隣で眠る弟の髪にそっと顔を埋める。体臭まで変わってしまった。輿入れが決まった日から毎日与えられる薬のせいだ。両性具有の体は少女へと変化して、どちらか見分けがつかないほど同じだった双子は少しずつ差が開いていく。ふと掴んだ腕の細さと柔らかさに、思わず鼓動が跳ねた。背徳感というものを初めて味わうと同時に、どうしていけないんだ?と反発心が頭をもたげる。
「俺たち二人で逃げ出そうか?どこか遠くの誰も知らないところで一緒に暮らそう」
いつかの晩、そう告げた時、弟にぎゅっと抱きしめられた。
「ごめん」
謝らなくていい。お前が悪いんじゃない。ただ一緒にいたかっただけなのに。
王子の一族は両性具有として生まれ、長子だけが王位を継ぐ者として男子として育てられ、他の兄弟たちは政略結婚させられる。双子の兄王子は聡明な弟を智将と呼び、王位は弟の方が相応しいと思い、大っぴらに口にする。弟は太陽のように明るく誰からも愛される兄こそが王位を継ぐべきと思っている。そして密かにコンプレックスを抱く。弟が帝国に嫁ぐ事が決まり、身体の変化を促す薬を与えられて少女の身体に変わっても、仲の良すぎる双子は同じベッドで眠るので、万が一を恐れた王と側近が輿入れを急がせる。まだ成年になる前に異国へと旅立つ王子。
オメガバではないんですが、両性具有のパターンもありかも
隣で眠る弟の髪にそっと顔を埋める。体臭まで変わってしまった。輿入れが決まった日から毎日与えられる薬のせいだ。両性具有の体は少女へと変化して、どちらか見分けがつかないほど同じだった双子は少しずつ差が開いていく。ふと掴んだ腕の細さと柔らかさに、思わず鼓動が跳ねた。背徳感というものを初めて味わうと同時に、どうしていけないんだ?と反発心が頭をもたげる。
「俺たち二人で逃げ出そうか?どこか遠くの誰も知らないところで一緒に暮らそう」
いつかの晩、そう告げた時、弟にぎゅっと抱きしめられた。
「ごめん」
謝らなくていい。お前が悪いんじゃない。ただ一緒にいたかっただけなのに。