れお
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社会人の皮を被ったクマ。文を書きたまに絵も描く。成人済み。雑食。
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無配ペーパーにしていた👑兄弟現パロです。pixivにも投稿しました。
November 16, 2025 at 12:21 PM
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「髪を乾かしてあげる、ついでに頭皮マッサージもする？」 「至れり尽くせりだな」 「お兄ちゃんのためならね」 　待ってて、とドライヤーを取りに行くギラの後ろを尻尾を振りながらジェラミーが付いていった。王にでもなった気分だなとラクレスはソファに深くもたれかかって目を閉じた。 　ゆったりと温泉に浸かり、部屋で宿自慢の料理に舌鼓を打ち、ぐっすりと眠って目覚めてみればラクレスは随分と身体が軽くなった気がした。スマートフォンを手元から離していたのもよかったのだろう。無意識に仕事のことを考えることもなかった。寝起きにジェラミーにのし掛かった重みで起こされたのも幸福な目覚めだと思えるくらいだった。 　朝も一風呂浴びてから朝食を食べ、遅めに宿を出て兄弟二人と愛犬一頭で帰路についた。途中で寄り道をしながらのんびり帰ろうと車に乗りギラの運転で走り出そうとしたところでバイクが一台隣にやってきた。ラクレスは悪い予感がした。 「出たなストーカーめ」 「おっと、ご挨拶だねぇ」 　フルフェイスのヘルメットから目元を覗かせたのは、ギラの友人のジェラミーだった。 「ジェラミー、こんなところで偶然だね」 「そんなわけあるか」 　呑気な弟の挨拶に被せてラクレスは強めにたしなめる。ギラは心を許した相手に対して甘すぎるのだ。家族旅行先に呼んでもいないのに現れるの は親友ではなくストーカーと呼ぶに相応しい。 「これでも気を遣って帰り道に合流したのに」 　この後ついてくる気満々の男にラクレスは温泉で溶けて消えた眉間の皺が戻る気がして額を抑える。 「ランチにいい店を予約しておいたよ。もちろんそいつも同伴オッケーさ」 　ジェラミーは後部座席から顔を覗かせていた自分と同じ名前の犬を指し、この後の兄弟の予定にすでに自分を捩じ込んでいると堂々告げてくる。 「お疲れサラリーマン殿、ストレスは解消されたかい」 「今ぶり返したところだ」 「そいつは大変だ。景色がいいところでうまいものを食べて解消しなきゃ」 　百パーセント善意ですと顔に書いた男は「さぁ行こう」とバイクで先導する気満々だ。 「ジェラミー、店の位置教えて。車のナビに入れておくから」 「店の情報ごとスマホに送ろう。はぐれないでおくれよ」 「そっちこそ安全運転でね」 「ふふ、もちろん」 　今の「ふふ」は信用できないやつだなとラクレスはこめかみを押さえる。 「ギラ、はぐれても構わないから安全運転で頼む」 「了解」 「ワフッ！」 　なぜか犬のジェラミーもギラと揃って声を上げた。 　もしかして最初からジェラミーと合流する予定にしていたのかとラクレスはちらりと疑ったが、 おそらくギラは本当に何も知らなかったのだろう。せいぜい大学で旅行の話をした程度のことだ。そこからどうやったのか旅行先に辿り着いたジェラミーが恐ろしい。 「ギラ、友人はよく選んだほうがいいぞ」 「ジェラミーも他のみんなもいい友達だよ」 　にこりと笑ったギラは先を行くジェラミーのバイクを追って車を走らせ始めた。 　仕事のストレスは消えても弟への心配だけはどうにも消えそうにないとラクレスは助手席でため息を吐いた。 「本当にいい店なのが腹立たしいな」 「そこは素直に喜んでおくれよ」 「おいしいねぇ」 「ワフッ！」
November 16, 2025 at 6:23 AM