ふん……こうしていても何も始まらない。とにかく集会用の衣装に着替えておかねば。ご飯も食べないと。
震える手で枕元の腕時計を取って、クローゼットという名の服の山へ。いちばん綺麗で、マシな服を着る。脱いだ服は適当に投げ捨ててしまった。
髪は適当にクシで解いて、お化粧はまだ早いって怒られたばかりなので、やめておく。
「集会まではまだ時間がある……先に食堂へ行こう。」
私は乱雑に廊下へ続くドアを開けた。

否、人間側では我ら人外が“先に”攻撃したとなっているみたいだが。
朝から苛立ちが積もる。同時に昔の記憶まで蘇ってくる。私が……いや私たちの家族が人間に下僕として扱われていたこと。そして、玩具のように扱われていたことを。ああ、なんて胸糞悪いんだろう。記憶が嫌になり、意味もなく目を閉じる。
しかし浮かんできたのは、父と母が殺された瞬間だった。
反射的に目を開ける。雨に降られたように最悪だった。いつも間にか私は下を向いていたらしい。そのまま寝床に目をやる。父の遺品である枕元の腕時計は午前7時を指すところだった。