二人の攻防は月が顔を出す位にまで続き、とうとう折れた謝憐がとある条件を出した。

「…分かった、このまま続けて立って埒が明かない。だからこうしよう、私が卒業するまでの1年間の内に私を恋に落として」
「え…？」

謝憐な不可解な提案に今度は花城が聞き返す番だ。

「哥哥それは一体どういう…」
「ごほん、だから…私を口説いてくれって意味だ」

最後の方は流石に恥ずかしかったのか尻すぼみになって聞き取りにくかったが、要は口説き落とせとのことらしい。幸いにも口でならば花城の得意分野だ。花城はすぐに気を取り直してにこりと笑い、謝憐との距離を半歩詰め、宣戦布告を囁いた。

「哥哥、覚悟しててね」

🦋「あははっそうだよね、気持ち悪いことを言って貴方に迷惑をかけちゃった。…ごめん」
🌸「違う！気持ち悪くなんてないし嬉しかった。でも私達は同性だから…」
🦋「そんなこと…俺にとっては些細なことだよ」
🌸「ううん、きっと君の勘違いだよ。ほ、ほら！幼い時から知り合っていただろう？きっとそれで…」
🦋「違う」
🌸「勘違いだから…だから君の想いには応えられない。君には私なんかよりもっと相応しい人が現れるから」
🦋「そんなのは現れない。今までもこれからも…俺には哥哥だけなんだ」