(Xの公式だったら言わなそうな政治的な発言がみられたので、、
(Xの公式だったら言わなそうな政治的な発言がみられたので、、
保健室のベッドに、それぞれ赤い顔をして横たわる二人の姿があった。
「いろいろ検査してもらったけど、とりあえずふたりとも、ただの風邪ってことで」
「良かったです……週末は練習の予定だけでしたし、お二人共、ゆっくり休んでくださいね?」
衣舞紀と咲姫は、生徒会の残った業務をするため、差し入れをおいて早々にいなくなった。
ふたたび二人きりになった白い部屋。
ほとんど同時に口を開いた。
「風邪だったとはね」
「なんか調子出ないって、思ってたんだよね」
目を見開き、互いの顔を見て、ふふっと笑いがこぼれた。
「――――」
保健室のベッドに、それぞれ赤い顔をして横たわる二人の姿があった。
「いろいろ検査してもらったけど、とりあえずふたりとも、ただの風邪ってことで」
「良かったです……週末は練習の予定だけでしたし、お二人共、ゆっくり休んでくださいね?」
衣舞紀と咲姫は、生徒会の残った業務をするため、差し入れをおいて早々にいなくなった。
ふたたび二人きりになった白い部屋。
ほとんど同時に口を開いた。
「風邪だったとはね」
「なんか調子出ないって、思ってたんだよね」
目を見開き、互いの顔を見て、ふふっと笑いがこぼれた。
「――――」
しゃがんで拾おうとした乙和が、顔をしかめる。
「っ、痛っ」
コピー用紙が乙和の指をかすめた表紙に表皮を薄く割いたのだった。とっさに親指を口元に運ぶ。
「大丈夫?!」
あわてた表紙に、ノアの足元がぐらりと揺らぐ。
「……っつ!」
放課後。
「乙和、ノア、入るわよ」
「お具合、いかがですか?」
しゃがんで拾おうとした乙和が、顔をしかめる。
「っ、痛っ」
コピー用紙が乙和の指をかすめた表紙に表皮を薄く割いたのだった。とっさに親指を口元に運ぶ。
「大丈夫?!」
あわてた表紙に、ノアの足元がぐらりと揺らぐ。
「……っつ!」
放課後。
「乙和、ノア、入るわよ」
「お具合、いかがですか?」
どうしたのノアらしくないじゃーん。いつもだったらそんなふうに場を収めようとしただろう。
しかし二人とも、ともにだまりこくったまま、黙々と作業を続けた。時々、必要最低限の会話だけをして。
平常時なら、このくらいの沈黙には慣れている。それぐらいの気心は知れている、と思う。でも、互いを気遣う言動が、いまはなんとなく、しづらい。重だるい空気が、二人だけの空間によどんで溜まっていく。
((どうしてこうなっちゃったんだろう))
と、一瞬気がゆるんだ瞬間に、ノアの手から書類がすべり落ちた。
どうしたのノアらしくないじゃーん。いつもだったらそんなふうに場を収めようとしただろう。
しかし二人とも、ともにだまりこくったまま、黙々と作業を続けた。時々、必要最低限の会話だけをして。
平常時なら、このくらいの沈黙には慣れている。それぐらいの気心は知れている、と思う。でも、互いを気遣う言動が、いまはなんとなく、しづらい。重だるい空気が、二人だけの空間によどんで溜まっていく。
((どうしてこうなっちゃったんだろう))
と、一瞬気がゆるんだ瞬間に、ノアの手から書類がすべり落ちた。
いつもどおり、いや、いつもに増してクールに見えるノアに、乙和はつい嫌味を言いたくなってしまった。
「別にそんなつもりで言ったんじゃ…」
乙和は適当にあしらわれるだろうと見越していた。実際普段のノアなら、この程度の乙和のセリフなどものともしない。ただ、なんとなく、今日はそういう気分になれなかった。自分の口から出た言葉の、あまりの弱々しさに、ノアは自分でも驚いたほどだった。
「………」
「………」
いつもどおり、いや、いつもに増してクールに見えるノアに、乙和はつい嫌味を言いたくなってしまった。
「別にそんなつもりで言ったんじゃ…」
乙和は適当にあしらわれるだろうと見越していた。実際普段のノアなら、この程度の乙和のセリフなどものともしない。ただ、なんとなく、今日はそういう気分になれなかった。自分の口から出た言葉の、あまりの弱々しさに、ノアは自分でも驚いたほどだった。
「………」
「………」
「さむっ」
朝、いつになくキマったと思っていた髪まで容赦なく乱された。無作法な風に、思わず眉をひそめて空を仰ぐ。
「おはようございますー」
「あら乙和。今日はやけに早いのね」
生徒会室に顔を出すと、ノアが既に来て作業を始めていた。次に実施する生徒会の施策の前段階として、アンケートを準備することになっていたのだ。
「さむっ」
朝、いつになくキマったと思っていた髪まで容赦なく乱された。無作法な風に、思わず眉をひそめて空を仰ぐ。
「おはようございますー」
「あら乙和。今日はやけに早いのね」
生徒会室に顔を出すと、ノアが既に来て作業を始めていた。次に実施する生徒会の施策の前段階として、アンケートを準備することになっていたのだ。