懐かしい声だった。風に混じって香る香水は随分昔に会ったきりの男のもので、同じものを買おうとした時、既に廃盤になってしまっていた。忘れていたつもりでも、案外覚えているものだなと思った。記憶なんてものは当てにならないとばかり思っていたのに、体は反応した。覚えていた。だからこそ、怖かった。
「俺のこと、忘れちゃった?」
最後に聞いたままの声で、女の名前を呼ぶ。もう二度と手に入らないはずの香水が香る。伸びてくる腕の気配は冷ややかで、固い。
「俺は、ずっと君に会いたかった。たくさん話したいことがあった」
暗がりに二つの金色が光っている。招くように、煌々と。爛々と。輝いている。
懐かしい声だった。風に混じって香る香水は随分昔に会ったきりの男のもので、同じものを買おうとした時、既に廃盤になってしまっていた。忘れていたつもりでも、案外覚えているものだなと思った。記憶なんてものは当てにならないとばかり思っていたのに、体は反応した。覚えていた。だからこそ、怖かった。
「俺のこと、忘れちゃった?」
最後に聞いたままの声で、女の名前を呼ぶ。もう二度と手に入らないはずの香水が香る。伸びてくる腕の気配は冷ややかで、固い。
「俺は、ずっと君に会いたかった。たくさん話したいことがあった」
暗がりに二つの金色が光っている。招くように、煌々と。爛々と。輝いている。