てんてんりらりら、青空にフライ。
現在、荼ホ沼に浸かってます。
福岡で暮らし始めてからも、最低週一のペースでデートしているとはいえ、お泊りの許可をもらいに行くときのめらさんの視線にどうも耐えられず、毎回ヤっているわけではない。そもそも、生理と重なってヤれないときも、それなりにある。
だから、習慣と呼べるほどの年月があるとは思えず、「……習慣って言うけど、あの時だけじゃないってこと?いつから?」と質問を続ける。
燈はだんまりを決め込むものの、
福岡で暮らし始めてからも、最低週一のペースでデートしているとはいえ、お泊りの許可をもらいに行くときのめらさんの視線にどうも耐えられず、毎回ヤっているわけではない。そもそも、生理と重なってヤれないときも、それなりにある。
だから、習慣と呼べるほどの年月があるとは思えず、「……習慣って言うけど、あの時だけじゃないってこと?いつから?」と質問を続ける。
燈はだんまりを決め込むものの、
「何って?」
「俺の髪を撫でたり、キスマークをつけるでもないキスを俺の身体にしたりしてた意味を尋ねています」
「……狸寝入りとは、元ヒーローが随分と卑怯な真似をするもんだ」
「意識が浮上しきってなかったし、夢だと思ってたんだよ」
「……そのまま大人しく夢だと思っとけよ。普通、掘り返すか?」
「気になったんだもん」
物凄く嫌そうな顔をする燈にもめげずに、「なして?」としつこく食い下がってみると、「……習慣になってんだよ」という答えが返って来る。
「何って?」
「俺の髪を撫でたり、キスマークをつけるでもないキスを俺の身体にしたりしてた意味を尋ねています」
「……狸寝入りとは、元ヒーローが随分と卑怯な真似をするもんだ」
「意識が浮上しきってなかったし、夢だと思ってたんだよ」
「……そのまま大人しく夢だと思っとけよ。普通、掘り返すか?」
「気になったんだもん」
物凄く嫌そうな顔をする燈にもめげずに、「なして?」としつこく食い下がってみると、「……習慣になってんだよ」という答えが返って来る。
だとしたら、一体何がしたかったのだろう。いつもの寝込みの悪戯ではないのなら、あの行為は燈にとって何の意味があったのだろう。
あんな、まるで、恋人をただ純粋に愛おしむかのような手つきで―――と考えたところで、(いやいや、ないない。だって、とーやだよ。前世、荼だよ。苦痛に歪む俺の顔に興奮を覚える男だよ。ないないない、ないわ〜)と間髪入れず、その可能性を振り払おうとするものの、それ以外に納得のいく説明も思いつかず、(まぁ、でも、アイツ、今生は俺と結婚するって言って聞かないくらいには、俺のこと好きみたいだしな……)と
だとしたら、一体何がしたかったのだろう。いつもの寝込みの悪戯ではないのなら、あの行為は燈にとって何の意味があったのだろう。
あんな、まるで、恋人をただ純粋に愛おしむかのような手つきで―――と考えたところで、(いやいや、ないない。だって、とーやだよ。前世、荼だよ。苦痛に歪む俺の顔に興奮を覚える男だよ。ないないない、ないわ〜)と間髪入れず、その可能性を振り払おうとするものの、それ以外に納得のいく説明も思いつかず、(まぁ、でも、アイツ、今生は俺と結婚するって言って聞かないくらいには、俺のこと好きみたいだしな……)と
一晩中抱かれた名残でまだ身体に熱が燻っていたとはいえ、寝ている間に悪戯をされた様子もない。
(それに、)と思い返すのは、目を開ける寸前の、夢心地で微睡んでいたときのこと。優しく撫でられ、慈しむように指先や顔、肩などに口付けされたあの感覚。てっきり夢かと思ったけれど、
一晩中抱かれた名残でまだ身体に熱が燻っていたとはいえ、寝ている間に悪戯をされた様子もない。
(それに、)と思い返すのは、目を開ける寸前の、夢心地で微睡んでいたときのこと。優しく撫でられ、慈しむように指先や顔、肩などに口付けされたあの感覚。てっきり夢かと思ったけれど、
疑問質問を重ねられるより先に、すぐさま「……あぁ、起きた?じゃあ、続きヤろうぜ」と態勢を整えて、啓♀が覚醒しきる前に情欲に溺れさせてなあなあにしてしまう作戦に移る。
でも、啓♀はバッチリ覚えていて、翌日(アイツ、何がしたかったんだろ……?)と首を捻る。寝込みを襲われたことは、前世を含めて何度もある。
疑問質問を重ねられるより先に、すぐさま「……あぁ、起きた?じゃあ、続きヤろうぜ」と態勢を整えて、啓♀が覚醒しきる前に情欲に溺れさせてなあなあにしてしまう作戦に移る。
でも、啓♀はバッチリ覚えていて、翌日(アイツ、何がしたかったんだろ……?)と首を捻る。寝込みを襲われたことは、前世を含めて何度もある。
「奥さんのことは最近じゃなくて昔からずっと惚れてる」
「それでカメラか。お前に妻以外の趣味があったとはな!」
「奥さんの雑誌を作ろうと思って、カメラはその一環だから奥さん以外の趣味ってわけじゃねぇ」
「お前の妻って一般人だろ?モデルでも始めたのか?」
「いや?自費出版」
「お前、凄いな」
というやり取りが報道されるため、「奥さんの自費出版雑誌」がトレンド入りする。
「奥さんのことは最近じゃなくて昔からずっと惚れてる」
「それでカメラか。お前に妻以外の趣味があったとはな!」
「奥さんの雑誌を作ろうと思って、カメラはその一環だから奥さん以外の趣味ってわけじゃねぇ」
「お前の妻って一般人だろ?モデルでも始めたのか?」
「いや?自費出版」
「お前、凄いな」
というやり取りが報道されるため、「奥さんの自費出版雑誌」がトレンド入りする。
「ちなみに、俺に対して不満なところは?」
「あんまり怪我はせんでほしか」
「それ、不満っていうか心配では?」
「ちなみに、俺に対して不満なところは?」
「あんまり怪我はせんでほしか」
「それ、不満っていうか心配では?」
「というわけで、啓ちゃんの雑誌を作ろうと思う」
「本気で言ってる……?」
「インタビューから始めていい?」
「本気だ、この人……」
「というわけで、啓ちゃんの雑誌を作ろうと思う」
「本気で言ってる……?」
「インタビューから始めていい?」
「本気だ、この人……」
あと、委員長の屋上休憩に今まで声をかけられなかったのも不満。
なにはともあれ、無個性になった委員長の個性を務める護衛くんって響きが魅惑的ですよねってお話。
委員長にバレると「ストールに嫉妬してたの?可愛いとこあるね」って言われます。
あと、委員長の屋上休憩に今まで声をかけられなかったのも不満。
なにはともあれ、無個性になった委員長の個性を務める護衛くんって響きが魅惑的ですよねってお話。
委員長にバレると「ストールに嫉妬してたの?可愛いとこあるね」って言われます。
ハム安では、二人で連れ添って屋上に行くのを番犬のお散歩の時間と認識されてるし、邪魔しないよう、その間は屋上立ち入り禁止になってる。
そしてストールが要らない季節になっても、なぜか屋上に行くときは燈に声を掛ける習慣だけは残るのであった。
燈は、羽が温かいことなんてとっくの昔から知ってたので(抱き潰した後、抱き枕にしてた)、自分のことなのに知らなかったのかよって呆れると同時に、羽が今もあれば護衛なんて必要ないと突っぱねていたであろう委員長が、燈を更生プログラムの一環とは言え、
ハム安では、二人で連れ添って屋上に行くのを番犬のお散歩の時間と認識されてるし、邪魔しないよう、その間は屋上立ち入り禁止になってる。
そしてストールが要らない季節になっても、なぜか屋上に行くときは燈に声を掛ける習慣だけは残るのであった。
燈は、羽が温かいことなんてとっくの昔から知ってたので(抱き潰した後、抱き枕にしてた)、自分のことなのに知らなかったのかよって呆れると同時に、羽が今もあれば護衛なんて必要ないと突っぱねていたであろう委員長が、燈を更生プログラムの一環とは言え、
「そんな見てて面白いもんでもねぇだろ」とさほど代わり映えのしない屋上からの眺めに文句を零す燈に、ストールさえ手放してくれたら、冬の屋上に付き合わせることもないんだけどな〜と思いつつ、(コイツ、体温高いんだよな)とストールよりも防寒具として優秀な護衛の腕の中に大人しく収まっている委員長は、「物事を俯瞰して考えるのに向いてるんだよ」と返す。
「へぇ?じゃあ、今は何を考えてんの?」
「お前用にもう一枚、これ(ストール)、買った方がいっかな〜?とか?」
「一枚あれば十分だろ」
「忘れてるかもしれんけど、それ、俺のだからね?お前のじゃないからね?」
「そんな見てて面白いもんでもねぇだろ」とさほど代わり映えのしない屋上からの眺めに文句を零す燈に、ストールさえ手放してくれたら、冬の屋上に付き合わせることもないんだけどな〜と思いつつ、(コイツ、体温高いんだよな)とストールよりも防寒具として優秀な護衛の腕の中に大人しく収まっている委員長は、「物事を俯瞰して考えるのに向いてるんだよ」と返す。
「へぇ?じゃあ、今は何を考えてんの?」
「お前用にもう一枚、これ(ストール)、買った方がいっかな〜?とか?」
「一枚あれば十分だろ」
「忘れてるかもしれんけど、それ、俺のだからね?お前のじゃないからね?」
コイツにクレカなんて渡した日には、どんな散財をされるか分かったもんじゃないので、「あ〜、もぅ」と一緒にレジまでついていく委員長。
かくしてストールを手に入れたわけですが、委員長よりも燈の方が昼寝(委員長の執務室のソファが定位置)によく使っており、委員長が屋上で休憩しようと思ったときも大抵燈が持っている。「返しんしゃい」とストールを取り上げようとするものの、燈も抵抗するため、結局ストールを羽織った燈が委員長を後ろから
コイツにクレカなんて渡した日には、どんな散財をされるか分かったもんじゃないので、「あ〜、もぅ」と一緒にレジまでついていく委員長。
かくしてストールを手に入れたわけですが、委員長よりも燈の方が昼寝(委員長の執務室のソファが定位置)によく使っており、委員長が屋上で休憩しようと思ったときも大抵燈が持っている。「返しんしゃい」とストールを取り上げようとするものの、燈も抵抗するため、結局ストールを羽織った燈が委員長を後ろから
「これの暖色はないの?」と色違いを探そうする委員長を、燈は「温かそうな色がいいんだろ?」と制してくる。
「なら、それ以上の色はねぇよ」
「絶対他にあるでしょ」
「蒼い炎が寒さと対極の位置にあるっていうのは、委員長サマなら身を持って知ってるはずだが?」
「……お前のおかげでね」
温かいを通り越して焼け死ぬところだった熾烈で苛烈な蒼を思い出してから改めてストールに視線を戻すと、不思議なことに第一印象に抱いた涼やかなイメージは消えていた。
「決まりだな」と委員長の手からヒョイと
「これの暖色はないの?」と色違いを探そうする委員長を、燈は「温かそうな色がいいんだろ?」と制してくる。
「なら、それ以上の色はねぇよ」
「絶対他にあるでしょ」
「蒼い炎が寒さと対極の位置にあるっていうのは、委員長サマなら身を持って知ってるはずだが?」
「……お前のおかげでね」
温かいを通り越して焼け死ぬところだった熾烈で苛烈な蒼を思い出してから改めてストールに視線を戻すと、不思議なことに第一印象に抱いた涼やかなイメージは消えていた。
「決まりだな」と委員長の手からヒョイと
まぁ、金ならあるし、温かいのに越したことはないか、と思い直して「どうせなら、温かそうな色がいいな~」と暖色系のストールを物色していく。とはいえ、赤のストールを羽織っているところを、tkymくんやダークシャドウに見られると、泣かせてしまいそうな気がして、(黄色、はヒヨコみたいになるか。となると、オレンジかブラウン?)と考えていると、名前を呼ばれ、振り向いた拍子に肩にフワリとストールを掛けられる。
「え、ぬくか~」と思わず感動しながら、値札のゼロの数を見て、(……なるほどね)とひっそり納得した後、「それで、他の色は?」と尋ねる。
まぁ、金ならあるし、温かいのに越したことはないか、と思い直して「どうせなら、温かそうな色がいいな~」と暖色系のストールを物色していく。とはいえ、赤のストールを羽織っているところを、tkymくんやダークシャドウに見られると、泣かせてしまいそうな気がして、(黄色、はヒヨコみたいになるか。となると、オレンジかブラウン?)と考えていると、名前を呼ばれ、振り向いた拍子に肩にフワリとストールを掛けられる。
「え、ぬくか~」と思わず感動しながら、値札のゼロの数を見て、(……なるほどね)とひっそり納得した後、「それで、他の色は?」と尋ねる。
「委員長ともあろうお方が、ケチ臭ぇこと言うなよ」
「あと、軽くでいいから変装はしてよ」
「今から染めるのは面倒臭ぇ……。髪に墨汁ぶっかけといたらいい?」
「色んな意味で止めろ」
仕事はサクッと終わらせて、どこで買おうかな~とウィンドウショッピングしながら決めるつもりだった委員長、燈が迷いのない足取りで歩いていくので、「お前さ、一応俺の護衛だって自覚ある?護衛対象を置いていこうとするな」と文句を垂れつつ、後を追いかける。
言うて、自分の個性ほど軽くて薄くて温かいストールなんてないだろうと思っていた委員長は、駅前の百貨店の売り場に到着して、(コイツ、本気で自分の
「委員長ともあろうお方が、ケチ臭ぇこと言うなよ」
「あと、軽くでいいから変装はしてよ」
「今から染めるのは面倒臭ぇ……。髪に墨汁ぶっかけといたらいい?」
「色んな意味で止めろ」
仕事はサクッと終わらせて、どこで買おうかな~とウィンドウショッピングしながら決めるつもりだった委員長、燈が迷いのない足取りで歩いていくので、「お前さ、一応俺の護衛だって自覚ある?護衛対象を置いていこうとするな」と文句を垂れつつ、後を追いかける。
言うて、自分の個性ほど軽くて薄くて温かいストールなんてないだろうと思っていた委員長は、駅前の百貨店の売り場に到着して、(コイツ、本気で自分の
ついてきたところで、面白いものでもあるまい、と燈を置いていこうとしたら、「ヤダ」「俺も行く」の一点張りで、何なら「俺を連れて行かねぇなら、ハメ撮りしたデータ、めらさんに送る」とまで脅してくるので、「いつ撮った!?っていうか、そんなの送られてもめらさんも困るだけだから!」と仕方なく同行させることに。
「何でそんなについてきたがるわけ……?」
「俺が使うモン買うんだから、俺の意見は必要だろ」
「あくまで貸してあげてもいいってだけで、
ついてきたところで、面白いものでもあるまい、と燈を置いていこうとしたら、「ヤダ」「俺も行く」の一点張りで、何なら「俺を連れて行かねぇなら、ハメ撮りしたデータ、めらさんに送る」とまで脅してくるので、「いつ撮った!?っていうか、そんなの送られてもめらさんも困るだけだから!」と仕方なく同行させることに。
「何でそんなについてきたがるわけ……?」
「俺が使うモン買うんだから、俺の意見は必要だろ」
「あくまで貸してあげてもいいってだけで、
以前、待てとお留守番をさせて、ホ♀一人で居酒屋に行ってきたことをまだ根に持っているらしく(医者から禁酒を言い渡されている燈の前でお酒を呑むのは流石に酷かなという配慮のつもりだった)、疑い深い眼差しの燈に、「ストールがほしいの」と事情を打ち明ける。
「失って初めて知ったんだけど、俺の羽、本っっ当、優秀な防寒具でね。それはもう温かかったんだよ」とちょっと大袈裟に嘆いてみると、てっきり「あ〜、はいはい」と流されると思っていたのに、眉毛を寄せて何やら気難しい顔をするので、予想と違う反応に「……ん?」と引っかかる。
「それで、羽の代わりとして、ストールがほしいって?」
以前、待てとお留守番をさせて、ホ♀一人で居酒屋に行ってきたことをまだ根に持っているらしく(医者から禁酒を言い渡されている燈の前でお酒を呑むのは流石に酷かなという配慮のつもりだった)、疑い深い眼差しの燈に、「ストールがほしいの」と事情を打ち明ける。
「失って初めて知ったんだけど、俺の羽、本っっ当、優秀な防寒具でね。それはもう温かかったんだよ」とちょっと大袈裟に嘆いてみると、てっきり「あ〜、はいはい」と流されると思っていたのに、眉毛を寄せて何やら気難しい顔をするので、予想と違う反応に「……ん?」と引っかかる。
「それで、羽の代わりとして、ストールがほしいって?」