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日記

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ひとつ昨日の3:00すぎくらいにいただいたへんふよウェボに返信しちゃったんだけどあとからログインユーザーの方じゃなかったと気づいたのでこちらで中身だけ……たぶんブルスカ見てくれてる方な気がするので
September 14, 2025 at 4:01 PM
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なんかまだ気持ちがアレで会場回れてはないんだけど自分のとこだけ確認してきた、たぶん相互の方が寄ってくれてて嬉
September 13, 2025 at 4:20 PM
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ミヨシ犬アバター生きてた
会場行く元気あれはどこかのタイミングで行こかな
September 13, 2025 at 3:46 PM
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文字打つの久々すぎて練習した
September 7, 2025 at 10:29 AM
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September 6, 2025 at 4:22 AM
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物理CD買ってインポートしてるやつは反映されないっぽい
August 30, 2025 at 11:00 AM
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August 30, 2025 at 10:58 AM
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August 30, 2025 at 10:48 AM
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隙あらば喜水丸に行ってしまうのでなかなか新規開拓ができない
August 30, 2025 at 8:03 AM
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今日なんもできんかったけど私がやりたいだけの展示をちまちま進めてはいる、短編は放置しすぎて危うい
August 28, 2025 at 6:28 PM
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PCで作ってて右に画像左にテキスト、左に画像右にテキストって交互に配置してたんだけどスマホで見たらぜんぶ縦になるからやっぱ変えたがいいか……ツイッタ〜でアンケ取ってる理由
August 27, 2025 at 1:31 AM
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犬
August 24, 2025 at 7:53 AM
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無配だしよくあるフォントだけどいちばん好きかも
August 12, 2025 at 3:18 PM
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1冊目のドージンシでこれ言わせてて、その数年後に似たような台詞が出てきてちょっと嬉しいかも
August 11, 2025 at 4:48 PM
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となると同ブランドのトラベルバッグもほしくなる……高いヨ…………
August 3, 2025 at 12:18 PM
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串かつ屋で刺身定食を頼み、追加で串も頼む
August 3, 2025 at 3:24 AM
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佐賀ログ
August 2, 2025 at 3:07 PM
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ド晴天
August 2, 2025 at 6:35 AM
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やりたいことを殴り書きしてたノート見つかったから覗いてみたらひとつは叶ってた
July 27, 2025 at 11:44 AM
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段ボールの切れ端に犬たちを描く
July 25, 2025 at 3:05 PM
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る。まさに赤子にやるみたいな扱いをされていると思う反面、不思議と嫌な気はしなくて、一瞬だけ訪れた暗闇が明けた瞬間にぱっと現れる零の顔とふたたび頭をぐしゃぐしゃに撫でまわしてくる手がむしろ――――と思ったところで続きを考えるのをやめた。 「さて。そろそろ帰ろうか」 「……おう」 　空になったクーラーボックスを右肩にかける零に続いて部室をあとにする。灼けるような陽射しは幾分かは落ち着いていたけれど、停滞する生ぬるい空気が身体に纏わりつく不快感は相変わらずで、着替えたばかりのＴシャツにはもう既に汗が滲んだ。 「あち～。寮着いたらソッコーでシャワー浴びてえ」 　暑さに耐性のある晃牙ですら弱々しい独り言をこぼしてしまうくらいだ。零にはさぞかし堪えるだろう。時折様子を窺いながら、直射日光を避けるように蛇行する。隣を歩く零は涼しげな顔をしてはいるけれど、その生白い肌の表面には一筋の汗が流れていた。 「……ん」 　荷物の中から引っ張り出したタオルを零の頭の上へ投げ遣る。小さく驚嘆の声を上げて切れ長の目を見開く様がおかしくてふっ、と吹き出せば、赤の奥にある瞳孔がぱっと開いた。 「あ？　どうした？」 「ああいや、ちと眩しくて」 　零はそう答えながら晃牙が雑に放ったタオルを手に取り、頭全体を覆うように位置を整える。 「これで少しはマシになんだろ。言っとくけどさっき使ってたやつじゃね～からな」 「そんなことは気にしておらんよ。ありがとう」 「……ヤベ～と思ったら早めに言えよ。無理して持ち帰りの仕事なんかすんじゃね～ぞ」 「では寮に戻ったらしばらくおぬしの部屋に世話になるとしようかのう」 「……は？」 「じゃから、晃牙の部屋」 　暑さにふらついたのか、はたまた別の理由があるのか――肩と肩とがぶつかって、互いの熱が混ざりあう。ついでに掠った指先はやはり晃牙のそれよりも冷たくて、今この手を掴めば自分の熱で火傷をさせてしまうんじゃないかとさえ思った。 「……俺様んとこなんか来てどうすんだよ」 　洗われた犬みたいに頭を左右に振ってくだらない空想を散らし、なんでもないような顔を取り繕って会話を続 ける。星奏館の出入口はもう目と鼻の先だ。零は首だけを晃牙のほうへ向け、少し不安そうに眉尻を下げながら噛みあわない回答を寄越してきた。 「……晃牙は？　このあとどうするんじゃ」 　入口を抜け、珍しくひとの気配がしない廊下をゆっくりと進む。 「質問を質問で返すんじゃね～っつ～の。……とりあえずシャワー浴びてストレッチしてなんか食って、日が落ちたらレオンと散歩」 「じゃあ、我輩もそれで。食事のあとにお昼寝タイムを設けたいところじゃが」 「はぁ？」 「スペースならたくさん余っておるじゃろ？」 　寮では複数名のアイドルがひとつの居室で共に暮らすのだという前情報に反し、晃牙は未だ入寮前と変わらず己と愛犬のレオンとで比較的自由な暮らしを謳歌している。そんな恵まれた環境に身を置いていることを自覚しながら「あの部屋では気が休まらんのじゃよ」などとわざとらしく溜息を吐かれてしまえば、無碍に扱うことなどできるわけがなかった。 「せっかくひとつ屋根の下で一緒に暮らしておるんじゃ。ひとりの昼食は寂しいじゃろう？」 「お、俺様は別に……」 「我輩が寂しいんじゃよ」 　後ろから肩を押され、人形のようにたどたどしい足取りで廊下を進む。晃牙が決して拒むことのできないずるい言い方を、零はよく知っているのだ。 　零の部屋がある三階へと続く階段を通り越し、見慣れた扉に手をかける。勢いよく飛び出してきた愛犬はすぐに背後の客人に気がついて、短い尻尾を左右に振り乱した。 「おお、レオンくん。久しぶりじゃな。ちとお邪魔するぞい」 「あっテメ～、レオンを味方につけやがったな！」 「はて、何のことかのう。我輩たちはただ挨拶を交わしておるだけじゃが」 「……」 　穏便な口ぶりをしながらも、勝ち誇ったような顔を浮かべる零。何かを競っていた覚えはないが、その表情がなんだかむかついたので鼻の頭を指先でぴん、と弾いてやった。 　時刻は十四時半ば、昼餉の時間はとっくに過ぎていたけれど、腹の虫は未だに一度も鳴き声を発さずにいる。思わぬタイミングで顔をあわせ、声を聴いて、肌に触れ て。それで、どうやら自分の内側にある何かがすっかり満たされてしまったらしいということはもうしばらく――あるいは一生、零には秘密にしてやろう。またしても無遠慮に髪の毛を掻き撫でられながら、晃牙は心の中で静かにそう決意するのだった。 「……シャワーも一緒に浴びるか？」 「浴びるかよ、アホ」
July 24, 2025 at 12:40 AM
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トに手をかける。零のブーツには存在しないバックルのピンをややもたつきながら外し、その向こうにあるファスナーに指をかける一連の動作をぽかんと見つめていた晃牙が我に返ったのはそれから二秒後のことだった。 「ばっ、テメ……何してんだよ！」 「何って……おぬしがもたもたしておるから」 「自分でやるっつ～の！　つ～かパンツまで脱がそうとすんな！」 　零の暴挙を紙一重で阻止し、立ち上がって距離を取る。ライブ中ならともかく自分以外の汗で濡れた衣服なんて進んで触りたがるものではないだろうに、零はきょとんと目をまるくして首を傾げていた。 「……別に今更照れるようなことでもなかろうて」 「そういう問題じゃね～んだよ！」 　たとえ全裸を見られたって失うものなど何もないが、だからといってされるがままになってやる筋合いもない。晃牙はふたたび零に背を向け、疲れた身体に鞭を打って早急に下着を履き替える。続いてジャージのウエスト部分の紐をきつく結び、即席の防波堤を築いた上で背後を振り返ると、零はけろっとした顔でかつての寝床の上へと舞い戻っていた。 「マジでなんなんだよ……」 「ん？　何か言ったか？」 「…………何も」 　意識的か無意識的かは晃牙の与り知るところではないが、こうして零に振り回されるのは慣れている。無駄吠えをして残り少ない体力を更に削る必要はあるまいと、やや不本意ながらも口を噤んでやることにした。 「さて。せっかくじゃし、ちと拝借しようかのう」 　ギタースタンドに立てかけられたファイヤーバードに触れる零の指。無論、安価なほうのメーカーが販売しているモデルではあるけれど、決して多くはない部費をはたいて購入したばかりの新入りだ。やや小ぶりで特徴的な形をしたボディは面白いくらいに零の身体に馴染んでいて、ああ、このひとは服に着られることもギターに弾かれることもないのだろうな、と突拍子もないことを思った。 「晃牙、Ａの音ちょうだい」 　赤い瞳がまっすぐに晃牙のほうを向く。零はペグに左手を添えながらやや外れた音を鳴らし、ねだるように小首を傾げた。 「……は？　ヘッドにチューナーついてんだろ」 「電池が勿体ないじゃろ？」 「誰が気にすんだよそんなこと……つ～かテメ～の耳で やれるだろうが」 「晃牙……Ａ」 　普段は老い耄れぶっているくせに、時たま顔を覗かせるこの頑固な瞳に見つめられると弱いことをおそらく零は勘付いている。沈黙という名の圧力に負け、晃牙は小さく溜息を吐き、大きく息を吸い込んだ。そして唇は結んだままで鼻歌を歌うように喉を震わせ、　Ａ――つまりラの音を鳴らしてやる。 「もういっかい」 「あといっかい」 「……ラスト」 　催促に応じて何度かこれを繰り返すうちに五弦のペグを回す零の手が止まり、その音を基準にしてその他の弦が調律されていく。唐突に音叉の真似事をさせられた晃牙はしばらく置いてきぼりを食らい、ただただ零の作業を眺めていた。 「よし。おいで」 　晃牙の視線に気づいたのか、ピックを握る零の右手が弦から離れる。弧を描くようにして空いたスペースをこつ、と叩く拳と緩く細められた瞳。未だ終えていなかった着替えを中断して零の右隣へ腰かけると、指慣らしのクロマチックがぽろぽろと鳴り始める。スポーツタオルを首に引っかけたのみの上半身に残る余熱はまだ冷めそうになかった。 「アンプ繋げば？」 「ううん、このままで良いよ。ライブで喉を酷使したばかりじゃから小声で」 「俺様に歌わせんのかよ。つ～かさっきあんだけ叫ばせといて……」 「アンコールじゃよアンコール」 　言いながら誰もが知る名盤のＡメロをなぞる零。全編英語詞といえどもこの曲を歌えないロックシンガーなどほぼ存在しないと言って等しいだろう。零の後に続くように同じフレーズを口ずさめば、形のいい唇が緩やかに角度を上げた。 　囁くような歌声はきっと部室の外へは聴こえない。それでも、魂に響くものが確かにあって、たとえそれが晃牙にしかわからない感覚だったとしても――やはり己が憧れたのはこのひとなのだと思い知らされる。そんな熱のこもった感情が伝わったのか、もしくは単に興が乗ったのか、ワンコーラスを終えても零のストロークが止まることはなかった。 「最後のほう、歌詞が怪しかったのう」 「……うるせ～よ。アドリブだ」 「ふふ、冗談じゃよ。良かった、すごく」 　ピックを握ったままの零の右手が宙に浮き、晃牙の頭上でぴたりと止まる。何かを躊躇しているような間を置いて、おそるおそる近づいてくる懐かしい気配。しん、と静かになった室内で嫌でも存在を主張する深呼吸の音。つられて晃牙の身体まで強張ってしまう。けれど、訳のわからない厳かな空気を纏ったそれは意外なほどにあっさりと晃牙の銀髪に触れ、名残惜しむ間もなく後頭部をするりと滑り降りていった。 「……汚えと思うんなら触んなよ。実際汗かいてんだし」 「あ、いや……そうじゃなくて」 　もじもじと口ごもる様子が珍しくて身体ごと零のほうを向けば、いたずらをして叱られた犬みたいに潤んだ視線を返される。 「ただ、その…………触っても良いものかと思って」 「はぁ」 「子供扱いをしたいわけでは決してないんじゃけど……それでもおぬしを怒らせてしまうのではないかと思うと――」 　目があったと思えばさっと逸らされて、またすぐにちらちらと様子を窺うように見つめてくる。零に対してこんなことを思う日が来るとは思わなかったが、今この瞬間は晃牙よりも零のほうがよほど子供らしく見えた。 「ぐだぐだもごもごうるせ～な……で？　結局何が言いて～んだよ」 　喧嘩をしているつもりなど毛頭ないけれど、獣の流儀に則って無理矢理視界に飛び込んでやる。逃げられないように正面へ飛び込めば、零は前歯で唇をぐっと噛みしめ、長い沈黙の末に蚊の鳴くよりも小さな声で言葉を続けた。 「…………撫でたい。頭」 「…………」 「……こ、晃牙？」 「…………」 　零の手首を掴む。力の緩んだ指先からピックを奪う。更に力の抜けた手のひらを己の脳天に押しつける。考えるよりも先に身体が動いていた。 「勝手にすれば……っつ～のもなんか違う気するけどよう。やりたいならやればいいだろ」 「……」 「別に本気で嫌だなんて思ったことね～し……つ～か、今更すぎんだろ」 　あとから追いついてきた思考をなんとか言語化して矢継ぎ早に吐き出せば、頭上に覆い被さる五本の指がまるでたった今いのちを得た生き物みたいにばらばらと動き出す。毛束を絡めとったり、くしゃくしゃと掻き回したり。たとえ極楽へ行こうが地獄に堕ちようが言葉にしてやるつもりはないが、やはりこのどこか乱暴で――それでいて優しく柔らかい手つきが結構好きだ、と晃牙は密かに思う。 「……勝手にしろっつったけど流石になんかしゃべれよ」 「ん？　ああ、すまぬ……つい夢中になっておった」 「はは、なんだそれ。普段どんだけ退屈してんだよ」 「それなりに楽しくやっておるぞい。おぬしやアドニスくん、もちろん薫くんにも負けておられんからのう」 　ギターをスタンドへ戻し、零はふたたび晃牙の隣へ腰を下ろす。 「まあ、でも――――」 　続く言葉を待っていると、ふいに肩を掴まれてぐい、と引き寄せられる。 「たまにこうしておしゃべりしてくれると嬉しいのう」 　汗をかいてしっとりと濡れた肌が零の手のひらに吸いついているのがわかる。するりと表面を擦られてしまえば、流石の晃牙でも羞恥を感じざるを得なかった。 「……ちと冷えてしまったか」 「テメ～が着替えの途中で邪魔するからだろうが」 「嫌じゃった？」 「……嫌なわけね～だろ。あんたのギターであんたと歌えんのに」 「…………」 「んなこといちいち言わなくてもわかってんだろ」 　そう吐き捨てながら睨みつけてやると、零は目を細めて子供みたいにあどけない表情で頷く。 「うん。わざと」 「…………」 　首にかかったタオルの端を拾い上げて晃牙の顔を包む零。流石にもう髪の毛から雫が垂れ落ちることはないのだけれど、特別肌触りが良いというわけでもないどこにでもあるチープなそれは案外あたたかく心地良くて、なんだか気が抜ける。 「ふふ、おぬしはたまに赤ちゃんみたいな顔をするのう」 「はぁ？　なんだよそれ」 「ほれ、万歳」 　零はそう言いながら、替えのＴシャツを大事に握っていた晃牙の拳を開く。奪い取られたそれは否応なしに覆い被さってきて、構えられた襟ぐりに頭がすぽん、と通
July 24, 2025 at 12:40 AM
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零晃｜夏に触れる
ES1年目　三人暮らしになる前の話
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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「夏に触れる」、「@kakatogasagasa」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　土曜日の昼下がり、天気は快晴。外に出ることを躊躇してしまうほどの気温にも関わらず、屋外に設置された特設ステージには学院内外問わずたくさんのギャラリーが押し寄せた。衣装やコンセプトの都合上、猛威を振るう夏の陽射しはかえって足枷になってしまうのではという危惧がまったくなかったといえば正直嘘になる。が、ひとたびステージへ上がればそんな不安も一瞬で吹き飛んだ。予想をはるかに超える熱狂を浴び、結果的にライブは大成功。舞台袖へ退いたあとも拍手は鳴り止まなかった。 　この春から、晃牙とアドニス――即ち零と薫を除いた『夢ノ咲学院の』ＵＮＤＥＡＤは新たなメンバーを募らずに二人体制で活動している。年度が変わってから三ヶ月が過ぎた今でこそ随分と見られるものになったが、当初、半数を欠いた状態でのパフォーマンスは世辞にも上出来とは言い難かった。思うようにいかないことへの自責はもちろんのこと、晃牙にとっては――実際のところはどうあれ――応援してくれているファンをがっかりさせてしまうかもしれないと不安に思う瞬間が何よりも心苦しかった。 　それでも、立ち止まったり挫けたりしている暇などなかった。代々メンバーを入れ替えながら世代を繋ぐ伝統的なユニットとは違い、子孫を残せない魔物二匹が生き残るためには、こうして死に物狂いで自らの爪牙を研磨し続けるほかに術はない。そうして目の前のチャンスへ食らいついているうちに少しずつ視界が拓けてきて、そんな晃牙たちを固唾を飲んで見守っていた昔ながらのファンも徐々に笑顔を取り戻しつつある。まだまだ課題は残るけれど、今日の熱気から察するに調子は右肩上がりだ。晃牙はひと知れず口角を上げ、拳を固く握りしめた。 「…………よし」 　戦力減は確かに痛かったしふたりきりのＵＮＤＥＡＤをここまで仕上げるのは一筋縄ではいかなかったが、昨年とはうって変わって、今回のように炎天下の真昼に思い切り暴れ回ることができるのは今このときだけなのだと思うと血が滾る。太陽に灼かれながら声の限りに叫べば、己の命が燃えているようで最高に気持ちが良かった。 「――おう、じゃあな」 「ああ、お疲れさま」 　簡易的な反省会を済ませ、クールダウンがてら部活へ 顔を出すと言うアドニスを見送る。取り残された晃牙は端のほうにぽつんと佇み、着々とステージが解体されていく様子をぼんやりと眺めていた。 　本来ならばとっくに着替えて酷使した身体を労わってやらねばならないのだけれど、もう少しだけこの雰囲気に浸っていたくて、冷めない熱を持て余したままごろんと雑草の上へ寝転がる。時刻は十三時過ぎといったところか、ちょうど木陰になっているとはいえ、青々と茂る若葉の間から射し込む光に目が眩んだ。 「…………あ？」 　咄嗟に顔を背けた先にあるのは暑苦しい革靴。おもむろに視線を上げると、もうここにはいないはずのこれまた暑苦しい長髪が生あたたかい風に靡いていた。 「……釣りにでも行ってきたのか？」 「そんなわけあるか。差し入れじゃよ」 　鬱陶しい黒髪を首筋に張りつけた男は柔らかく微笑んで、右肩に下げたクーラーボックスを左右に振ってみせた。 「おぬしの分で最後じゃ」 「――ッ！」 「冷たくて気持ちいいじゃろ？」 　首筋に触れたのは凍ったペットボトル。晃牙がびく、と両肩を跳ね上げるのにあわせてそれはすぐに肌から離れていったが、熱が伝わった部分からたちまちに水滴が垂れて背筋を滑り落ちていく。 「まったく。着替えもせずにこんなところに転がりよって」 「……テメ～だって、日傘も持たね～で何やってんだよ。ぶっ倒れたらどうすんだ」 「講堂でやると思っておったんじゃよ。それにおぬしに詳細を聞いたところで来るのを嫌がって教えてくれんかったじゃろ」 　零はそう言いながら腰を下ろし、晃牙の衣装に付着した土を手のひらで掃う。ハイブランドのものなのかどこにでもある量販店のものなのか判断のつかないスラックスを惜しげもなく地面に擦りつけて片膝を立てる姿を目の当たりにして、そういえば案外足癖の悪いひとだったなと思い出した。 「だったらアドニスにでも聞けば良かっただろ」 「ふふ、まあ……それもそうじゃな」 　まるで存在をひた隠しにしていた授業参観に親が来たみたいな感覚だった。どうしたって目立ってしまう風貌と忘れもしない匂い。そして零が来ているのだとわかった瞬間に踊る心。嫌悪のふりをした感情をどうにか誤魔 化すのに必死で、来てくれて嬉しいだとかありがとうだとか、言葉にして伝えることをついつい後回しにしてしまう。そんな晃牙の心情を察してか、あるいは単純な生理的欲求からか、沈黙を破るように零は短く息を吐いて、視界の外れでもぞもぞと蠢き出した。次いでパキ、という音がして、プラスチック製の蓋を捉える零の手首が左回りに回転する。音につられて視線を向けると、控えめな嚥下音と共に突き出た喉仏が上下した。 「……それ、俺様に持ってきてくれたんじゃね～のかよ」 「だって暑いんじゃもん」 「別に次なんて求めてね～けど……でも、今度からはちゃんと自分の分も買え」 「くく、そうじゃな。ほれ」 　差し出された、というよりも半ば無理矢理に押しつけられた飲み口が前歯にぶつかる。驚いてまるくなった瞳で見つめてみれど、零が素直に動きを止めてくれるわけもなし。晃牙の反応を待たずしてどんどん傾斜していくそれに慌てて口を開け、遠慮なく注がれる中身を受け止める。 「……あま」 「まだ半分凍っておるからのう」 「…………」 「どういたしまして」 「……ありがとう、ゴザイマス」 　わざと催促してもらわなければ礼のひとつも言えない。そんなガキみたいな自分に辟易しつつ、遣り場のない視線を明後日の方向へ飛ばす。感想を聞いてみたいような、何も聞きたくないような。相反する感情に勝敗がつく前に、零が静かに口を開く。 「ともあれ、そろそろ着替えたほうがいいんじゃないのかえ？　夏場といえども風邪を引いてしまうぞい」 　ごもっともな正論に返す言葉もない。が、それでもどうにかして憎まれ口を叩いてしまうのが晃牙の悪癖だ。 「……今から着替えようと思ってたんだよ」 「荷物は？　もう何もかも撤去されておるみたいじゃが」 「全部まとめて部室に置いてる」 　事実のみを淡々と告げると、零は自分のターンを残したままおもむろに立ち上がり、晃牙の眼前に手のひらを差し出した。 「は？　何」 「何って……行くんじゃろ？　部室」 　差し出された手を取らずにいると、くるりと上下を反転させたそれに右手を掴まれて有無を言わせず引っ張り上げられる。 「手袋まで濡れておる」 「……離せばいいだろ」 「ふふ」 　このやわらかい微笑みだけを見れば、まさか他人の汗を吸って湿った衣装に触れているとは思えないだろう。考えの読めない行動に何も返答できずにいると、零はそのまま晃牙の手を引いて歩き出した。別に逃げたりなんてしないのに、馬鹿力で骨が軋み、まるで躾のなっていない飼い犬に引きずられる飼い主のように、時折よろめきながら廊下を進む。晃牙本人ですら着心地の悪い布越しに握られた手は軽音部室に辿り着くまで解放されることはなかった。 「おお、懐かしいのう」 「懐かしむほど変わってね～だろ」 　遮光カーテンを閉じて振り返れば、零はすっかり双子の物置と化した棺桶の上へ腰かけて長い脚を持て余していた。制服こそ着ていないが、その姿に旧懐の念がふつふつと湧き上がり、数秒前に言い放った自らの台詞を心の中で即座に覆してしまったことは内緒にしておく。 「おや、どこへ行くんじゃ？」 「あ？　別にどこにも行かね～けど」 　素肌に纏わりついた衣装を早く脱いでしまおうと壁際に向かう晃牙と、その背中へ疑問を投げかける零。互いの裸体なんて両手両足すべての指を足しても及ばないくらい何度も目にしているのだから、特に気を遣ったわけではない。ただ、たまたま荷物を端に寄せていたというだけだ。 「ひとりでは脱ぎづらいじゃろ。ここにお座り」 　ＵＮＤＥＡＤの衣装に各々の体型にぴったりと合わせたタイトなものが多いのは周知の事実である。確かに零が言うようにライブを終えて汗に濡れたボトムスをひとりで脱ぐのは困難で、互いの着替えを手伝うことは少なくない。が、それはライブの最中、時間に追われているときの話だ。 「はぁ？　いいよ。別に急いでね～し」 「……」 「おわ⁉」 　言いながらファスナーを下ろせば、己のものではない両手によって裾を更にずり下ろされる。晃牙の悲鳴をもろともせず、セクハラ紛いの行為を真顔で続ける零。裏返った布地がブーツに引っかかり、足がもつれて尻もちをついたところでようやく動きが止まる。 「おっと。ブーツが先じゃった」 　零は床に片膝をつき、ブーツの前面にある二本のベル
July 24, 2025 at 12:39 AM
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サンキュ
June 5, 2025 at 3:05 PM
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マイナーチェンジの可能性
June 1, 2025 at 5:36 AM