Lightnews — Scholar-powered news

@ka73suana.bsky.social

私だけが楽しい年逆kbnkb(陰陽師×小鬼)本出だし
kbnおじの子孫がkbnおじの日記を読んで、は？ご先祖様と式神(kb)尊……となり、子孫がおじの日記を元に創作した本を本にしたというめちゃくちゃな本になります
私はめちゃくちゃ楽しいです
装丁は和綴じになるよ
おまけはkbnおじの日記(こっちは手作業)
楽しいな～！

世界観合わせで、フィーリングとかの当て字
kbn→牙華
pon→牡丹
dnd→弾豊
nz→音津

December 9, 2025 at 8:29 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

2025.10.13Happiness愛land10にサークル参加します！G08です！
お品書きです！
新刊はエコシュル両片思い本です！！！当社比でいちゃいちゃしてません！！！(笑)
新刊・既刊のサンプルまとめはしぶとくるっぷるにまとめています
当日はひとりですが、よろしくお願いします！

しぶつ　www.pixiv.net/artworks/136...
くるっぷるつ　crepu.net/board/12203258

October 8, 2025 at 1:46 PM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

こちらでもご報告！
優しいフォロワーさんに手助けしていただいて投票完了しました！来年の大阪でレンセシオンリーあります！
50枚はなかなかひとりでは難しくても20枚ならぽんと出せるんだよ！！！オタクなめんなー！？

August 18, 2025 at 10:09 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

タブナイありがとう……！！！楽しい約3ヶ月間でした！！！

August 7, 2025 at 12:43 PM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

8/8エナメイ14に出ます～！
スペースはBエリアく1です
既刊の通販のご案内と頒布終了済み本のWEB再録、あと多分婚約後のアスカガが世間様への恋愛結婚だぜわからせデート話を掲載予定です
ピクスペのお作法忘れてわろてます(ヤバい)

August 3, 2025 at 2:49 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

設営終わりました！！！！！！！！！！！！！本人は南に買い物に行きますが売り子はいます！！！

July 13, 2025 at 12:21 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

2025/7/13 へたれの巣穴として、サークル参加します
スペースは西1カ64bです
新刊はアスカガ+ハイノイ中心オールキャラ本です(アス+ハイは再従兄弟設定
新刊・既刊すべて同一世界線の話になっていますが、単独でも読めます
オリジナル設定や出来事は映画での自由強奪事件みたいなもんです

イベント終了後、残部数で通販を行う予定ですが、
既刊の「愛のいきさつ」だけは極少部数となりますので、イベントで頒布終了したらすいません

各サンプルは以下にまとめてあります
しぶ　www.pixiv.net/artworks/132...
くるっぷる　crepu.net/board/11457086

July 7, 2025 at 1:24 PM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル7
カズイ+教え子の話
あんな別れ方だったけど、彼もあの日々を糧に彼の人生を生きて欲しいと自由を見て強く思った次第

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「距離」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Jeremy Thomas on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　ここ数日、オーブは国をあげてのお祭り騒ぎとなっている。実際にこの騒ぎは祭りではなく、元国家元首であったカガリ・ユラ・アスハの結婚式が間近に迫っているためだった。
　国家元首を退き、一議員に退いたとは言え、オーブ国民から愛されるオーブの姫君の婚礼に国民は喜びと彼女の幸せを願っている。婚礼に向けて発売されたカガリとアスランの紋章を入れたグッズを多くの国民が手に取り、メディアが連日連夜カガリの功績をまとめた特集や相手のアスランの功績や経歴、果てはメディアや一般市民の間で結婚指輪やウェディングドレスのデザインの予想まではじまり、まさに話題はそれ一色となっていた。
　それはスクールに通う子供達も同様で、授業が終わった教室の中でも話題はカガリの婚礼についてばかりだった。
「うちのじいちゃん、ばあちゃん、カガリ様を近くで見たいからってもう昨日から通りで場所取りしてる」
「すげ～！」

「うちの従姉妹なんて再来年結婚するからカガリ様のドレス見て似てるやつにするって言ってる」
「ねぇねぇ、カガリ様の結婚指輪でっかいダイアモンドついてるって噂聞いた？」
　他人の結婚話でこれだけ国が盛り上がり、国民の話題をさらうのは平和な証拠だと思いながら、つい数分まで教壇で授業を行っていたカズイはデバイスの電源を落とした。
「ねぇ、先生はカガリ様のパレード見に行くの～？」
　クラスの中でも賑やかなグループに属する生徒達がカズイを囲み、そう尋ねた。その押しの強さはどこかかつての旧友を思い出させる。
「行かないよ。それに先生はテレビで見た方が良く見えると思うな」
　つまらない、夢がないと騒ぐ子供達をあしらいながら、カズイは教室の隅で端末に目を落としたままの生徒を視界におさめる。
　彼は最近離島から本島の学校へ転入してきた生徒だ。成績優秀な彼の今後を見据えて本島の学校への転入と聞いていた通り、先月の成績は学年二位を獲得していた。

その彼が最近どうも勉強に身が入っていないとカズイだけでなく、他の教師からも指摘があがっているのだ。
　子供の些細なサインも見逃さぬように、とカズイは老齢の教師から直々に釘を刺されている。もちろん、わざわざ釘を刺されずともカズイは彼を気にかけていた。

July 7, 2025 at 3:54 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル6(2/2)
アスカガ+双子(名前有)+ハイノイ+マーナの話

る時等いつもまわりに気を配ってくださいますし、使用人達にも優しいでしょう？」
「マーナさんにそう見えているのであれば、それはすべてアーノルドのお陰です。彼のお陰で僕は随分マシな人間になれた気がしますから」
「ふふふ、本当にノイマン様がお好きですね」
「ええ。僕の運命の人ですから」
　そう言って、ハインラインはほのかに赤く染まったノイマンの頬を指の腹で撫でた。

July 6, 2025 at 2:34 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル6(1/2)
アスカガ+双子(名前有)+ハイノイ+マーナの話
なんかアスカガいちゃいちゃするぞ～！って気合い入れて空振りするのが似合うな……って思って……

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「負けられない」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by manu schwendener on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「ついた～！」
　荷物を放り出し、思い切り背伸びをするカガリにアスランはお疲れ様と声をかける。
「アスランだって運転お疲れ様。疲れたろ？」
　ひとまず休憩だ、とカガリはアスランの手を引き、テラスに置かれたハンモックにそろって寝転がる。大きなサイズのそれはアスランとカガリが二人が寝転がってもまだ余裕がある。
「静かだな」
「うん」
「泣き声もはしゃぎ声も聞こえない」
「うん……」
　聞こえるのは風の音や風に乗って聞こえる波の音ばかりで、時折鳥の鳴き声もそれに混じってくる。そして、心地よいハンモックの揺れとお互いの体温がカガリとアスランの眠気を誘う。せっかくの二人きりの時間、アスランもカガリもやりたいことはたくさんある、しかし、どうしても眠気には勝てそうにもない。
「子供達といるのは確かに楽しくてかけがえのないものだけど、体力はめちゃくちゃ使ってたんだな……。なんか……もう寝そうだ……」
「俺もだ……まだ……昼前、なのに……」

「マーナや他の使用人達もいて、……その分楽をさせてもらってるはずなのに情けない……」
「べつに、それはべつに、……誰かと比べるものじゃないし、その分君も俺も仕事が激務だろ……？」
「育児支援……もっと充実させるべき、かな……」
「……そう……だな」
　それ以上アスランは何も言わなかった。カガリが眠い目を必死に開けて確認すると、アスランは先に眠りについたようだった。カガリは、先輩ママであるマリューやミリアリアが子育ては体力勝負、心は満たされることはあっても、体力だけはひたすら削られる、と話していたことを思い出す。
　日々子供の成長は楽しく、双子の顔を見れば、日々の疲れなど吹っ飛んでしまう、とカガリだけでなくアスランも思っているだろう。しかし、子育ては楽しいばかりではなく、マーナや使用人達の手を借りても、大変で、アスランもカガリもここ一年ほどは目の下のクマがなかなか取れなかった。
　ああ、あの子達も昼寝をしているだろうかとカガリもアスランと同じように目を閉じた。

「寝ましたね」
「ええ、寝てしまいましたね」
　気持ちよさそうですねと笑うマーナとハインラインの目の前には、ノイマンと幼い双子が眠りこけている。少し前まで双子への土産として持参した絵本が気に入った双子達に永遠と読み聞かせをさせていたノイマンの手元には絵本が握られたままだ。
　三人が眠っているのは双子のためのプレイエリアとして整備された区画のため、床も柔らかい材質の厚手のマットを敷いている。とはいえ、このままではノイマンは腰を痛めるだろう。
「アーニー、起きてください。腰を痛めますよ」
　双子は起こさないように気を配りながら、ハインラインはノイマンに声をかけたが起きる様子はない。
「ノイマン様もぐっすりですね」
　張り切っていらっしゃったから、とマーナはかけるものを取ってくると部屋を出た。
　ハインラインは、意思の疎通が図れない子供が苦手だ。こちらの言葉を理解出来ない相手とどのように接して良いかわからない。人間誰しも得たいもの知れないものを接するのは恐ろしいだろう。
　しかし、不思議とハインラインは幼い双子に対して、そこまで苦手意識を持っていな

かった。もちろん、何かあっては困るとなるべく距離を取って接してはいるが、よくよく観察すれば、おおよそ双子達の感情を推察することが出来る。もちろん、それが外れる時の方が多いが、外れたところで何が起こるわけでもない。
「ハインライン様、こちらを」
「ありがとうございます」
　マーナからタオルケットを受け取り、双子とノイマンにかけてやる。その時、双子は揃って体を少し動かしたが、まだまだ起きそうにもない。
「ハインライン様もお休みになられますか？」
「いえ、もう少し見ています」
　ハインラインがそう言うと、マーナは嬉しそうに、本当にお好きですねと笑った。その言葉は愚問だなとハインラインも笑う。
「両親からは、お前も他人を慈しむ心があったのかと驚かれました」
「まぁ。ハインライン様はとってもお優しい方ですのに」
　マーナの言葉にハインラインは初めて言われたと心底驚いた。そんな言葉、今まで生きてきてハインラインは一度も言われたことがない。
　しかし、マーナは驚くことが意外だとでも言うのに首をかしげる。
「マーナはお仕事中のハインライン様は存じ上げませんが、アスハ邸にお越しになられ

July 6, 2025 at 2:33 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル5(2/2)
シンとムゥさんとキラとカガリ話

「まぁ、アークエンジェルの人達も悪い奴らじゃないから、そんなに肩肘張らなくても大丈夫だよ」
「エルスマン副隊長は面識があるんですか？」
「まぁ、ヤキンドゥーエあたりは、あの艦に乗ってたからな」
　ディアッカの言葉に、シンが驚く横で、ルナマリアは何かを思い出す。
「そういえば、副隊長はラクス様の志に賛同して参加されたんですよね」
「まぁ、そんなとこ」
「嘘をつくな」
「なんだよ、まるっきり嘘でもないだろ？」
「どうだかな」
　ルナマリアからすると、イザークもディアッカもアスランと同じく有名人だ。親は評議会議員で、名家の出であり、前の大戦では赤服を着て、特殊作戦によりダッシュしたＭＳに乗っていたため、かなり珍しい専用機持ちパイロット、という絵に描いたエリートだ。
　しかし、上官と下官ではありえない気安い二人のやり取りはまるで子供の言い

合いで、話を聞いてルナマリアが思い描いていた姿とは随分違う。アスランもそうだが、聞いた話は当てにはならず、自分の目で見たものは随分と夢がないな、とルナマリアはこっそりとため息をついた。
　一方、シンはレイを思い出していた。アカデミーからの付き合いで、レイはシンの背中を押してくれることもあったし、周りが眉をひそめる場面でもシンの味方をしてくれたこともあった。それなのにシンはレイのことはなにもわからないまま、永遠にわかれてしまった。
　何かが少しでもレイと話していれば、あの二人のように本当に背中を預け合うことも出来たかも知れない。しかし、当時のシンは、特に『インパルス』を受領し、『デスティニー』を受領し、変わっていく世界と自分の環境のスピードに置いていかれないように前しか見ていなかった。シンは、レイを知ろうと横を向くことはなく、前を向かない時はあの日に捕らわれ、下を向くばかりだった。
　イザークの部隊に編入され、一時的な在籍ということもあり、ルナマリアもシンもあまり仕事は任されていない。それよりも上層部から『ミネルバ』乗艦時の聞き取り調査の時間の方が多い。そのせいか、シンはあの激動の日々を思い出し、

July 5, 2025 at 11:33 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル5(1/2)
シンとムゥさんとキラとカガリ話
正直和解は難しいんじゃないかな、とは思っていて、和解はせず、どうにか心の折り合いをつけた結果が自由のあれかなぁと自分なりの回答を出す予定

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「贖罪」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Steve Halama on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　目の前で家族を失ったシン・アスカにとって、その後の生きる原動力は怒りという感情の存在が大きかった。目の前に妹であるマユの腕が落ちたあの光景はシンにとって生涯忘れることは出来ない。
「ねぇ、シン、見てよ。とっても綺麗」
　ルナマリアに声をかけられ、シンは目を開ける。シャトルの隣に座っていたルナマリアは窓の外を指さす。
「ほら、海が見えるまで下がってきたわよ」
　ルナマリアはシンとは違い、プラント生まれ、プラント育ちだ。彼女にとって海が物珍しいものであることはシンにもわかっていたが、彼女に気持ちを合わせる気にはなれず、気のない返事をした。シンの態度に、ルナマリアは少し落胆したように浮かせた背中を座席につけた。
　シンにとって祖国であるオーブが良い想い出ばかりではないことは、ルナマリアもすべてではないが知っている。だからこそ、暗い顔のままのシンが気がかりだった。
「お前達、非公式訪問ではあるが、プライベートではないんだぞ。はしゃぐな」

「はい、申し訳ありません」
　シンが母艦としていた『ミネルバ』は墜ち、『ミネルバ』に所属していたクルー達は今はちりぢりになっている。艦長が戦死したことに加え、前議長であるデュランダルが深く関わっていたとして、ザフトの中でもクルー達の扱いに困っているのだ。その中で、シンとルナマリアは一時的にジュール隊預かりとなっていた。
　現在プラントとオーブは一時的な休戦状態だ。正式な停戦に向けて交渉が行われる前に、プラントにとっての重要人物でもあるラクス・クラインの本人確認が急務となっている。特に、デュランダルが主犯として行われたラクスの替え玉によるプロパガンダは、プラントの世論に大きく影響を与えたこともあり、プラントではより慎重になっていた。
　そこで今回は彼女と面識があり、彼女と行動を共にしていたアークエンジェルクルーやバルトフェルト、そして、オーブ側の心証も悪くはないイザークがラクス・クラインの面通しという特命を受けた。そのため、イザークとディアッカ、それから一時預かりとなっているシンとルナマリアも急遽オーブへ急行すること

になったのだ。
　シン自身、オーブへ行くことはあまり気乗りはしなかったが、微妙な立場であるシンやルナマリアを上官不在のままプラントに残すわけにも行かないと言うイザークの一声により同行することが決まった。
　公式な訪問ではないため、四人ともみな私服で一見してプラントの人間だとはわからないように装っている。ザフトからすればオーブ国内の状況確認、オーブからすれば国内の状況回復のアピール、という利害が一致し、今回オーブ軍の護衛と言う名の監視役もつくが、四人は国内を移動することも可能だ。そのため、訪問したい場所や面会したい相手を事前に伝えれば、融通を利かせてくれることになっている。
　シンは今のオーブに行きたいところもなければ、会いたい人間もいない。しかし、ルナマリアのことを考えると、申請書を空欄で戻すわけにはいかず、記憶の片隅に残っていた人物の名前を書いて提出した。
　今、オーブには紆余曲折あり、ルナマリアの妹のメイリンが保護をされている。捕虜ではなく、保護という名目になっているため、メイリンは酷い扱いを受けて

はいないだろう。ルナマリアからしたら、そもそもザフトを脱走したところからメイリンに聞きたいことはたくさんあるだろう。
　案外ルナマリアは周りを気にすることをシンは知っていた。さりげなく、シンが希望を出したことを伝えると、ルナマリアもほっとしたようにメイリンとの面会の希望を出していた。
　あとで隊長であるイザークと副隊長であるディアッカは特に提出していない、と聞いてルナマリアは恐縮しきりだったので、自分も希望を出しておいて良かった、とシンはほっと胸をなで下ろした。
「まず、ラクス嬢とのパイプ役は『アークエンジェル』の面々だ。お前達の因縁はわかっているが、大人しくしていろよ」
「そんなこと、わかってますよ」
「シンッ」
　ルナマリアが口の利き方、と注意をすると、イザークはその調子で頼むぞと軽くため息をついた。一方でディアッカは気楽に、とシンとルナマリアに声をかける。

July 5, 2025 at 11:33 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル4(2/2)
ディアミリ+子(名前有)がニコのピアノを譲り受ける話

ミリアリアにとって、トール・ケーニッヒはディアッカとまた違った意味で特別だ。それは生涯変わることはない。
　今もミリアリアがトールのことを忘れることはないし、トールを失った日にはミリアリアは祈りを捧げている。ディアッカ自身、ミリアリアがトールを忘れないことも、彼のために祈りを捧げていることを知っているが、それを止めることはしない。ただ、その日はいつもディアッカはダリアを連れてミリアリアにひとりの時間を与えて、夕方くらいにふらりと帰ってくるのがお決まりとなっていた。
　ディアッカなりにミリアリアとトールのことを尊重しているのだと感じで、そういうところが憎めない、とミリアリアは夫のことを愛おしく想うのだ。
「……その、ニコルくんのご両親は私のこと知ってるの？」
「エザリアおばさまが情報源だから、ミリアリアがナチュラルだってのは知ってる」
　エザリアは当然のことながら、トールのことは知らず、ニコルの父であるユーリも知らないだろう。知ったところで、誰の心を癒やしも慰めもしない。
「ディアッカはどうしたいの？」

ミリアリアに尋ねられ、ディアッカはミリアリアをまっすぐと見つめた。
「俺はミリアリアさえよければ、引き取りたいと思う。ニコルのご両親、人伝に聞いただけだけど、ニコルが亡くなってかなり参ってみたいだから……。そのニコルの思い出の品を手放すって、お二人なりに前に進むきっかけになるんじゃないかって思って」
「なら……私も別に反対なんてしないわよ」
　きっかけは大事だから、とミリアリアは繋がれたままのディアッカの手を握り返した。

July 5, 2025 at 11:10 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル4(1/2)
ディアミリ+子(名前有)がニコのピアノを譲り受ける話
ニコを喪った悲しみの第二段階みたいなのは自分が子供を持った時だと思ってます

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「ニコルのピアノ」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Cristina Gottardi on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「ミリアリア、ちょっといい？」
　ミリアリアが濡れた髪を乾かし終えたタイミングを見計らい、ディアッカはそう言って寝室を指さした。わかった、と頷き、ミリアリアは先に寝室へと入る。いつの間にか、寝室で話をする時は、子供に聞かせたくない話だと二人の中でルールみたいなものが出来ていた。特に愛娘にも伏せなければならない話題に心当たりがない、ミリアリアの心臓は普段より早く動いている。
　ミリアリアがベッドの縁に腰を下ろすと、ディアッカも同じようにミリアリアと並んで座った。
「ミリアリアの気持ちを先に聞きたいけど、ひとまず俺の話聞いてくれる？」
　過去、ミリアリアの地雷を踏み抜いたことがあるディアッカは、彼女が傷つかないように勝手に様々根回しをやする男である。その彼が今回やけに前置きするのだから、逆にミリアリアは不満を感じた。当然ディアッカにもミリアリアの不安な気持ちが伝わり、ディアッカはミリアリアの肩を抱いた。
「別にそんな、深刻なアレじゃないから。心配させてごめん」
「私こそ。大丈夫だから、話して」

ミリアリアに促され、ディアッカは順番に話す、と言ってまず彼は娘の習い事に触れた。
　彼らの一人娘であるダリアは去年からピアノをはじめた。元々音楽を楽しめるように、とはじめた習い事だったのだが、たまたま出場した小さなコンクールで優勝してから、楽しいピアノだけではなくなっていた。
「ダリアがピアノのコンクールで優勝してから、うちの親父とかエザリアおばさまが将来はピアニストだとか騒いでて、本人もめちゃくちゃ乗り気だろ？」
「まさか、お義父さんグランドピアノ買っちゃった……⁉」
　オーブの一般的な家庭で育ったミリアリアに対して、ディアッカはプラントの中でもかなり裕福な家庭で育った。ミリアリアと付き合う内にお互いに金銭感覚の差があることを理解し、お互いにその差を埋めようと努力をしている。
　しかし、ミリアリアにとって義父となったダッドとの間には金銭感覚の差は大きくあいたままだ。今ディアッカ一家が住んでいるのは高級アパートメントの一部屋で、グランドピアノを入れる場所もなければ、グランドピアノの重さで床が抜けてしまうだろう。一旦それを一番の理由として、グランドピアノは必要ない、

とミリアリア達は断っているのだが、タッドならばグランドピアノだけでなく、新しい家までセットで買いそうだとミリアリアの顔から血の気が引く。
「大丈夫、それはちゃんと未遂で止まってる。エザリアおばさまも流石にそこまでは突っ走ってないし、流石にイザークも止めてくれてる」
　ディアッカの言葉に、ミリアリアはあからさまにほっとする。そもそもダッドだけでなく、イザークの母であるエザリアもディアッカとミリアリアの子供であるダリアを自分の孫のごとく可愛がっている。もしタッドがピアノを買わないなら自分が、もちろんグランドピアノが入る家もつけると言い出しているので、プラント屈指の資産家達の金銭感覚にミリアリアはめまいがしそうだった。
　自身が考えつく一番恐ろしい考えが否定され、ミリアリアは幾分か気持ちは楽になったが、ディアッカは相変わらず煮え切らない顔をしている。
「エザリアおばさまが話すダリアのことを聞いて、ピアノをダリアに譲りたい、って申し出があるんだ」
「えっ⁉」
　そんな高価なものを、と驚くミリアリアに対して、ディアッカの表情は晴れな

い。何か利権が絡む厄介な相手からの申し出なのだろうか、と不安に駆られながらもミリアリアはディアッカに話の先を促した。ディアッカはミリアリアの手を取る。
「それで、その人は、ニコルの父親で、ダリアに譲りたいって言ってるピアノの持ち主はニコルなんだ」
　ニコル、という名前はミリアリアにとっても忘れられない名前だ。物事はすべて線のように繋がっている。ニコルは、キラとアスランが殺し合うきっかけになったアスランやディアッカの同期の名前であり、そのニコルが死んでしまったことがトールが死んだ遠い原因、と呼べるかも知れない。ミリアリアも一度だけそのニコルの写真を見たことがある。優しい緑色の髪色と同じように優しい表情をする少年、という印象で、正直、軍人は似合わないと思った。
「ミリアリア」
　ディアッカはミリアリアの背をさすり、ミリアリアを気遣った。トールのことを思い出してミリアリアが動揺してしまうのでは、とディアッカは懸念したのだろう。

July 5, 2025 at 11:10 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

#文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「はじめて抱き上げた日」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Austin Schmid on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

捕まえて何かを頼んでいるようだ。普段突拍子もないことをやることもある男だが、流石に今日は大丈夫だろうと、ノイマンはアスランの肩に置いていた手に力を入れる。
「ほら、アスラン、キラに送ったぞ」
　アスランはのろのろとノイマンを見てから、感謝の言葉を述べた後に通信端末を受けとる。
　まったく使い物にならないアスランの姿に、だめだ、こりゃとノイマンは思わずため息をつく。子供が生まれるまでこのままだろうかと、ノイマンがアスランを眺めていると、アーノルド、と声をかけられる。ノイマンが顔を上げると、ハインラインの手にはコップや軽食が乗ったトレイがある。
「暖かいものと軽食を少し持ってきました。マーナさんに聞いたら食事はまだとの事でしたので。スタッフに話をして、簡易のテーブルも持ってきて良いと言われましたので、今持ってきます」
「悪いな」
「いいえ。貴方は手のかかる弟さんの面倒でも見ていてください」

「ありがとう」
「マーナさんの椅子もすぐに持ってきますね」
「そのような、自分でやりますから」
「いいえ。今日は僕もアーノルドも雑用係と思って、きましたから」
　そう言うと、ハインラインはまた足早に分娩室の前から姿を消した。
「マーナさんだって、カガリちゃんのこと気になるでしょう？　アスランのこともちょっとした雑用とかも俺達に任せてください」

July 5, 2025 at 8:49 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

てしまいそうだから、と」
　マーナの言う通り、アスランはひたすら扉の前を歩き回り、更にブツブツと何か呟いている。あんなアスランが横にいては、うっとおしいと怒りだすカガリはノイマンにも簡単に想像がつく。今回、ノイマンやハインラインが病院に呼ばれたのは、アスランの面倒を見てくれと、カガリから直々にご指名を受けたのだ。
　せわしなく、看護師が廊下を行き来しているのもアスランの目には入らないらしく相変わらずブツブツと何かつぶやいてうろうろしている。
「こら、アスラン。うろうろするな、邪魔になるだろう」
　そう言って、ノイマンはアスランの肩に手を置く。すると、アスランはノイマンの姿に素直に驚いた。やはり、ノイマンの声は聞こえていなかったのだろう。
「え、どうして、ここに、」
「お前の大好きなカガリちゃんに頼まれたんだよ」
　ほら、座れとノイマンは少々強引にアスランを分娩室前の椅子に座らせる。本来、待合室として別の部屋が用意されているらしいが、アスランはこの様子ではここから動かないだろう。

「まだ陣痛がはじまったばかりなんだろう？　そんなうろうろしてたら体力ももたないし、スタッフの邪魔になる」
「でも、俺、じっとなんて……」
「やれることなんて何もないんだから、じっとしてろ。そういや、キラには連絡したか？」
　ノイマンの言葉に、アスランは忘れてたと呟く。
「よかったな、やること見つかったぞ。ほら、キラに連絡しろ」
「はい……、あ、でも、なんて……」
「カガリちゃんの陣痛がきて、分娩室に入った、でいいだろ？　キラは今プラントでどうせすぐにはこっちにこれないんだし」
「ああ、そうか、はい、そうですね……ラクスには、あ、キラから聞くか……」
　普段あれだけ優秀なアスランが見る影もないほど、動揺した姿にノイマンはだんだんと面白くなってくる。馬鹿な子ほど可愛いと言うのとも少し違うが、我が子誕生の前に動揺する弟のような存在の肩にノイマンは手を回す。自分の世界に入る人間を引き戻すには、体に触れるのが良いと言うことは、日々の生活で実証

済だ。
「アスラン、落ち着け。俺が代わりに打つか？」
「……お願いします」
　ノイマンに通信端末を渡すと、アスランは両手で顔を覆い深くため息をついた。
　アスランの様子に、相当参っているな、とノイマンはアスランの代わりにキラへ送るメールの文面を作っていく。末尾にアスラン大混乱中に付き、ノイマン代筆と加えれば完成だ。
「まさか、浮気現場に遭遇するとは驚きです」
「確かにアスランの事は好きですけど、あんたの方がずっと好きですよ」
「それはよかったです」
　アスランはまたブツブツと何か呟き、遅れてやってきたハインラインに気付かない。
「テンパり中」
　そうノイマンがアスランを評すると、そのようだとハインラインも頷く。それからマーナに挨拶をし、ハインラインはそのまま歩き出す。そして、スタッフを

July 5, 2025 at 8:47 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル3
カガリ出産に際してドタバタしてるアス+ハイノイと色々思い返すマーナの話
うちのアスとノイは再従兄弟設定です
急にロイヤルと親戚になってしまったノイ方々で揶揄われて欲しい #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php

けられるのはお門違いだ。
「車を止めたらハインラインも来るので」
「はい、部下から入り口に到着されたと連絡が入りました」
　迎えに行ってくるという彼女にハインラインのことを頼み、ノイマンは厳重に警備されたフロアの中を進む。すると、その中に見知った顔を見つけ、ノイマンはトノムラと声をかけた。
「ノイマン様、お疲れ様です。分娩室は、この扉の先でございます」
「おい、やめろって」
　明らかに揶揄う意図を持って敬礼をするトノムラをノイマンはにらみつける。すると、トノムラもすぐにこりゃ失敬とトノムラは敬礼をとく。
「お前も護衛チームに入ってたんだな」
「上司が自分も行きたいけど、行けないから代わりに行ってこいって言うもんで」
「相変わらずだな、キサカさん」
「ほんと、人使いの荒い人だよ」
　トノムラにセキュリティを解除してもらい、ノイマンはＶＩＰ専用フロアへ足

を踏み入れた。セキュリティ上、このフロアに入院しているのはひとりしかおらず、看護師や医者も診査に通った人間のみである。そのため、ナースステーションもがらんとして、連絡役としてひとりぽつんと書類仕事をしている。
　そして、ノイマンが分娩室の前にたどり着くと、その扉の前をうろうろと歩き回るアスランと、そのアスランを呆れたように見ているマーナがいた。
「遅くなりました」
　そうノイマンはふたりに声をかけたつもりだったが、振り返ったのはマーナだけで、アスランは見向きもしない。
「ノイマン様、ご足労ありがとうございます」
「いえ、連絡ありがとうございます。マーナさんもひとりでは大変でしょう？」
　あれでは、とノイマンがアスランを指差すと、マーナは眉毛を下げて頷いた。オーブの姫君、女傑、女神、様々な呼び名があるカガリの妊娠について、ノイマンは公式発表よりも前に知った。
　ひょんなことからカガリとの結婚を控えたアスランと血縁関係がわかり、ノイマンも二人の婚姻を持ってアスハ家の親戚筋となった。

アスランとノイマンは互いに天涯孤独の身であったが、新しく見つかった血縁者について、そこまで感動したわけではない。むしろお互いに自分の存在が何か相手に迷惑をかけやしないかと、そちらの方が先に気になったくらいだ。
　そのため、血縁とわかり感動したのはむしろカガリの方だ。カガリはアスランがいないところで、自分も家族になったが、アスランに家族が増えて嬉しいと、ノイマンに耳打ちした。アークエンジェルでも見たことがあるカガリの満面の笑みに、自分だけでなく、結婚こそしていないものの、パートナーであるハイラインも歓迎されていることがわかり、ノイマンもつられて笑ったことをよく覚えている。
　アスランとノイマンは互いにそれなりに仲の良い同僚であると自負していた。だからこそ、再従兄弟という少々希薄になりやすい親戚関係よりも、年の離れた兄弟のような関係性をイメージして付き合っている。
「アスランのことだから、立ち会いを希望するとばかり思ってましたけど違うんですね」
「姫様が嫌だと突っぱねたのです。絶対に自分以上に慌てて、それにイライラし

July 5, 2025 at 8:47 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

開けて笑った。後にも先にもこんなに笑うことはないだろうと言うほどエザリアが笑うので、タッドは怪訝な顔を彼女に向けた。しかし、エザリアからすればこんなに面白いことなどない。親子仲が改善しつつあることは雰囲気から察していたが、移住を拒むほど息子や将来の嫁、さらにはまだ見ぬ孫と離れることをタッドが嫌がるとはエザリアは思いもしなかったのだ。
「ミリアリアさんのご両親からは恨まれそうね」
「そこは、素直に受け入れる」
　不遜に見える態度で何を言っているんだと、エザリアはまた笑った。
　感情で物事を考えることを、前時代的、時にはナチュラルを卑下する時に口にすることもあった。しかし、コーディネーターにも感情や心がある。家族とともに過ごしたい、愛する者とともに過ごしたい、と言う感情は、コーディネーターであれ、ナチュラルであれ、当然の感情と言えるだろう。
「わかりました、協力します」
　世界の人口比で言えば、コーディネーターよりもナチュラルの方が圧倒的に多い。もしかしたら、ナチュラルの中に、イザークの心を動かす人間もいるかもし

れない、という打算もエザリアの中にはあった。
　しかし、今自分の目の前で考えた末の決意を述べている姿を見て、エザリアはおそらくそんな日はこないのだろうと悟った。
「貴方なりに考えたのね」
「母上のご希望に添うことは出来ず、申し訳ないと思っています。しかし、これは譲れません」
「貴方が考えて決めたことを取り下げるような無粋なことは、母はしませんよ」
　そう言うと、エザリアは二枚の名刺をイザークに渡した。
「うちの顧問弁護士と税理士です。彼らが貴方の力になってくれるでしょう」
「ありがとうございます、母上」

July 5, 2025 at 6:35 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13アスカガ+ハイノイ新刊サンプル2
イザが足長おじさんをしてる話
自由のイザを見て改めて過去の自分とも向きあって生きてるんだろうな、と思いました

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「Daddy Long Legs」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Juskteez Vu on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

　イザークが、母のエザリアに家族を持つつもりはない、と伝えたのはディアッカの結婚が決まったあたりだ。
　いつも自分から結婚についてせっつかれても適当にあしらうばかりのイザークとは違う雰囲気をエザリアも感じた。イザークなりに何か考えがあるのだろうと、エザリアは、どうしてそんなにかたくなになるのかと愛息子に尋ねた。
　すると、イザークは小さく息をはいた。
「俺は昔、戦場で、民間機をわざと撃ちました」
　イザークの罪の告白に対して、エザリアは表情を変えなかった。イザークも表情は変えない。
「民間機を意図して攻撃したことは、戦争犯罪だと訴えられてもしかたのないことだと、今は理解しています。しかし、あの時の俺は、ナチュラルなどいくら死んでもかまわないという考えでした。……とても、愚かなことをしたと思っています」
「貴方が家族を持たない、と決断したのは罪滅ぼしのつもりなのですか？」
　エザリアの声色から、自分に触れた体温から、イザークはエザリアから自分へ

の愛を感じた。愚かなことをしても決して母親は自分を見捨てるようなことはしない、と伝わる愛情を前に、イザークは改めて自分の過去の愚かな行いを恥じた。
「それの罪滅ぼしなどと言うつもりはありません。きっと償うことなど出来ないのだと思います。しかし、自分のような愚か者を少しでも減らすことは出来ると思っています。私は家族ではなく、そのために、時間や資産を使いたいのです」
　イザークの決意を聞いたエザリアがそうとつぶやいてから、時間はどれほど経っただろう。イザークもエザリアも何も言葉を発せないまま、先祖から受けついた古時計の振り子の音だけが部屋に響く。
「具体策はあるのですか？」
　久々に口を開いたエザリアの表情は母親と議員の狭間のような表情をしている。
「教育支援基金を立ち上げようと考えています。ナチュラル、コーディネーター問わず、学ぶ者への支援を目的としたものです。金銭的問題や家庭的な問題など、様々な事情で諦めざるを得ない者やより高度な学びの機会を求める者へ援助をしたいのです」
「ナチュラルもですか？」

「はい。戦争の火種は、相互が持っているものです。今、プラントでは差別的な教育はなくなりつつあると聞きます。また、ミリアリアのように少しずつではありますが、ナチュラルもプラントに住むようになり、ディアッカとミリアリアのようにコーディネーターとナチュラルが結婚する事例も出てきています。同じように、地球でも教育は是正され、オーブのようにコーディネーターが住む地域が増えるでしょう。その時、多くの人間が戦争は愚かだと、ナチュラル、コーディネーターの違いで争うのは滑稽だと考える人間が増えていけば火種は自ずと小さくなる。私はその手助けがしたいのです」
　タッドから婚姻統制の改正について力を貸して欲しいと頼まれた時、エザリアは酷く驚いた。プラントは出生率を上げるために、出生確率の高い組み合わせでしか婚姻は認められていない。少数ではあるが、それに反発するようにプラントを去る人間も一定数いる。そのため、ナチュラルの恋人を持つディアッカも将来恋人と結婚するためにプラントを去るのだろうと、エザリアは考えていたからだ。
「アルバート・ハインラインがナチュラルに入れ込んでいて、オーブの移住を希望して、技術畑や議会は大騒ぎなんだろう？　つけ込む隙があるとは思わない

か？」
　希代の天才、と呼ぶ人間もいるアルバート・ハインラインの名前を知らない技術職や議会議委員はいないだろう。ハインライン設計局の前身である会社の創造者一族であり、『ミレニアム』、『フリーダム』、『ジャスティス』などの主任設計者である彼は、プラントの中でも上位に入るほど重要人物と言っていい。その彼が、コンパスへ出向することもかなり揉めたというのに、更にオーブへ移住という希望は議会でもかなり頭を痛めている。
「……しかし、お相手は男性なのでしょう？　ナチュラルとの婚姻を認めても、アルバート・ハインラインはプラントに留まらないのでは？」
「そんなことはわかっている」
　しれっと言い放つタッドにエザリアは言葉に詰まる。
「ハインラインの小僧は知ったことではない。ただ、うちの馬鹿息子がオーブへ行くのは面白くはない。もし、孫が生まれでもしたら、顔を合わせることも難しくなるしな」
　思いもしなかったタッドの言葉に、一瞬言葉に詰まってからエザリアは大口を

July 5, 2025 at 6:35 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

7/13新刊サンプル①
カガリの結婚式に出るのを渋ってたキサカの話
運命軸で国離れてる間にあんなことになってんだから、絶対に自分の紐付き情報収集役確保するだろの気持ちと、AA旧クルーは全員漏れなく優秀という夢を見ています #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「花咲く姿」、「@ka73_suana」と記載されています。
画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Mira on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝

以下は本文の内容です。

「まぁ、自分はキサカ一佐は結婚式に出席することになると思っていましたよ」
　ようやく観念したのかとでも言いたげなトノムラに、キサカは今日一、顔を歪めた。
　トノムラは元々アークエンジェルのブリッジクルーだ。最初の大戦後、アークエンジェルクルーの多くがオーブに亡命した。トノムラもその内のひとりで、周りと同じように偽名を使い、軍の裏方に徹していた。彼らの立場を考えれば、それは当然の振る舞いではあるが、優秀な彼らを持て余す措置でもあった。
　アークエンジェルが再び表舞台に返り咲いた時に、トノムラはアークエンジェルには乗らずに、オーブ国内の情報等を集め、彼らへ提供する役割を担っていたらしい。それを聞きつけ、アークエンジェルが正式にオーブ軍に編成された際にキサカは自分の部下としてトノムラを引き抜いた。
　雁字搦めで身動きが取れなくなっていくカガリを手助けすることも、彼女を任せられる、と思っていたアスランが彼女の元を離れたことも、キサカは全て手遅れになってから知った。意図的に情報を遮断されていたことは聞かずともわかった。だからこそ、二度とそのような失態は犯すまいと、自分がオーブを離れても

国内の情報を入手出来る、確実な手段をキサカは探していたのだ。
　トノムラを引く抜く際に彼の上官であるマリューはかなり渋ったが、キサカも譲らず、いくつかの取引を経てキサカは無事、自分の右腕を手に入れたのだ。
「つーか、国民は知らなくても、オーブ軍でアスハ将軍とキサカ一佐の関係性を知らないやつはいないんですよ？　俺だって最初警備責任者をやるって聞いた時、何言ってんだって思いましたもん」
　トノムラの言葉に他の部下達も頷いている。上官に対して随分とトノムラは砕けた口調を使っているが、これは配属されたばかりの他の部下達への配慮だ。見た目に威圧感があるキサカは本人に意図がなくても周りに威圧感を与えてしまうらしい。過度な緊張はパフォーマンスの低下に繋がる。彼らの緊張をほぐすためのもので、それがわかっているからこそ、キサカも他の古参の部下達も指摘はしない。特に、今回の警備任務のために新たにキサカの下につくことになった人間も多いため、トノムラの配慮はありがたいものだった。そのお陰で配属されたばかりの人間もほどよく肩の力が抜けている。
「そういえば、式にはチャンドラ中尉やノイマン大尉、ラミアス艦長とフラガ大

佐も呼ばれているそうだぞ」
「そりゃ、その四人は今も交流あるでしょうよ。コンパスで連携することも多いでしょうし。俺はキサカ一佐に引き抜かれて、めちゃくちゃこき使われているせいでアスハ代表と距離ありますからね！」
　トノムラはキサカが考えていたよりも、器用で優秀な人間だった。元々任せる予定だった情報収集だけでなく、その他のスキルも高い。そのため、今ではトノムラはキサカの副官という立場で、キサカが不在の場合は指揮官代理も任されている。トノムラの言う通り予定よりも彼を酷使しているのも事実だ。
「とにかくこっちは気にせず、結婚式楽しんできてくださいよ。俺達は美人の上官の下のびのびとしっかりと警備の仕事やりますから」
「確かに」
「そうですよ、お気になさらず！」
「僕、イオ様の軍募集広告ポスターを見て、軍に入ったので、イオ様の指揮下に入って仕事が出来るなんてすごく嬉しいです！」
　そう言って盛り上がり、士気が高まる部下達を前に、キサカは思わずため息を

July 4, 2025 at 9:05 AM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

日曜日の差し入れたくさんありがとうございました😊😊😊まだ限界原稿女なのでいただいたものを食べたり使ったりしながら乗りきります！
新刊はぜひ、カバーは見返しまで見てください、そこまで最高なので……！
お手紙もなめるように読みます！😘
そして、物々交換もありがとうございました！！！
買い子と売り子をしてた友達二人にめっちゃにやにやしながら帰ってくるじゃん、よかったねぇとよしよしされるほど喜んでいました
マジで大喜びしてました！ありがとうございます！
まだ同じラインナップでやりますので、遊んでいただけると嬉しいです

June 18, 2025 at 3:01 PM

かなみ@通販は固定

@ka73suana.bsky.social

6/15星に願いを。day1、kbnkbサークルで出ます！
新刊もあります！やったね！
そして、去年に続いて物々交換やります！物々交換の詳細は2枚目、3枚目をごらんください！
遊んでいただけるとめちゃ喜びます！
しぶにのっけてる各サンプルは余力があれば、このツイートのツリーにつなげます
くるっぷるではここに全部まとめてます
crepu.net/board/11201675