狐
LightNews LightNews
imanokitsune.bsky.social
狐
@imanokitsune.bsky.social
31 followers 11 following 1.7K posts
they/them ノンバイナリー Aロマ 20↑ 東の国のファウスト先生を応援し、子供たちの幸せについて考えています 最近は二階堂大和さんの話もしています 短歌

全ての差別に反対／子どもの権利条約

https://lit.link/kitsune5884
Posts Replies Media Videos
imanokitsune.bsky.social
蓮巳敬人さんお誕生日おめでとうございます。激動の一年、あなたの旅路を見届けられたことを嬉しく思います。これからもあなたの行く道が、あなたの名の下にありますように！

#蓮巳敬人生誕祭2025
濃い緑色の抹茶モンブラン、抹茶クリームをのせたケーキ、ぶどうを飾ったショートケーキが皿に並び、背景にはフォートナム＆メイソンの紅茶缶と、緑のリボンをつけた蓮巳敬人のぬいぐるみと、紫のリボンをつけた朔間零のぬいぐるみが置かれている 濃い緑色の抹茶モンブラン、抹茶クリームをのせたケーキ、ぶどうを飾ったショートケーキが皿に並び、背景にはフォートナム＆メイソンの紅茶缶と、緑のリボンをつけた蓮巳敬人のぬいぐるみが置かれている
September 6, 2025 at 12:44 PM
imanokitsune.bsky.social
オレンジを差別主義者に取られてたまるか、ということでうちのメンダコちゃんの写真を撮った
オレンジ色のメンダコのぬいぐるみの写真。
July 20, 2025 at 1:37 PM
imanokitsune.bsky.social
かっこいい指輪を買ったぜ　そして付き添いのファウスト先生
金色の土台に青と金がひび割れたように混ざった四角い石が嵌った指輪。ファウストのぬいがそれを覗き込んでいる。
June 26, 2025 at 1:54 PM
imanokitsune.bsky.social
天下布武読み直してたんだけどここのセリフめっちゃ痺れた　かっこいい……
神崎颯馬のセリフ「だから、何が「すまぬ」と？我にはすこしの刃こぼれもできておらぬのに、『傷ついているはずだ』と思いこむのは、我を侮っているからか？」
May 7, 2025 at 9:26 AM
imanokitsune.bsky.social
私の理想のアイドルはずっと蓮巳敬人で……の図
紅郎のセリフ「そこはアイドルとしちゃあ、『ファンの笑顔です』とか答えるべきじゃねぇの」 敬人のセリフ「我らが大活躍しキラキラ輝けば、我らのファンも喜んでニッコリだろうが」
April 22, 2025 at 3:36 PM
imanokitsune.bsky.social
←にこにこの零ちゃん
ド真顔の敬人→
零ぬいと敬人ぬいが一緒に映っている写真。零ぬいは頬に朱が差し笑っているが、敬人ぬいは真顔。
December 20, 2024 at 12:56 PM
imanokitsune.bsky.social
見て
朔間零のバースデーチェキに直筆のメッセージがカクカクした字体で書かれている。内容は「嬢ちゃんの尽力に感謝しておるよ」
November 2, 2024 at 1:48 PM
imanokitsune.bsky.social
食べてきた！！！！！
ココスで撮った料理の写真。オムそばーぐとサーモンのカルパッチョとフライドポテトとコーンスープが写っている。近くにはレイン・パターソンのアクスタとクリアファイルが置いてある。 ココスで撮った料理の写真。唐揚げとポップコーンシュリンプと研究職組コラボパフェが写っている。近くにはレイン・パターソンのアクスタが置いてある。
October 9, 2024 at 6:03 AM
imanokitsune.bsky.social
木ノ内太緒さんによせて

#エイトリ短歌
「かつてここに人類がおり」とすべり台　「もう滅んだよ」と揺れてブランコ 宿題は出せなかったね　はじまりが怖かったんだねノストラダムス 白米がおいしいかわらぬものたちをつないでいけば。とねがっていました | 木ノ内太緒 | @imano_kitsune
September 13, 2024 at 3:09 AM
imanokitsune.bsky.social
あとなんか、ド攻めの年下が蓮巳敬人を中心としたあんさんぶる三角関係に乱入しそうでわくわくしています
維吹のモノローグ（蓮巳サン、ごめんね？　吾はひとつ嘘をついちゃったさ〜？） 維吹のモノローグ（最初はこの競技や勝負を通して、善秀の背中を追うことが目的だったけど！　今、吾が本当にほしいものは……） （……にゃはは、人生は何が起こるかわからないからこそ楽しいさ〜。ね〜？）
August 22, 2024 at 3:15 PM
imanokitsune.bsky.social
イギリスから帰ったよ　これはダーウィンさんと対面する和泉一織さんと大量の眼鏡を前にご満悦の蓮巳敬人さん
チャールズ・ダーウィンの彫像とご対面する和泉一織さん たくさんの眼鏡の展示の前にいるいつぬい蓮巳敬人さん
August 16, 2024 at 12:34 AM
imanokitsune.bsky.social
（10/10）
り。 　そういえば環は、と辺りを見回して、まだオーブン前にうずくまっているその姿を見つけた。エプロンの裾が床についていることも気にせずに、オーブン内へと熱視線を送っている。 　その姿に少しだけ驚いて、それから、笑ってしまった。微笑ましかったのではない、気恥ずかしかったから。 　一織も小学生の頃、同じようなことをしたことがあった。まだ危ないからとクッキーの型抜きしかさせてもらえなかった、本当に幼いときのことだ。 生地ができたところで両親に呼ばれて、小さな台の上に乗って型抜きを手伝った。その時も、同じ型を使い続けていた気がする。ねこだったかうさぎだったかは、さすがに覚えていないけれど。クッキーを等間隔に並べて、オーブンに入れるのは両親がやってくれた。天板と、それを運ぶつかみを持つには、一織の腕はまだ頼りなさすぎたから。 自分が少しでも関わったものが、これから食べられるものになる。ただそれだけの事実がとんでもなく嬉しくて、待ち遠しくて、クッキーが焼けるまでの三十分間、一織はオーブンの前を離れなかった。昔から集中力がある方ではあったらしいので、それも影響していたのだろう。 　あまりにも熱心に、片時も目を離すことなくじいっと見続けていたものだから、様子を見にきた母親にクッキーは逃げないよと揶揄われた。そうやって、確かに一織も、そうやってクッキー作りを覚えたのだ。 　 　デモのチェックは後回しにして、オーブンの前に座り込む環の、隣へとしゃがみ込んだ。少し長めのエプロンの紐が床を擦る。オーブンの中で一段目に置かれた自分たちのクッキーが、オレンジに照らされていた。 低く、唸るような機械音が近くなる。 　どんなに見ていたって、スポンジケーキのように膨れてくるわけでもないし、ポップコーンのように破裂したりもしない。ただひたすらに、じんわりと、焼き色がついていくだけ。 　クッキーは型抜きの間は楽しいけれど、焼いている間の面白さは正直、そこまででもない。それでも環は、一心にオーブンの中を見つめていた。環の、晴空のような瞳の中で、人工的な暖色光がちらちら光る。 　その光の正体が幼い一織と同じものなのかは、わからなかった。一織と環では、生きてきた環境があまりにも違う。家族のことも、裕福度のことも、お菓子作りの経験だってそうだ。二人の間にはあまりにも深い崖があって、きっと一生、埋まることはないのだろう。 　けれど。環境も、性格も、経験も、思考も、何ひとつ同じでなくたって、初めてクッキーを作るときは、こうやってオーブンを覗き込む。 「……ちゃんとできっかな」 「大丈夫ですよ、きっと」 　ささやかな声でつぶやかれた独り言に、独り言を返した。きっと。ぼんやりとした希望に、ぐうっと型を押し付けて、確からしくする、確かめる。何もかも違うままでいたって、同じものを見ることはできるはずだ。きっと、きっと。 　ゆっくりと、けれど確かに完成へと近づいていくクッキーを見つめながら、一織はほんの少しだけ目を細めた。
July 13, 2024 at 11:56 AM
imanokitsune.bsky.social
（8/10）
程は完了。あまり混ぜすぎると食感が悪くなるので、必要以上には触らない。 「いーおりん」 　ちょうどいいところで、計量を終えた環が戻ってきた。妥当な量の小麦粉が入ったボウルと、見事なドヤ顔を携えて。 　褒めて褒めて褒めてと全身で訴える環にしっかりと労いの言葉を告げてから、そういえば、と思い出して、一織は聞いた。 「四葉さん、卵割ります？」 「いいぜ」 　環がニッと笑う。特に根拠もなく、兄の顔だ、と思った。三月には似ても似つかないし、一織が記憶しているどの兄にも寄っていないのに、なぜか。 　卵を手に取り、その大きな手に握り込んだ環は、そのままバターと砂糖の入ったボウルの角にそれを振り下ろす。殻が割れる小さな音が響いて、次の瞬間には、綺麗な円形の黄身が一つ、つるりと生み出されていた。手慣れた様子で殻を横に置き、あっという間に次の卵をその手に包んでいる。 　手元をじっと見つめ、目をぱちくりとさせる一織に、環は見事なドヤ顔を披露した。 「俺、施設で卵割り係やってた」 「……なるほど」 　何と言えばいいのかわからなくなって、一織は控えめな反応を返す。ぼんやりと、施設のキッチンに立つ環の姿を想像した。けれど、そこにあるイメージは、到底一織には掴みきれない。当然だ。訪れたことも、類似する場所を見たこともないのだから。こういう話をどう流せばいいのか、それとも流してはいけないのか、一織はいつも立ちすくんでしまう。 　そんな一織の心中を知ってか知らずか、環は器用に最後の卵を割り入れ、ボウルの中に放置されていた泡立て器を手に取る。子供が持ち慣れないスプーンを持 つときのように、柄をぎゅっと握って。 「四葉さ、」 　嫌な予感がして声をあげたと同時、力を入れすぎた泡立て器がボウルの中で滑り、ガタン、と大きな音を立てた。金属質な余韻が響く。幸い落ちたりこぼれたりすることはなかったが、その音に驚いて、環はぱちくりと目を瞬いた。 「あぶねー……」 　見ていただけの一織も、肝が冷えて鋭く息を吸う。数秒、動くことを躊躇うような沈黙が訪れた。 「……抱えて混ぜるといいですよ、それと持ち方変えて」 　先に動き出したのは一織だった。ボウルを環の左腕に抱えさせて、じゃんけんのぐーのように泡立て器を握っていた手を、逆手にするよう教える。 　環は、しばらくしっくりこないと言うように泡立て器を持ち直していたが、次第にコツを掴んで落ち着いたようだった。今度は力を入れすぎないよう慎重に、手先を躍らせるようにして生地を混ぜていく。 　身体的な技能に関して、環の物覚えは飛び抜けていた。ダンスの振り入れも人一倍早いし、かなりの技能を要求される大道芸でも、少し練習すればそれなりに筋よくこなすことができる。そんな環ができないことがあるとすれば、それは、今までやったことがないこと、ということだ。 　目の前にいるすっかり気心の知れた仲間が、全く違う道を歩いてきた人間であることを、度々思い知る。それはＩＤＯＬｉＳＨ７の誰に対してもそうで、最も長い時間を共にしたはずの兄でさえ、その足元には違う道が続いているのだった。 　それが、怖い、というのもなんだか違う。他の誰も同じでないということは、世界に自分が一人だけであるということは、誇りへと、自信へと姿を変えるから。それでも、違うと思い知る瞬間は、揺れる。 トラブル未満のハプニングを挟みながらも、生地は無事に練り上がり、文字通り俎上へと上げられた。それを一織が麺棒で薄く引き伸ばし、型抜きの準備が整う。 　型の入った袋をざらざらとかき回しながら、環は軽やかに型を選び取る。これはりっくんにと本の形を、これはそーちゃんにと音符の形を。ひとりごとを口ずさみながら、近しい人々に想いを巡らせる環は、ただ純粋に楽しそうだった。洗ったボウルの泡を流し、水切りカゴに並べてから、一織もまな板の前に向かう。 「これはヤマさん」 　そう言う環の手元を覗き込むと、一番シンプルな、丸い形の型を生地に押し付けるところだった。 「それは、何を表してるんですか？」 　今までの法則的に、本人が好きなものをイメージして型を選んでいたのだろう。それにしては、大和のものだけモチーフ元がわからない。どう見てもただの丸だ。 「ん？　武蔵」 「武蔵……」 　頭の中で、ロボット掃除機の輪郭と目の前のクッキー生地をどうにか結びつけた。どう見てもただの円だが、メンバーにとにかく甘い大和なら笑って受け取ってくれそうではある。気づくかどうかは置いておいて。 　満足いく型選びの結果、どうやら随分ご機嫌らしい環は放っておき、一織も自分の作業に取り組むことにした。袋に入った型の中から、何かひとつ選ぼうと覗き込む。 　クッキーの型なんてそう種類も多くないから、仕方がない。そう、仕方がない。 　誰に言うでもなくそう心で唱えながら、一織はねこの形の型を手にとった。あくまで、すぐ手に取れるところにあったから。それだけ。 さまざまな形のクッキーを生み出す環とは対照的に、一織は同じ形を量産していく。型を押し込んで、持ち上げて、生地を外して。ひとつひとつ、何かを確かめるように。型抜きした生地はその場で天板へ。 　環は独り言や鼻歌を交えながら、一織は黙って作業をしていると、一つの生地の全面に穴が開くのはあっという間だった。もう一度生地をこね直し、先ほどと同じくらいの薄さになるように伸ばして、また型を抜いていく。それを無心で二、三度繰り返せば、ついに生地は型を抜けないほどの小ささになった。 　余ったその生地は環の手によって引き伸ばされ、うさぎのような形になった。歪さは残るけれど、存外上手い。そういえば、絵もそれなりに上手だった、と思い出しながら、型抜きしたクッキーの横にそれを並べた。彼の相方と比べて、という相対的な評価が入っていることは否めないけれど。 　 　クッキーが並んだ天板をつかみで運び、予熱しておいたオーブンへ移動させる。扉を閉めれば、そこで作業は全て完了。隣の班の天板も一緒に入っていることを確認して、オーブンのタイマーをセットする。念の為、スマホの方でも同じ時間にアラームが鳴るよう設定した。 　あとは焼き上がりを待つだけ、という段になって、ここからは自由時間。よほどうるさくしなければ何も言われないので、真面目に勉強をする者がいれば、ゲームを始める者もいる。一織も、この時間は新曲のデモを確認するつもりだった。既に壮五から、いくつか候補のデータが送られてきているのだ。 　その前にと、机の上に置かれたままだったクッキングペーパーを元の位置に戻し、散らばっていた型も集めて容器に入れ直す。まな板は軽く水洗いをして、水切りに立てかけた。机の上からものが一通りなくなったことを確認し、布巾で全体を拭けば、片付けも終わ
July 13, 2024 at 11:55 AM
imanokitsune.bsky.social
一織と環の調理実習の話　諸々捏造

（4/10）
「はい、それでは、始め！」 　青いデニム生地のエプロンをつけた教師が、パンッ、と手を打ち鳴らした。 　その前で真面目な顔をして説明を聞いていた生徒たちは、二、三人のグループに分かれてそれぞれのテーブルへと散っていく。色とりどりのエプロンを纏い、しっかりとマスクをした生徒たちの表情は、心なしか期待を映して輝いていた。 　一織が通う高校は芸能校とはいえ、授業のカリキュラムに特別なものがあるわけではない。国数英理社の五教科を基本として、音楽や美術などの特別教科が週に一回ほど。ホームルームも体育も、普通の高校並みに入ってくる。 　となれば当然、家庭科という教科もあるわけで。裁縫や栄養素など、多岐にわたる生活の基本を教わるそれも、やはり普通の高校と同じものだ。そうなれば年に二度くらいは、調理実習というものが実施されるのだった。 「行きますよ、四葉さん」 「おう」 　生徒の流れに遅れを取らないよう、隣に立つ環に声をかける。環は随分と真剣な表情で頷き、一織の後を大人しく着いてきた。 　 　各班のテーブルの上には、一枚のラミネートされたプリントが乗っている。今回のレシピだ。 　作るものはクッキー。長時間寝かせる必要のない、オーソドックスなレシピで、初心者にも作りやすい。最後にはラッピングの過程があるから、恋に悩める、もしくははしゃぐ生徒たちにとっては、一大イベントになるのだろう。芸能校でも、というより芸能校だからこそ、守られた環境である校内で恋愛を楽しもうとする生徒はそれなりにいた。 「さて、始めましょうか。四葉さん、先生の話聞いてました？」 「聞いてたし。いおりんこそ大丈夫なのかよ」 「ケーキ屋の息子を舐めないでくださいよ。兄さんほどの腕前じゃありませんが、クッキーくらい作れます」 　一織と環のグループは、二人以外にメンバーがいない。 　仕事の関係で休む生徒が多いこの学校では、当日まで出席具合がわからないため、この手のグループは当日にくじ引きで決めてしまうのが定石だ。それに反発が起きることもほとんどない。高校生という生き物は、反抗期真っ盛りのように見えても、意外と従順なものなのだ。 　そんな公平なシステムを用意している弊学でも例外はあった。それが、一織と環。抽選箱に最初から入っていない、あぶれた二人だ。 　最初は転入生ということで二人まとめられていただけだったのが、いつのまにか当たり前になり、ついには固定されてしまった。同じグループということで同じ時期に休むことが多いから、一緒にしておくと何かと便利なのだろう。 　最近ではさらに後に転入してきた悠も加わるようになっていたけれど、今日は仕事でお休みである。 　というわけで、二人きり。三人組のグループに比べれば馬力は劣るが、今回は２時限通しの授業だから完成しないということはないだろう。なにより、自分がいる。 　実際今回のレシピは、その通りにやっていればまず失敗はしない簡単なレシピだ。時間も調理実習の間に十分収まるだろうし、巻いたり切ったりと複雑な工程を挟んだりもしない。材料を量り、生地を捏ね、型抜きをして、オーブンに入れて焼く。やることはそれだけなので、いくら経験のほぼなさそうな環でも事故を起こしはしないはずだ。というより、させない。 一織の家で家族向けに作っていたレシピとは若干異なるそれに、念の為もう一度目を通し、一織は壁際に添え付けられたオーブンへと向かった。オーブンは二班共同で使うことになっているけれど、隣の班が動き出した様子はない。 「いおりん何やってんの？　オーブンまだ使わねーよ」 「予熱しておくんですよ。レシピの途中に書いてあるでしょう」 「よねつ」 　英単語を諳んじるような、辿々しい発音で繰り返した環は、レシピを手に取ると上から辿り始める。しばらくして、あー！これ！と大声を上げた。レシピの後半、焼く段階の部分に書かれた、『１４０℃に予熱しておいたオーブンで』の文字を見つけたのだろう。 「なにこれ！　最初にやんなきゃなのに途中に書いてあんの！？」 「そういうものです」 　素っ気なく返したが、気持ちはわかる。ここでそんなことを言っても意味はないので、わざわざ言葉にすることはしないけれど。 　環が大騒ぎをしたおかげで、他の班もその記述の存在に気がついたようだった。何人かが器具を探す手を止め、慌ててオーブンへと向かう。 　ざわめく生徒たちとは違い、教師の方はそれを平然と眺めていた。ひょっとしたら、敢えて失敗（といっても少し作業が滞るくらいだが）を誘い、そこから学ばせる算段だったのかもしれない。と思っていたら、目が合って意味深に微笑まれたので、推測は合っていたようだ。そもそも最初の説明以外は事故を起こさない限り自由なので、余計なことをしたというわけでもないだろう。 　テーブルに戻って、そこに置かれたものを見る。大さじ小さじ、泡立て器、ボウル、綿棒、作業用のまな 板、型、クッキングペーパー、天板。必要な器具が一通り机の上にあることを確認したら、次は材料の調達だ。 　ここにあるのは卵とバターだけで、ほかの材料は前後の机に分けて置いてある。各班の代表がボウルを持っていって、計量をした上で帰ってくるシステムになっていた。 　計量はお菓子作りの要。成功のためには一織が自分でやってしまいたいところだけれど、これは実習だ。つまりは勉強。全てを把握している一織が、その知識のまま全てをやったって意味はない。 「四葉さん、材料を取ってきてくれませんか？」 「おー、任せろ」 　二つ返事とはこのこと。胸を張って快く提案を引き受けた環は、数秒後、レシピを見ながらこう言った。 「……秤ってどうやって使うんだっけ？」 　とてつもなく頼りない一言を聞き、さしもの一織も不安になったけれど、指導の甲斐あって、環は上手くやっているようだった。言葉で教えた時にはまだ不安が残るようだったが、周りの様子を見て使い方を察したらしい。器用さは相変わらずで、なんとなく不思議な気分になる。 「さて、」 　環の奮闘から目を離し、一織はテーブルへと向き直った。大きめのボウルを自分の前に引き寄せ、そこにバターを放り込んだ。既に計量済みの状態で各班に配られているから、改めて秤を使う必要もない。 　そのボウルを持った状態で、環とは逆、後ろに設置された机に向かう。 しばらく室温で置いておいたとはいえ、まだバターは少し硬い。泡立て器で練るようにしながら細かく分けてやると、少しずつ滑らかになってきた。バターが砂糖と混ざって、全体的に白っぽくなってきたらこの工
July 13, 2024 at 11:51 AM
imanokitsune.bsky.social
あとここもね　年下だってこと意識してたんだなあ……
御前試合での零のセリフ「くくく、幼いころはおぬしがどうしても主役をやりたいというので、年下のおぬしに気を遣ってこの役柄を譲ってやったがのう——」
July 1, 2024 at 2:08 PM
imanokitsune.bsky.social
本当に面倒で最高にかわいい零ちゃん　ド執着だね
御前試合での零のセリフ「そのように激情を放っていてこその、我輩が愛する友じゃ！」 御前試合での零のセリフ「そんな常に生きる喜びに満ち溢れたおぬしが、死んだように生きていた我輩に活力と熱を与えてくれたんじゃ！」 御前試合での零のセリフ「会いたかったぞ、待ち侘びたぞ、我が懐かしの親友よ……！　あははははは⭐︎」 御前試合での零のセリフ「あぁ、怒れ怒れ！　罵れ〜！　どいつもこいつも褒めて煽てるばかりだったから、当時は怒られるのが嬉しかったんじゃ！」
July 1, 2024 at 2:07 PM
imanokitsune.bsky.social
なぜ一旦御前試合を見に行ったかというとここの口調変化を確認したかったから　これ普通にここでふざけて言ってるだけなのか幼い頃マジでこの口調だったのかどっちなんだろ……
御前試合の零のセリフ「ううん！　零ちゃんはね〜、もう一度だけでも『敬くん』とチャンバラごっこがしたかったんです♪」
July 1, 2024 at 2:01 PM
imanokitsune.bsky.social
でもこれ本当にいい　本当にいい　健康になる
リズリンの5周年集合絵　零と敬人が向かい合った椅子に座っている
June 23, 2024 at 12:00 PM
imanokitsune.bsky.social
ヴヴヴヴヴ（30連持ってかれた）
［リズリンの吸血鬼］朔間零のガチャ画面
June 23, 2024 at 11:58 AM
imanokitsune.bsky.social
嵐の谷　折句
#まほやく短歌
荒織りのシャツがこの身を呑み込んで他人の指に似ている、今も 嵐の谷　折句
June 3, 2024 at 7:23 AM
imanokitsune.bsky.social
（7/7）
の名残が見え隠れしていた。 「え、なに、なんで笑うの」 　なにかのツボに入ってしまったのか、ファウストの笑いの発作は止まらない。動揺してネロが差し伸べた手を制しながら、どうにか呼吸を落ち着けようと、ファウストは小さな深呼吸をした。 「すまない、笑ってしまって」 「いや、いいけど……」 　困惑したまま、中途半端に伸ばした手を引っ込める。もう一度、確かめるように一呼吸置いて、ファウストはふっと眦を緩めた。 「少し前にね、僕も賢者に同じことを言ったんだ」 　ほんの数ヶ月前の昔を思い出して、ファウストは視線を下げる。それは、懐かしんでいるようでも、憐んでいるようでもあった。 「まだ魔法舎に来たばかりの頃だよ」 「あー……」 　今でこそ保護者として、先生としての顔が目立つファウストだけれど、会ったばかりの頃は確かにちょっと尖っていた。この世の全部が敵だと、そう思い込みたいと願っているような、切実な目をして。 「賢者さんはなんて？」 「それでも信じて待っていたい、と」 　今度はネロも、思わず笑ってしまった。賢者が大真面目な表情で、まっすぐにこちらを見つめながらそう言う姿が目に浮かぶようだった。 「賢者さんらしいや」 　本当にね、とファウストが同意する。突然この世界にやってきて、役目に振り回される毎日を送るあの人間は、どうしようもないほどに強い。誰かを純粋に信じられるその力は、危うくはあるけれど、勇敢だった。 「僕は賢者ほど格好のつくことは言えないけど、言っておくとすれば、そうだな……」 　ほんの少し見上げる形で、ファウストがネロと目を 合わせる。猫のようにじっと。そうやって見つめることができるファウストが、少し前までは怖かった。東とも北とも違う、賑やかな街の雰囲気を感じて。 「今度の夕飯はガレットがいい、かな」 「……それはリクエスト？」 「違うよ。作ってくれる人がいなかったら自分で作る」 　嘯きながら、ファウストは口の端を吊り上げた。紫の瞳が悪戯っぽく光って、くるりと弟のような顔に変わる。 「でも、君のガレットが一番おいしい」 　ずいぶん遠回りな言い回しと、そこに滲む幾重もの気遣いに、ネロは気恥ずかしくなって頬を掻いた。これだから、どうしても気を許してしまう。 　信じることは怖い。信じられることも、同じくらいに怖い。東の魔法使いは臆病で、自分の魂を預け切るような真似なんて一生できないだろう。ネロより遥かに勇敢なファウストでさえ、きっとそういう時がある。臆病なものに触れるとき、触れる側も少し臆病になるのだ。 　そして、その臆病さに救われることだって、この世界ではたくさんある。 「ほら、行っておいで」 　長話に見切りをつけて、ファウストがネロの箒をつついた。大人しく先生の言いつけに従って、箒の柄を跨ぐ。ファウストを振り向いて、もう一度会釈を送り合って、ゆるやかにネロは飛び立った。 　空が近づく。そよ風のように心地よくて、ほんの少しだけ心細い自由がやってくる。 　宿題の期日にテスト、夕飯の話。いくつ積み重なったって約束になんかならないような、脆い、脆い会話だった。鎖でもない、リードでもない、蜘蛛の糸のようなそれを頼りにして、きっと帰ってくる。三日後か四日後か、もっと後になるかもしれないけれど。 　ガレットの中身、何にしよう。箒と共に屋根の高さ を越えながら、ネロは既に、魔法舎のキッチンを思い描いていた。
April 7, 2024 at 12:34 PM
imanokitsune.bsky.social
ネロとファウスト　いってらっしゃいが言えない人たちについて

（4/7）
「……あの、さ」 　グラスをくるりと回して、ネロはひとりごとのように呟いた。グラスの底にほんの少しだけ残っていた年代物のワインが、たいした香りも燻らせずにゆらゆら揺れる。なんだか妙に風が冷たいのは、二人でボトルの二本目を開けて、随分酔っ払っているからかもしれなかった。 　魔法で中庭に呼び寄せた、丸い木のテーブルの向こうでは、ファウストが飲み切ったグラスを置くところだった。ネロの言葉を受けて、紫の瞳が僅かに伏せられ、すぐにゆったりとネロの方に向く。ネロとファウストが二人きりで飲むときの、相槌のようなものだ。 「いや……あの、そんなに真面目な話じゃないんだけど」 「そうなの？　緊張してるように見える」 「あー……」 　グラスに添えている指を何度も組み替えているのとか、視線がうろつきまくっていたこととか、わざわざ酔いが回った後に話を切り出したこととか、そういうことは全部バレているらしい。自分でも隠し事が上手い方だとは思わないし、この先生はいかにも先生らしく（といっても、ネロは他の先生とやらを知らない）ネロの心情の機微に目ざといので、隠し切れるとも思っていなかったのだけれど。 「えーと……」 「うん」 　歯切れの悪いネロを急かすこともなく、ファウストはつまみのビスケットを口に運んだ。かすかな体重移動を受けて、木の椅子がぎぃ、と軋む。そのあまりにも気負わない姿勢に、ネロも肩の力が抜けた。 「授業を休ませてほしくて。……三日くらい」 「いいよ」 　まるで事前に答えが決まっていたかのようにあっさりと承諾され、ネロはなけなしの勇気が空回る心地を 味わった。面食らって、ほんの少しの間押し黙る。 「何、不満なの」 　ちっともそうだとは思っていない声色で、ファウストは言った。不思議そうに首を傾げながら、まだ半分ほど中身が残っていたワインボトルを手に取り、グラスへ注いでいく。 「サボろうとしてるとか思わねえの？　理由も聞かないじゃん」 　テーブルに肘をつきながら問うと、ファウストは僅かにネロを見て、また視線をワインへと戻した。ボトルを置いて、グラスを手に持って、ゆるりと回して。それからやっと、質問に答えるために口を開く。 「君、サボるときはもう少し上手くサボろうとするよ。直接言ってくるなら、何か事情があるんでしょう」 「……まあ」 　さすがの観察眼、と舌を巻く。伊達に先生をやっていない。 　事情、と呼べるほど立派なものではない気がするけれど、サボりのつもりではないのは事実だった。強いて言うならば、逃避、なんだろうか。 　何かに追われているわけでも、悪いことが起こるわけでもない。ただ、静かにしていると大声が出したくなったり、大事にしていたものを急に全部捨てたくなったりするような、そういう衝動。 　反動、揺り戻し、破壊願望。どんな言葉も微妙に当てはまらないそれは、けれど、ネロに昔から備わった本能だった。心から安寧を望んでいるのに、いざそれが手に入ると、窮屈で堪らなくなる瞬間が訪れる。 　考え込む素振りをしながら、ファウストが指で机を軽く叩く。ほんの数秒そうしてから、何かしらの決定を下して小さく頷いた。 「……そうだな、昨日出した宿題、期日を少し伸ばそうか」 「マジで？」 「うん。代わりに、君は次のページの問題までやってくること。帰って来て少ししたらテストをするから、丸つけと見直しも忘れないように」 「げ、増えんの」 「当たり前だろう。君だけ宿題を無くしては、シノやヒースが可哀想だ」 　ちぇ、と少しむくれる。テーブルに身を乗り出したファウストに、かわいい顔をしてもダメだよ、と額をつつかれた。 　見た目ほど堅物ではないし、融通も効くけれど、決して特別扱いはしてくれない。ファウストの雨のような公平さは、ここで息がしやすい理由のひとつだった。 「子どもたちには僕から適当に言っておくよ」 「ありがと、助かる」 「構わない。有給は大事だと、賢者も言っていたしね」 「……ユウキュウ？」 「特別な休暇のことらしい。よく知らないけど」 　そう言って首を傾げたファウストは、すっかり年下の顔をして、残りのワインを一気にあおった。 　出発の日はすぐだった。というか、話をした翌日の夕方だ。 　夜飲みをした次の日の朝には、ネロが少し留守にすることがシノやヒースクリフに伝わっていた。もちろん、雨の街に様子を見に行くとか、適当な理由付きで。とはいえ、なんだかんだ聡い子供たちのことだから、何かしら察されていてもおかしくはない。 　任務に影響があるかもしれないからと、賢者にも事情が伝えられた。すぐにカナリアにも話が行き、ひとまず魔法舎の食が確保される。 　これらの仕事を、ネロにしっかりと許可を取った上でやってのけるのだから、ファウストはすごいと思う。生真面目だな、とも。 そんなこんなで、結局はまあまあの人数に知られることになったネロの家出もどきだけれど、玄関まで見送りに来たのはファウスト一人だった。普段だったら来そうな面子も見当たらないのは、ファウストが気を遣って人払いをしてくれたんだろうか。 「忘れ物はない？」 「お子さまじゃねえんだから……」 　魔法で箒を取り出したネロを前にして、ファウストがくすりと笑う。本当に幼い頃にすらされたことのない子供扱いを、この歳になってここまでされるとは思わなかった。しかもそれが心地よいのだから、だんだん自分の精神年齢が心配になってくる。 　荷物は本当に、忘れ物をする余裕すらないほど少ない。着替えと最低限の金銭、少しの水。それからお守り代わりの包丁を、刃先を革でぐるぐる巻いてから詰めた。 　それでもネロにしてはバッグが重いのは、なんともお利口なことに課題の教科書を入れているからだ。どうせ見ることすらない気もするけれど、最初からやる気がないわけではない。多分。 　箒の柄に荷物を引っ掛け、地面と水平になるように浮かせる。心配性のファウストが、小さく呪文を呟いて滑り止めの魔法をかけてくれた。 「それじゃあ、また」 　そう言って、ファウストは帽子のつばをつまんで持ち上げる。それに会釈を返しながら、なんだか名残惜しいような気持ちになって、。名残惜しいというよりは、むず痒かったのかもしれない。当然のように与えられる信頼が。 「俺が帰ってこなかったら、どうすんの」 　ネロの問いに、ファウストは目を丸くして、それから微笑んだ。すぐに微笑みから小さな笑声が漏れ、慌てて手を口に当てたかと思うと、ついには俯いてしまう。華奢な肩が小刻みに震え、堪えきれなかった笑い
April 7, 2024 at 12:32 PM