「ねぇ、帝統。なんか怖い話など、持ち合わせてはおらぬか？」 おぬしに小説のネタを求めるのは、妾とて遺憾なのじゃが……から切り出された幻太郎の言葉に帝統は手元の競馬新聞から顔を上げた。 「怖い話だぁ？」 「無駄だよ、幻太郎！！帝統が言う怖い話はホラーっていうより、借金の肩に臓器取ら

十四から見て、波羅夷空却という男はどこからどうみてもその辺りの人間とは違う生き物だった。 見た目は確かに人間であるものの、身にまとう雰囲気が常人ではない。それは僧侶という普段は関わりの少ない職を目指している人間特有の空気感のようなものだと初めは思っていたのだが、どうやらそれもなん