悟ライト。
勝手に名付けたシリコン製の、小さな人形のようなルームランプ。
背中の下の方に、コードを差す小さな穴が開いている。動力が充電式なところもいい。一昔前に流行ったプランツドールのように、枯れてしまうことがない。明かりを点けたいときに少しだけ、充電する。ぽわりとオレンジの暖かみのある光が、白髪や頬を照らすのもいい。
むにっとおどけたような口許は物言いたげでも、何も語らない。たとえそこまでの機能があったとしても、無機質な機械音では興ざめだ。
話しだしそうで、何も話さない。
殺風景な私の部屋には、それくらいのインテリアがお似合いだ。
#五夏
悟ライト。
勝手に名付けたシリコン製の、小さな人形のようなルームランプ。
背中の下の方に、コードを差す小さな穴が開いている。動力が充電式なところもいい。一昔前に流行ったプランツドールのように、枯れてしまうことがない。明かりを点けたいときに少しだけ、充電する。ぽわりとオレンジの暖かみのある光が、白髪や頬を照らすのもいい。
むにっとおどけたような口許は物言いたげでも、何も語らない。たとえそこまでの機能があったとしても、無機質な機械音では興ざめだ。
話しだしそうで、何も話さない。
殺風景な私の部屋には、それくらいのインテリアがお似合いだ。
#五夏
念じると、思った造形になるライトを手に入れた。迷わず、悟の姿を思い浮かべた。ふよふよとしたシリコン製のそれは、ものの数分で形を変えていた。ふわふわだった白銀の髪。真っ黒の丸いサングラス。高専の制服を着たあの頃の悟に模した小さなランプは、後ろ手を着き、小生意気そうな顔をして、本物とは程遠いくらい短い足を投げだしている。いっちょまえに革靴らしきものまで履いているのだから、なかなかな再現性だ。
こうしてみると、悟の造形はいかにもデフォルメしやすいのかもしれない。
スイッチを入れて、ポンと頭を押してみる。
念じると、思った造形になるライトを手に入れた。迷わず、悟の姿を思い浮かべた。ふよふよとしたシリコン製のそれは、ものの数分で形を変えていた。ふわふわだった白銀の髪。真っ黒の丸いサングラス。高専の制服を着たあの頃の悟に模した小さなランプは、後ろ手を着き、小生意気そうな顔をして、本物とは程遠いくらい短い足を投げだしている。いっちょまえに革靴らしきものまで履いているのだから、なかなかな再現性だ。
こうしてみると、悟の造形はいかにもデフォルメしやすいのかもしれない。
スイッチを入れて、ポンと頭を押してみる。