なんでも喋るメンシ非加入の人 ブルースカイをはじめました
「北見さん、それで僕は何したらいいの?」
「ああ、えっと…とりあえず魁星の傍に寄ってみてくれるかな?」
「傍に?」
首を傾げつつ、刀也は店の奥のカウンターに頬杖をつく魁星の前へと歩みを進める。
「………───ッ!?」
一歩、一歩と距離が縮まる度に、魁星の顔色が目に見えて青ざめる。身体を掻き抱くように縮めつつ、刀也を制止するように片手を前に出した。
「…魁星さん?」
「待っ、て…待ってくれ、そこで止まれ……!!…ッ、ぐ…!!」
「何を……──?」
刀也の翡翠の瞳が、異質なものを捉える。
暗がりの中でもはっきりと見える、黒々とした───蛇の痣を。
「北見さん、それで僕は何したらいいの?」
「ああ、えっと…とりあえず魁星の傍に寄ってみてくれるかな?」
「傍に?」
首を傾げつつ、刀也は店の奥のカウンターに頬杖をつく魁星の前へと歩みを進める。
「………───ッ!?」
一歩、一歩と距離が縮まる度に、魁星の顔色が目に見えて青ざめる。身体を掻き抱くように縮めつつ、刀也を制止するように片手を前に出した。
「…魁星さん?」
「待っ、て…待ってくれ、そこで止まれ……!!…ッ、ぐ…!!」
「何を……──?」
刀也の翡翠の瞳が、異質なものを捉える。
暗がりの中でもはっきりと見える、黒々とした───蛇の痣を。
ドアベルが鳴り響き、それとほぼ同時に暗い店の奥から声がかかる。
「何の用って…いつもと同じだ」
「…わしはお前に何も頼んどらん。放っとけや、どうせ…──いや、その二人は?」
訝しげに細められどこか厭世的な光を宿した、蛇を思わせる赤い瞳が刀也とネスをじろりと見遣る。
「助手と協力者、ってとこ。刀也くん、榊さん、こいつは魁星。鍵屋の魁星」
「…ご来店ありがとうございます。魁星です、どうぞよろしゅう」
「剣持刀也です。」
「刀也様の従者、榊ネスです。」
魁星と名乗った青年は二人の礼を見届けて、再び厳しい目で北見を睨む。
「何度来ても変わらんぞ」
ドアベルが鳴り響き、それとほぼ同時に暗い店の奥から声がかかる。
「何の用って…いつもと同じだ」
「…わしはお前に何も頼んどらん。放っとけや、どうせ…──いや、その二人は?」
訝しげに細められどこか厭世的な光を宿した、蛇を思わせる赤い瞳が刀也とネスをじろりと見遣る。
「助手と協力者、ってとこ。刀也くん、榊さん、こいつは魁星。鍵屋の魁星」
「…ご来店ありがとうございます。魁星です、どうぞよろしゅう」
「剣持刀也です。」
「刀也様の従者、榊ネスです。」
魁星と名乗った青年は二人の礼を見届けて、再び厳しい目で北見を睨む。
「何度来ても変わらんぞ」
「…榊ネスと申します、よろしくお願い致します。」
優雅に礼をする執事服の男に面食らう北見を差し置いて、刀也は周囲をぐるりと見回す。
「それで、ここは一体?場所の指定があったので来ましたけど」
「…刀也様、お気をつけて」
繁華街の大通りから少し奥まった場所にある、ネオンの照らす壁や電柱にチラシや張り紙が所狭しと貼られた妖しい雰囲気の路地。油断なく周囲を見回す榊をまあまあと宥めつつ、北見が本題を切り出す。
「実は…君に憑いてる呪いの気配の強さを見込んで、ちょっとやってみたいことがあって」
「…榊ネスと申します、よろしくお願い致します。」
優雅に礼をする執事服の男に面食らう北見を差し置いて、刀也は周囲をぐるりと見回す。
「それで、ここは一体?場所の指定があったので来ましたけど」
「…刀也様、お気をつけて」
繁華街の大通りから少し奥まった場所にある、ネオンの照らす壁や電柱にチラシや張り紙が所狭しと貼られた妖しい雰囲気の路地。油断なく周囲を見回す榊をまあまあと宥めつつ、北見が本題を切り出す。
「実は…君に憑いてる呪いの気配の強さを見込んで、ちょっとやってみたいことがあって」
「ばいと?…と言いますと?」
「俺さっき呪術師って言ったけど、こっちの業界は呪いに耐性がある人手がホントに足りてないんだ!難しいことは頼まないし給料も出すから、俺のこと手伝ってくれないかな!?」
「…ふーむ……」
「あ、断っても君にかけられた呪いは絶対解呪するから!夏が終わるまでには、絶対…何とかする!!」
「…ふふ、いいですよ。」
「ほんと!?」
「ただし、条件が」
「条件?」
「実は、実家から従者が一人着いてきてて。彼もついてていいならお引き受けしますよ」
「ばいと?…と言いますと?」
「俺さっき呪術師って言ったけど、こっちの業界は呪いに耐性がある人手がホントに足りてないんだ!難しいことは頼まないし給料も出すから、俺のこと手伝ってくれないかな!?」
「…ふーむ……」
「あ、断っても君にかけられた呪いは絶対解呪するから!夏が終わるまでには、絶対…何とかする!!」
「…ふふ、いいですよ。」
「ほんと!?」
「ただし、条件が」
「条件?」
「実は、実家から従者が一人着いてきてて。彼もついてていいならお引き受けしますよ」
「ないです」
「じゃあ変な儀式に出くわしたとかは?」
「ないです」
「マジか……」
「ああ、でも」
凄まじい力を持つ悪魔の気配を漂わせる少年…剣持刀也は、ふと思い出したように言った。
「つい数日前に、古くて変な文字で書いてある本は読みましたよ。」
「それじゃん!!絶対それじゃん!!」
ほとんど叫ぶように言って北見は頭を抱えた。そんな力を持つ呪物が未だ出回っている事、刀也のようなうら若い少年がその毒牙にかかってしまったことに、呪術師としての不甲斐なさと未熟さを突きつけられた気分だ。
「今、その現物って…」
「ないですね」
「だよね~~~………」
「ないです」
「じゃあ変な儀式に出くわしたとかは?」
「ないです」
「マジか……」
「ああ、でも」
凄まじい力を持つ悪魔の気配を漂わせる少年…剣持刀也は、ふと思い出したように言った。
「つい数日前に、古くて変な文字で書いてある本は読みましたよ。」
「それじゃん!!絶対それじゃん!!」
ほとんど叫ぶように言って北見は頭を抱えた。そんな力を持つ呪物が未だ出回っている事、刀也のようなうら若い少年がその毒牙にかかってしまったことに、呪術師としての不甲斐なさと未熟さを突きつけられた気分だ。
「今、その現物って…」
「ないですね」
「だよね~~~………」