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ぼくのかんがえたギャルゲーの🐯
November 14, 2025 at 10:47 PM
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いつも自分だけがたくさんイッてしまいへろへろになってしまう🐯を気遣った🐉が別室で抜いてることを知りなんとか出来ないものかと考えた末にｺｯ……ﾝｸﾞを購入した🐯と🐉のこのあとの展開を考えなさい。
自由記述式（20点）
November 13, 2025 at 10:44 AM
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「あ、ああ。そうだな」 　店の外へ出ると日はすっかり昇っていた。龍之介は並んで歩く虎於に今日のスケジュールを尋ねるとよかったと言った。 「なんでだ？」 「コーヒー飲む時間くらいあるよね。……実は、緊張しててさっきのコーヒーの味、全然わからなかったんだよね」 　ははは、と頬を指で触りながら龍之介が言った。 　なんだ。龍之介も虎於と同じくらい、もしかしたら虎於以上に……。 　二人の間を抜けていく風が熱い頬を撫でて去っていった。いつまでも暑いと思った夏が今、終わる。
November 12, 2025 at 2:37 PM
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「あんたって器用だな」 「そうかな」 　そうだ。昨日も小さなボタンを大きな手が器用にするすると外していくものだから、つい見惚れてしまい止めることを忘れてしまった。 　龍之介がもうひとつの卵も剥いていく。それを横目に虎於は卵に塩振りトーストと同じようにかぶりついた。白身と黄身は固く、しょっぱい味がした。 　思い返せば昨日の夜にチーズやオリーブなんかのツマミの他に何も食べていなかった。言葉を交わすことなく虎於と龍之介は皿を空にしてしまった。 「ごちそうさま」 「ごちそうさまでした」 　わずかに残っていたコーヒーを飲み干す。冷めたコーヒーは苦く感じる。 　カチンとカップとソーサーが擦れた音がし、それが何かの合図のように龍之介が口を開いた。 「どうしてか、聞いてもいい？」 「……出ていったことか」 　龍之介は何も言わなかった。龍之介が聞きたいことはなんなんだ。何を虎於から引き出したいのだろう。 「帰ろうとしたわけじゃない」 　金色の目が貫くように虎於を見据えた。 「うん」 「嘘じゃない」 　本当に嘘じゃなかった。ただ、カーテンの閉まった部屋で彼の背中を見ていたらどうしてもその場にとどまることができなかった。 「……怒ってるか」 「怒ってないよ」 　本当に……？ 　龍之介はじっと虎於を見つめている。我慢比べのような数秒。虎於の方が耐えきれずに視線を逸らした。このまま龍之介の前にいたら全てを曝け出してしまいそうでこわい。 　テーブルの上に乗せたままの手に龍之介の手が重なった。 「りゅ、龍之介……」 　離してくれと懇願する声を龍之介は無視した。決して強く握られているわけではないのに振り払うことができない。 　店員がこちらを見ている気がして視線を向けたが、姿は見えるところにない。ほっと息を吐く間もなく声が耳に届く。 「俺は嫌じゃなかった。虎於くんは？」 　真剣な声はごまかすことも嘘をつくことも許さなかった。 「……嫌じゃない」 　龍之介の湿った肌に触れられることも自分があんなに高い声を出すと知ることも嫌じゃなかった。 「全部、嫌じゃなかったから困ってる……」 　言ってしまった。虎於は掴まれていない方の手で自身の顔を隠した。火が吹きそうなほどに恥ずかしかった。 　一夜を過ごしたことなんてたくさんある。女を置いていったことも置いていかれたこともあったのに。当たり前だ。一夜限りの関係を特別だと思う方が馬鹿だ。 　なのに、龍之介が虎於を探しに来たとわかってすごくうれしいと思ってしまった。 　はぁ……と深くため息を吐き、龍之介の顔を指の隙間から覗く。 「……なんで笑ってるんだ」 「え……？」 　龍之介はニタニタと頬を緩めていた。まるで小さな子どもを見るようなまなざしにむっと虎於は唇を尖らせた。龍之介の手から自身の手を強引に引き抜いた。 「どうせ、あんたには俺の気持ちなんて……」 「待って」 　パシッと再び掴まれる。先ほどとは違う。力強い手のひらだった。 「俺、うれしいんだ。だって、ずっと……」 　カランと扉のベルが鳴ると同時にガヤガヤと大きな声が店内に響き渡った。思わず呆気に取られて声の方を見る。漏れ聞こえる会話からするといつも訪れている常連客の集団らしい。 「ええと……とりあえず、出る？」
November 12, 2025 at 2:37 PM
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く音が厨房から聞こえ始めた。 「こんなところに喫茶店があったんだ」 　龍之介はきょろきょろと周囲を見渡しながら呟く。不思議そうな目はここに訪れるのが初めてだと言っていた。 「知らなかったのか？」 「うん。こっちの方はあまり来たことが無かったから」 「そうか……」　 　虎於もここがどこかよくわかっていない。人通りを避けるように歩くうちにたどり着いただけだった。 　龍之介の顔を見る。汗が首筋を流れ頬が赤い。きっと龍之介は慣れ親しんだ道の方に行き、いないとわかり、ぐるりと周囲を回ったのだろう。 　貴重品がないとわかれば虎於も龍之介のマンションに戻っただろうに。だが、虎於は気が付かないまま喫茶店に入ってしまっていたのだから龍之介が見つけてくれてよかった。 　コーヒーの香りとパンが焼ける匂いが店内に広がる。コーヒーとともにトース トとゆで卵、バターが乗った小皿がテーブルに運ばれてきた。コーヒーとトーストは熱く湯気がゆらゆらと立っているのが見えた。 「いただきます」 「……いただきます」 　温かいカップを持ち上げ口をつけた。口の中に苦味と香りが広がる。舌触りは重くなく、飲み終えればさっぱりとした酸味だけが舌に残る。うまい。 「ふふっ」 　笑い声に目を向けると龍之介がにこにこと笑っていた。「なんだよ」と尋ねれば、龍之介は「なんでもない」と繰り返した。 　虎於はふん、と鼻を鳴らし、バターをトーストに乗せた。きつね色のトーストの上で白いバターは水のように溶けていく。バターナイフで表面を撫でるとカリカリと音がする。 　フォークとナイフを探したがテーブルの上には見つからない。ちらりと龍之介を伺うと彼は大きく口を開けトーストにかぶりついていた。どうやらそう食べるのがここのマナーらしい。 「あ、フォークもらう？」 「いい」 　首を横に振り、龍之介のように口を開きトーストにかぶりついた。焼かれたサクサクとした表面とふわふわと柔らかい食感。パンの甘さをバターの塩気が引き立てている。こっちもうまい。 「うまい」 「おいしいね……あ」 　どうした？　と彼を伺う前に手がこちらへと伸びてくる。ぎょっと目を見張り体を引いた。 「パン、付いてる」 　龍之介は眉を下げた後、自身の右頬を触った。空いた手で同じように自分の左頬を撫でるとパンくずが指についた。 「あ、ありがとな」 　かあっと頬が熱くなる。龍之介は弟にするのと同じようにしただけなのに過剰に反応してしまった。実際、龍之介は涼しい顔でコーヒーを飲んでいる。虎於ば かりが情けない。 　羞恥心を悟られないように食事を続け、固い殻に包まれた卵を手に取った。コンと卵をテーブルにぶつける。かけらが落ちたところに指先をひっかけた。 「は……？」 　殻と一緒に中の白身も取れしまった。削げてしまった頭から黄身が見えてしまい、なんとも痛々しい。もう一度ぶつけ同じようにしてみるが今度は薄皮が残る。 「貸して」 　差し伸べられた手におずおずと卵を乗せる。龍之介は受け取った卵の周囲にコンコンと小さくヒビを入れた。大きな手が殻を剥がしていく。するする、つるり。剥き終えた卵を龍之介は虎於に差し出した。 「はい」 「ありがとう……」 　渡された卵を見る。虎於が剥いたところ以外に跡はなく滑らかな表面をしていた。卵をしげしげと見つめる虎於に龍之介が首を傾げた。 「ん？」
November 12, 2025 at 2:37 PM
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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「オリジナルブレンドコーヒー860円」、「suirensuimin 」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　喫茶店のソファに座り、大きなガラス窓から外からを眺める。日曜の人通りの少ない朝の道だ。 　学生だった頃はまだしも、芸能人になってから何曜日なのかということどころか何時なのかも無くなってしまった。悠が帰るときになってようやく夜になっていたと知ることも少なくない。 　今も家を出て、空を見上げ薄く覆った雲の隙間からこぼれる朝日のおかげで朝だと、すれ違う人の少なさで日曜日だと気づいた。 　ふらふらと歩いた路地裏で喫茶店を見つけた。入ってみるとやはりというべきなのか、虎於以外の客はいなかった。奥から出てきた店員にお好きな席へどうぞと言われたので奥の窓際の席を選んだ。通り過ぎるときにカウンターやテーブルには木彫りで作られた人形やアンティークのカップがいくつも飾られているのを見た。装飾が施されたテーブルの上に鎮座する銀製のシュガーポットが鈍く光る。どこもかしこも古くまるで店全体が古い外国映画のようで馴染みがない。 　再び窓の外を見る。知らない道を歩いてきたせいで全く見知らぬように見えた。だから今の状況に全く現実味がなかった。本当に全部、夢なのかもしれない。 　ふっと息を吐いたとき、ばんっと机を叩く大きな音がした。驚き顔を上げる。 「……っ、いた……」 　青いキャップを握りしめた龍之介と目が合った。顔を真っ赤にさせ、肩で息をしている。 「龍之介……」 　くしゃりと顔を歪め、龍之介はテーブルに手を突いたままその場に倒れるようにしゃがみ込んだ。 「はぁっ……、どこっ、に……ったの、かっ……て」 　げほげほと激しく咽せる。その合間に喋ろうとするものだからますます咽せてしまうようだ。 「だ、大丈夫か」 「だい、………っじょ、ぶ……っ」 　うずくまった背中が上下に激しく動いていた。虎於はおそるおそる触れた。龍之介の体は火傷しそうなほどに熱く、シャツは少し湿っていたを 　龍之介ははぁ～と深い息を吐くと断りもせずに虎於の前にある椅子へと座った。 店員がなみなみと水が注がれたコップと水差しを置いていき、それを勢いよく飲み干す。水を注ぎ再び満杯になったそれをまた飲んだ。形のよい喉仏が動く。 「……よかった」 　髪をかきあげキャップで汗ばんだ顔を仰いで笑った。乱れた髪のまま白いティーシャツとジーンズを身につけただけの龍之介の姿は学生のように幼く見える。 「家に帰ったのかとも思ったけど、財布やスマホも置いたままだったから」 「えっ……！」 　驚いてパンツのポケットに手を入れた。空っぽだ。ジャケットの裏にも手を伸ばしたがやはりなんの厚みも無かった。本当に何も持っていない。 　慌てる虎於をよそに龍之介はテーブルの上に水以外置かれていないのを確認すると立てかけてあったメニューを取った。 「注文まだだよね。せっかくだから食べていこうか」 　え……と呟く虎於の声に手を止めた。 「嫌？」 「財布が……」 　龍之介はポケットから黒革の財布を取り出し虎於に見せる。 「俺が払うよ」 　テーブルの上にメニューを開き、虎於の方へと向ける。有無を言わさない態度と仕草に虎於もしぶしぶメニューを覗き込む。ドリンクと書かれた下にブレンド、アメリカンという定番のものからやエチオピアやアールグレイなどのコーヒーや紅茶の銘柄が記されていた。 「モーニングがあるって」 「モーニング？」 　龍之介がメニューの下の方を指差す。半分に切られたパンと輪切りの卵のイラストの横にモーニングという文字がある。 「ドリンクを頼むと軽食が付いてくるんだ。お腹も空いちゃったし、それにしようか」 「うん」 　促されるままオリジナルブレンドのコーヒーを注文するとコポコポとお湯が沸
November 12, 2025 at 2:37 PM
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きゅーてぃー…
November 9, 2025 at 10:05 AM
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November 6, 2025 at 1:52 PM
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にょ…ｾｯ…へゃ
October 25, 2025 at 11:17 PM
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最近食べた美味しいもの見て
October 5, 2025 at 10:01 AM
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次点
September 26, 2025 at 12:59 PM
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今回の旅、たくさん写真を撮ったけど個人的ベストショットはあおりホタテ
September 26, 2025 at 12:56 PM
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尻尾で立ってる
September 25, 2025 at 11:01 AM
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踊り食いかな…（ﾆｺﾘ

バターをつけてゆず湯さんの気を引きホタテを庇っている🦪の図です
September 23, 2025 at 10:25 PM
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アラマトーキョーさんで買ったスカーフを身につけアフヌンを楽しんだてゃ。このあとホタテになるとも思わずに…
September 23, 2025 at 8:54 AM
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ぽんっ
September 23, 2025 at 5:12 AM
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よく似合うぞって言ってる
September 23, 2025 at 5:11 AM
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信じて送り出した恋モンがとんでもねえ姿で帰ってきたことに驚くモンちゅや
September 23, 2025 at 5:08 AM
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かわいすきる。こんなにかわいくていいのか？
September 21, 2025 at 2:43 PM
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かわいすぎて笑いが止まらない。かわいい。
September 21, 2025 at 2:41 PM
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パロディならめちゃくちゃ思いつく。※Ź記念日の🐯と狩人🐉
September 17, 2025 at 9:38 PM
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私のヌーピーカフェで飲んだマシュマロなんちゃらも見て
August 20, 2025 at 10:33 AM
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蔵にはガラクタしかない…🗑️

でも嬉しかったのでちょっとだけ書いたみずみこの続きを…
いつも読んでくださってありがとうございます🫶🩷
August 17, 2025 at 10:22 AM
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つ聞こえない。不気味なほどに清涼な空間だった。作り物だと言われた方が納得できる。虎於は声に出さず、内心で呟いた。 　これが水神の治める神山かと。　 　もう一度、周囲を見渡す。通ってきた道があったはずだが、木々に囲まれているせいでわからない。しかし虎於はある一方に目を遣った。少し濃い色をしている土。ご丁寧に消してくれた足跡が徒となったのだろう。葉を押さえれば駕籠くらいなら通れそうに思う。それに、と最後に声を掛けてくれた男の訛りを思い出す。あれは社からいくつ離れた山の言葉だっただろうか。この分厚い目隠しのせいでわからなかったが、日の熱を感じなくなったのが二度あった。そこから健脚な男の脚で二日かかる距離ということか。 　そこまで考えて、ふっと笑い、顔を伏せた。それを考えて何になるというのだろう。たとえ帰り道が分かったとて虎於にはもう帰る場所などない。 　冷たい風に頬を撫でられ、導かれるよう風の吹いてきた方に目を遣る。川の上流、つなぎる洞の奥には黒い闇が広がっていた。まさに異界への入口という光景に唾を飲み込んだとき、拳に握り込んでいたものに気がついた。それは目を隠し ていた布だった。幾重にも折りたたまれた紺色に染められた絹。なにか刺繍がされている。開くと想像した通りそこには大きな龍がいた。体は布と同色刺繍されていたが目だけは金糸で編まれていた。黄金の目を見開き宝玉をつかんでいる姿はまさしく水神に他ならない。 「目隠しが婿入り道具か」 　虎於はその布を懐へしまい、洞に続く道に足を向けた。 　入り口は狭く低かった。虎於は天井の岩に手をつき身を屈めて洞の中へと入った。三尺ほど進むと急に視界が開けた。虎於は屈めていた背を伸ばした。外で想像したときよりも洞の中は明るかった。天井も岩で塞がれてはいるもののところどころに穴が空いており、光が差し込んでいる。その光が川の水にあたりまるで蝋燭の炎のようにちかちかと光っていた。 　虎於は後ろを振り返った。視線を岩に塞がれてしまい、入り口がどこかわからない。なるほど。一見しただけではわからかくなっている。外から見たときに真っ暗に見えたのもあの岩が塞いでいたからに違いない。虎於は足元に視線を下ろす。川のほとりに道があった。人の足だけで作られな道はあまり歩きやすそう ではないが、それ以外に歩くところはない。虎於はその道に足を踏み入れた。 　葉擦れの音も聞こえない中はいっそう静かだった。足音が石の壁に伝わりこんこんと響く以外に音はない。点々と示す日の光を追って虎於は歩き続ける。この道はどこまで続いているのだろう。もはや自分が登っているのか下っているかもわからない。川のせせらぎと日の光だけが虎於がどこにいるかを教えてくれる。 　歩き疲れた虎於は少し休むことにした。日の光が差す平らな石の上に腰を下ろす。襟首に指を入れ少し緩めた。乱れた装束は神殿に着く前に直せばいい。虎於は上を向いた。ぽこりと空いた穴を通して青空が見える。遠い青。こんなところまで来たというのに虎於が見る光景はいつもと変わらない。 　虎於は深い息を吐いたあと顔を覆った。どうやら本当に疲れてしまっているらしい。はやく神殿に着いた方がいい。もう少しだけ休んだら先へ進もう。 　そう考え顔をあげた。目の前の川を見つめる。あまり水音はしなかったがよく見ると流れる水が小さな波を作っている。その白い波が黒い川の上に浮いているように見えた。立ち上がり川の中を見た。光に照らされ浅いところはきらきらと透き通っていたが、下にいくに連れ紺色から黒い色へと水の色が変わっていた。 水が黒いのではない。水は外と同じのように澄み渡っている。ならばこの川は深いのだろう。どのくらい深さなのかと、底を覗き込んだとき 「危ないよ」 と耳元で声がした。 　虎於は弾かれたようにその場から離れた。その声に遅れて足音が聞こえる。慌てて虎於は跪き叩頭した。 「底がないわけではないが掴むものが無いんだ。落ちるとまず上がっては来れない」 　軽い足音と共に声が届く。虎於はぞくりと背中を震わせた。 　人間のものではないとすぐにわかった。なぜならその声はせせらぎよりも小さいのに足音よりも早く耳に届いたのだ。 　足音が止まった。 「顔をあげて」 　虎於は言われた通りに顔をあげた。見えたものに驚き、目を見張った。そこにいたのは虎於とそう変わらない年頃の青年だった。
July 27, 2025 at 10:46 AM
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#文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/bunko.html
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「みずみこだよ〜満足したら消す」、「suirensuimin」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　蝋燭が燃えゆらゆらと光を放つ。虎於は部屋の奥、ちょうど反対側の隅に座っていた。 　自身の体を見下ろす。清められた体はひんやりと冷たく新雪のように白い小袖を纏っていた。小袖は絹でできており、名家の出である虎於には見たときからかなりの値打ちものであることがわかった。 　水神は財運の神でもあるという。荷運びの際には川や海を用いる行商人は道中の安全を望み水神に供物を捧げる。この小袖もそのうちのひとつなのだろう。 　虎於は目を部屋の中央へと向ける。一組の大きな布団に二つ並べられた枕。恐ろしさに体がかたかたと震える。 　今夜、自分は生贄になる。人間ではないものに抱かれるのだ。 　体をきつく抱きしめ、大丈夫だと何度も繰り返す。最初からわかっていたこと。いつもと同じ。耐えるだけ。だから大丈夫。虎於は血が出るほどに唇をきつく噛みしめた。そうしなければ今にも部屋から飛び出してしまいそうだった。 　どれだけの時間が経ったのだろう。襖がひらく音がし、虎於は顔を上げた。 「なんだ。起きていたのか」 　部屋の中へ入ってきた長身の男が布団の上に座り、ふうと深く息を吐き虎於を見つめた。金の瞳を細められる。 「おいで」 　虎於は立ち上がり、男の――蛟のそばへと歩いていく。 　１ 　ざっざっ。 　目を分厚い布で隠され、唯一自由になっていた耳で虎於は自身を乗せた駕籠を運ぶ男たちの足音を聞いていた。 　最後に休んだ里を出てからどれだけの時間が経ったのだろうか。途中、運び手を変えながら峠を越え、川を渡り険しい山道を進んできた。すれ違う人々の声が聞こえていたが、次第にそれもなくなり時折、風に揺られざわめく木の葉の音以外何も聞こえなかった。運び手達も黙り、足並みを揃える声すらなくなっていた。もう神域に入ったということなのだろうか。 「御方さま、もうすぐ着きますから」 　まるで虎於の心を読んだかのような訛った男の声にどきりと心臓が跳ねる。男の言葉通り、半時もしないうちに止まった。駕籠が地面へと下ろされ、虎於の体もすとんと重くなる。 「おれたちはここまでです。この先はおひとりで」 　ぼそぼそと聞こえた声に虎於は小さく頷いた。男達が足早に虎於を置いて去っていく足音が聞こえ、その音がすっかりなくなったころ、虎於は目隠しを外し目を開けた。窓枠に掛けられていた御簾から差し込む日の明るさに目がくらみ、再び目を閉じる。まぶたを通る光にようやく慣れた頃、再び目を開けた。白の着物が見える。虎於の身につけている装束だ。白地の着物に細やかな刺繍がされている。大柄な虎於の身長に合わせ作られたそれは長い旅路であったのにしわ一つ出来ていなかった。 　虎於は視線を外へと向け、わずかに空いていた引き戸に手をかけた。瞬い日差しに目を細め足を地面へと下ろそうとしたとき、足元に靴が置いてあるのに気づいた。それを履き外へと出た。久しぶりに感じる土の感触。虎於はくるりとあたりを見渡した。周りを新緑を付けた木々が囲んでいる。枝についた葉は日の光を浴び青々と美しい。その無数の葉が地面に黒い影を落としている。目の前には川があった。水底まで見通せるほどに澄んでいるというのに魚一匹いなかった。違和感に気がつく。どれだけ耳をすませても葉ずれの音ばかりで鳥のさえずりひと
July 27, 2025 at 10:45 AM