名無し
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いつもの笑顔で話しかけてくる彼はどこか疲れたような顔をしている
そんな彼の事を横に抱きしめ持ち上げる

『うぉっ!?なんだ!?下ろせ藍湛!!いっ…』

横抱きに持ち上げられて恥ずかしいのか暴れるが、その攻撃は弱々しく痛くない。
殴られた時の影響なのか強く出来ないようだ

私は彼を傷に触らないように先程より強く抱きしめ動かないでと見つめる

『なんだよ…』

それが伝わったのか目を合わせた彼は暴れることをやめて下を向く
それを確認してから傷に触らないように彼の怪我をどうにかするために動き始める

『なぁ藍湛、俺はどこに連れてかれるんだァ?この怪我を他の奴には見られたら怒られそうだ!』
January 30, 2024 at 9:51 AM
彼に着いた汚れを取りたくて何度も何度も何度も拭う
あぁ、誰かも知らない奴が私のものに触ったことが許せない
彼は私のものだ。誰であろうと彼を汚すことは許さない
彼を汚した者どうするべきか、何も見れないように、物言わぬようにしてやろうか。
いや、その前に彼を隠さなくては
誰の目にもふれないように傷つかないように、1人にしてしまえばまた彼はどこかで傷つく

『痛い、痛いぞ藍湛!擦りすぎだ!』

考えながら擦っているうちに力が強くなってしまっていたらしい
慌てて彼の頬から手を離す

「………ッ!!」

『ふっはは!なんだなんだ?すまないか?
羨哥哥は平気だ!
少し痛かったがお陰様で汚れは取れた!』
January 30, 2024 at 9:33 AM
「……ッ!!……ッ!!」

頬を軽く叩きながら音にならない声で彼の名前を呼ぶ
何度か続けていると

『んッ…?』

うっすらと瞼が動き黒より薄い色素の瞳が覗かせる
状況が思い出せないのか辺りを見渡しながら今の状況を整理しているようだ
そして暖かい人肌に包まれていることに気づき此方を見る

『らん…じゃん?』

「……」

あぁ、そうだ彼はいつでも私をそう呼んでいた。
昔から変わらず、今世でも出会った時から私にそう呼びかけてくれたのに
名前を呼ぶと声にならず、眉をひそめ肯定するように頷く

『なんでお前がここに…』

戸惑う彼に頬の泥を優しく手で拭う

『んっ…なんだよ藍湛』
January 30, 2024 at 9:18 AM
その瞬間金縛りから解かれたのように傍に駆け寄る

「……ッ!!」

名前を呼ぶ声は音にはならず口から空気だけがぬける
なぜこんな時も声が出ない!!
不便に感じたことはなかった。
声がなくても伝わっていた。
笑顔で支えてくれて、優しく何も言わなくても分かってくれる兄がいてくれるからと
いつからか話さなくても大丈夫だと思っていた。
だが今はその事を考えていた記憶のない自分を恨めしく思う。
あぁ、なぜ私は話すことを諦めてしまっていたんだ。
そうすればこんな事にはならずに済んだかもしれないのに。
止める事ができたのに

倒れている彼を抱きしめ意識があるかを確認する。
January 30, 2024 at 8:46 AM