ことほぎ
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小説置き場 |字数制限なし |お題なし
パチパチと音を立てながら火の粉が舞う。焚き火の傍らに座りながら、戦友のネックレスを眺める。細いチェーンの先に、シルバーのクロスが付いている。彼の遺品は、これしか持ってくる事ができなかった。
俺と戦友だった彼は、子供の頃から一緒で傭兵になって金を稼ぎ、いつか自分たちの兵団を作って国を手に入れるのが夢だった。
だが、先日の戦争で、俺の戦友は背中に剣を突き刺されて死んだ。不意打ちの出来事で、驚いた表情の彼と一瞬目が合った。そして、その後彼は静かに笑った。
あの時どうして彼が笑ったかはわからない。ただ託されたのだ。俺たちの夢を。
赤く燃え盛る炎の中に、ネックレスを放り込み、俺は立ち上がる。
January 27, 2026 at 3:31 AM
冴えない眼鏡に地味な顔立ち。年齢は私の5つ上らしいが、申し訳ないけど10個上と言われても信じてしまう風貌だ。決して誰かに怒ってるところを見たことがない温厚な性格で、部下や上司からは慕われているようだ。優しい喋り方で落ち着いた低い声。その声で「おはよう」「いつもお疲れ様」「早く帰ってね」と言われると、お局にいびられて大嫌いな職場も悪くない、むしろ楽園とさえ思えてしまう。
…あのね、主任。私、主任が好きですよ。
「僕なんてイケメンじゃないから彼女できないんだ!」って飲み会で嘆いてたけど、私、主任の彼女になりたいです。その低い声で私だけに愛を囁いてください。
January 25, 2026 at 12:39 PM
「じゃあ、元気で」
付き合って7年、同棲して6年半の最後のセリフが随分あっさりしているなぁと思いつつ、彼の背中を私は黙って見送る。バタンとドアが閉まる音が私一人になった部屋に響く。
別れの理由は、彼に新しく好きな人ができたからだった。一つ下の会社の後輩らしい。彼と結婚すると思っていた私は、その話を聞かされた時、すぐに理解することができなかった。今も悪い夢なのではと思っている自分がいる。
夜ご飯のカレーの材料を切りながら、7年間の思い出を思い出していた。この思い出も彼への想いも全ていつか消えちゃうのかな。玉ねぎを切っていると涙が溢れた。もう一人なのに、いつもと同じくカレーを作りすぎてしまった。
January 24, 2026 at 1:41 PM
僕がギターを始めたのは、女の子にモテたかったからでも、ロックが好きだったわけでもない。片思いしてるあの子が音楽が好きだと人伝に聞いたから、いつか彼女にラブソングを送りたくて始めた。軽音サークルに入り、練習に明け暮れ、ついにライブ当日。客席の前方に彼女はいた。何ヶ月も想いを込めて作った曲。彼女のことだけ考えて歌った。今、このステージは君だけのものだよと言わんばかりに、僕はギターを掻き鳴らす。ふと彼女を見たら、彼女はベースの先輩を恍惚とした表情で見つめていた。僕は全てを悟った。彼女を想って作ったラブソングは、どうやら失恋ソングになってしまった。よそ見をしてたら演奏を間違えた。弦も2本切れた。最低。
January 23, 2026 at 2:19 PM
マチアプで出会った彼女とは、もう何度か飲みに行っていて、友人以上の関係だと思っていた。俺は彼女に好意を抱いていて、彼女もきっと俺のこと悪く思っていなくて、このまま恋人になると思っていた。だから、「今晩は月が綺麗だね」って、彼女がなぜか悲しそうに笑いながら呟いたあの金曜の夜。俺は彼女にキスをした。唇と唇が離れた瞬間、彼女は少し驚いた表情を見せ、優しく微笑んだ。カーテンから月光が差し込む中、俺たちは何度も唇を交わした。目が覚めると彼女はいなくなっていて、俺はその日以来、彼女と連絡が取れなくなった。あれから10年。あの日と同じような月を見上げながら、もしかしたら彼女はあそこにいるのかもと思った。
January 23, 2026 at 1:00 PM