きこ
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きこ
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成人済20↑のユメ女 / 自我あります / 雑多垢
シ💿 ≧ ほよば(‪hust🌱‬中心) > その他
意を決して言葉を発しようとしたものの、喉はがらがらで上手く声が出ず、思わず咳き込んでしまう。わたしは、どれほど眠っていたのだろう。
目の前の人は言葉を止め、なにかを期待するような目でわたしの手を見つめていた。
「ごめんなさい。わたし、何もわからなくて……。ここは、どこですか?……あなたは、誰ですか?」
「……は、」
彼が動きを止めた。そのときのわたしは、見開かれたシアンとマゼンタを見つめて、ただきれいだなとそう思うことしか出来なかった。
January 20, 2026 at 7:48 PM
いったいこの人は誰だろう。わたしを知っているのだろうか。
彼は毛布に投げ出されたわたしの右手を取る。痛みに眉をひそめると、焦ったように「……すみません」と小さく呟き、そっと手を包むだけに留めた。包帯越しに低い体温が伝わる。
「あなたを失いかけて、私はようやく自分の過ちに気づきました」
手に触れたまま、彼はうつむき、懺悔するように言った。言葉の意味は理解できなかった。けれど、その声の奥には、深い痛みと後悔が潜んでいて。わたしはこの人を知らないはずなのに、なぜか心臓が早鐘を打つ。
「あなたをこのような目に遭わせてしまった私が言うべきではないかもしれませんが……私はもう一度……」
「あ、の……」
January 20, 2026 at 7:48 PM
天井を眺めながら考え込んでいると、小さな靴音が近づいてきた。
がら、と扉が開く音に目を向ける。見知らぬ男性が部屋に入ってきていた。濃紺を基調とした華やかな服を着て、柔らかそうな薄緑の髪を片側に垂らし、片目は眼帯で覆われている。どこか疲れた色を帯びた目に、見覚えはなかった。
ぼんやりとその人を見つめていたら、目が合った。その隻眼が大きく見開かれ、ベッドに向かって早足で歩み寄ってくる。
「目が、覚めたのですね」
わたしを見下ろす彼は、低く、耳に心地よい声を震わせながら少しだけ泣きそうに顔を歪ませている。目の下には隈があり、顔色も悪く、まるで彼自身も病人のようだった。
January 20, 2026 at 7:48 PM