途端に凍てつく空気。やっちゃったなおまえ…と同情の視線がビマに降り注ぐ。けれどもヨダは仕方なさそうに笑って続けた。
「であれば今世はワシサマだけを見て、ワシサマのためだけに生きると誓え。他の者に目移りなどされぬようにな。おまえがワシサマのことを愛するように、ワシサマだっておまえのことは嫌いでは…ないのだから」
言い終えるやいなや、ビマはヨダに飛びついた。床に倒れ込み、力強くヨダを抱きしめて泣くビマと、慰めるようにあやすヨダ。生前では見られなかった光景が、デアの片隅で祝福を帯びていた。
途端に凍てつく空気。やっちゃったなおまえ…と同情の視線がビマに降り注ぐ。けれどもヨダは仕方なさそうに笑って続けた。
「であれば今世はワシサマだけを見て、ワシサマのためだけに生きると誓え。他の者に目移りなどされぬようにな。おまえがワシサマのことを愛するように、ワシサマだっておまえのことは嫌いでは…ないのだから」
言い終えるやいなや、ビマはヨダに飛びついた。床に倒れ込み、力強くヨダを抱きしめて泣くビマと、慰めるようにあやすヨダ。生前では見られなかった光景が、デアの片隅で祝福を帯びていた。
「なあヨダ。おまえがレウスを好きだって俺は知ってる。だけどそれでも構わない。ずっと、ずっと好きだった。何千年だって、何万年だって俺はお前の傍でただ寄り添っていたいんだ」
「なあヨダ。おまえがレウスを好きだって俺は知ってる。だけどそれでも構わない。ずっと、ずっと好きだった。何千年だって、何万年だって俺はお前の傍でただ寄り添っていたいんだ」
「…ワシサマのカルに勝てたなら考えてやってもいい」
突如指名されたカルだが、ビマが二の句を継ぐ前にすっと通る声で了承を示した。
「承知した。他ならぬお前のために、オレが勝利を捧げよう」
「…ワシサマのカルに勝てたなら考えてやってもいい」
突如指名されたカルだが、ビマが二の句を継ぐ前にすっと通る声で了承を示した。
「承知した。他ならぬお前のために、オレが勝利を捧げよう」
「例えおまえがどんな英雄を好きになろうと、必ず振り向かせて見せる!だから、おまえが懸想して枕を濡らすその時間を、どうか俺におまえと過ごす時間をくれ…!」
突然始まった自分との戦いに、見守っていた者はみな首を傾げた。しかも190cm90kgが乙女のように枕を濡らすと言う。恋は盲目とはよく言ったものだ。
「例えおまえがどんな英雄を好きになろうと、必ず振り向かせて見せる!だから、おまえが懸想して枕を濡らすその時間を、どうか俺におまえと過ごす時間をくれ…!」
突然始まった自分との戦いに、見守っていた者はみな首を傾げた。しかも190cm90kgが乙女のように枕を濡らすと言う。恋は盲目とはよく言ったものだ。
「いや、だが……」
「もとより厨房は私達で回していたんだ。一人休憩に入るくらいどうってことないさ」
「うむ、礼はいらんからキャットフードを持ってくるといいぞ!」
気になるな~、恋の行方が気になるな~とそわそわした厨房組はせかせかとビマを追い立てる。
「いや、だが……」
「もとより厨房は私達で回していたんだ。一人休憩に入るくらいどうってことないさ」
「うむ、礼はいらんからキャットフードを持ってくるといいぞ!」
気になるな~、恋の行方が気になるな~とそわそわした厨房組はせかせかとビマを追い立てる。
前世での悲願は別の自分が果たし、ここにいる自分にはもはやビマと敵対する必要がない。
「兄上をあのクソゴリラには渡さねーからな!!」
と頭の中で叫んでいた弟達も、満更でもなさそうなヨダの様子を察して黙り込んでいる。
恋とはどんなものかしら。真っ赤なヨダに気づいた音楽家は囃し立てるようにアリアをつむぎ、様子を見ていた鯖も職員も既に祝福モードになってしまった。
前世での悲願は別の自分が果たし、ここにいる自分にはもはやビマと敵対する必要がない。
「兄上をあのクソゴリラには渡さねーからな!!」
と頭の中で叫んでいた弟達も、満更でもなさそうなヨダの様子を察して黙り込んでいる。
恋とはどんなものかしら。真っ赤なヨダに気づいた音楽家は囃し立てるようにアリアをつむぎ、様子を見ていた鯖も職員も既に祝福モードになってしまった。
「は?一体何のことを言っておる」
「あ?違ったのか。そりゃ失敬。アンタんとこの兄さんの向ける目が、恋人へのそれに見えたもんでな」
余計なお節介だったな、じゃあ。などと手を振って去っていく男の言葉を思い出し、ヨダはみるみる顔が赤くなっていった。
「は?一体何のことを言っておる」
「あ?違ったのか。そりゃ失敬。アンタんとこの兄さんの向ける目が、恋人へのそれに見えたもんでな」
余計なお節介だったな、じゃあ。などと手を振って去っていく男の言葉を思い出し、ヨダはみるみる顔が赤くなっていった。