繻 鳳花@shuhohka
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Studying to medieval cooking,food culture, nature folk and more.
中世ヨーロッパのお料理中心の民俗文化をお勉強&実践。ヒストリカル(歴史再現)企画・コストマリー事務局の人だったり中世料理のレシピ集出したり監修したり。主に中世ヨーロッパの食文化・中世料理・民俗文化ネタなどをほぼ毎日投稿しています(繁忙期は週2-3投稿)。主催催事以外の情報リポストは行いません。心穏やかにご覧頂ければ幸いです。

公式HP→ https://costmary.me
ヨーロッパの街中を散策していると、使わなくなった馬車や車輪がさりげなく置かれている光景を見かけます。
普通は壊れたら処分することが多かったでしょうが、季節の植物を載せたプランターとして再利用したり外観インテリアにリメイクしたりと、自然と街に馴染むのもまた個性が出てていいな、と思います。

もちろん新しいものに変えていくことも大事ですが、現役で使われていた時の歴史の跡がどこかしらにしみついていると思うと、なにかと感慨深く感じるものです。
December 13, 2025 at 12:51 PM
スペイン北西部・アビラなどに伝わる「イェマス(ジェマスとも)」という半生菓子を以前作りました。スペイン南部の修道院由来ともいわれますが諸説有。砂糖と卵黄、すりおろしたレモンの皮を加えてとろ火で練り、丸めます。

一説としてスペイン南部のアンダルシア地方に古くから残るレシピの可能性があるのですが、もしこの説が有力だとしたらいろいろ納得できる点も多いです。

中世アンダルシア料理は近隣のアラブ方面の影響を受けているものが多いため、他と少し異なる食材を用いることがあると考えています。

強めの甘さとレモンのほのかな酸味、繊細な柔らかさを感じます。温かいお茶と相性がよかったのが和菓子っぽいです。
December 12, 2025 at 8:57 AM
中世インクの材料(羊皮紙工房コレクションより)

さまざまな虫が植物に寄生することでできる「虫こぶ」を砕いて煮沸し、タンニン豊富な液体を作り、それに硫酸第一鉄などの鉄分を加えて黒サビ化して作られています。
粘度を出すためにアラビアゴムを、防腐のためにワインや酢を入れます。
羊皮紙に書いた文字の部分は表面的にレザー化し、耐久性に優れます。

羊皮紙で用いるインクはナラやブナの木(オーク)の虫こぶをよく使うそうですが、どんぐりなどの木の実からも作ることができます。大半の虫こぶは開けると幼虫がいたりするので、虫がダメな人は取扱いには少し気をつけた方がいいやもしれません。
December 11, 2025 at 8:18 AM
中世ヨーロッパでは「希望の光」といわれた蜜蝋キャンドルと小さなりんご、その周りを覆う、魔除けの枝葉。

もうすぐ訪れる冬至に向け、闇の空間を照らす準備も少しずつ進んでいます。
今年の冬至は12月22日です。
December 10, 2025 at 8:13 AM
当方で料理監修を担当しております、ゆづか正成先生の最新刊「騎士王の食卓(講談社/シリウスKC)」第5巻が本日12/9に発売となりました。それぞれの登場人物たちの行動が織りなすあらたな展開に終始楽しむことができました。

登場料理は本編では一品でしたが単行本の裏表紙には+1品分も加えて頂いています。丸鶏のご馳走料理の試作検証はけっこう大変でしたがそれなりの豪華さ?もあったかなと思います。

現在では大半のマンガは電子タイプで気軽に読めますが、個人的には紙の本がやはりしっくりくるのですべて単行本で揃えています。デジタルにはない味があるのも紙の本ならではと思います。

よろしければぜひに。
December 9, 2025 at 7:47 AM
自分の周りではハープ弾きの知人が多いのですが、一見同じように見える楽器でも、その人だからこそ扱える「音」というのが多々あります。
古の時代から少しずつ形や技術を変えてきた、穏やかな音色。それらを必要とする人の心に直接届いてこそ、その力が発揮できるのかな…と常々思います。

楽器の音や歌・語りを直接聞くというのは、生活の一部として当たり前のように経験していますが、かつての流行病で気軽に聞く機会が一時的に失われた時、直接感じ取るのがいかに人にとって大事であるのか、改めて気づいたことを思い出します。

人の手による<芸術文化>は時代を問わず、やはりなくてはならない存在であると改めて感じました。
December 8, 2025 at 8:15 AM
冬の凍てつく寒さと共に立ちはだかる、雪。
現在は多くの英知の道具があるのである程度まではなんとかなりますが、昔は決して外に出てはならない、閉ざされた世界そのものでした。

計画もなく、無暗に歩けば命を脅かす脅威となる存在。特にひとたび吹雪に見舞われれば、その命の保証はありません。

氷や雪などの「冬」を司る神々が人々に恐れられたのも、なんとなく分かるような気がします。
December 7, 2025 at 9:50 AM
14世紀末頃のイングランドの料理指南書「Forme of cury」から、エンバーデイタルト(Emberday tart)をご紹介します。卵と玉ねぎ、その他季節のハーブ数種類混ぜた、総菜系のタルトです。
「Emberday=四季の斎日」の意味で、1年に3回ほどある断食と祈りのための日。断食が絡むので肉類は入っていません。

照明がある場所では少し黄色がかった色をしていますが、実際に暗い場所でロウソクを灯すとほとんどその色は失われます(写真右)。夜の宴会や料理は響きはいいかもしれませんが、目で食欲をそそられるか?といわれると返事に困ってしまうかもしれません。
December 6, 2025 at 8:43 AM
中世ヨーロッパ版のショートブレッドは、毎年クリスマスの時期になると作ることが多い鉄板的スイーツのひとつです。卵や牛乳を使わないため長期保存ができ、多量の「温」のスパイスを使うので寒い日でも身体が温まります。

数年前のコロナ禍では中世料理を体験して頂く試食会が軒並み中止になってしまったこともあり、希望される方にご賞味頂くことができませんでした。焼き菓子であればできるかもしれないと、一時的でしたがヒストリカルスイーツという形で提供させていただきました。
その中でも一番ご好評が高かったのが、このショートブレッドでした。

ぜひまた召し上がって頂ける機会があればいいなと、ふんわり考えております。
December 5, 2025 at 8:36 AM
12/24はクリスマスイブ。2か月近く祝されるクリスマス期間の中でも最も重要な日でもあります。
昔から使われている教会歴(または典礼暦)の場合、「日没」が起点となります。そのため、12/24の日没~12/25の日没がクリスマスの日という認識となります。
現在でも一部の教会や修道院では12/24の日没から翌朝にかけてクリスマスミサを行うところも少なくありません。

ヨーロッパの大きな大聖堂ではだいたいクリスマスミサのライブ配信を行っているので、もしご興味があれば一度ご覧頂くのもいいかと思います。ただ日本とは時差がありますので、その点だけはご注意を。
December 4, 2025 at 10:45 AM
クリスマスの聖樹・ヤドリギが少しずつみられるようになりました。
他の木に寄生して育つ「半寄生種」という、少し特殊な生態を持ちます。

昔から玄関や大広間にヤドリギを飾る風習があり、悪しき魔から家を守る力があると言われています。

寄生する木の中でも、特にオーク(樫)の木に寄生したヤドリギはより強い力をもつと一部の地域では信じられていたようです。
ヤドリギとオークは中世ヨーロッパより古い時代から共に神聖なる樹とされた存在。ある意味で最強タッグだったのかもしれません。

ヤドリギは日本でも比較的寒い地域で見ることができます。かなり高い木の上にあるので、遠くから見て探すのがいいと思います。
December 3, 2025 at 7:26 AM
寒い冬。
植物の動きが鈍くなっていく中、ひときわ目立つのが南天などの赤い実をつける木々。一粒一粒は小さくても深紅に染まる実は遠くにいても見つけやすいので、野鳥たちは貴重な食糧源を求めて赤い実の周りに集います。

冬の赤い実というと思いつくのが「クコの実」。杏仁豆腐や薬膳粥などに入っている、食用の小さな実です。
ビタミンが大変豊富で、乾燥させると長期保存できる優れもの。短期間で大量に食べるのではなく、長期間で少しずつ食べるのがよいとされていました。きっと昔の中国料理にも深紅色の彩りを添えていたのでしょう。

冬だからこそビタミン摂取は必須要素。昔の人々もなんとなく知っていたのかもしれません。
December 2, 2025 at 8:51 AM
毎年、クリスマスの準備期間中に作っている自作の小さな蜜ろうキャンドル。中世ヨーロッパでも祝されていたクリスマスや復活祭、豊穣祭で灯します。溶け残った蜜ろうは再利用ができるので、余ったろうは集めてもう一度溶かし、作り直します。
小さいながらも灯される光はかなり強め。自然の恵みを最後まで使う過去の人たちの知恵に常々脱帽です。

昨今の猛暑のような暑さだと柔らかくなることがあるので、基本的に冷暗所に保管しておくのがオススメです。

またもったいないからと使わずに飾る方が稀におられますが、蜜ロウ自体が色褪せしやすいので早々に灯した方が無難でしょう。クリスマスの時期こそ、少しずつ灯していくのがよいです。
December 1, 2025 at 8:34 AM
クリスマスの準備期間となる「アドベント(待降節)」、今年は明日11/30からから始まります。日本はあまり馴染みのない言葉ですが、アドベントカレンダーならご存じの方も多いのではないでしょうか。
これは主の降誕日までの間にひとつずつ小窓を開けていきますが、現代のような使い方は50年ほど前と、比較的新しい慣習となります。

中世ヨーロッパの人々は、きたる祝祭のための料理や装飾、祈りに余念がない日々を送っていたのではないかと思います。

今年も可能な範囲で「光を称える祝祭」に相応しい中世の料理や装飾を実際に作り、古の歴史をそっと紐解くきっかけを作ることができれば本望です。
November 29, 2025 at 7:51 AM
海外では歴史料理を専門にしている研究家や大学教授がおり、不定期に行われているワークショップや意見交換会のレポートをSNSなどで拝見しています。イギリスやフランスなどはまさに中世ヨーロッパの地元でもあるので、最新の研究報告を知ることができます。

少し興味深い点に気づいたのですが、あるアメリカの歴史料理研究家が中世中期頃の魚料理を再現検証した際、そのレシピに「煮込む」という工程があったそうです。

ご本人的にはそもそも「魚は焼くもの」という概念が強いようで、煮込むのは生理的にためらってしまったとか。日本では煮魚は和食の代表格なほど普段から抵抗なく調理しているだけに、ちょっと不思議な感覚でした。
November 28, 2025 at 2:26 PM
明日、アメリカやカナダではサンクスギビングデー(感謝祭)を迎えます。
毎年11月の第4木曜日と決められており、ローストした七面鳥やパンプキンパイ、クランベリーをたっぷり使ったスイーツやジャムなどを用意し、大々的に祝います。

りんごをたっぷり使ったパイもよく登場します。約200年ほど前のアメリカの料理には、たくさんのりんごを使ったアップルパイのレシピが多く残っています。興乱切りにしたりんごとたっぷりの糖蜜と砂糖、さらにマルメロのジャムを加えて焼き上げるレシピがとても興味深かったです。

マルメロは中世ヨーロッパでも使われていた要加熱食材。昔のアメリカでも使われていたのがちょっと意外でした。
November 27, 2025 at 9:57 AM
中世ヨーロッパでは全期間を通して読み書きできる人が少ない地域も多々あったため、簡単な色つきの挿絵や壁画を使って伝える方法が主でした。
ただ、必ずしもその描写が正しいのかというと、描き手の認識違いなどで途中から異なる意味になってしまうこともあります。真実なのかどうかを見定めるのは、現代でも難儀かもしれません。

稀に「中世の写本にのっかっている絵は下手っぴだ」という意見を見かけますが、当時からすればその意味が人々に伝わっていればなんら問題ないことでした。

むしろ挿絵を残してくれていた方が、中世研究者側としてはそこから読み取れる事実もあるので時に貴重な資料にもなるのです。
November 26, 2025 at 10:43 AM
りんごの種類が多く出回る季節になりました。
毎年、たくさんのりんごを買っては焼き菓子やタルトを作り、作業の合間をぬって一息入れる時間に頂いています。

りんごを使ったタルトタタン(Tarte Tatin)は200年ほど前に誕生したフランスの伝統菓子で、とてもシンプルな材料かつりんごの果実の味が全面に出て大変味がよい逸品です。

タルトタタンはりんごの形を維持したまま焼くことが必須となる一方、中世イングランド伝のアップルタルト(写真右)は果実を粗いみじん切りにしてから低温でゆっくりと焼き上げます。

見た目や作り方は多少異なりますが、「たっぷりと果実を使う」というのは新旧共通事項のようです。
November 25, 2025 at 8:17 AM
文学フリマ東京、無事に終了しました。たくさんの出店ブースの中から当ブースへお立ち寄り頂きましたこと、深く感謝申し上げます。

この文学フリマに初めて参加したのは2019年の京都回でした。当然ながら中世ヨーロッパに関する制作作品はほとんどなく、初参加時はかなり浮いてしまったのではないかという不安もありました。

そこからコロナ禍を乗り越え、復活を超えた盛況さと共に中世ヨーロッパにまつわる制作作品も少しずつですが多く出回るようになったことは喜ばしいことであり、個人的にも嬉しいことでもあります。

文学は言語によって表現される芸術作品そのもの。これからも失われてはいけない要素だと思いました。
November 23, 2025 at 1:12 PM
今年の冬至は12/22。ちょうど1か月前となりました。
毎年、夏至と冬至の日はイングランドにあるストーンヘンジで日の入&日の出ライブ配信を行ってくれるので欠かさず拝見しています。

太古の昔から聖なる地・またはあらゆる地球の力が集まるとされる地では、先祖の伝統を守り多くの人々が集い、太陽の到来を祝います。
冬至の太陽は「終わりであり始まりの象徴」。この日から日の出の時間が長くなるため、復活の意味合いも兼ねています。

ストーンヘンジは通常関係者以外の立ち入りを禁じていますが、夏至と冬至の日だけは一般に開放されます。思い思いの衣装(ちょっとドルイド系も)で来られる方もおられるようです。
November 22, 2025 at 8:35 AM
#文学フリマ東京 追記案内】
同人誌新刊「中世欧州料理のちょっとリアルなプライスリスト」におまけ特典を同梱しております。中世後期のイングランドを中心に一時的に普及したとされる「ポケットカレンダー(携帯型暦)」の製本方法をベースにしたミニメモ集です。

当時は主に農業の暦や聖人カレンダー・挿絵などが羊皮紙に記されていたとされ、木版印刷が普及するとより多くの人が携帯するようになったといわれています。お守りとして持ち歩くこともあったそうで、革で作った専用ケースを別に作り、大事に持っていた人もいたようです。

現代の紙での一部再現になりますが、畳み方などを実際にご覧頂ければ幸いです。
November 21, 2025 at 12:55 PM
かなり前にロシアのお隣にあるベラルーシ料理のお店でご馳走になったんですが、どれもとても美味しかったです。
ビーツや淡水魚、ジャガイモなどの食材が多めでしたが、少量でも相当おなかがいっぱいになったのが印象的でした。ピューレ状にするものやライ麦を使った種類があったのも興味深かったです。

中世ヨーロッパの料理レシピには全粒粉や中力粉は食材として登場することがありますが、ライ麦(Rye)の表記はほとんど見たことがありません。

ライ麦は内陸部での栽培が主要だったこと、庶民向けの料理に多く用いられた可能性があることを考えると、上流階級の食材としてはあまり使うことはなかったのかなと考えています。
November 21, 2025 at 10:11 AM
円状に編み込むリースは時間があれば何種類か作っています。昔から退魔の力を持つとされる芳香性の強いハーブや花、ツタを主な材料として使うことが多いです。

時代が進むと、魔除けの植物から扱いやすい太めのリボンを編み込み、乾燥させた木の実や花の実であしらう種類も多くなったようですが、個人的にはやはり生の力をもつ植物の方がしっくりくるかな、と思っています。

これから本格的なクリスマスシーズンに入り、いろいろな場所でリースが飾られている家や施設を見る機会が多くなります。散歩がてらにちょっと目を向けて素敵なリースを探してみるのもいいやもしれません。
November 20, 2025 at 1:05 PM
西洋の歴史において、多くの食材が激動の時代の変化で高値と安値を繰り返していましたが、その中でも香辛料のサフランはその希少性から今も昔も価値が常に高い食材です。
サフランの雌しべから得られる鮮やかな金色に染まる料理は、昔から「王侯貴族が食せしもの」とされていたのもわかる気がします。

サフランは料理用だけではなく、彩色写本の染料や薬効作用のある材料でもあったため、中世ヨーロッパではサフランを巡って一時期争いを行っていた地域もありました。
また高価ながらも偽物も出回るようになり、大金を払って得たものが金色の輝きすらないと分かった時の絶望感は、相当だったのかもしれません。
November 19, 2025 at 8:59 AM
【催事出店のご案内】
11/23(日)開催予定 #文学フリマ東京 に出店参加します。
中世ヨーロッパのアレンジ料理レシピ集、中世の植物に関する考察本、本物の羊皮紙やパピルスなどの雑貨、刊行済の商業本も少数お持ちします。
初出し新刊アリ。

◆ブース番号:東京ビックサイト 南1-2ホール H03・04「コストマリー事務局」
◆開催時間:12:00~17:00 ※閉場までおります
◆文学フリマ東京公式サイト bunfree.net/event/tokyo41/
◆WEBカタログ c.bunfree.net/c/tokyo41/1F...

2025年最後の出店参加となります。よろしければぜひに。
November 18, 2025 at 9:33 AM