新しい装束を着ての祝い事。僕の装いも中々のものだと自負している。だが、隣に立つ御手杵のこの装いはどうしたことだ。普段のどこか緩い衣装から着替えただけなのに。そう、ただ着替えただけなのにどうしたことだ。その変わり様に皆一様に褒めて行くではないか。真っ先に掛けようと思っていた言葉は側にいた数珠丸に攫われてしまった。僕がただただ彼を見つめている間に。急いで続こうとした言葉は空回って、その間に今度は槍連中に奪われた。そうこうしているうちにすぐ隣に居るというのに、口を挟む間もないほどひっきりなしに皆が御手杵を褒めてゆく。悔しい。何より悔しいのはそんな僕をさも分かったかの様に見る御手杵の笑顔　#おてかり