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@kappa2.bsky.social
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電化製品全部機械って呼ぶ
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「ふふふ、素敵だなぁ。人間も住めるの？」 「住‥‥める、が‥‥」 　セベクは言い淀んだが、それは人間が住んでいないからではない。 「‥‥僕の父も人間だ。開業もしている」 「‥‥そっかぁ。素敵だね」 　監督生もこの学園に通って四年になる。歴史の授業も他の学生と同じように受けているので、セベクが言い淀む理由にも勘付いたのだろう。それきりその話はしなかった。 　セベクは人間の父と妖精の母の間に生まれ、円満な関係の家族の元で育った自覚がある。そして、祖父の代の妖精間では人間と戦争をしていた記憶がまだ生々しく残り続けている事も知っている。 　人間にとって住み良いかと問われると、無責任に肯定する事は些か誠意に欠けていると思った。 「セベクはどんな人と結婚するんだろうね。やっぱり妖精のお嫁さんかなぁ」 「結婚‥‥？そんな先の話は考えた事もない。だが、僕の仕事は危険も多く、常 にマレウス様を第一に優先する仕事だ。そんな生活を理解しろと相手に強いる事を考えると、僕にはまだ難しい問題だ」 「それでも良いって人がいたら、人間でも良いの？」 　セベクはふむ、と指先で顎を摩るようにして考え込んだ。 「いや‥‥人間と妖精の間に流れる時間は大きな差がある。僕は父のように家族の側にいる生活を送るつもりはないし、そもそも結婚自体そこまで興味はない。誰かを選ぶなどせずに、マレウス様にこの人生を捧げる事が僕にとって一番の幸せかも知れん」 「そっかぁ」 　それで良いと思うよ。と、監督生はそう言って、いつものように穏やかに笑った。 　マレウスが監督生と結婚すると宣言したのは、それから間も無くの事だった。 　森を抜けた先、海が望める小高い丘の上に、その小さな家はポツンと建ってい た。 　今は煙突も赤い屋根も白い雪がうっすら積もっているが、彼女が住んでいた時は、暖炉に薪がくべられて煙突から白い煙が細く上がっていたものだ。 『久しぶり、セベク。元気だった？』 　セベクでも少し頭を屈めなければ入れないドアを開ければ、今でも彼女の声が聞こえるような気がする。 　この家は、偏屈な妖精が静かに晩年を過ごすために使っていた家だった。その持ち主が亡くなって空き家になっていた所を、マレウスが買い上げて監督生に与えた。 　国王であるマレウスが身元も知れない人間の女を妃に迎えると明言した当初は、それはもう大変な騒ぎになった。 　国外の新聞にまで載った程で、下世話なゴシップ誌には『妖精王の気まぐれ、少女は身元不明の孤児か』などと好き勝手な憶測が飛んだ。 　セベクはシルバーと共に、監督生と面識があるという理由で何度も彼女の護衛の任に就いた。 　この家にも何度もマレウスと共に訪れたことがある。 　最初は、周囲の動揺が収まるまでここで監督生を匿うつもりなのだと思っていた。 　けれど、監督生がこの家から出る事はなかった。 「マレウス様、なぜ監‥‥王妃殿下を城へお召しにならないのですか」 　ある時、セベクはそうマレウスに尋ねた事がある。 　分を超えた振る舞いだとは重々承知していたが、どうしても尋ねずにはいられなかった。 　マレウスの結婚にはいまだに反対の声が強く、王城が監督生にとって住み良い場所かと考えると頷きにくい。けれど、正式に王妃となった元監督生を護衛するには王城でマレウスと共に過ごした方が都合がいい。 　何より、暗い森に囲まれた、波の音しか聞こえない家に彼女を一人にしている現場がセベクには耐え難かった。 「僕もそうしたいと思っているのだが、あれは一度決めたら頑固な気性なのだ。お前もよく知っているだろう」
November 23, 2024 at 6:13 PM