霜降スズメ(壁打ち
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霜降スズメ(壁打ち
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適当に壁打ち。見ない方がいい。微々たる発狂。ほぼ下書き
グノーシアのセツ推し夢女。セツへさえずってるアカウント。
ゴウンゴウンと回り出す洗濯物を眺めていると、セツがブルーの椅子に腰掛けた。2人分の長椅子。セツはいつも、片方を開けてくれた。どんな時でも。店員にぎょっとされて「すまない。独り言が癖なんだ」と言った後でも、私が座れるように。
「座らないの?……たまには、隣に座って欲しいな」
June 20, 2025 at 7:53 PM
2人でランドリーへ行く。大きなバッグに1日分の洗濯物とシーツを2枚持って、「本当にあるの?」と散歩がてら歩く。
ランドリーは……レトロだった。扉が割れていたりと少し廃店の風格があったが、まだ営業中らしく店内は明かりが付いていた。世界の果てが存在しているなら、そこにあるランドリーは、きっとこの店舗と同じチェーンの店だろう。
June 20, 2025 at 7:53 PM
洗濯機が壊れた。吸水口や排水口が壊れたならまだしも、底面の何かが壊れたらしく、気がついたらランドリールームとバルコニーがびしょ濡れだった。拭いても拭いても水が尽きない。
セツと2人でせっせと水を追い出す。なかなか終わらない。床から水が沸いてるとしか思えないとこぼすと、セツは「何を言ってるの」と呆れたように笑った。
June 20, 2025 at 7:45 PM
セツは、あまり私に物を渡さない。まるで、「持てないよ」とか「……ごめんね」と言われて、夢から覚めるのを恐れてるみたいだった。

なので、寝ぼけたセツが「水だよ……暑いからちゃんと飲んで」とコップを渡してきた時、驚いた。いつもテーブルなど、何ら介してやりとりするのが常だった。

受け取って中身を飲んでも、「あ……ごめん、幻覚なのに」と言われて、そうだねとしか返せなかった。
June 20, 2025 at 7:34 PM
一時期、洗濯に難儀していた。正確には手持ちの服が少なく、着替えがなくて困っていた。

セツは時折私が旅先の服を着ていることに、何も言わなかった。まだ“これは幻覚だ”“反応してはいけない”と自制していたセツは、「……さっき通った店の服?ううん、記憶が混同してきてる…?」と眉間に皺を寄せて考え込んでいた。

そのうち、私が別の服を着ても、近所の犬が夏毛になったと気がついた時の顔をする程度になり、最近は「私の服、貸すよ」と着替えを分けてくれた。
June 20, 2025 at 7:31 PM
「君は、こういう映画嫌じゃないの?」別にやじゃないよ「そうか。うん、そうだね」セツは嫌なの?「少し良い気分じゃなかったけど……うん、杞憂だ」

ふと、シーンが切り替わった。そろそろ彼は消えちゃうかな、と呟いた。映画独特のわずかな伏線を感じ取った。かつん、と深皿の底にスプーンが触れた。
セツは目をぱちくりした。そして経過を見守るように画面を眺めた後、「わかるんだね」と言った。
June 20, 2025 at 7:23 PM
たまにセツと映画を見る。備え付けの映像機器は、ジョナスと宇宙船と比べれば安価なものだけど、午後に2人で並んで映画を見るには十分だった。起き抜けで眠いなぁと、セツの隣でブランチを食べる。セツはもう4時間も前に起きて、筋トレなどのルーティーンを済ませていた。

映画は、少年とイマジナリーフレンドの話だった。セツは時折真剣に画面を見たり、逆に手元の紅茶に視線を落としたりした。
この俳優さん儚い演技がすごいねーとコンフレークを食べていると、セツはふとこちらを見て、なんとも言えない顔をした。
June 20, 2025 at 7:17 PM
Reposted by 霜降スズメ(壁打ち
そこそこ麓の町に近い貸しコテージを借りた。コテージというと木目調のものかと思ったけど、着いてみると真っ白な外壁のシンプルな物件だった。
June 20, 2025 at 6:51 PM
そこそこ麓の町に近い貸しコテージを借りた。コテージというと木目調のものかと思ったけど、着いてみると真っ白な外壁のシンプルな物件だった。
June 20, 2025 at 6:51 PM
セツは私を幻覚だと思っている。
何か軽食を買うときに自分の分を買って一拍迷ってから「以上で」と言ったり、私が街中で話しかけた時、困ったような顔で視線をこちらに向けてから、すぐに真顔で前を向いたり。

しかし、どれほどこちらを幻覚扱いしても、2人がけのベンチに座る際、セツは私が座れるように場所を空けてくれる。
June 20, 2025 at 6:43 PM
(中略)
June 20, 2025 at 6:11 PM
そして、いよいよ最終目的地が山脈と谷の向こうに迫った時。最後の移動経路が、ロープウェイだった。
June 20, 2025 at 5:59 PM
そう言えば、こんな光の中にいるセツは初めて見るなと思った。ループの最中、私たちを照らすのは、照明の光だけだった。

セツが朝日の眩しさに目を細めたり、ボロボロのバス停を眺めながら「やまねバスは、あと2時間は来ないみたいだね」と言ったり、木漏れ日の下でアイスを食べながらレール沿いを歩いたり、水上船に揺られながら「すごく贅沢だね」と言いながらすぐに寝てしまったり、登る列車に揺られて「やはり端末のエネルギーは連絡用にとって置くべきだね…」と駅で買った地図をしみじみ広げたり。そのどれもが、静かな匂いの空気と柔らかい光の中の出来事だった。
June 20, 2025 at 5:52 PM
不思議なもので、どれほど「これは……30km近く森しかないな」とせが眉をひそめる辺境でも、移動手段や経路は途切れなかった。

ここ一体は、かつて特殊な紙の生産で栄えていた。山脈の固有種である水草のDNAがとあるタンパク質をコードしており、紙の原料として使用された。今は事業は衰退したが、要所要所に人が移動するためのシステムが残っている。例えば地元民のローカル線バスとか、配達用の四つ足の機械の群れを倉庫に誘導するルーティーン線路や、水上船、進行方向を何度も逆にしながらジグザグ上へ上へ行くオレンジの列車。
June 20, 2025 at 5:41 PM
止まらないゴンドラを早足で追いかけて、2人で乗り込む。先にひょいと飛び乗ったセツが手を貸してくれた。

ここ3日程、こんな感じで移動している。最初の2日こそまともな幹線公共交通機関を使ったが、「あとは途中で、星を跨ぐローカル乗合船に乗るチケットが2枚あるだけ」となって以降、セツと2人で地図を広げながら、あーでもないこーでもないと話して、細々とした路線や宿を渡り歩いてきた。
June 20, 2025 at 5:32 PM
ロープウェイは音を立てて動いている。正確には、ロープウェイを吊り下げている鋼色のロープと滑車の音の気がする。
そのロープと支柱も、濃い霧の中に紛れて途中でふつりと消えている。ただ、霧の奥、斜め上からぬっと塗装のはげたゴンドラが降りてきて、Uの字の乗り場をぐるりと回って、またホープにそって斜め上に消えていく。
古い古い、観光用のロープウェイだ。今は閑散期かつ閑散時間だが、賑やかな時期に1日に何人か利用するらしい。
June 20, 2025 at 11:57 AM
現地は山脈の多い場所だった。冷静に考えると、この星のこの地域の温暖で湿気の多い気候では、草原というものはすべからく森に遷移してしまうはずだ。
つまり、人為的に維持される草原か、強風や土壌などなんらかの形で草木の育成が阻害される場所である可能性が高い。

という解説をセツはしてくれた。ロープウェイの無人案内所に忘れ去られた風体のパンフレットは、細かい字で6行近く書き込まれていた。

「なんだか、タイムスリップでもした気分だよ」とセツは角の折れたパンフレットを指で撫でた。
June 19, 2025 at 11:52 PM
セツは「うまく言いくるめて、代わりに払っておいたから」と飾りボタンをホテルの小さなテーブルに置いた。ごめん、いやありがとうと検査料を財布から取り出してテーブルの置いた。飾りボタンを手に取った時、セツはしばし迷った後、テーブルの上の現金を手に取った。
風の強い朝だった。
June 19, 2025 at 11:40 PM
翌朝。朝の散歩と筋トレから帰ってきたセツは眉を八の字にしていた。

「下の検査の受付所で騒ぎになっていたよ」
ほう。
「幽霊が来て、服の飾りボタンで検査代を払って行ったって。よく見たら君のボタンだったから、びっくりした」
June 18, 2025 at 6:05 PM
これボタンとかにするか
June 18, 2025 at 6:02 PM