泥舟ぽっぽ
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泥舟ぽっぽ
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２０歳以上 文章を書く人。
ペル⚪︎ナ/gnsnなど　NLBLGL夢雑食。
ぽっぽはハッピーエンドへ向かう少年少女を応援します。成人向けも取り扱いますので、ご注意ください。
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October 13, 2025 at 6:53 AM
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成し遂げた（犠牲あり）
September 16, 2025 at 11:25 AM
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@miseu0118haruna.bsky.social
もういっちょー
July 20, 2025 at 6:17 AM
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@miseu0118haruna.bsky.social
みせうさ～～～～～んお久しぶりですせっせこ作ってました第二弾
July 20, 2025 at 6:16 AM
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カラフルパズルのきみ⑧　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　もしも、心の中の想いがパズルでできていたとして。 　そのパズルのピースを一つずつ集めて巡っていく。彼女の旅とは、そういうものだった。 　右も左も分からない世界に投げ出された少女にとって、パズルは道しるべだった。 　柔らかな想いをもった人々と過ごして友となる。完成したパズルに少女は『誠意』と名付け、心にしまった。 　ゆるぎない想いをもった人々と過ごして友となる。完成したパズルに少女は『覚悟』と名付け、心にしまった。 　輝く想いをもった人々と過ごして友となる。完成したパズルに少女は『情熱』と名付け、心にしまった。 　当然、アルハイゼンからもパズルをもらった。 『また君のことを見直したよ』 　しかし、彼女はもうずっと前からそのパズルの名前を知っていた。 『言葉の力を軽んじるな』 　それはとても珍しくて、とても喜ばしいことだと思い、大切に大切に、心の中にしまおうとした。 　自由な灰色、探求の緑、知識をくべて燃える赤。すべての彼の色が、彼の言葉が、パズルの材料になっていく。 『ああ、またな』 　青年が少女に与えるパズルのピースが増えるたび、パズルの名前は確かなものになっていく。 　そして、ついに。 「……　君を見ていると、黄金が高価な宝物だという理由が分かる」 　彼女なんかの細い両腕では抱えきれないほどになってしまうのだ。 　 　 　 　その日のアルハイゼンは実に幸運だった。 　業務は滞りなく定時きっかりに終わり、珍しく彼の背中を引き留める声もない。 素早く荷物を鞄につめこみ、大股歩きで教令院の門扉をくぐれば、夕焼けが大地を包んでいる。そろそろ雨季が近づくというのに、地平線には雲一つない。 　柔らかな吐息を漏らしながら（彼としてはここ最近で一番の寛大な微笑みであり、一般的な意味合いではわずかな微笑みであった）家路を急いでいると、これもまた幸運なことにささやかな懸念を思い出すことができた。 　今、彼の家には締め切り二日前のカーヴェがいる。 　先ほどまでとは打って変わってぴたりと足を止めたアルハイゼンは、きびすを返してプスパカフェへ向かうことにした。そして、六歩ほど足を進めたところで、アルハイゼンは一つのため息で『自宅占領事件』を不問とすることにした。 　今日のアルハイゼンは実に幸運だった。日暮れ時の街の活発な香りは嫌いではなかったし、その雰囲気を運ぶ風がこの時期にしては珍しく乾いていた。 　しかも、彼の行く先には、 「パイモンか？」 　締め切り前のヒステリックなルームメイトなんかよりもよほどアルハイゼンの気を引く再会が転がっていたのである。 「アルハイゼン！　えっと、三日ぶりくらいだな」 　小さな少女はがま口の財布を首にかけ、両手には大荷物（ほとんどは辺りの出店で手に入れた料理だった）を三つずつぶら下げて宙に浮いていた。いつもよりも高度がやや下がっている（そもそも彼女の飛行にそこまでの高度が出ていたことはない。アルハイゼンの知る限りでは）のは恐らくその小さな身に余る大荷物のせいではあるのだが、 「……　蛍は一緒じゃないのか」 　何よりも、こんなとき少々困った顔をしながらもパイモンの荷物の半分以上を持ってしまう少女の姿が見えなかった。
July 13, 2025 at 11:58 AM
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@miseu0118haruna.bsky.social 昨日の続きなんすわ～
June 3, 2025 at 3:05 PM
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@miseu0118haruna.bsky.social これで終わり＾＾
June 2, 2025 at 2:18 PM
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@miseu0118haruna.bsky.social つづき
June 2, 2025 at 2:17 PM
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@miseu0118haruna.bsky.social みせうさん用の世界観説明だよ＾＾分かりにくかったらごめんちょｖ
June 2, 2025 at 2:16 PM
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なんかいるし
May 13, 2025 at 12:58 PM
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ﾔﾒﾛ…これ以上私に燃料を与えないでぇ…
May 13, 2025 at 12:57 PM
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今日は勝ち
March 4, 2025 at 1:33 PM
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March 4, 2025 at 1:32 PM
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お誕生日おめでとうアルハイゼン。君がいなかったら私は原神を始めていなかったし、楽しんでいなかったし、こんなにさくさく探索が進むこともなかったでしょう。
アルハイゼンは蛍ちゃんの恋人だろうけど、私の相棒はアルハイゼンだよ。
✨アルハイゼン感謝祭✨
February 11, 2025 at 9:51 AM
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カラフルパズルの君⑦　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 たとしても、何ら不思議なことはない。彼の中で光っている学者の心は、第三の目のように常に辺りをうかがっている。素敵で奇妙なものなんて、アルハイゼンにかかればすぐに見つかって、暴かれてしまう。 　そのような青年が、この少女の庭に来てからずっと見つめ続けていた樹があった。 　図太くはあるが律儀でもある彼が、家主に断ることもせず、気がつけば誘われるように巨木の幹に触れていた。 　名はなんというのか。自らが所蔵した本のどこに載っていただろうか。 　てのひらで木肌の感触を確かめる前に思考し、そして、名を知らない樹の感触が伝わった瞬間、枝葉の隙間からのぞいていた黄色い花がにわかに光り出した。反射的に樹を見上げると、恐らく花弁であろう黄色のフリルの間から光の粉を落ちてくるのである。 　ちら、ちら、と。彼の頭のずっと上から。 　ちらり、ちらり、と。上から下へ、流れていく光。 　はらり、ちらり、と。流れるのは光のはずだというのに、まるで青年が上へ上 へと、登っていくような気分になる。 　未知の空間、謎の巨大ヤマガラ（仙人だとは蛍が事細かに説明した）、謎の技術、そして知らない樹。こんなところにアルハイゼン一人残していくなんて。 　青年の好奇心をくすぐるには、もう十分すぎたのである。 「……　気に入った？」 　手始めに木の皮の感触を確かめようとなでまわしていると、背中の方からこらえきれていない笑い声が漏れ聞こえてくる。 　アルハイゼンが振り返ると、先ほどのテーブルには多種多様な茶菓子が出そろっていた。そのほとんどが、きっとパイモンの腹の中へ案内されることだろう。 「すまない。家主の許可なく」 「気にしないで……　不思議な木だよね。私も気に入ってる」 　今度は蛍が注いだ紅茶の香りに誘われて、松の木の椅子に腰かける。 「何という木だ？　これまで読んだ植物図鑑では似たようなものさえ見たことがない」 　長い足を組んだ途端、学者の顔と少々の早口を引っさげてくるものだから笑っ てしまう蛍だった。カップから紅茶を漏らさないように運ぶのが大変で仕方がない。 　ややあって、何とか笑い終えた蛍が樹を見上げながら目を細めた。 「私も分からない。ただ、この木を譲ってもらったときには歌の木って言ってたような、夢の木とも聞いたような、詩の木とも伝わってたような気もする」 「譲ってもらった？　それはどこで」 　アルハイゼンがいぶかしげに片眉を上げれば、 「ううんと……　ないしょ」 　両眉を下げて、蛍は答える。 　アルハイゼンは半分ほど飲んだカップを置き、少女の目をのぞきこむ。 「ないしょ、か」 「うん、ないしょ」
January 26, 2025 at 1:58 PM
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カラフルパズルの君⑥　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 な幼い日に、夢の中で出会ったこともあったかもしれない。 　草原が、空が、花が、そして目の前の少女が、アルハイゼンの目に飛び込んできた何もかもがまぶしく見える。両目の奥までゆっくり流れ込んで、ほんの少しだけ、じゅん、としみるようなまぶしさだった。 　柄にもなく、ひどくゆっくりまばたきをして何も言えないままその場に立ち尽くしていたのだけれど、 「アルハイゼン、こっちだよ」 　蛍に手招きされてようやっと足の感覚を取り戻したアルハイゼンだった。 　蛍の行く先には家がある。彼女の持ち家はアルハイゼンのものよりずっと大きく、『邸宅』なんて呼ぶのが相応しいのかもしれない。空に向かうたくましい古樹の下に沿えるように立つログハウスは、スメールに自生する木々で作られているようだった。ガンダルヴァー村の建築物のような趣があり、簡素だが決して質素ではなく、スメールシティの理路整然とした建築にはない美しさが見て取れる。蛍が気に入って、彼女のこだわりがここを当初よりも過ごしやすいものにしていることも。 　邸宅のすぐそばには木製のテーブルと椅子があり、花々や木々を眺めながらくつろぐのにちょうど良さそうだった。ちゃっかり者のパイモンはいち早くそこに陣取っていたようだった。しかし、 「今日はおもてなしをするんだからパイモンも働くの！」 　腰に手をあてた蛍にしかられ、しぶしぶふわふわ飛んで邸宅の中へ入っていった。 「アルハイゼンは座っててね。お茶の準備をしてくるから」 　少女は『ここが一番眺めが良いから』と、椅子を引き、そこにアルハイゼンが収まったのを見届けると、満足げに彼の顔をのぞき込み、早足で邸宅へ引っ込んだ。 　少女が去っていった扉をしばらく見つめていたアルハイゼンだった。いつも布鞄に入れている本は、すでに読み終えていた。常日頃のアルハイゼンなら、そうであったとしても二度三度と、同じ本を読みなおすはずだった。 　どこまでも高く穏やかな空に、紙の上でしか見たことがない鳥と植物。 　アルハイゼンが本を取り出すこともせず、ふらりと誘われるように立ち上がっ たとしても、何ら不思議なことはない。
January 26, 2025 at 11:48 AM
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カラフルパズルの君⑤　ゼン蛍
変なところで区切れちゃったからどこかにまとめて上げなおす予定 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　地平線さえ定まらない砂漠の夜明け前。 　白み始めた空の下が黄金色に光るころ、旅人たちは歩き出し、 「ほ……　本当に、終わっちゃった」 　それからほんの少ししか太陽が動いていないことをスメールシティで知る。 　営業準備中のランバド酒場からは香辛料の甘辛い香り。坂の下からは朝日に照らされた魚や果物、織物たちの輝き。そして、目の前には冒険者協会のキャサリンがにこやかに微笑んだ。完璧なスメールシティの朝が、今まさに始まろうとしている。 　呆然とつぶやく蛍の隣で、アルハイゼンが大きなため息をつきながらブーツをひっくり返し、靴底の砂を野に返していた。 　成果は上々。重たくなった革袋の中をのぞき込んだ蛍が、思わず感嘆の呟きを漏らすほどである。 　形こそ花のつぼみに似ている。しかし、石のような灰色であることと、互いがこすれあうときの乾いた音が砂脂蛹を爬虫類の卵殻であることを物語っていた。 ゼンだってきっと喜んでくれるぞ」 「パイモンはただお菓子を食べたいだけでしょ！」 　得意げに飛び回るパイモンとそれを追いかける蛍を眺めるアルハイゼンは、 「なるほど、二対一ということか」 　と、腕を組みながらつぶやいた。 　口元に手をあてた真面目な顔のアルハイゼンと、もう遅いと肩をすくめるパイモン。イヤイヤ、と頭を振るように二人を見比べていた蛍はややあって、 「……　はい」 　顔どころか耳の縁まで真っ赤にしてうなずいた。 　すると、アルハイゼンは、 「ああ、なんだ。三対ゼロになってしまったな」 　それはそれは愉快そうに、あるいは満足そうに微笑むのである。 　 　 　 　曰く、『どこからでも行ける』らしい少女の家は、しかし『どこから行っても良い』わけではないらしかった。頬骨の天辺辺りを赤くした蛍に手招きされて、ランバド酒場の裏手まで移動した。さらに用心深く、大木の裏側まで来ると彼女は小さなポットを取り出した。ひとりでに浮いているそれは見るからに人外の力が込められているようで、淡い光までまとっている始末だった。 「塵歌壺って言うんだ。璃月の仙人の技術で、洞天って言うのが……　行って、見た方が早いね」 　そう言った蛍は右手でパイモン、左手でアルハイゼンの手を取る。 「アルハイゼンは初めてだから、目をつぶった方が良いかも。独特な浮遊感があってね……　慣れないうちは私も結構酔ったから」 　照れ臭そうに笑う彼女の言う通り素直に目を閉じれば、急に地面の感触がなくなった。地すべりした崖から投げ出されるような浮遊感が、体感で二、三分ほど。 「……　アルハイゼン、もう良いよ」 　いつもより吐息が多い彼女の声が聞こえる。蛍がアルハイゼンを驚かせようとするときの声色だ。そのおどる音色が合図だった。 　肌に、水にひたった風を感じた。 　鼻に、緑がふくれあがる香りを感じた。 　足裏に、ふっくらと応える土を感じた。 　ああ、間違いなく素晴らしい豊かさが目の前にある。そうやって彼は確信して、ゆっくりと目を開いた。 「本当はね、もっともっとすごくする予定だったんだ。まだ、いろいろ途中で恥ずかしいんだけど」 　少し向こうで頬をかく少女が照れ臭そうに笑っている。 　風は雨林の香りを抱いて、繁茂する草原の上辺をごくわずかに揺らすほどの静かさで、鼻先の薄い肌にも優しい。 　彼らの遥か頭上には白い太陽は、本来目を焼くほどの熱量に満ちているのだろうけれど、薄衣をまとったようにやわらかくにじんでいた。あれはきっと、空高く舞い上がった赤砂（せきさ）なのだろう。 　そんな雨林の大地と砂漠の空の間には、巨大な赤い花が咲いている。見たこともないほど大きな花であるのに、懐かしい。もしかすると、物心もつかないよう
January 26, 2025 at 11:44 AM
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カラフルパズルの君④　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　地平線さえ定まらない砂漠の夜明け前。 　白み始めた空の下が黄金色に光るころ、旅人たちは歩き出し、 「ほ……　本当に、終わっちゃった」 　それからほんの少ししか太陽が動いていないことをスメールシティで知る。 　営業準備中のランバド酒場からは香辛料の甘辛い香り。坂の下からは朝日に照らされた魚や果物、織物たちの輝き。そして、目の前には冒険者協会のキャサリンがにこやかに微笑んだ。完璧なスメールシティの朝が、今まさに始まろうとしている。 　呆然とつぶやく蛍の隣で、アルハイゼンが大きなため息をつきながらブーツをひっくり返し、靴底の砂を野に返していた。 　成果は上々。重たくなった革袋の中をのぞき込んだ蛍が、思わず感嘆の呟きを漏らすほどである。 　形こそ花のつぼみに似ている。しかし、石のような灰色であることと、互いがこすれあうときの乾いた音が砂脂蛹を爬虫類の卵殻であることを物語っていた。 今や蛍が手にする革袋に使い古しの獣臭さはまったくなく、すし詰めにされた砂脂蛹から立ちのぼる甘い油の香りにぬり替えられている。これだけの特徴的な濃い香りが異国情緒あふれる香油になるのだから、不思議なものだ、と蛍は袋の口を縛っている。 　そして、ちょうど今しがた袋にまとめた砂脂蛹と、『砂ハイゼン』なんてパイモンに指をさされてからかわれている青年とを交互に見つめていたら、 「本当に、ありがとう。アルハイゼン！」 　自然と湧きあがってきた言葉はどうやら、少女自身が思うよりもずっと大きな声になってしまったようだった。腹の奥からのぼってきて、のど元を過ぎたら勢いよく飛び出してしまった。 　アルハイゼンと、彼の頭の横でただようパイモンは目を丸くして彼女を見つめている。 　ややあって、ハッとした蛍は大げさな手振りで革袋の口をしばり、年季の入ったそれとは実に不釣り合いな深緑色のサテンリボンをぐるりと巻いて蝶々結び。 「は、はい。サプライズプレゼント！」 　そう言いながら、アルハイゼンをつっぱねるように両手で抱えた砂脂蛹を押し付けてきた。 　そういう蛍を、アルハイゼンは熱心に見下ろした。うつむいてしまえばその瞳から逃げられるだろうと蛍はふんだのだろう。 「ああ、ありがとう」 　けれども、それはほんのり色付くうなじも、気の毒なほど細かく震える金髪も、すべてさらけ出していることになる。 「『サプライズ』だったプレゼントだな」 　さして驚いてもいない、いつも通りの声色で蛍のうなじの上からからかった。きっと彼女は乗ってきてしまうのだろう。そのまま顔をあげなければ、あるいは逃げ切れたかもしれないのに。 「ア、アルハイゼン？」 「なんだ？」 「……　もしかして、笑ってます？」 「さあ、どうだろうな」 　ふん、とアルハイゼンが鼻を鳴らしたのを合図に、やはり蛍は顔を上げてしまう。 　彼女の胸元から赤い血潮の色がずんずん上がっていく。中途半端に開いた口元を通りこして、鼻先を、目尻を、額を、耳朶の先まで赤く染まっていく。 「あ、う……　ぐう……　」 　あげくの果てには、のどの奥からしぼりだしたようなうめき声まで漏れてくる。 　まったく、アルハイゼンは呆れた。一瞬で少女の顔色を変えてしまうなんて、一体自らはどんな顔をしているというのか。 　呆れて、呆れ果てて、穏やかに笑えてしまうのだ。 　互いに違う意味で肩を震わせている少女と青年。 　そんな二人を、 「ふうん……　なるほど、なあ」 　にんまりと見比べるパイモンだった。 　すると、彼女は二人の間に割って入り、 「なあ、蛍。アルハイゼンを塵歌壺に招待したらどうだ。今日、付き合ってくれ
January 26, 2025 at 11:43 AM
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カラフルパズルの君③　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　アルハイゼンという青年は、変わり者である。 　髪は、灰色。しかし、それは蛍がよく知る暖炉の灰ではない。例えるならば、岩間からつい掘り当てたばかりの鋼。あの何にだってなれる色の鍛え方を、青年は知っている。もちろん、自由気ままなくせ毛を作るくらい髪は柔らかいのだけれど。 　瞳は、紅葉（こうよう）の色。しかし、それは蛍がよく知る森の木々ではない。蛍とその相棒はスメールの神を救出したあと、久々にのんびりいろいろな所を探索して回った。彼の目は、その日眺めた夕焼けに似ていた。古代の仕掛けと知恵比べをし、地図を睨みながらたどり着いた山頂の秘境にて。アパーム叢林へと沈みゆく夕日を見た。森と空の境界線を焼きながら沈んでいく赤色は、謎に挑む青年の瞳のようだった。その時々で、彼は確かに瞳を燃やしていたのだ。瞳の中で、知恵の緑を赤い火にくべていたのだ。 　大きくたくましい体に、鳶色のマントを翼のようにはためかせ、彼女の前を行く青年。 　凛とした雰囲気の少女だった。すまし顔で、世の中の常識をくつがえしてしまうようなことをする少女だった。 　その彼女が、アルハイゼンの目の前で眉を下げ、許しを請うようにたくさんまばたきをしてしまう。 　だから、アルハイゼンは持っている本を閉じて、 「そのつもりだが」 　できるだけ平静に、いつも通りの声色で応えてやる。それだけで、蛍のため息を解放し、肩の力を抜かせてやることができる。自らにそんな力があったと気が付いたのはごく最近だった。 　そうやって、蛍が吐き出したため息は雨林の湿った風に溶け込みながら、アルハイゼンの口からのどを通りぬけ、胸の真ん中でくるりと円を描くのだ。 　その心地は、舌先に酸っぱく、ほんの少し甘さを残すような。あるいは、複雑であるのに芯がなく、つかみどころのない柔らかさで胸の奥底をなでて消えるような。 　なんとも言いがたい風であったが、実のところアルハイゼンには心当たりが あった。 　核心はまさに風のようで、いまだつかめていないのだけれど。 　 　
January 19, 2025 at 5:16 AM
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カラフルパズルの君②　ゼン蛍 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　アルハイゼンという青年は、変わり者である。 　髪は、灰色。しかし、それは蛍がよく知る暖炉の灰ではない。例えるならば、岩間からつい掘り当てたばかりの鋼。あの何にだってなれる色の鍛え方を、青年は知っている。もちろん、自由気ままなくせ毛を作るくらい髪は柔らかいのだけれど。 　瞳は、紅葉（こうよう）の色。しかし、それは蛍がよく知る森の木々ではない。蛍とその相棒はスメールの神を救出したあと、久々にのんびりいろいろな所を探索して回った。彼の目は、その日眺めた夕焼けに似ていた。古代の仕掛けと知恵比べをし、地図を睨みながらたどり着いた山頂の秘境にて。アパーム叢林へと沈みゆく夕日を見た。森と空の境界線を焼きながら沈んでいく赤色は、謎に挑む青年の瞳のようだった。その時々で、彼は確かに瞳を燃やしていたのだ。瞳の中で、知恵の緑を赤い火にくべていたのだ。 　大きくたくましい体に、鳶色のマントを翼のようにはためかせ、彼女の前を行く青年。 「い、いや、そういうわけじゃないけど」 「しいて、理由をあげるのなら……　」 　地図上の、少女らしい実に几帳面な線を指でなぞりながら笑ってしまうほどであり、あるいは、 「俺のための砂脂蛹だろう」 　愛用の布カバンに手鏡を入れておいても良かったな、と思えるほどであった。 　 　 　 「先日、ディシアに会った。旅人に依頼していた砂脂蛹が集まったと言っていた。それでもまだ集めたいというのなら、俺の分ということだろう」 　人を真っ直ぐ見つめすぎるきらいのある青年だった。 　悪だくみをしていたわけではない蛍だけれども、所在なく視線をただよわせてしまう。 「……　まだ、何も言ってない」 　思わず、罰が悪そうにつぶやいた。 　すると、目の前の青年は実に楽しそうに微笑むのである。右手で口元をなでるくせに、その笑みを隠そうともしない。それどころか、恥ずかしそうに首をすくめる蛍の目をさらにのぞきこんでこようとするのだ。 「そうだな、君は何も言っていない」 「さ、砂漠にある資源なんていろいろあるからね。砂脂蛹とは限らないじゃない」 「そのルートはウェネトの生息地をなぞっている。君が、わざわざそのような危険な道を行く理由など、一つしかない」 「……　仮に砂脂蛹だったとして、アルハイゼンのためとは限らないよ」 「ほう。ならば、君はこれを『君自身で』有効活用できるというわけか」 　アルハイゼンは、他者の目に映る自らの評価を正しく把握している青年だった。 　何でもお見通しだ、と言わんばかりの調子が気に食わないという者もいる。 「油であげて、甘辛く煮たらパイモンの晩御飯くらいにはなるかもしれないし」 「ごまかすのなら、せめて『天然由来の化粧品の材料にでも』くらい、言えなければな」 　正論で逃げ道を少しずつ詰めていくような話術をわずらわしいと思う者もいる。 　しかし、アルハイゼンの見立てでは、どうやら蛍という少女はどれにも当てはまらないらしかった。 　挑戦的な目で彼をじつと見つめ、まばたきを数回。 「う……　ぷぷっ」 　そして、次のまたたきのあとにはもうとろけるように笑うのだ。だめかあ、と大笑いは潮風の空へ真っ直ぐ響いていく。 「ああ、内緒にしときたかったのになあ」 　パイモンと目配せをして、残念、なんて言いながら、少しもそんなことなさそうな顔で腕を組む。自身のちょっとした企みが暴かれたとき、いつだって蛍は満足そうだった。 「突然プレゼントして、今度こそあなたのびっくりした顔と喜んだ顔が見たかった」 「当てが外れたな」 　蛍の小さな口元から白い歯がのぞいたことを見届けると、アルハイゼンは手元
January 19, 2025 at 5:15 AM
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はじめてのゼン蛍。 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「カラフルパズルの君」、「泥舟ぽっぽ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　 　アルハイゼンという青年は、変わり者である。 　髪は、灰色。しかし、それは蛍がよく知る暖炉の灰ではない。例えるならば、岩間からつい掘り当てたばかりの鋼。あの何にだってなれる色の鍛え方を、青年は知っている。もちろん、自由気ままなくせ毛を作るくらい髪は柔らかいのだけれど。 　瞳は、紅葉（こうよう）の色。しかし、それは蛍がよく知る森の木々ではない。蛍とその相棒はスメールの神を救出したあと、久々にのんびりいろいろな所を探索して回った。彼の目は、その日眺めた夕焼けに似ていた。古代の仕掛けと知恵比べをし、地図を睨みながらたどり着いた山頂の秘境にて。アパーム叢林へと沈みゆく夕日を見た。森と空の境界線を焼きながら沈んでいく赤色は、謎に挑む青年の瞳のようだった。その時々で、彼は確かに瞳を燃やしていたのだ。瞳の中で、知恵の緑を赤い火にくべていたのだ。 　大きくたくましい体に、鳶色のマントを翼のようにはためかせ、彼女の前を行く青年。 抜ける。 「行こう」 　ソテツの鋭い葉が大げさにザギザギ揺れる中から聞こえた少女の声を、どうしても拾っておかなければと思ったのだ。 　自らを呼ぶ少女の声の、最初のほんの一瞬が震えたのは、恐らく塩辛い空気のせいではないのだから。 　 　 　 　三人で使うには広いテーブルに、できたての料理が順々に運ばれてくる。 　目が覚めるような緑色のシャフリサブスシチューは香辛料の甘辛い香り。 　バターチキンはパリパリの狐色、お供のナンでさえ誇らしげに見える。 　ポテトボートはやけどにさえ気をつければ、付け合わせのルッカデヴァータダケの繊維までじゅんわり美味い。 　そうやって次々に運ばれてくる料理たちにテーブルの上が占領されず、蛍が地 図を広げたままでいられるのは、そのほとんどが間もなくパイモンの口の中へ消えて行ってしまうからだった。 　右頬にトマトソース、左頬に溶けたチーズをつけたパイモン。その隣で、ミートロールをフォークに刺したまま、地図をにらむ蛍。シャワマルサンドと何匹かの焼き魚をバランス良く食べるアルハイゼンは、意地でも本を離さない。三者三様の昼どきは、のんびりと流れる潮騒にのって過ぎていく。 「パイモン、このルートでなんだけどさ」 　ときおり、蛍は地図を指差しながらパイモンを呼ぶのだが、 「オイラは良いと思うぞお、砂漠はおまえの方がよっぽど詳しいじゃないか」 　その小さな少女にとってチーズたっぷりのポテトを飲み下すことの方が大事なようだった。目の前の料理に夢中であるパイモンだが、蛍は気にする様子もなかった。大きな地図の砂漠側に手際良く仮ピンを立て、それらをペンでひとつなぎにしながら満足そうに微笑む。 「よし、決まり。明日は砂漠半日コースね、パイモン」 「うええ？！」 　そこで、アルハイゼンは手元の本から視線を外して二人の少女を見比べたのである。 「は、半日も……　絶対嫌だぞ！」 　開いた口が閉まらないパイモンに、 「仕方がないよ、『良いと思うぞお』って言ってたのはパイモンなんだからね。今回は『おんぶ』は駄目だからね」 　そっくりな声真似を引っ提げたしたり顔の蛍。 　フォークとナイフを持ちながら空中で駄々をこねる器用なパイモンを綺麗に無視した蛍は鼻歌を歌いながら地図に回る順番を書き込んでいくようだった。 　アルハイゼンは蛍のペン先を見つめていた。十分にみがかれた万年筆のペン先が細長い真っ直ぐな線を描いていくのを目で追い、同時に頭の中で彼自身の明日のことを考える。 　そして、 「二時間だな」 　本を閉じた。
January 19, 2025 at 5:14 AM
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あけましておめでとーーーー！！！
December 31, 2024 at 10:07 PM
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実質日の出！！！！
December 31, 2024 at 9:56 PM
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今年は雲が厚いな〜
December 31, 2024 at 9:50 PM
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もうちょい！
December 31, 2024 at 9:43 PM