ひら、と何かが視界を横切る。真っ赤に紅葉したもみじの葉ひとひら。上げた視線は自然とマフラーで口元を隠したままの横顔で止まった。何年経っても思わず見惚れてしまうような美しさとあどけなさを持ってるとかずるい。半歩引いて陽ちゃん仕込みの指フレームに燈子の横顔ともみじを入れて覗き込む。やっぱり綺麗だ。青空の下でもみじもよく映える。「今日の燈子の好きなとこ見つけた」聞こえるほど大きくもなかったのに、耳ざとく気づいた燈子は、今度は少しだけ意地悪な色を瞳に秘めた。「急にどうしたの」「陽ちゃんの受け売り、かな」「私もやる！」悪戯っ子の顔で作ったフレームの中、わたしはどんな顔で笑ったんだろう。

こちらの世界はなんていい催しがあるのでしょう！ハロウィンを知って2回目の秋。
前もってあげはにお願いして出してもらっていた昨年のローブだけを身にまとい、そっとキッチンでお菓子を作っているましろの背後に忍び寄った。「ましろさん！Trick or Treat！」これを言うだけでほっぺが落ちそうなましろの手作りお菓子がもらえるのだから。
「うーん、どうしよっかな？」あざとく笑いながら想い人が振り向いた。「ソラちゃんはお菓子だけでいい？」二者択一にその返しはずるいと思う。「…う、イタズラもしたいです」触れたいに決まってる。「いいよ」と再び向けた甘い香りのする背から抱きしめた。

「沙弥香って眼鏡かけるんだ」「…まぁ、今日はね」理由は別段必要ないだろう。「ふーん」その証拠に聞くまでもなく、整った顔が満面の笑みを浮かべ近づいてくる。…これはよろしくない。思わず引いた私を追って両の指先がつるに触れたと思うと、あっという間に抜き取られた。「ちょっと、燈子」「眼鏡な沙弥香もかわいいけど」不明瞭な視界の外で明瞭な笑い声がする。そういうところよ、なんて言えない。「…なによ」「…けっこう度、きついね」おそらくは眼鏡をかざしたか、付けたのか、近い距離で弄んでいるようだ。「あなたはずいぶん、視力がいいのね」「うん」外された時と同じ、こめかみには冷たいつると、温かな指の柔らかな感触。

「やっぱり…」額の三角巾、白装束、乱れた長い黒髪を再現し、胸の前に手を垂らしてソラの前に姿を現せば、声にならぬ声を上げてあっという間にどこかに消えて行った。「ましろん、やりすぎ」「あげはちゃんに言われたくないよー」ハロウィンのお化けは可愛いと言ってたから、この国の一番有名な恰好をしてみたのに。「この国のお化けは怖いものが多いんだよね」「それより、ソラちゃん探さないと。悪いことしちゃった」「あ、ましろん。その姿で行かない方が…」しばらくすると屋外から悲鳴が届いた。「あーあ…」気合いを入れた生々しいメイクの効果が存分に発揮されたらしい。「どうしよう、あげはちゃん」と、ソラを抱えた怖い顔のプリズム。

あー、復活しましたね。（久しぶりの呟き

最新こっち更新してないなあ。
スマホからだから、ちょっととっきにくいのはある。

プロフィールを書く。どうしても「ソラ（片仮名）まし（ひらがな）」が投稿すると「ソラマシ（片仮名）」になるなど、若干の変換ミスがあるよう。何度やっても反映されないからあきらめた。