マツザキ
LightNews LightNews
banner
mat2nd.bsky.social
マツザキ
@mat2nd.bsky.social
6 followers 4 following 44 posts
SNS難民による以ぐだ♀アカウント
なお雑談品質「粗悪すぎる虚空な日々のゲラ」
大体の話がかなりひどい、５年程SNSしてなかったから大目に見てやってください。
Posts Replies Media Videos
mat2nd.bsky.social
お題『もしも自作の精密機器が挙動不審だった時、人は物理解決に走る事もある』
October 7, 2025 at 11:44 AM
mat2nd.bsky.social
わからん、ヤケクソだ、意味はございません。
September 6, 2025 at 12:06 PM
mat2nd.bsky.social
シフト休みが被った友人と行った
共連れにやたら哲学的なのにどこか愛せるにゃーと赤緑青黄を連れてどこまでも旅しようぜーってあの頃と全然変わらねぇのな！笑
これはめちゃくちゃウキウキした友人がやっており横で「ゲキアツかよ」とほざいた人間、ポリゴンぬいぐるみを優しくなでながら「トライアタック、撃てたら絶対楽しい」なる理由ないがなんかそうだろみたいな事ばっかりを言える友人って大切よな
April 17, 2025 at 9:44 AM
mat2nd.bsky.social
以ぐだちゃん箸休め後半です
零度及び三百六十度と百八十度は鏡に映ろうが変わらないなってのと、こそあどめちゃくちゃ嫌いオカダなりのフジマル肯定救済話が書いてみたかった、以上
「立香が、おった理由が、立香がいっとう前出て戦っちょった否定はしな、許さんがぞ……」 「なん、で……あ、れ……わか、んない、あれ……」 　 　あなたが一番立つべき位置を譲るんじゃない、あなたが自ら足掻いて掴んだ信頼や経験や知識なのに簡単にいいよと笑って誰かさんに渡すモノじゃない、そんなことなんかちっとも優しさとは言えない。ぼんやり吐き出された靭（つよ）い願い事の様な肯定の言葉は女の子が一番今欲しかったものだし一番耳にしたくなかったろうし、一番自分に合ってるなとザザザとノイズだらけの思考中奔る信号が、それ。痛みや寂しさをひどく嫌う男が、経験して嫌をはっきり自覚した男が伝えた途切れ途切れ言の葉。手をぎゅっと握られたがこの男（ひと）の力がありがたかった女の子は、潜む破壊する自分自身の姿に己が崩れ掛け。その手が血塗れだと言うのならこの手はもっとひどいよ、男にそう縋ってしまえばきっと楽だろうに彼女には不可能な態度は、気付いたら控えて立っている男への信頼や恋心を踏み躙るのを拒んだ、きちんとそこにいる虚ろたる生命体。ふらふらしてるのに。 　見つめた先は時をうつろう針、それだって何かのルールで決められた存在でしかなくて、決められた存在を何回も破って来たような報いだろうに、そうであれば今とは本当 に何もないのだ。彼女や数人ぐらいを遺して消えた生命達は今どこでなにを思ってどうしているのだろう、ヒーローの真似事なんかやはり不釣り合いだったなと横に首を動かしたら、涙が溢れそうだ。 　 　深夜零時、跨いだ明日に持って来たのは。 　後悔や空虚も、吐息も体温も、背後に立つ悲しさ恐ろしさ、横に居る瞳の中に居る自分達のカタチ。 　どちらともなく横になって、今一時だけは感覚だけで理解をしていたいから寄り添って夢に墜落懇願。 　ゆめをみない、ゆめをみることはない、存在としてのロジックと絵空事に疲れた実際問題があるにせよ。 　せめて誰か目覚ましベルを喧しく叩いて欲しい、起きろと揺さぶりをかけてしまいたい、夜の空も深い濃い青なのだろうから、青と白だらけの世界に沈む。 　 　微睡む、香る薄っぺらの闇の匂いの中からお互いの熱が、戸惑いを産む安心に助けられて。 　ひゅうひゅうひゅるり、どっどうどどど。 　その音は間違いじゃない、お互いの筋肉と骨も体温も体臭も質感も瞳の色が嫌にしっくり来るなら。 　影を横切る、影は光があるからできる、だったらそれを理由もなく否定なんか出来ない、目の前が目の前の存在に助けられて助ける事の大切さをどうしろと言うのだろう。 　藤丸立香と岡田以蔵が更に見る世界はきっと真空からいきなり現れるようなものだろう、けれども受け止めそうだと咀嚼するために歩むなら。 　盾乙女と人斬り侍とただの女の子、そして英霊と呼ばれたかつての誰かさん達はひたひた歩くんだろう、とぼとぼと行くのだろう、白と青だけしか理解出来ない世界の地上に足載せて。 　黒足袋に草鞋と黒い色のブーツを踏み込む、そこで見た事のない色を探す様に見据える、それが明日。 　かちこち、かちんこちん。規則正しい音が響くなにもかもを失せた世界を突き進む唯一達を、シャドウボーダーがじりじりひりひりと。 　 　眠りと覚醒の間らへんでどちらが先に笑ったのだろうかは曖昧だ、薄く閉じて開いた 唇の形の緩さに絆されたっても誰一人文句も言うまい。 　――人間を、人間だったことも、人のかたちである以上、そんなことあったりしたのでしょう？ 　 　了
April 11, 2025 at 6:35 AM
mat2nd.bsky.social
以ぐだちゃん箸休め後半です
零度及び三百六十度と百八十度は鏡に映ろうが変わらないなってのと、こそあどめちゃくちゃ嫌いオカダなりのフジマル肯定救済話が書いてみたかった、以上
「立香が、おった理由が、立香がいっとう前出て戦っちょった否定はしな、許さんがぞ……」 「なん、で……あ、れ……わか、んない、あれ……」 　 　あなたが一番立つべき位置を譲るんじゃない、あなたが自ら足掻いて掴んだ信頼や経験や知識なのに簡単にいいよと笑って誰かさんに渡すモノじゃない、そんなことなんかちっとも優しさとは言えない。ぼんやり吐き出された靭（つよ）い願い事の様な肯定の言葉は女の子が一番今欲しかったものだし一番耳にしたくなかったろうし、一番自分に合ってるなとザザザとノイズだらけの思考中奔る信号が、それ。痛みや寂しさをひどく嫌う男が、経験して嫌をはっきり自覚した男が伝えた途切れ途切れ言の葉。手をぎゅっと握られたがこの男（ひと）の力がありがたかった女の子は、潜む破壊する自分自身の姿に己が崩れ掛け。その手が血塗れだと言うのならこの手はもっとひどいよ、男にそう縋ってしまえばきっと楽だろうに彼女には不可能な態度は、気付いたら控えて立っている男への信頼や恋心を踏み躙るのを拒んだ、きちんとそこにいる虚ろたる生命体。ふらふらしてるのに。 　見つめた先は時をうつろう針、それだって何かのルールで決められた存在でしかなくて、決められた存在を何回も破って来たような報いだろうに、そうであれば今とは本当 に何もないのだ。彼女や数人ぐらいを遺して消えた生命達は今どこでなにを思ってどうしているのだろう、ヒーローの真似事なんかやはり不釣り合いだったなと横に首を動かしたら、涙が溢れそうだ。 　 　深夜零時、跨いだ明日に持って来たのは。 　後悔や空虚も、吐息も体温も、背後に立つ悲しさ恐ろしさ、横に居る瞳の中に居る自分達のカタチ。 　どちらともなく横になって、今一時だけは感覚だけで理解をしていたいから寄り添って夢に墜落懇願。 　ゆめをみない、ゆめをみることはない、存在としてのロジックと絵空事に疲れた実際問題があるにせよ。 　せめて誰か目覚ましベルを喧しく叩いて欲しい、起きろと揺さぶりをかけてしまいたい、夜の空も深い濃い青なのだろうから、青と白だらけの世界に沈む。 　 　微睡む、香る薄っぺらの闇の匂いの中からお互いの熱が、戸惑いを産む安心に助けられて。 　ひゅうひゅうひゅるり、どっどうどどど。 　その音は間違いじゃない、お互いの筋肉と骨も体温も体臭も質感も瞳の色が嫌にしっくり来るなら。 　影を横切る、影は光があるからできる、だったらそれを理由もなく否定なんか出来ない、目の前が目の前の存在に助けられて助ける事の大切さをどうしろと言うのだろう。 　藤丸立香と岡田以蔵が更に見る世界はきっと真空からいきなり現れるようなものだろう、けれども受け止めそうだと咀嚼するために歩むなら。 　盾乙女と人斬り侍とただの女の子、そして英霊と呼ばれたかつての誰かさん達はひたひた歩くんだろう、とぼとぼと行くのだろう、白と青だけしか理解出来ない世界の地上に足載せて。 　黒足袋に草鞋と黒い色のブーツを踏み込む、そこで見た事のない色を探す様に見据える、それが明日。 　かちこち、かちんこちん。規則正しい音が響くなにもかもを失せた世界を突き進む唯一達を、シャドウボーダーがじりじりひりひりと。 　 　眠りと覚醒の間らへんでどちらが先に笑ったのだろうかは曖昧だ、薄く閉じて開いた 唇の形の緩さに絆されたっても誰一人文句も言うまい。 　――人間を、人間だったことも、人のかたちである以上、そんなことあったりしたのでしょう？ 　 　了
April 11, 2025 at 6:35 AM
mat2nd.bsky.social
以ぐだちゃん文章テスト、前半です
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「午前零時(白紙化後の以ぐだ♀)」、「マツザキ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　午前零時（岡田→←藤丸女） 　 　明日に持ち越す気持ちなら、おそらく賢いヤツだったらムカムカとかイライラを昨日に溢して来るんだろうか、その辺は他人の精神をそこまで見た事も掴める事もないから理屈の上の話としてだけ、と。判れと言われてもその辺が無理に極めて重なっている事すらをも、この世が色やカタチを作っているのだから、素直に『わからないんです』と言うのだろう、嘘が嫌だと言う男と上手くはない女の子だったらきっと。 　呼吸をしている、だから血潮を回している、脳が動くので精神が出来て、その掌がどんなに嬉しいのかとはお互い言葉にせずともにふいと至って、死んだって生きていたって人間に落ち着いたならそうなるから。その瞳で残酷を叩き付けられた『あのとき』を見た、人間としての意見しかないからどうしても戸惑ったしぽかんと大きくあいた穴を抜ける風が、怖かった、ぐらいは、戻れない事を続けていかなくてはいけないんだな――おそらくはそれを後悔とは片付けた方が楽な、そんな二文字では到底どうしようもない喪失感を伴ったまま足元だけじっと見つめるだけで時間だけ過ぎる事を、背負うには少し人間の姿では背中の大きさが足らないのではないのか。 　逃げるな、抗え、戦え、ああそうか退路も進路もない今現在なら前を馬鹿みたいにが むしゃらに走らないと意味がないのか。男は刀を使って血飛沫撒き散らかし前をこじ開け、女の子はその背後から前の背中を追いかけて、走る走る走った、だけれども。 　――終わりがどうもない、困った、これには人間どうも耐えられる事がない、屍や血が足元だらけで見ていただけで、おかしくなるだろうなぁ。他人事みたいに言うから無責任に聞こえるだけで、抱えきれないがさがさやくしゃくしゃとかに息だって下手くそになって行くだらけだから、本当にやり場がない事実と気持ちだけが薄く層を重ねてこんなにも厚くなった。 　腕前としてなら強いだとかにはなったとは思えど、やはり元人間や今人生からすればそのひとつひとつには何処かの何かの処理不可能な持て余した莫大は持っていたみたいだ、午前零時を描く時計をぼんやり見詰める目がふたつとふたつ。 　 　デジタル時計ではあまり実感がないからと、白と青だけになった地球でも部屋の壁に掛けていたぐるぐる回る時計、部屋の持ち主が戒めの様に壁に掛けた目分量と本当をじっと見ていたら針が重なった。肩から仄かに伝わる体温と同じ様に同じことを思っているだろうなとはお互いに、悟る。また持ち越した消化できない拙さ。 　明日がこんなにも来るのを嫌だと思った事がなかった側と頭の片隅で諦めた側は、ど ちらが先に大きな溜息を吐いただろう、どちらも同じ事をしていたので後先は関係がないのだろうに。どこまでも同じ景色を奔る鉄の塊が唸りながら午前零時という定義の最中すらも、同じ動きだけを突き進む。走る事、キュッと鳴る足元からの音すら何故か怖さをペタペタ貼り付けてしまう。 　 「……ひいとい、か……」 「……なにしたら、いいのかな……」 「また……他人（ひと）、そげに言うな、じこじこ丁寧に積んで気張ってきたんはおまん他ならん……」 「うん、走ったり転んだ、でもひとりじゃ全部できなかった、だから……なんとなく、そうかなって」 　 　レッテルという嫌に剥がれないしネバネバ残してでも剥がしたいしつこい噂や他人がもたらす自分の立場や評価、それを下手なりに使って強くなった男は思えないのだ。この子が同じモノ貼られる理由なんかわからないだけだった。 　理由も動機もタイミングすら全然重ならないソレに傷付いてつき飛ばし喰らったり、 果ては頸から上と下が別れた終わりを経験してしまった記憶が、頭にこびりついて纏わりつく不信感の理由になったのが男。それを横の存在に同じ事を願う事など烏滸がましい、情け無い、だから望まないと決めた以上きっと思えない、その辺が死人の男は人間を手繰っているのだろう。 　あの子を鮮烈に願うから選択肢を切り離した、選んで望んで佇んで肯定した、途端いきなり頭にどすっと落ちたようにはたり視界が真っ直ぐそのまま開いた、頓悟（とんご）という言葉が近いらしいが、男は文字も語彙も存在すら知らず陥った突発的な理解を叩き込まれてしまった色彩の陰。死んだのに。 　ゆっくり振り向いた先に澄んだ瞳の中には、水分が含まれている、溢れそうで溢さないのは何故。 　泣けばいいのに、泣いたっていいのに、それだけが胸を掻きむしった、この子にはせめて赦して欲しいと。 　 「違う、立香。手柄を譲るんは違う、そがなん優しいもなんもないがぞ、立香が意味のうなる」 「……以蔵さん？」
April 11, 2025 at 6:35 AM
mat2nd.bsky.social
ねえさん、じけんです！！！！！！！！
あたまくるってんのか！！！！！！！！

マトモになるにはおせぇんだって、だれかそういってた、だれだったかわすれた！！
バカになったのにかえりみちがなかったのみちがあしもとで消えたんだけど何だ？！

いつまでも君たちは笑ってほしい、ぼくにはむずかしい
April 10, 2025 at 4:31 AM
mat2nd.bsky.social
友達から『当直中裏口でヤニチャーしてたら荒事発生した時のお前をつくった』って題名で送られたぼくです
ぼくそんなパンチドランカーみたいなツラしてないやろ
March 31, 2025 at 2:57 AM
mat2nd.bsky.social
友「ソシャゲ課金止めた！」
私「おー！！すげー！！」
友「実物に課金した！！」
私「デヒャヒャ！奇遇？」
March 28, 2025 at 1:54 PM
mat2nd.bsky.social
ラストであります。
「……明らかに一波乱、でしょうねぇ」 「……まァ空気が違ェんだからよ、空気が」 青色が空気どうのと発言した瞬間、喫煙所内の空気清浄機が妙な音を出したのを無視して続ける。 「……んで、当の本人には全く悟らせず？」 「あー、マスターか……なんかいつもじゃねぇか？」 「……気が付いちょったか、おんしらぁも……立香とマシュの二人にゃあ話がえろう遅い、いっつもかっつもやきこがなアホでもげに解るがぞ……」 「じゃあ岡田の旦那が薄々気がついていて？」 「ロビンすらも疑問を持ってたっつーオチで？」 「全員こがな意見で纏まっちょる、で、えいな？」
March 28, 2025 at 12:10 PM
mat2nd.bsky.social
ごたくはいいからさっさとザキは書け。
どうして護るの？」 「……何でじゃろなァ、ヒヒッ」 「あっ、わるい笑い方したっ！」 　思えば、彼は、岡田以蔵は。 　いつも、そういつもだ、あの時ですら、小馬鹿にする態度の裏に隠した彼自身の本当の性格として『誰かの為に努力をして勝ち得た、しかし誰かから何度も蔑まれたその才能を、惜しみなく使う事』を、何処か望んでいたのかも知れなかったのだ。故にアサシンクラスとは思えない、鮮やかな太刀筋で敵を屠る。 　それにはデオンも、セイバーであるフランス白百合の騎士シュヴァリエ・デオンすらも圧倒されていた。『あれは緻密な動きの中で立ち回っているね』と。 　無論、あのクー・フーリンだって驚いていた、自分の間合いも得物の性質も全て理解しているからこその、本人が全く気が付けていない中で『先読み』すらしているヤツなんだ、と。 　燃えた街でのファーストオーダーが終わった、どことなく知っている街に似ていたのに最早全く知らない街の災禍。ドクターとダ・ヴィンチちゃんが精一杯ナビをしてくれて、白百合の騎士と青き魔法使いと堅牢な盾乙女と、そしてバンカラな侍が居たから。 　街の外れの昏い崖を見上げる、そこに立っていた真っ黒に染まったようなあの人はだれだったの。そしてどうして、憎悪に染まってしまったの。あなたは本来ならばもっと違うのではないの。色々な想いが絡まっては苦い後味がカラカラと口を奔る。 「……これで、いいですか……？」 「……及第点。よう踏ん張ったにゃあ」 「う……ううっ……、泣いちゃだめ、泣いちゃ」 「アホ、泣ける時に泣け、いっとう早い」 「先輩……お気持ちは……わかりますが」 「……おまんもじゃ、内気なクセにあれっぱあ無茶しちょったがじゃ、誰にも言う気はないき、泣け」 　岡田以蔵という男は綺麗事を言わない、こうやってあの燃え燻った街の瓦礫の中で啜り泣く私達にすら言わないのだから、のちのち彼の友人から聞いた話ですらウソを吐けず終いだった人だとも知る。あの最初のオーダーが無事終わって、そして泣いてもいいから黙って泣けと言い切った以蔵さんが居てくれたから、もしかしたら私たちは人理修復という無茶難題ができたのかも知れない―― 　＊ 　随分、色々な時代や場所を皆で懸命に駆け抜けた。フランスの大混乱と二人のジャンヌ。薔薇の皇帝が弾けるように微笑み絶やさぬ古代ローマの洛陽。海賊達が自分の信念だけで突き進む清々しき大航海時代。陰謀渦巻く霧の都の赤雷と二つの自我のデコボコ二人。色々、ふいと思い返すだけでも出会いと別れを数多重ねた。 　もちろんの事、カルデアに力を貸してくれるサーヴァントも多くなってはきた、それでも藤丸立香の心の中にある説明の難しいモヤモヤばかりがどんどん大きく、嵩を増して募るのだ。 ――立香が持て余していた気持ちにはきちんと名前がある事を、藤丸立香本人が知らなかった。 　フランスで力を貸してくれ召喚に応じた姫君マリー、それとも同じくフランスにて出逢ったおてんばトラブル姫君エリザベートは簡単にその答えを出してしまうのだろう。そうしてエウリュアレという永遠の乙女神がその感情にぐっさりと抜けない矢をアッサリと穿つのだろう。 ――それを人は恋心と呼ぶのだから。 　＊ 　大昔と比べたら随分やかましい程に賑やかになったな、と、岡田以蔵は食堂の端の方で焼き魚をつついて食べている。そこへ来た緑色の弓兵、ロビンフットが『オタク、相変わらず真面目なメシ食ってんな』とテーブルの対面に陣取る。どことなく彼等は似ていた、面倒事の後始末によく駆り出されてしまったり喫煙ルームでよく見ていたりしていたら、そこそこ話すようにはなった。そこそこ貧乏クジタイプの類似項目。 「おるじゃろ、青い赤槍のにいやんが、ぶっとい魚が大漁やったんじゃと」 「あぁそういう……にしても旦那、綺麗に魚食べるタイプだったのな」 「そがな教育しかわしゃ受けちょらん」 「だからそこが偉いっつう話なんだけどコレ」 　しれっと話す間柄になったのも、顔を合わせて身構える事無くおはようを交わして中身の無い会話をする様になったのも、男同士だからなのか一度背中を預けたからなのか否か。 　アレはどうした金髪のガキ。と、バンカラが問うと、あいつまだ爆睡中。と、緑の弓兵が答える。サーヴァントは睡眠を必要としないらしいのだが、生前が人間だったサーヴァントは割と睡眠を好む、というよりも『寝てないと調子が狂う』との事で眠る。英霊とは呼ばれているものの、元々が人間だった類は飯を喰ろうて眠りを欲す事が『彼等の当たり前』だった故に、その轍を辿る生活を送るのだ。 「ごちそーさん。じゃ、行きますか」 「ごっそさん……おう、えいぞ」 「うーっすいたいた、行こうぜ」 　返却棚に食器を片付けていた二名の背後に、件の釣りバカ一本槍が一人手を振って待ち構えている。行き先は不健康ゾーン喫煙所、どうせタールニコチンなんかは毒にすらならない、エーテル体である以上、リセットさえすればハイ綺麗サッパリ。その辺だけをピックアップするなら禁煙してしまえにはなるのだが、生前スモーカー拗らせていた三名には禁煙概念が更に消えた。永久に吸える、ぐらいにしか思っていない。 　三匹の野郎共がゾロゾロと廊下を闊歩せし、一番身長の低いバンカラ侍ですら『大男分類』なのだから。すれ違った『ほぼ二メートル』の海賊、黒髭ことエドワード・ティーチすら大笑いで『今からカツアゲにでも行くワケ？　やだ拙者有金ジャンプさせられちゃう！』とふざけて声を掛ける。慣れたことなので無視決め込んで歩くと、やだぁー無視されたァーなどと気持ちの悪い声が背後から。 「……アホじゃの」 「……気にしたら負け」 「……この絡み通算何回目？」 いつものように呑気な日常、だがしかしこれは束の間の休息という『細切れの非日常』という事を三人は薄々と感じている、スタッフの歩行速度や態度や抱えたデータの類の量からしても。割とその辺を見てしまう様な抜かり無さの持ち主達は、黙って喫煙所にゾロゾロ入る。呑気な不健康大人がヤニチャージしにきましたという体で、感じ取った異常をボソボソと断片的に伝える、これもそれも仕事。 「……おまんら、どう思うながか？」
March 28, 2025 at 12:10 PM
mat2nd.bsky.social
ついに腐りそうになっていたプロットをリサイクルして【以ぐだ♀『冬木でまさかの岡田がガチャで来た』をクソ真面目にした】の半分くらいまでです。繋がってます。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ミッシングアース(以ぐだ♀途中迄)」、「マツザキ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 ミッシングアース ――あれは人理修復をしたあとの、そう、修復が完了して丁度半年程のあとの事だった気がする。 　カルデアスに淡く燈される青を見て、藤丸立香という最後のマスター……つまり私と、大切な後輩のマシュ、そして私の大切な存在である以蔵さんは、上を向いたままで溜息を漏らす。ここは南極に座する基地、それでも科学力のおかげで『わたしたち』はブリザードや磁場嵐などに護られているのだ。ヒトの存在理由は守られた、あまりにも手から溢してしまったものは大きいのに、大きすぎたのだけれども。 「これから、どうなるんだろうね」 「私もわからないのですけれども」 「……おまんらみたいな娘っ子の肩に、こがぁなふっといモンが載せられちょったながか」 　私も、マシュも、低い声の小さな呟きを耳にした。依然として青の擬似地球や天球儀を見る黄金色の瞳と、まっすぐな視線の先でゆっくり廻るカルデアスシステムがある。 「……えずかったにゃあ、けんど、よう気張ったにゃあ……」 　目線を移さずに私とマシュに労いの言葉を掛ける、このインバネスコートの侍にだってかなり助太刀に入ってもらい、こじ開けた突破口だってあるのに。 「あの、岡田さん……」 「……以蔵さん……」 「こがなことなかったら三人逢う事もなかったろうけ んども、にしても、にゃあ……」 　インバネスコートの侍は、二人の女の子がどれだけ悔し涙や怖い思いを押し込めてまで戦ったのかを知っている、謂わば古参と呼んでも差し支えない程に人理修復の旅に同行をしていた。その様子を今でも立香とマシュは覚えている。忘れたくても、忘れてしまうだけの時間すら経過していない程には、すぐそこの過去だとも言える。 　＊ 「召喚サークルに異変確認、でも明らかに悪い異変とも言い切れないんだよね、うーん……なんだろう、霊基が召喚に応じるような数値ではあるからね……レオナルドはどう思う？」 「まぁとりあえずモノは試しだよ、ロマン。もしかしたらこれで応じた霊基が後々戦力になり得ることもあるかもしれない、もっと何かを換える存在なのかもしれない、立香ちゃん頼んだよ！」 　マシュと立香はその召喚サークルを見て頷き合い、詠唱も無く二度目の顕現を待った。暗殺者の銀色カードが現れて即座。カードは銀の儘、刹那ホログラムの様な一瞬の虹色の光を飛ばしてサーヴァントが姿を現していく。裾がボロボロの袴、履き古したローファー、使い古されて長かろう二重回しともインバネスとも呼べる様なコート、腰には大小二本、熟れた柿みたいな色のマフラーを巻いて、長い黒髪を無造作に後ろでひとつに結んだ男が、ゆらりと周って黄金色の瞳を二人に向けて立つ。街がごうごうと燃えているその無惨な非日常に佇む、侍が時代錯誤一人。 「はじめての……アサシンクラス顕現です！」 「……わしはアサシンやない、人斬りじゃ。土佐の人斬り以蔵、そちらの方が名が通っちゅう」 「……ひときり……いぞう……もしかして……！」 「……先輩……どう、されましたか！？」 「ほぉん……こん嬢ちゃんはどうも知っちゅうらしいな、わしの事を」 「幕末の四大人斬り、その最強とも言われた土佐の岡田以蔵……マシュ、多分なんだけど……彼はセイバークラスとすら互角に戦えるようなお侍さん、私が知っているだけの歴史なら」 「アサシンクラス顕現にしてセイバーと互角……？」 　立香の強い光を携えた明星の瞳と、人斬り以蔵の靄が薄く掛かった満月の瞳が、ガチリぶつかる。夕暮れの薄い紫や淡い桃色の瞳を持った盾の乙女は慎重に見守り続ける、その人斬りの鉾が先輩へ襲いかかるのなら私が盾になる、と、ゆらり惑い前へ立つ。 「……あの、わたし藤丸立香って言います。日本人でこの前までただの高校生でした。だから、わからないことだらけなんです、知らないことだらけなんです、わかる事は……世界がとてもまずいらしいとか、そういう……どうしようもない、緊張、だけ、です……」 「……ほいたら要は、魔術師としても何もかも半人前の娘っ子にわしは呼び出されたっちゅう事やいか」 「反論が、うまく……出来ません……私は先輩のサーヴァント、シールダー、マシュ・キリエライトです」 「シールダーねぇ……エクストラクラスじゃろうけんど……今現在知らんがぶっとい手詰まりがあるき、わしが喚ばれた、間違いやぁないろう？」 　浪人みたいなバンカラ粗雑な服装の侍は、くつくつ笑って二人の若い娘を見る。随分今回はめちゃくちゃな経緯じゃないか、と、どこか不敵に状況を面白がる様に。先程までのあり得ない空気の緊張は、ふと消え 失せた。不思議に思った二人の女の子達の頭を不敵な笑みは崩さぬ儘、長身を屈めて徐に頭をぽんぽん撫でてやる。不快な気持ちは不思議と誰も、なかった。 「わしは仕事なら抜かりなくやる主義じゃ、ほやけんどまだおまんら娘っ子の事を『マスター』と『シールダー』とは認められんのぉ……」 「そんな……！」 「じゃあ……ッ」 「はやりな、まぁ訊け。『藤丸立香』が『マシュ・キリエライト』のマスターやとわしにしっかと見せろ。勿論その間、喚ばれた以上は護衛仕事ぐらいしちゃるきに……ほれでえいな？」 ――それは最初に飛ばされた火の海の中の街での、全ての始まり。 　青くて背の高いルーン魔術を使うお兄さん……キャスターとしてのケルトのクー・フーリン、にも力を借りてみんなで何とかさせたのだ。同時に召喚に応じてくれたフランスの麗しき竜騎士、シュヴァリエ・デオンは『マスター、彼は……あのサムライは、味方にして正解だったと思うよ、わたしもそう思うのだから』と、まるでお姫様が騎士になったみたいな顔で笑った。実際の所、物腰の柔らかなデオンにはとても助けられた。しかしそれ以上、これはなんたる悔しさだろうか、あのバンカラみたいな侍は『藤丸立香は自身のマスターに非ず』とまで鼻で嗤って言い切っていたのに、私がまずいと危機を察知した刹那にはもう、全てバンカラ侍に敵は斬り伏せられていた事数多。 「……無事か？」 「え、あ……あの、なんで……」 「……あ？」 「……岡田さんは何故私を、認めてすらいない私を、
March 28, 2025 at 12:10 PM
mat2nd.bsky.social
introの由来は「スチール弁当箱ひずみ」かつとある「そういう意味もあったな」から
　――この地下のコンクリート壁の隠り世に入り浸るような人間なんか、ほとんど何を考えているのかもわからない、ただこれだけは、そうだろう事がある、『利己的だから人間を好きになりたくない、自分が傷付けられてしまうのだけは勘弁してくれ』という事。 　提案として憧れていた筈のバンドのベーシストから述べられた事、それはかなり博打性の高い有効打だった。彼の鋭い眼と精悍な顔がひどく近くにある、アイドルだって人間でしかないのだから恐怖も不安も持つ。勿論のこと、恋心だって持っても仕方がないからアイドルが出来るだけだろうに。 　 　――わしん女のフリをせえ、ほいたら迂闊に手らぁ出せんきの、えいな？ 　 　単純に憧れていた筈の人間に、どうしてここまで酷いことを言われるのだ。どうしてここまで世話してくれるのだろうか。どうしてあなたはそうやって、たったひとりの女の子として私を思い遣っているのか。あなたはどうして私なんかを覚えていたのだ。 　 　その地下に鮮やかへ咲く偶像は、地下で嘆きを撒き散らかす男の真っ直ぐな瞳を見詰 める事しか出来なかった。その瞳の色は澄んだ冬の夜空に輝くみたいにはっきりとした輝きを伴っているのに。 　――何故、寂しさが拭えない色をしている？　
March 27, 2025 at 3:40 PM
mat2nd.bsky.social
クソバカ平行させてド辛辣以ぐだ♀話までも
デア時空と現代時空が並行世界的両立存在の理由ありきでド辛辣
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「OCTAVIO(現軸とデア軸 以ぐだ♀)」、「マツザキ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　ｉｎｔｒｏ　［　π　］ 　 　地下にある轟音渦巻く空間に、劈く音と唸る音ばかり暴れ回る理由なら簡単だ、全てやるせないから。そのやるせなさを何処か何時か持ってしまった、だからこうして取り留めもなくマイクに罵声の様な声を浴びせたり、ぶん殴る様にピックなんかを掻き毟って弦に叩きつけたり、目の前のスネアドラムやペダルでバスドラムをカチ割るような真似をするだけ。随分これでも一般論として述べただけで実のところ、誰がどう思っているのかなんて殆どどうでもいい事実。ライブハウスなんかどうせ後ろ暗いなにかを持って、重いドアを開くもの。そう、思っていた、今までは。 　 　たまたまハコの後ろ側にある物販席の荷物番を頼まれた岡田以蔵。物販に来たひとりの女の子を見て何かの既視感を手繰ったのだが、先程まで自分を焦がしていたホリゾンの熱波に頭が回っていないのかイマイチ上手く、まとまらなかった。 　 「あの、すごく、かっこよかったです……ＣＤ、是非、買わせてください！」 「お……おん……ありがとう、ございます……」 「本当に……迫力あって、特にベースとドラムがちゃんと噛み合って……貫いててよかったです！」 「あー、それはどうも……三枚で三千円です……」 　 　物販に座っている男こそその褒められたベースを弾いていたので、どうコメントするべきかを困ってミニアルバムを渡して三千円を受け止った、その時。女の子の顔をふいに見た時。セットリストに組んだ曲中、少しの弛みによって相当狂ったリズムをベースとドラムで立て直す時の様な、独特の、どっしりとした確信と冷や汗がじとりと首筋を伝う様な感覚に襲われた。 　 「……失礼やけんど、ハコ慣れしちゅうがです？」 「あ……いやー、たまにライブハウス行くのが趣味みたいなものなので、あはは！」 「……前、ぼっちりおまさんがここんハコで演っちょったん覚えちょるわ……『リツカ』ちゃん？」 「え……えっ……うそ……バレて……？」 　 　大きな瞳と薄化粧でラフな格好なのにすぐ『本人だ』と判ったのはその女の子とはたしか半年前、そう丁度地下アイドルとの対バンクリスマス企画で見たのだから。地下アイドルと対バンなぞどうせ演者からしてもアウェイの空気や一種の疎外感しかあるまい、そう思って楽屋近くの廊下とも形容出来ないスペースからフロアを見ていた、精々前座のアイドル達と嘲笑し。 　その中でも一際、笑顔を振りまいて縦横無尽に上手から下手まで駆け抜けるような『アイドル』がたった一人いた、イメージカラーのオレンジ色の衣装を纏いながら元気一杯に、そのアイドルは暁の様に、照らし照らされていた。 　ベースのヘッドを支えた左の掌がじっとり濡れ出す、こちらが今まさに鼻で嗤った存在への様々な感情がバラバラのめちゃくちゃで、こんなのどうやって他パートにミキシング出来るのかもわからない。なんだこれはなんなのだ、嗤えない、あまりにも巧く客席を操っている、笑顔絶やさず体力的に無茶をしている、それでもその素振りを見せない、嗚呼この子は。 　そのクリスマスの夜、バンドマンの岡田は地下アイドルリツカの存在を叩きつけられた。鮮やかな迄に惨敗を喫しているのに不思議と得をした気分で。だから少し面白いオモチャからこちらへ予想外に寄ってきたな、その瞬間はたしかにそう思っただけ。 　 「あっ……あの、スミマセンあの時から……実はワタシ、ファンでして……あの……曲が好きで……かっこいいじゃないです、か……」 「ほぉーん……へぇー……かあええ顔しちゅうて趣味がちっくと……ま、ありがとにゃあ」 「あっ、はい、応援してます！」 「フッ……ハハッ……おまんも気ィ付けやァ」 　 　ガタリと物販席から男が立ち上がる、お互いおそらく相当身長差があるだろうなとぼうっと男を見てそんな他愛のない事を思っていたアイドルに、黒い長髪のバンドマンがそっと耳打ちする。先程の面白がる気配なんて微塵もなく。むしろかなり厳しい声だった。 　 『……おい、さっきから尾行（つ）けられゆうがぞ、やき気ィ付けちょけ言うたんじゃ』 『……えっ……ウソ、そんな今日プライベートで』 　
March 27, 2025 at 3:40 PM
mat2nd.bsky.social
全くジャンル違うんですけど過去やらかしセルフ処刑しておきます
＊はじめての頒布
March 27, 2025 at 3:13 PM
mat2nd.bsky.social
またも胡散臭い話を書いてます以ぐだ♀
成り行きでバスターズさせられた二名による「無茶にも程がある」とバイオレンス現場のアドレナリン最強じゃんネタです
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「怪異魍魎バスターズ(以ぐだ♀)」、「マツザキ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　ブラックではないがよくないバイトもある。 　やっている事は真っ当ホワイティなのだが、とりあえず労働内容としてなら極端な体力が必要ブラックなる『極限バイト』とは、この世の必要悪だろう。 　 　藤丸立香、ただの大学生活一年目の女の子。 　 　受かった大学に無事入って一ヵ月程した頃に『よしバイトやろう』と、よしスタバいこう的なノリで行った先で藤丸立香は最初からえらい目にフルで遭った。 　ふわふわした気温が甘い匂いを風にくすぐらせて運んでる、近くのちいさなパン屋までのなだらかな道のりに連なる散歩だけが、今のところ立香の味方だ。 　そろそろ日差しが強くなる間際、中間の季節はいつも眠気を齎すから帰ったら一眠りでもしたくなる。 　などなんかボケたらしく思う程には、とにかく立香は関節全てと精神激痛だった。何故身体が動くのだ。 　 　そもそもがまず、事務だと聞かされて事務所バイトへいったのに、成り行き的に魑魅魍魎とか謎の生命体みたいな奴らと戦わされた、騙されるにも程がある。そして、已む無く危険な状況からして器物破損したら高額破損極まりない被害だったらしく、なんとまぁ不良債権を背負わされた、弁償である。それでも時給千六百円なのは天引き諸々考えたとしても清々しく怪しいにも際限がない。とどめに、散々バイト先の現場担当である高知弁のチンピラヤカラーイクイップが日本刀と生命からがらアドレナリンだけで解決したら不本意的に無事本採用。どちらもあの時、魑魅魍魎に喰われかけの大絶叫阿鼻叫喚極まりない悲惨しか覚えてないのだが。 　 　はぁ……と、ノー講義ノーバイトデーを満喫するには肩身が狭すぎる重さを伴う、そう前期修了が近い、そうなのである。 　莫大な夏休み、日数にして約三ヵ月強、マジでヒマになってしまう。ほぼ一般教養講義中なので本気でヒマなのだ、本当に本当にどうしようったらどうしよう。 　どう考えてもあの極悪バイト行きにしか、ならない。 　パン屋でいつものクロワッサンとクリームパンとこしあんぱんとバゲットを購入した、立香がカッチャンカッチャンと手のトングでアンビジブルな何かへ威嚇していたのは疲れていたから、大体の人間はそうだからどうだっていい、とにかく疲労困憊思考停止だった。 　 　たらたら歩いて帰って春風がくすぐったいなぁウフフなどとのほほんちんたら着いたアパートの下で立香が見たのは、引越しのトラック一台と大家さんであるレオナルドさんと男性の誰かさんだった。 　レオナルドさん家のダ・ヴィンチちゃんと娘のコ・ヴィンチちゃんとニューカマー住人に爽やか挨拶しようとした立香は挨拶の声を出したことを相当後悔した。 　声に出した後だと取り返しがきかない。 　そう、学習させられてしまった、ひどい有様で。 　 「はじめまし……イヤ程見た顔ーッ！」 「お初に……アホ程知っちゅうわッ！」 「立香ちゃんおかえり、君の隣の角部屋が空いてただろう、今日から住む岡田君だよ！」 「あ……はい……ええー、うそぉー……」 「オイ……おまん、ドン引きやいか……」 「……ちなみに立香ちゃんは彼氏募集中、岡田君は彼女絶賛募集中だよ！」 　 　高知が誇るチンピラ怪異辻斬りアラサー――私服だとただの元ヤン社会人岡田以蔵と、何が悲しくて隣人にならねばならないのだろうか。 　大学生活のヒビ割れの音を遠くで傍観した藤丸立香の頭の中で勝手にデタラメな方程式が作られている。何かの何かが定義されていくのに不毛。 　約二十センチ上の鋭い瞳には『また騙された』とだけぐるぐる回っていた。脱水よりも速いスピードで彼も振り回され炙られたたかれ終いに塩かポン酢で喰われかけ。 　 　まないたのビチビチかつお二名様、女の子は目をゆっくりボックリ右往左往さ
March 27, 2025 at 9:53 AM