本当は形にして無配にしたかったけど間に合わなかった

それだけ言って意識を失った👔
🪕は泣きそうになりながら👔を抱きしめて自分の肉を抉り取る
「食べるのは先生、あなたの方ですよ」

嵐が去った後👔は無傷で見つかり、その後も怪我はすぐ治るしなかなか老けなくなる
なぜ自分が嵐に巻き込まれたのかも覚えていない
口元が血塗れだった理由も知らない
🪕との時間も全部忘れてしまった
でも何かに取り憑かれたように👔は🧜について研究するようになる
海の底には言葉の意味を理解した🧜がいるという噂にいつか辿り着くまで

「意味はわかっていなそうですね」
苦笑しながら貝殻を受け取る👔
🪕もなんでこんなことをしたのかよくわかってない
ただ👔には楽しそうな方が似合うなとは思っている
これをきっかけに交流が始まり、🪕に言葉を教える👔
今まで意味のない音でしかなかったものの意味を知ってしまう
親しくなり👔を「先生」と呼ぶようになる🪕
暫く楽しく過ごした後嵐が来る
最初は👔はちゃんと避難するんだけど🪕のことが気になって海に近づいてしまう
心配する必要なんてないのにね
案の定嵐に巻き込まれてしまう👔
🪕が助けてくれるんだけど安全な場所に着いた時点で既に瀕死
👔は青白い顔で笑いながら「僕が死んだら食べてくださいね」って

いくつかある🪕の歌のレパートリーの中に気になるものがあった👔
「……君、その歌詞の意味を知っていますか？」
つい話しかけてから無意味なことをしたと後悔する👔
当然返事はないが🪕も驚愕で目を見開いている
今まで同じ空間にいただけで交流らしいことはしていなかったのだから
でも👔の言葉の意味はわからなくて曖昧に首を傾げる🪕
「僕は何をやってるんだ」
頭を抱える👔を見て海に潜っていく🪕
数秒後貝殻を手に戻ってきてそれを👔の目の前に置く
「これを、僕に？」
問われても🪕には意味がわからない
今までに自分に浴びせられた言葉から物を渡すときに言われた言葉を探す
「ん……捧げます、あなたに」

研究者だという男が🪕の縄張りの近くに現れた
👔である
海の周りで何かを調べては去っていく
試しに何度か👔には姿を見せないように歌ってみたが彼が惑わされることはなかった
口にしている言葉も難解で🪕には理解が難しい
🪕が耳にしたことがある言葉は自身に惹かれた人間の支離滅裂な愛の言葉と、命乞い、それから断末魔だけである
👔は🪕の存在に気づいてはいるが構うこともなかった
真っ当な人間か、🧜の生態について少しでも知っている人間ならば🧜に気安く近寄ることはしない
お互いに「今日もいるな」という距離感で日々が過ぎていく
時折🪕は歌を口ずさんでいたがそれは獲物を誘うためのものではなく、ただの手慰みであった