「げ」 「ふん、開口一番随分な挨拶だな。それともお前にとってはそれが歓迎の態度か？」 病室のベッドで身を起こしていた日向は、こちらを見て悪戯がバレた子どもの様な顔になった。手元に寄せられたオーバーテーブルの上には無機質なパソコンが鎮座している。彼はプライベートでパソコンを所持して

強制的に沈んだ意識が、ゆっくりと引き上げられる。 「……く……えて……すか？」 ノイズ混じりに誰かの声が聞こえた。――誰か？ （いや、……この声は） 一瞬浮かんだ問いを、苗木は頭の中で即座に否定した。 だって、忘れるはずがない。甘くてやさしくて、けれどどこかせつないその響きを、…