 9:10 AM