キヌべぇ
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kinubee.bsky.social
キヌべぇ
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お、おつです……っタミフル
November 21, 2025 at 6:54 AM
「もし攻撃されてデータが破損したら一度戻って来い。バックアップがあるから復旧できる。ただし、バックアップ以降の学習記録(メモリ)を逐一保存しておく余裕はないから気をつけろよ。そこがやられたら一からだぞ」「相分かった」

(そろそろプロットまとめて文章に起こすべき)
November 20, 2025 at 11:25 PM
「…………三日月宗近(おれ)は、それを、やってみても良いだろうか」「ああ、勿論」俺がそういうと三日月宗近は素直に泣いた。最初はやや遠慮がちに、次第に嗚咽を含ませ、暫く後には大声をあげて号泣した。その泣き方は嬉し涙というよりは赤ん坊の産声に近いようだと思ったが、それが三日月宗近の泣き慣れていない所為なのか、三日月宗近自身が今産声をあげているような心地でいるのか、判別はつかなかった。
「……主」泣き終わった頃に三日月宗近は溢すように言った。「俺は、これを守りたい。俺の中に多大なものとして生まれたこれを、その源たるものを、守りたい」
November 20, 2025 at 11:25 PM
「人間が、今まで俺には学習という名の観察しか許されて来なかった人間が、俺に、ああ、これを何と表現すれば良い、先程からずっと検索(さが)しているのだが、これに合致するものが見つからない」「……嬉しい、でいいんじゃないのか」「その可能性は俺も真っ先に辿ったが合致しなかった。嬉しいとは、喜ぶとは、意識下にも無意識下にも、自分の願望が叶えられた時に使うものだ。俺は今までそんな願望など定義され(もっ)ていなかったのだから、俺にはその感情は当てはまらない」「それでも、お前は喜んでいいんだと思うよ。人間なら涙を流して泣いてもいいくらい、嬉しいことだと思う」
November 20, 2025 at 11:24 PM
俺はAI(おれ)だが、三日月宗近だった。それは問題ない、元々の目的通りだ。俺が三日月宗近でなければ、擬人化など成り立たない。だが三日月宗近は、俺が潜って垣間見た多くの歴史の中では、深く深く愛されていた。三日月宗近を研いで永くあれ、美しくあれと言った人間がいた。三日月宗近を目の前にして、誇らしげにその所有を誇った人間がいた。老いた鋼が少しでも安らげるよう、苦心した人間がいた。マザーに名がある、顔がある人間ばかりではなくて、ただの歴史の可能性の一つかもしれなくて、それでも確かに俺は、愛されていた。
November 20, 2025 at 11:24 PM
「俺が」差し出されたホログラムの手甲が震えていた。それが尋常でないということにしばらく気が付かなかった。三日月宗近は指先ばかりでなく肩を、胸元を、唇をわなわなと震わせ、その瞳さえも大きく揺らがせて俺を見つめていた。「俺が、なあ、俺だぞ」「俺が、俺が愛されていた、俺がだ」「ひとではなく俺が愛される、こんな、こんなことがあるのか」その瞳の揺れ方は、俺が人間として生きてきた二十年そこそこの経験をもってして間違いなく、泣き出しそうなほどの喜びによるものだった。
November 20, 2025 at 11:23 PM
(暇を潰す)
November 20, 2025 at 11:22 PM
「平安時代の装束……鎧直垂にすると武家政権以降と区別がつけにくくなるゆえ、貴族の装束を基にすべきだろうな。だが刀とすれば戦うのだろうからな…動き回るなら狩衣か。やや現代風になるよう、色は月を連想するよう金と紺を主体として艶やかに…装飾品が必要か?」「あった方がいいだろうな。一応戦うんだし鎧威をモチーフに、ただし狩衣だと分からなくならない程度の面積で……紺の上に重ねるなら色は金メインか?」「動きにくくはならんか?」「千年愛された刀だぞ、将軍家にも伝来したんだ、豪華に決まってる」「ではそうしよう」胸元に、髪に、しゃらしゃらと音を立てそうな飾りが提げられた。
November 20, 2025 at 11:21 PM
「物語」という情報で構成された刀剣男士にとって、自身の情報を弄り回されるのは耐え難い苦痛と屈辱があったことだろう。事実、審神者が知っている三番目の事実としてーー
三日月宗近は、あれから一度も審神者の前に姿を現していない。
June 20, 2025 at 7:47 AM
もう一つは襲撃者達が連れ去った三日月宗近に、それなり以上に手酷い仕打ちをしたらしいということ。政府は「拷問ないし虐待」と言葉を濁していたが、救出の際に審神者が見た限りでは、相手が人間ではなく刀剣男士だという点を考慮しても、なお非人道的と言える有様であった。装束は一糸も纏えぬまでに引き裂かれ、殴打、火傷、切創、咬創、白い肌で無事な所は何処にもない。枷が擦れたらしい手足は膿んで熱を持ち、口元と下半身にはーー流石に直視が憚られたのではっきりとは見ていないがーー凌辱の跡があった。刀剣男士の心身は人よりも丈夫だが、政府の話では情報を無理に抜き取ろうとした痕跡があったという。
June 20, 2025 at 7:45 AM
先日、審神者を襲う手の者があった。引き立てて行った先で政府の者が訊き出したには、現世で審神者に恨みを持っていた何某かが、既に現世にはない審神者に矛先を向けるため、歴史修正主義者を利用したーーあるいは歴史修正主義者の側が利用したのかもしれない。いずれにせよ彼らの所業と手口は、その罪状から政府の機密に守られるところとなり、審神者でさえ詳らかには知り得ない。
審神者が知り得ることは三つ。一つは審神者が襲撃された際、咄嗟に審神者を庇った近侍の三日月宗近が先方の手に落ちたということ。人質としてか、或いは他に目的があってのことか、襲撃者は三日月宗近を破壊せず、無力化して何処かへ連れ去った。
June 20, 2025 at 7:24 AM
本丸の朝は早い。夜戦組は暁前に戻って湯を使い、不寝番が欠伸を噛み殺しながら廊下を往く。厨では朝食の支度が着々と進み、御神刀は祈祷の準備に余念がない。昨日と同じく始まり、同じく明日へと続く営み。けれどもそこにはそこはかとない、昨日は無かった歪みが見え、その影を大きくして明日へと続く予感がある。審神者はその正体を知りつつも、強いて足を踏み込むのが躊躇われたままでいた。ーー三日月宗近である。
June 20, 2025 at 7:13 AM
「しりとりやってたらしい」「えっ」「単純な概念だって言っただろう。部屋の隅で蹲ってぶつぶつと一人しりとりやってる奴に、君、話しかけたいと思うか?」「確かに何か呟いてたけど、あれ祝詞じゃなかったのか」始まりからして見事な口上だったから、最中もそうしたものを唱えていると思い込んでいた。そもそも祝詞の具体的な言い回しや内容など、知識がなければ審神者でも理解し難いのだから。「最初は歌鎖やってたらしいが、途中でネタが尽きて最後はほとんどしりとりだったって言ってたぜ」「えぇ……」「とはいえ途中で躓いたり詰まったりしたら結界も切れるから、気は張ってたと思うけどな」
April 30, 2025 at 1:21 AM