今年もよろしくお願いいたします。
大晦日に救急搬送されるという貴重な経験をしたので、しばらくネタに出来そうです。
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#2024年映画ベスト10
❶ラストマイル
❷ミッシング
❸ドマーニ! 愛のことづて
❹ツイスターズ
❺オッペンハイマー
❻ゼンブ・オブ・トーキョー
❼陪審員2番
❽哀れなるものたち
❾チャレンジャーズ
➓ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
新作96本鑑賞
#2024年映画ベスト10
❶ラストマイル
❷ミッシング
❸ドマーニ! 愛のことづて
❹ツイスターズ
❺オッペンハイマー
❻ゼンブ・オブ・トーキョー
❼陪審員2番
❽哀れなるものたち
❾チャレンジャーズ
➓ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
新作96本鑑賞
「Ivory」はTwitterで言うとTweetbotを作っていたクライアントと同じなので、使用感もかなり似ている。絶対時刻表示やスワイプ操作でのいいね、下書き機能やその他詳細な設定が可能で、何よりTLを時系列通りに追うことが出来るのが最大のメリット。ただし、日本語での説明はなし。
「Ivory」はTwitterで言うとTweetbotを作っていたクライアントと同じなので、使用感もかなり似ている。絶対時刻表示やスワイプ操作でのいいね、下書き機能やその他詳細な設定が可能で、何よりTLを時系列通りに追うことが出来るのが最大のメリット。ただし、日本語での説明はなし。
Amazon Prime Videoで配信された連続ドラマではダイジェスト的に扱われていた原作1巻の内容が丁寧に扱われている。これをドラマの焼き直しと取るか、或いは敢えてスクリーンで表現したことに意義を見出すかでまずは評価が変わるだろう。
しかし、いずれにしろこれによるデメリットは発生していて、原作1巻の内容に時間を割いたために後半は非常に駆け足の展開になってしまった。もちろん、原作でも終盤の展開は駆け足感が強いのだが、原作未読層からは一定の不満が出ることは容易に想像できる。
とは言え、漫画原作の実写化としては間違いなく成功した部類に入る。
Amazon Prime Videoで配信された連続ドラマではダイジェスト的に扱われていた原作1巻の内容が丁寧に扱われている。これをドラマの焼き直しと取るか、或いは敢えてスクリーンで表現したことに意義を見出すかでまずは評価が変わるだろう。
しかし、いずれにしろこれによるデメリットは発生していて、原作1巻の内容に時間を割いたために後半は非常に駆け足の展開になってしまった。もちろん、原作でも終盤の展開は駆け足感が強いのだが、原作未読層からは一定の不満が出ることは容易に想像できる。
とは言え、漫画原作の実写化としては間違いなく成功した部類に入る。
Netflixオリジナル。
無能ではないが上昇志向もない空港保安官が恋人の妊娠をきっかけに一念発起して、普段の業務とは異なるX線検査の担当に。それが地獄の始まりだった…。
やはり絶体絶命の窮地に追い込まれた人間を描かせたらジャウム・コレット=セラは抜群に上手い。先の読めないサスペンスフルな展開と、カメラワークが楽しい車中アクションやスピード感溢れるベルトコンベアアクションなど見所も満載。
常時行動を監視されて、やることなすこと全てが裏目に出るアンラッキーな主人公を熱演したタロン・エジャトンも素晴らしかった。
強いて苦言を呈すならば少々ユーモア不足だろうか。
Netflixオリジナル。
無能ではないが上昇志向もない空港保安官が恋人の妊娠をきっかけに一念発起して、普段の業務とは異なるX線検査の担当に。それが地獄の始まりだった…。
やはり絶体絶命の窮地に追い込まれた人間を描かせたらジャウム・コレット=セラは抜群に上手い。先の読めないサスペンスフルな展開と、カメラワークが楽しい車中アクションやスピード感溢れるベルトコンベアアクションなど見所も満載。
常時行動を監視されて、やることなすこと全てが裏目に出るアンラッキーな主人公を熱演したタロン・エジャトンも素晴らしかった。
強いて苦言を呈すならば少々ユーモア不足だろうか。
素晴らしかった!
冒頭から説明なしに観客を映画の世界観へ引きずり込む演出と脚本のスムーズさに惚れ惚れ。しかもこの冒頭がラストへの反復と反転も兼ねているのだから本当に恐れ入る。
劇中で印象的に使われるアイテムとして自転車がある。自転車は一度乗れるようになると二度と乗り方を忘れることはないが、動物へと変化していく過程で息子は自転車に乗れなくなっていく。当たり前の日常が消え去っていく恐怖を上手く表現している。一方で、動物へと変化していく中で出来るようになっていくこともある。この対比が抜群。
映像表現としても素晴らしく(特に終盤の逃亡劇!)、今年必見の1本なのは間違いない。大傑作!
素晴らしかった!
冒頭から説明なしに観客を映画の世界観へ引きずり込む演出と脚本のスムーズさに惚れ惚れ。しかもこの冒頭がラストへの反復と反転も兼ねているのだから本当に恐れ入る。
劇中で印象的に使われるアイテムとして自転車がある。自転車は一度乗れるようになると二度と乗り方を忘れることはないが、動物へと変化していく過程で息子は自転車に乗れなくなっていく。当たり前の日常が消え去っていく恐怖を上手く表現している。一方で、動物へと変化していく中で出来るようになっていくこともある。この対比が抜群。
映像表現としても素晴らしく(特に終盤の逃亡劇!)、今年必見の1本なのは間違いない。大傑作!
「ワンダー 君は太陽」の続編。続編と言っても前作の主人公は登場しないし(写真のみ)、作風から何から全てが別物のため、スピンオフという表現の方が適切だろう。
前作で主人公を迫害して退学処分を受けたジュリアンの祖母にはホロコーストを生き延びた過去があったというのが物語の導入。そして物語はナチス占領下のフランスへと舞台を移していく。
正直なところ展開に目新しさはなく、演出も前作と比較すると随分と平凡な印象ではある。祖母の生存が確定しているためにスリルもない。差別や偏見は誰の心にも潜んでいるというメッセージ性だけは評価するが、特筆すべきものはなかった。
「ワンダー 君は太陽」の続編。続編と言っても前作の主人公は登場しないし(写真のみ)、作風から何から全てが別物のため、スピンオフという表現の方が適切だろう。
前作で主人公を迫害して退学処分を受けたジュリアンの祖母にはホロコーストを生き延びた過去があったというのが物語の導入。そして物語はナチス占領下のフランスへと舞台を移していく。
正直なところ展開に目新しさはなく、演出も前作と比較すると随分と平凡な印象ではある。祖母の生存が確定しているためにスリルもない。差別や偏見は誰の心にも潜んでいるというメッセージ性だけは評価するが、特筆すべきものはなかった。
果たして主人公は本当に殺人を犯したのか?というサスペンス的な作劇を予想していたが、それは主題ではなく、人間の善良や誠実さを真摯に描いた作品だった。
もちろんそうしたテーマで語ること自体は構わないのだが、「やっぱり犯人なのでは…」という疑いの眼差しであるとか、「真犯人はコイツだったのか!」的なサプライズが一切ないので、正直言って非常に平板な物語である…。
逃亡先で出会った人々とのエピソードもダイジェスト的で、「あなたたち本当に主人公から影響受けました…?」と思ってしまうぐらい関係性が浅い。ここが微妙なためにラスト数分の展開が活きてこない。実に勿体無い。決して悪い作品ではないが…。
果たして主人公は本当に殺人を犯したのか?というサスペンス的な作劇を予想していたが、それは主題ではなく、人間の善良や誠実さを真摯に描いた作品だった。
もちろんそうしたテーマで語ること自体は構わないのだが、「やっぱり犯人なのでは…」という疑いの眼差しであるとか、「真犯人はコイツだったのか!」的なサプライズが一切ないので、正直言って非常に平板な物語である…。
逃亡先で出会った人々とのエピソードもダイジェスト的で、「あなたたち本当に主人公から影響受けました…?」と思ってしまうぐらい関係性が浅い。ここが微妙なためにラスト数分の展開が活きてこない。実に勿体無い。決して悪い作品ではないが…。
先の読めない二転三転するストーリーがまず抜群に面白い。加えて、オードリー・ヘプバーンとケイリー・グラントの関係性が嘘を軸にクルクルと変化していく展開が出色。人が他者に対して抱く印象が如何に情報によって操作されているかがよく分かる。
ミステリー、コメディ、ロマンス、アクションと幾つものジャンルを全く違和感なく横断していく脚本も本当に素晴らしく、中でも印象的なのはロマンスのパートだろうか。ひたすらに可愛いオードリーと、これまた可愛いグラントのイチャイチャっぷりに何度も悶えてしまった。
音楽や衣装も非常に印象的で、作品全体のレベルが総じて高かった。文句なしの超絶大傑作!
先の読めない二転三転するストーリーがまず抜群に面白い。加えて、オードリー・ヘプバーンとケイリー・グラントの関係性が嘘を軸にクルクルと変化していく展開が出色。人が他者に対して抱く印象が如何に情報によって操作されているかがよく分かる。
ミステリー、コメディ、ロマンス、アクションと幾つものジャンルを全く違和感なく横断していく脚本も本当に素晴らしく、中でも印象的なのはロマンスのパートだろうか。ひたすらに可愛いオードリーと、これまた可愛いグラントのイチャイチャっぷりに何度も悶えてしまった。
音楽や衣装も非常に印象的で、作品全体のレベルが総じて高かった。文句なしの超絶大傑作!
物語開始時点ですでに事件が起きていて、刑事の視点で詳細が明らかになっていくタイプのミステリー劇。
容疑者の口から語られる殺害された女性の人物像は性に奔放な女性。この点においていわゆる女性の落ち度を観客に刷り込ませる一方で、最終的に女性が持つべき主体性の話に帰結していく構成はとても第二次大戦中に制作されたとは思えない次元である…。
また、起承転結のお手本のような作品でもあり、特に転における出来事は全くのサプライズだった。さらに終盤、それまで途切れることなく流れていたメロディアスな曲が止まり、一気に緊張感極まる演出へと変化したシーンは実に素晴らしかった。撮影も抜群だった。
物語開始時点ですでに事件が起きていて、刑事の視点で詳細が明らかになっていくタイプのミステリー劇。
容疑者の口から語られる殺害された女性の人物像は性に奔放な女性。この点においていわゆる女性の落ち度を観客に刷り込ませる一方で、最終的に女性が持つべき主体性の話に帰結していく構成はとても第二次大戦中に制作されたとは思えない次元である…。
また、起承転結のお手本のような作品でもあり、特に転における出来事は全くのサプライズだった。さらに終盤、それまで途切れることなく流れていたメロディアスな曲が止まり、一気に緊張感極まる演出へと変化したシーンは実に素晴らしかった。撮影も抜群だった。
全く期待していなかったが、思っていた以上に楽しめた。予告を観た限りでは、後半はハッタリを利かせまくったせいで物語が破綻しているに違いないと踏んでいたが、実に真摯に作品のテーマと向き合っていて、非常に好感が持てた。
前半は就活の喜怒哀楽を強調した青春+泥沼劇で進行し、転調を挟んで、後半は就活の場をソーシャルメディアに見立てた推理劇へと変化していく。
設定は多くの面で破綻していて、推理劇としてもそれほど興奮を得られるようなものではない。とは言え、ソーシャルメディアとキャンセルカルチャーの現在地を的確に捉えたメッセージ性には強く感銘を受けた。
年末のダークホースだ。
全く期待していなかったが、思っていた以上に楽しめた。予告を観た限りでは、後半はハッタリを利かせまくったせいで物語が破綻しているに違いないと踏んでいたが、実に真摯に作品のテーマと向き合っていて、非常に好感が持てた。
前半は就活の喜怒哀楽を強調した青春+泥沼劇で進行し、転調を挟んで、後半は就活の場をソーシャルメディアに見立てた推理劇へと変化していく。
設定は多くの面で破綻していて、推理劇としてもそれほど興奮を得られるようなものではない。とは言え、ソーシャルメディアとキャンセルカルチャーの現在地を的確に捉えたメッセージ性には強く感銘を受けた。
年末のダークホースだ。
田舎町で起きた殺人事件を捜査する黒人刑事の視点を通して、人種差別の現実、そして白人と黒人の二項対立という単純な図式を超えた多層な社会構造が顕在化する。
物語が進むにつれて、主人公に対して非常に差別的な言動を浴びせていた署長の印象が変わっていくのだが、人間の多面性を強く感じさせる描写だった。
映像表現として白眉だったのは綿花畑の中をパトカーが走り抜けるシーン。主人公が白人署長の送迎で綿花を摘む黒人たちの中を通り抜けるこのシーンには、人種差別撤廃への道のりの険しさがよく表れている。
それにしても「夜の熱気の中で」という原題を「夜の大捜査線」とするのは些か無理があるのでは。
田舎町で起きた殺人事件を捜査する黒人刑事の視点を通して、人種差別の現実、そして白人と黒人の二項対立という単純な図式を超えた多層な社会構造が顕在化する。
物語が進むにつれて、主人公に対して非常に差別的な言動を浴びせていた署長の印象が変わっていくのだが、人間の多面性を強く感じさせる描写だった。
映像表現として白眉だったのは綿花畑の中をパトカーが走り抜けるシーン。主人公が白人署長の送迎で綿花を摘む黒人たちの中を通り抜けるこのシーンには、人種差別撤廃への道のりの険しさがよく表れている。
それにしても「夜の熱気の中で」という原題を「夜の大捜査線」とするのは些か無理があるのでは。
主人公は恋人と破局、ゴーストバスターズの名誉も失われた状態から物語が始まり、それらが修復されていく過程が描かれるが、はっきり言ってかなり雑だ。主人公はあっさり恋人と復縁し、ゴーストバスターズは気付けば市民から声援を受けている。もう少し丁寧に描けばもっと感銘を受けるような深い物語になったのではないだろうか。これを描きたいという情熱が全くなく、1作目が大ヒットしたから作りました以外のなにものでもない。
ヴィランの存在感も非常に希薄だった。ほとんど絵画の中で睨みを利かせているだけのマスコットでしかなく、この側面から考えてもやはり情熱は感じられない。凡作だった。
主人公は恋人と破局、ゴーストバスターズの名誉も失われた状態から物語が始まり、それらが修復されていく過程が描かれるが、はっきり言ってかなり雑だ。主人公はあっさり恋人と復縁し、ゴーストバスターズは気付けば市民から声援を受けている。もう少し丁寧に描けばもっと感銘を受けるような深い物語になったのではないだろうか。これを描きたいという情熱が全くなく、1作目が大ヒットしたから作りました以外のなにものでもない。
ヴィランの存在感も非常に希薄だった。ほとんど絵画の中で睨みを利かせているだけのマスコットでしかなく、この側面から考えてもやはり情熱は感じられない。凡作だった。
「アベンジャーズ」での大量虐殺直後から始まり、IWとEGの反復とも言える展開を経て辿り着いたラストに映るロキの姿はサノスと対峙した瞬間のトニー・スタークとも重なる。そういう意味では気まぐれで狡猾な悪戯王子が最高のヒーローになるまでの物語と言えるだろう。
とは言え、問題点の方が遥かに多い。シーズン1と同様にキャラクターが延々と立ち話をするだけのショットが多すぎる。この運動性のかけらもない映像に何度辟易したことか。また、1話から最終話までを通してワンシチュエーションに限定した展開に終始したのも良くなかった。
果たしてこのラストがどれだけ映画に影響を及ぼすのだろうか…。
「アベンジャーズ」での大量虐殺直後から始まり、IWとEGの反復とも言える展開を経て辿り着いたラストに映るロキの姿はサノスと対峙した瞬間のトニー・スタークとも重なる。そういう意味では気まぐれで狡猾な悪戯王子が最高のヒーローになるまでの物語と言えるだろう。
とは言え、問題点の方が遥かに多い。シーズン1と同様にキャラクターが延々と立ち話をするだけのショットが多すぎる。この運動性のかけらもない映像に何度辟易したことか。また、1話から最終話までを通してワンシチュエーションに限定した展開に終始したのも良くなかった。
果たしてこのラストがどれだけ映画に影響を及ぼすのだろうか…。
大枠で言えば1作目の反復ではあるが、作中と作外における追悼と継承が見事に混ざり合って物語に組み込まれている。素晴らしい脚本だ。家族の再生という土台もしっかりしている。
1、2作目では見られなかったメカやマシンのディテールへの拘りも確かに感じる。
新キャラにして主人公であるフィービーのキャラクター造形が実に良い。演じたマッケンナ・グレイスの演技も冴え渡っていた。
公開当時のトレンドであったノスタルジー&サプライズによる言わば反則とも呼べる演出は本作においても健在だが、ただ登場して終わりという空虚な存在として描かれていないことには好感が持てた。
傑作‼︎
大枠で言えば1作目の反復ではあるが、作中と作外における追悼と継承が見事に混ざり合って物語に組み込まれている。素晴らしい脚本だ。家族の再生という土台もしっかりしている。
1、2作目では見られなかったメカやマシンのディテールへの拘りも確かに感じる。
新キャラにして主人公であるフィービーのキャラクター造形が実に良い。演じたマッケンナ・グレイスの演技も冴え渡っていた。
公開当時のトレンドであったノスタルジー&サプライズによる言わば反則とも呼べる演出は本作においても健在だが、ただ登場して終わりという空虚な存在として描かれていないことには好感が持てた。
傑作‼︎
主人公は軽薄自己中の破滅型人間で、実生活では絶対に関わり合いたくないものだが、そんな彼もまたこの世界で懸命に生きているのだと実感させる物語の強度が凄まじい。日々の生活では決して触れ合うことがないであろう人間と接続出来るのは映画の醍醐味と言える。
フィルム撮影によるザラついた質感と多彩なカメラワークが生む映像も素晴らしい。手持ちカメラによるブレは彼らの生活の不安定さの暗喩だろうか。
主人公を演じたサイモン・レックスの演技は特筆すべきものだ。演じていると言うより本当にこういう人間が存在していて、それをドキュメンタリーとして撮影しているかのようなリアリティがある。大傑作!
主人公は軽薄自己中の破滅型人間で、実生活では絶対に関わり合いたくないものだが、そんな彼もまたこの世界で懸命に生きているのだと実感させる物語の強度が凄まじい。日々の生活では決して触れ合うことがないであろう人間と接続出来るのは映画の醍醐味と言える。
フィルム撮影によるザラついた質感と多彩なカメラワークが生む映像も素晴らしい。手持ちカメラによるブレは彼らの生活の不安定さの暗喩だろうか。
主人公を演じたサイモン・レックスの演技は特筆すべきものだ。演じていると言うより本当にこういう人間が存在していて、それをドキュメンタリーとして撮影しているかのようなリアリティがある。大傑作!
不貞を働いた妻を殺害して資産を手に入れようと計画する主人公。ほぼ他人の同級生を半ば強引に仲間に引き入れ、いざ決行の日を迎えるが…。
妻の不倫相手である推理作家が「現実では完全犯罪なんてあり得ない」とご丁寧に前振りをしてくれるのだが、まさにその言葉通り完璧に思えた計画はあれよあれよと狂っていく。先の読めないこの冒頭がとにかく面白い。事件が起きて以降はやや失速した感も否めないが、終盤の推理パートがこれまた面白い。
お手本のようなサスペンスフルな展開、人間の滑稽さから生まれる笑い。サスペンスの巨匠たるヒッチコックの緊張と緩和を用いた妙技を随所で堪能出来る傑作だった。
不貞を働いた妻を殺害して資産を手に入れようと計画する主人公。ほぼ他人の同級生を半ば強引に仲間に引き入れ、いざ決行の日を迎えるが…。
妻の不倫相手である推理作家が「現実では完全犯罪なんてあり得ない」とご丁寧に前振りをしてくれるのだが、まさにその言葉通り完璧に思えた計画はあれよあれよと狂っていく。先の読めないこの冒頭がとにかく面白い。事件が起きて以降はやや失速した感も否めないが、終盤の推理パートがこれまた面白い。
お手本のようなサスペンスフルな展開、人間の滑稽さから生まれる笑い。サスペンスの巨匠たるヒッチコックの緊張と緩和を用いた妙技を随所で堪能出来る傑作だった。
その土地に暮らす人々が戦いを放棄し、正義感或いは義務感に駆られた主人公が最後の最後まで孤立無援で無法者に挑むという構図が非常に斬新だった。SNSの普及で人々の無責任な声が可視化され、それによってヒーローが消耗していく現代だからこそより響くメッセージのように思える。
無法者が街にやってくる正午に向けてリアルタイム進行していく物語は非常にスリリングで、誰も加勢してくれず途方に暮れる主人公の苦悩も合わさり、緊迫感のある映像が生まれている。
ゲイリー・クーパーは正義感の塊のような主人公を演じるのに相応しく、次第に恐怖心に苛まれていく主人公の心情を上手く表現していた。
その土地に暮らす人々が戦いを放棄し、正義感或いは義務感に駆られた主人公が最後の最後まで孤立無援で無法者に挑むという構図が非常に斬新だった。SNSの普及で人々の無責任な声が可視化され、それによってヒーローが消耗していく現代だからこそより響くメッセージのように思える。
無法者が街にやってくる正午に向けてリアルタイム進行していく物語は非常にスリリングで、誰も加勢してくれず途方に暮れる主人公の苦悩も合わさり、緊迫感のある映像が生まれている。
ゲイリー・クーパーは正義感の塊のような主人公を演じるのに相応しく、次第に恐怖心に苛まれていく主人公の心情を上手く表現していた。
近年評価される「黒人の物語」は白人が望む黒人の具現化なのでは?という辛辣なメッセージが目を引くが、劇中で多くの時間を割いて描かれるのは、誰しもに付き纏う愛であり呪いでもある家族との向き合い方である。
喪失や責任が突如降りかかって人生の岐路に立たされた中年男性を通じて、白人に消化されるためではない本質的な物語が浮かび上がる。
深刻な物語でありながらも語り口は終始軽やかで、コメディとして抜群に面白いのが魅力の一つ。卓越した脚本にモダンな撮影と洗練された演出が花を添える。
何より主演のジェフリー・ライトの演技が素晴らしい。キャリアのハイライトの一つになるはずだ。
近年評価される「黒人の物語」は白人が望む黒人の具現化なのでは?という辛辣なメッセージが目を引くが、劇中で多くの時間を割いて描かれるのは、誰しもに付き纏う愛であり呪いでもある家族との向き合い方である。
喪失や責任が突如降りかかって人生の岐路に立たされた中年男性を通じて、白人に消化されるためではない本質的な物語が浮かび上がる。
深刻な物語でありながらも語り口は終始軽やかで、コメディとして抜群に面白いのが魅力の一つ。卓越した脚本にモダンな撮影と洗練された演出が花を添える。
何より主演のジェフリー・ライトの演技が素晴らしい。キャリアのハイライトの一つになるはずだ。
序章も序章といった物語ではあるが、主人公の変化と成長をしっかりと描けている点は好印象。母子の物語であり、擬似家族の物語でもあり、いずれにしろ女性同士の連帯を強く意識させる作劇だった。
また、スーパーパワーを持つヴィラン相手に不完全な予知能力だけを持つ主人公とただの一般人である仲間たちが立ち向かうという構図も新鮮。
背景が一切語られずまるで魅力のないヴィラン、退屈なショットの数々など決して不満がないわけではない。本来であれば最も目立つべき女性キャラクター3人がわがままな子供としか映っていない点も非常に遺憾。
それでもヒーローオリジンとしては総じて満足な出来だった。
序章も序章といった物語ではあるが、主人公の変化と成長をしっかりと描けている点は好印象。母子の物語であり、擬似家族の物語でもあり、いずれにしろ女性同士の連帯を強く意識させる作劇だった。
また、スーパーパワーを持つヴィラン相手に不完全な予知能力だけを持つ主人公とただの一般人である仲間たちが立ち向かうという構図も新鮮。
背景が一切語られずまるで魅力のないヴィラン、退屈なショットの数々など決して不満がないわけではない。本来であれば最も目立つべき女性キャラクター3人がわがままな子供としか映っていない点も非常に遺憾。
それでもヒーローオリジンとしては総じて満足な出来だった。