この賢者の"もどかしさ"に似たものが自分の中にもあって、そこで力を持たない個人にはどうしようもないと諦めるには早すぎるだろっていうのが差別に能動的に反対する原動力になっていると思う　無力な一個人でいる自分の姿はすごく"想像がつく"し、多分それで問題なく生きていけるとも思えてしまうけど、そういう人間がたくさんいたときの社会では誰かが踏みにじられたとき、踏みにじった側に有利になるだろうなというのがめちゃくちゃ嫌なため

カインとリケの果物屋さんとのやりとりは意図してネロとかつての常連さんとのやり取りと対比されているんだろうな　あのレモンは常連さんが渡せなかったもので、手渡せなかった代わりに物語と店を残した

人との出会いでゆるやかに、でも大きく世界が変革しているというスノウとミスラ、ラスティカの話、宿命的な誰かではないお互いと隣り合って今を過ごすフィガロとレノックスの話、というふうに世界と個人のつながりやうねりみたいな話が寄り添っていて、賢者が触れられない距離感でネロの心が動いている描写とそのもどかしさとも響き合っているような気がする

しかもそういうトピックなのにずっと出生時に割り当てられた性別の話しかしてなくて、ジェンダーという概念って思ってた何倍も浸透してないんだな　嘘だろと思った