適当に壁打ち。見ない方がいい。微々たる発狂。ほぼ下書き
グノーシアのセツ推し夢女。セツへさえずってるアカウント。
「座らないの?……たまには、隣に座って欲しいな」
「座らないの?……たまには、隣に座って欲しいな」
ランドリーは……レトロだった。扉が割れていたりと少し廃店の風格があったが、まだ営業中らしく店内は明かりが付いていた。世界の果てが存在しているなら、そこにあるランドリーは、きっとこの店舗と同じチェーンの店だろう。
ランドリーは……レトロだった。扉が割れていたりと少し廃店の風格があったが、まだ営業中らしく店内は明かりが付いていた。世界の果てが存在しているなら、そこにあるランドリーは、きっとこの店舗と同じチェーンの店だろう。
セツと2人でせっせと水を追い出す。なかなか終わらない。床から水が沸いてるとしか思えないとこぼすと、セツは「何を言ってるの」と呆れたように笑った。
セツと2人でせっせと水を追い出す。なかなか終わらない。床から水が沸いてるとしか思えないとこぼすと、セツは「何を言ってるの」と呆れたように笑った。
なので、寝ぼけたセツが「水だよ……暑いからちゃんと飲んで」とコップを渡してきた時、驚いた。いつもテーブルなど、何ら介してやりとりするのが常だった。
受け取って中身を飲んでも、「あ……ごめん、幻覚なのに」と言われて、そうだねとしか返せなかった。
なので、寝ぼけたセツが「水だよ……暑いからちゃんと飲んで」とコップを渡してきた時、驚いた。いつもテーブルなど、何ら介してやりとりするのが常だった。
受け取って中身を飲んでも、「あ……ごめん、幻覚なのに」と言われて、そうだねとしか返せなかった。
セツは時折私が旅先の服を着ていることに、何も言わなかった。まだ“これは幻覚だ”“反応してはいけない”と自制していたセツは、「……さっき通った店の服?ううん、記憶が混同してきてる…?」と眉間に皺を寄せて考え込んでいた。
そのうち、私が別の服を着ても、近所の犬が夏毛になったと気がついた時の顔をする程度になり、最近は「私の服、貸すよ」と着替えを分けてくれた。
セツは時折私が旅先の服を着ていることに、何も言わなかった。まだ“これは幻覚だ”“反応してはいけない”と自制していたセツは、「……さっき通った店の服?ううん、記憶が混同してきてる…?」と眉間に皺を寄せて考え込んでいた。
そのうち、私が別の服を着ても、近所の犬が夏毛になったと気がついた時の顔をする程度になり、最近は「私の服、貸すよ」と着替えを分けてくれた。
ふと、シーンが切り替わった。そろそろ彼は消えちゃうかな、と呟いた。映画独特のわずかな伏線を感じ取った。かつん、と深皿の底にスプーンが触れた。
セツは目をぱちくりした。そして経過を見守るように画面を眺めた後、「わかるんだね」と言った。
ふと、シーンが切り替わった。そろそろ彼は消えちゃうかな、と呟いた。映画独特のわずかな伏線を感じ取った。かつん、と深皿の底にスプーンが触れた。
セツは目をぱちくりした。そして経過を見守るように画面を眺めた後、「わかるんだね」と言った。
映画は、少年とイマジナリーフレンドの話だった。セツは時折真剣に画面を見たり、逆に手元の紅茶に視線を落としたりした。
この俳優さん儚い演技がすごいねーとコンフレークを食べていると、セツはふとこちらを見て、なんとも言えない顔をした。
映画は、少年とイマジナリーフレンドの話だった。セツは時折真剣に画面を見たり、逆に手元の紅茶に視線を落としたりした。
この俳優さん儚い演技がすごいねーとコンフレークを食べていると、セツはふとこちらを見て、なんとも言えない顔をした。
何か軽食を買うときに自分の分を買って一拍迷ってから「以上で」と言ったり、私が街中で話しかけた時、困ったような顔で視線をこちらに向けてから、すぐに真顔で前を向いたり。
しかし、どれほどこちらを幻覚扱いしても、2人がけのベンチに座る際、セツは私が座れるように場所を空けてくれる。
何か軽食を買うときに自分の分を買って一拍迷ってから「以上で」と言ったり、私が街中で話しかけた時、困ったような顔で視線をこちらに向けてから、すぐに真顔で前を向いたり。
しかし、どれほどこちらを幻覚扱いしても、2人がけのベンチに座る際、セツは私が座れるように場所を空けてくれる。
セツが朝日の眩しさに目を細めたり、ボロボロのバス停を眺めながら「やまねバスは、あと2時間は来ないみたいだね」と言ったり、木漏れ日の下でアイスを食べながらレール沿いを歩いたり、水上船に揺られながら「すごく贅沢だね」と言いながらすぐに寝てしまったり、登る列車に揺られて「やはり端末のエネルギーは連絡用にとって置くべきだね…」と駅で買った地図をしみじみ広げたり。そのどれもが、静かな匂いの空気と柔らかい光の中の出来事だった。
セツが朝日の眩しさに目を細めたり、ボロボロのバス停を眺めながら「やまねバスは、あと2時間は来ないみたいだね」と言ったり、木漏れ日の下でアイスを食べながらレール沿いを歩いたり、水上船に揺られながら「すごく贅沢だね」と言いながらすぐに寝てしまったり、登る列車に揺られて「やはり端末のエネルギーは連絡用にとって置くべきだね…」と駅で買った地図をしみじみ広げたり。そのどれもが、静かな匂いの空気と柔らかい光の中の出来事だった。
ここ一体は、かつて特殊な紙の生産で栄えていた。山脈の固有種である水草のDNAがとあるタンパク質をコードしており、紙の原料として使用された。今は事業は衰退したが、要所要所に人が移動するためのシステムが残っている。例えば地元民のローカル線バスとか、配達用の四つ足の機械の群れを倉庫に誘導するルーティーン線路や、水上船、進行方向を何度も逆にしながらジグザグ上へ上へ行くオレンジの列車。
ここ一体は、かつて特殊な紙の生産で栄えていた。山脈の固有種である水草のDNAがとあるタンパク質をコードしており、紙の原料として使用された。今は事業は衰退したが、要所要所に人が移動するためのシステムが残っている。例えば地元民のローカル線バスとか、配達用の四つ足の機械の群れを倉庫に誘導するルーティーン線路や、水上船、進行方向を何度も逆にしながらジグザグ上へ上へ行くオレンジの列車。
ここ3日程、こんな感じで移動している。最初の2日こそまともな幹線公共交通機関を使ったが、「あとは途中で、星を跨ぐローカル乗合船に乗るチケットが2枚あるだけ」となって以降、セツと2人で地図を広げながら、あーでもないこーでもないと話して、細々とした路線や宿を渡り歩いてきた。
ここ3日程、こんな感じで移動している。最初の2日こそまともな幹線公共交通機関を使ったが、「あとは途中で、星を跨ぐローカル乗合船に乗るチケットが2枚あるだけ」となって以降、セツと2人で地図を広げながら、あーでもないこーでもないと話して、細々とした路線や宿を渡り歩いてきた。
そのロープと支柱も、濃い霧の中に紛れて途中でふつりと消えている。ただ、霧の奥、斜め上からぬっと塗装のはげたゴンドラが降りてきて、Uの字の乗り場をぐるりと回って、またホープにそって斜め上に消えていく。
古い古い、観光用のロープウェイだ。今は閑散期かつ閑散時間だが、賑やかな時期に1日に何人か利用するらしい。
そのロープと支柱も、濃い霧の中に紛れて途中でふつりと消えている。ただ、霧の奥、斜め上からぬっと塗装のはげたゴンドラが降りてきて、Uの字の乗り場をぐるりと回って、またホープにそって斜め上に消えていく。
古い古い、観光用のロープウェイだ。今は閑散期かつ閑散時間だが、賑やかな時期に1日に何人か利用するらしい。
つまり、人為的に維持される草原か、強風や土壌などなんらかの形で草木の育成が阻害される場所である可能性が高い。
という解説をセツはしてくれた。ロープウェイの無人案内所に忘れ去られた風体のパンフレットは、細かい字で6行近く書き込まれていた。
「なんだか、タイムスリップでもした気分だよ」とセツは角の折れたパンフレットを指で撫でた。
つまり、人為的に維持される草原か、強風や土壌などなんらかの形で草木の育成が阻害される場所である可能性が高い。
という解説をセツはしてくれた。ロープウェイの無人案内所に忘れ去られた風体のパンフレットは、細かい字で6行近く書き込まれていた。
「なんだか、タイムスリップでもした気分だよ」とセツは角の折れたパンフレットを指で撫でた。
風の強い朝だった。
風の強い朝だった。
「下の検査の受付所で騒ぎになっていたよ」
ほう。
「幽霊が来て、服の飾りボタンで検査代を払って行ったって。よく見たら君のボタンだったから、びっくりした」
「下の検査の受付所で騒ぎになっていたよ」
ほう。
「幽霊が来て、服の飾りボタンで検査代を払って行ったって。よく見たら君のボタンだったから、びっくりした」