久住ヒロ
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久住ヒロ
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ここでは読書記録や忘備録を書いていきます。
基本的に知り合い以外は返信、フォロー返しなどはしない予定です。
「をんごく」読了。第43回横溝ミステリ&ホラー大賞三冠受賞作。大正時代の船場を舞台にした正統派の怪異譚。端正な文章で紡がれる人情話や恐ろしくも哀しい幽霊の描写に、なんと格調の高いジャパニーズホラーかと読み進めていたら、エリマキの登場に度肝を抜かれた。「こいつだけジャンル違くない???」となるほどあざとく設定が盛られた人外退魔師のキャラの立ちぶりにこちらも完全に引き込まれてしまった。比嘉琴子だってもうちょっと影に徹するだろ。これで作中の空気を壊してないのだから恐れ入る。クライマックスの怒涛の活躍ぶりも気持ちいい。こんなキャラ小説だと思わなかったのでびっくりしたが、面白かったです。続編希望。
February 28, 2024 at 12:57 AM
「慟哭」読了。連続幼女誘拐殺人の解決を目指すエリート警視の話と、喪失感を抱え新興宗教にのめり込む男の話が交互に描かれる。一見無関係に見える両者の話が次第に接近していき、やがて思いもかけない真相が明かされる。文章が非常に端正で読みやすく、バラバラの話が進行してるのに全く混乱せず読み進められてしまう。これを当時25歳の作者が書いたというのだから驚き。読者の物語への興味の持たせ方、感情の持っていきかせ方がとにかく上手い。ラストの救いのなさが本当にやるせ無い。
February 27, 2024 at 6:05 AM
「三つの棺」読了。密室トリックで有名な古典ミステリー。ディスクン・カーは初めて読んだが面白かった!トリック頑張って見破ろうと思ったけど、全然わからず。悔しい。そんなに都合よく成立するのか?という疑問はあれど、矛盾を整理していく手腕は見事。あとこの怪奇趣味は世代的に金田一少年を連想する。これから読まれる方はまず「黄色い部屋の謎」を読まれることをオススメする。ネタバレ喰らうので。別の小説でも同じく「黄色い部屋の謎」の言及を見かけたので、ミステリーに与える影響は大きかったのだなと実感する。
February 27, 2024 at 6:00 AM
「星を継ぐもの」新版を読了。21世紀、人類な太陽系探査に乗り出した時代、月面から5万年以上前に死亡した人間の遺体が発見される。チャーリーと名付けられた人物は何者か。彼はどこからきたのか。
SF好きなら誰もが知るあらすじだが、実はこの本はずっと読んでいなかった。なので今更ながら読み通し、今更ながらに感動してしまった。科学的推論に基づいた展開を愚直に推し進める作風がミステリーとしての評価を高めたのだろうが、やはりホーガン作品に特徴的なのは、科学技術や未来に対して語る際の屈託のなさだろう。
今となってはあまりに無邪気すぎるその語り口の眩さに、ホーガン亡き後もSF者は魅了されていくのかもしれない。
February 18, 2024 at 8:43 PM
「虚無への供物」を読了。官能的とも言える文章で幻惑させられるアンチミステリーの金字塔。他にアンチミステリーと呼ばれる作品がどんなものか寡聞にして知らないが、現代でもなお古典として語り継がれるりゆうがよくわかる。実は作品のオチは先に知ってしまった状態で読んでいたのだが、本格ミステリーによくあるパズル的趣向を凝らすというより、「現実にフィクション性を見出す者たち」への批判を非常に真っ当な観点から描いていることに驚いた。なんでもないところから符号を見出し、意味付けして物語化してしまう人間の罪を描いた作品として本作を読みました。面白かったぁ、
February 17, 2024 at 12:09 PM
積読本の消化合戦、次は「虚無への供物」に挑むか。
February 11, 2024 at 1:18 PM
ドストエフスキー、生きてる間に「悪霊」と「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」は読まねば、という使命感は持っているので、この3作もいつかきちんと読み終えたい。
February 11, 2024 at 1:16 PM
ドストエフスキー、「地下室の手記」(亀山郁夫訳)を読了。恥ずかしながらこれまで読んでいなかったドストエフスキーの小説を初めて読見通せた。ドストエフスキー小説読破の実績解除!自意識の拗らせた中年の独白がずっと続く第一部と、娼婦リーザとの関係との拗らせた青春の告白に、読んでるこちら側の心理を重ねてしまう場面が多々あり身悶えしそうになるが、しかし「生き生きとした生活」にしがみつきながら、外部の指針(作中では書物)がなければ人間は自分のあり方を見失うと説く最後のくだりは作家が生きた時代から160年が経つ今も尚、現代人を鋭く刺してくる力がある。このタイミング読めて良かったかもしれない。
February 11, 2024 at 1:15 PM
吉田知子の短編集「お供え」、読了。日常の風景がどんどん異化していき、気がつけばどことも知れぬ場所に迷い込んでしまう。どの短編も作中で起きてる出来事の説明はなく、これが夢なのか幻なのかも区別がつかないが、自分もどこかで似たような体験をしたような不安を掻き立てられる。家に供えられる花から端を発し、いつのまにか神様に祀られる「お供え」も良かったが、一番印象に残ったのは「海梯」。従兄弟との散歩中に目にするポールに書かれた落書きの描写がとにかく怖い、
会話の最中にノイズのように差し込まれて、「自分もこんなふうに他のところへ意識が飛ぶことあるなぁ」と実感させられる。とにかく面白かったぁ。
February 10, 2024 at 10:31 AM
近所の書店がいつのまにか閉店していた。資料系の本が充実していてとてもお世話になった書店。閉店していたという事実もだが、閉店にずっと気づかず、毎日を過ごしていた自分にショックを受けている。あんなに通っていたのに、いつのまに足が遠のいていたのか。いろいろと申し訳なさが勝手に募って、落ち込んでいる……
February 10, 2024 at 8:50 AM