法秩序のもとに生きるのは良いのだろう。実際秩序無くしては文明など一瞬で瓦解するのだから。それも行き過ぎてしまえば良くはない。何事もほどほどに
欲と良く付き合って、己の心が指し示す海へ向かうのだ

ただ、俺個人の印象としてはアーロンの街にしろ、海賊にしろどちらの人間もモブは大半ろくでなしだなぁ、だった
海賊はストレートにクズだから分かりやすいが、街の住人については法秩序の下にろくでなしであることに真に無自覚なのだ
まあその辺一番アレなのはアレクシオなのだが。自分がクズであると口では言ってるが、その実死にたくなさが無意識下で天元突破してるし、法や秩序を組み込んでペラペラ能書き垂れても結局殺しの言い訳にしかなってねえ。アイツの説法、尤もらしいこと言ってるように見えてもほぼ大罪司教みたいなモンにしか思えなかった
悪であると認めたんだから生きること許してくれるよね？？みたいな醜悪さが酷い

今回のアークナイツは、人間としての欲望を否定するなら、アーロンの住民になる覚悟をしろと言われてる気がした
どんな生き物にも欲はある。それは当たり前のことだし、欲のない生命はその時点で生命活動を止めている。それを殊更に否定し、そして悪だと断罪するのならまあ先細って枯れていくのは当然の話ではある
今回の話での海賊は悪だ。少なくともろくでなしの集まりだし、クズは多い。でも元気の良いクズたちだった。生きたい、幸せになりたい、安心したい。あいつらはそんな原初的な欲望を剥き出しにして、長年世話になった船長に仇で返すクズどもが大半だった。

どちらが良いかは人により変わるのだろうとは思う

あまりにも八方塞がりで真綿で首を絞められるような息苦しさに、全部ぶち壊してやろうぜ！ってなるのがアークナイツのシナリオなのだけど、今回はちゃんと最後に色々吹っ飛んだのがまあ救いといえば救いなんだろうか
ってかアークナイツ、既存のフォーマットが限界来てて一回吹っ飛ばして再建しに行く話が多い
これはアレか、バベルが塔だからタロットの塔をモデルにしてるとでもいうのか。破壊と崩壊からの再生が好みだとでもいうのか

今回のシナリオはタイトルの通り、金にフォーカスを当てている。ただそれは経済的な知識や知恵、ハイパーインフレーションや狼と香辛料のような知識欲を満たせるものでなく、搾取や抑圧による重苦しさが全体に蔓延している
アークナイツ世界は基本的に悲惨な現実の写し身なので、毎度のごとく重い話を繰り出してくるが、今回は金にまつわるクソな話をお出ししてきた形になるのだろう
だがダーティーな手段で巻き上げられた金は、最終的により暴力的でダーティーに奪い返された
まさしく今回のイベントはダーティーマネーと呼ぶべきものだろう

ボスの名前が覚醒、なのも良い。数多の人々の意識が結合した夢の塊でありながら、その名は目覚めを意味している。それはアークナイツの世界、テラ世界を悪夢と見做したが故の名前にも思える
だが眠りと夢は心を癒すための生理機能であり、それはやがて終わるものだ。ドロシーの夢は、エメラルドの夢は、覚めてしまうものなのだ