もず
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飯と絵
だが今💎が時間通りに戻ってくるのは、明らかに温情のためではない。薄暗い灯りの下、🌶️は青い手袋をはめたその手が鍵と金属製の器具を握り、ゆっくりと近づいてくるのを見た。衣服もまとわない🌶️に逃げ場はなく、💎の拘束のもと、ただ膝を開くことしか許されなかった。
October 18, 2025 at 2:53 PM
思いがけなくも、この期間中の💎は毎晩決まって時間通りに帰宅した。🌶️の記憶では、💎は異常なほど仕事に忠実な人間で、リーグに泊まり込んだり家に帰らないのは日常。任務のない🌶️が二人の愛の巣で一人静かに眠りにつくことも、別に珍しいことではなかった。二人は移り行く夜の闇の中でロトム通話をし、小さな画面越しに互いの緊張したり弛緩したりする様子を見つめながら、夜勤の疲れや、しばらく会えない寂しさを紛らわせていた。
October 18, 2025 at 2:52 PM
拘束がれた🌶️は、文字通りあのガラスケースに閉じられた陶器の小鳥そのものだった。ただし、彼女は決して大切にされているわけではなく――哀れな🌶️は部屋の中で一枚すら服を着ることを許されず、ベッドの上で震えながら、💎が使っていた毛布にくるまって暖を取るしかなかった。そもそも、コート掛けにすら辿り着けないのだ。💎がつけた拘束の鎖は、🌶️をベッドの周りにしっかりと縛りつけ、かつて温もりに満ちていたあの場所以外、どこにも行けないようにしているようだった。
October 18, 2025 at 2:45 PM
🌶️はクローゼットをあさってみると、ハンカチでさえも元の位置にきちんと洗われて置いてあった。過去に未練を残すこの様も、異動を受け入れて戻ってきた自分と同じように滑稽に思え、青白い花の刺繍が入ったそのハンカチを取り出し、ガラスの箱の上にふわりと被せた。
October 18, 2025 at 2:41 PM
移ってきた当日、部屋に入った🌶️は冷笑を一つ漏らした。ドアの鍵どころか、内装も一切変わっていない。五年前、🌶️が逃げ出した前の晩、💎に繁雑な模様の入った陶器の燕をお別れの贈り物として買ったことをはっきりと覚えている。彼女はもうとっくに処分されていると思っていたが、その燕はベッドサイドの手の届くライトの傍らに置かれ、落下防止の保護ケースまで添えられていた。燕は美しいガラスの箱に閉じ込められ、大切に守られていた。🌶️は自分の中にそんな考えが浮かんだことに気づき、ただただ愚かだと思った。
October 18, 2025 at 2:40 PM
後日、💎は🌶️の勤務先を調べ、権限を利用して彼女を自分たちの職場に異動させる。異動と言う名目は、🌶️が再び失踪しだための口実だった。🌶️は寮の住所を見て舌打ちする──かつて二人で暮らした部屋だった。半ば拒む気持ちで訪ねてみると、ドアは昔のままで、使い古した鍵もまだ使える。室内にはほこり一つなく、誰かが手入れを続けていたことがうかがえる。夜、💎が訪ねてくる。🌶️はドアを開けるなり「委員長が権力で部下にホスハラするなんて」と拒絶するが、💎は強引に部屋に押し入り、首輪と手錠で🌶️を繋ぎ、連絡手段も没収する。こうして🌶️は、過去の牢獄に再び閉じ込められたのだった。
October 18, 2025 at 2:34 PM