「ああ愚かなりし人類！
一瞬の欲望。逡巡。後悔そしてまた後悔。懊悩。叶えられないまま口にする希望。そして果てのない絶望」
「お姉様どうなさったの？！」
「3割引さんが大豆イソフラボンがどうのっていうサプリを眺めつつも最後にレジ横特売364kcalのパンに釣られた心の内を表現してみたの」

「今朝の3割引さん、素早かったわね」
「レジ横の今月特売コーナーの30%オフ商品を迷いなくパンパンッとかごに入れたわね」
「パンだけにパンパンッ！とね！」
「いいのかしら、3割引さんはダイエットを気にしてるんじゃなかったかしら」
「甘いわね。ダイエットを気にしてると言う人間の9割は永遠にダイエットに成功しないのよ」
「人生キツイわ…！」

「3割引さんの背中に愕然という文字が見えるようだわ」
「なんたって3割引シールどころかお饅頭コーナーが空なんですもの」
「レジ前特売コーナーで3割引コーンパンを買ったわ。でも１個！」
「いつもは２個買うから…そうねあの１個を家族で分けるのよ」
「令和版一杯のかけそば！」
「わたし、泣きそうです！お姉様、もう１枚、３割引シールを貼りに行ってもいいかしら？」
「甘いこと言ってんじゃないわよ。情は無用ッ！」
「お姉様の背中に紅蓮の炎が…！」

「え？3割引さん、お饅頭コーナーを横目にしつつ、素通り？！」
「確か今日はわらび餅まんが3割引だったはずだけど？」
「確かにね、こういっちゃなんだけど、ほら、3割引さんのお腹周りが」
「あ、腹部が3割増し！」
「そういうことよ」
「でもレジ前で何かをサクッとかごに入れたわ」
「ランチパック4種のスパイスカレーね」
「スパイスは脂肪を燃やす…とか、心のなかで言い訳してるのよきっと」

今日は降ったりやんだりしてるせいか傘を持たず濡れながら歩いてる人は多かったけど、こんなに濡れそぼってる人はいない。三善英史が歌う「雨」の女ぐらいしか。

約束した言葉だけが体をすり抜けたのか。
恋はいつの日も佇むものだからなのか。

「今朝は3割引さん、愕然としてお饅頭コーナーから立ち去りましたね」
「日曜にすべて売り切った店側の勝利よ！」
「あ、しかし3割引さんが1割引のカップそばをかごに入れました！3割引でもないのに」
「なりふり構わぬとはこのことよ」

「開店早々、お饅頭コーナーに足早に歩いていくわ、3割引さんが」
「そして今日はやまざき吹雪饅と迷った挙げ句、やまざき桜わらび餅にしたようね」
「あの、お姉様。3割引さんはうちのことを饅頭屋だとでも思ってるのかしら。薬剤師を多く抱えたドラッグストアなのに」
「いいのよ。饅頭食べる→太る→ダイエット→サプリやダイエット食品、というループで世界はできているのだから」

わたしは店で朝ご飯を食べる派でして毎朝、オートミール、納豆と卵、味噌汁、ヨーグルトと牛乳、時々おからがスタンダードメニュー。
でも今日は心のなかで『なんか親子丼が食べたいなあ…』と考えていたら、武田が朝から賄いで親子丼を作ってた！
ほんと、こーゆー心の声はデカいわたしよ。

「3割引さん、お饅頭コーナー通過！」
「今日も収穫はなかったようね」
「しかし賞味期限を目視してました！」
「あれは明日が賞味期限。今日売り切るか明日3割引さんが買うか。我々との戦いよ」
「洋菓子30%オフの前で長考。そして立ち去りました」
「ダイエットとおやつ欲のせめぎあいね」
「あ！レジ横の今月特売　に手を伸ばしました！」
「期間限定＆30%オフ、この魅力には抗えないってことよ、ふふふ」

『くすくす。今日も来たわ、3割引さん』『あの人、ホント3割引シールに弱いのよね』『前世はきっと3割引シールだったんじゃないかしら』『なにそれ、前世がシールって』

多分わたし、あの店では店員さんにひそかに「3割引」というあだ名だ呼ばれてるに違いない。

好きだったイヤリングの片方。ガラスの石が取れてしまった。それで名物屋に行って500円のピアスを買ってそれと合体させ、片側は石なしのアシンメトリーでつけていた。
けれど名物屋のちひろさんがこの間、こどものような熱心さで石を再びイヤリングに接着しなおしてくれた。そんな彼女はとても可愛い。大須に移転して出会った人で一番可愛いのが大須名物屋のちひろさんです。

過剰に仕入れて賞味期限当日に30%引きで売るのやめて？？
わたしが買ってしまうじゃん💢
しかもうまいじゃん💢💢💢

コロナ禍で進化したもののひとつに落ちない口紅があるのではないかしら。
確かに昔から落ちない口紅はあった。でも絶対落ちるし大体めちゃ荒れる。
マスク時代に私はリップを放棄したけど、マスクに着かない・落ちないを目的とした最近のリップの凄さってばよ。
例えばこれなんて500円のティントリップ。食事してもマジ落ちん。そして全然荒れない。すぐれものだわよ。