Hiroshi Takei/武井寛
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Hiroshi Takei/武井寛
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アメリカ現代史(人種関係史、公民権運動研究、都市史)。アメリカについて勉強したり、教えたりしています。
池本大輔さんの『サッチャー』読了。
本書はとても読みやすく、彼女に対する理解が深まりました。サッチャーの伝記は読んだことはありませんでしたが、彼女がどのような背景で政治家を志し、首相として具体的にいかなる政治を行なったか再確認できました。これまで知っていたことを補強するような情報もあれば、新たな発見もあり、読み進めながら楽しめました。一番勉強になったのが、ある出来事に対する解釈に対して様々な立場があることや、相反する主張などを本書の中で先行研究をカッコで示しながら議論を進めてくれたことです。
November 16, 2025 at 2:16 AM
長谷川貴彦編著『サッチャリズム前夜の<民衆的個人主義>』読了。序章で述べられていた「衰退」論の検証と「新自由主義」の検証は、近年の研究動向がわかってとても勉強になった。第六章の「踊りの場」の人種差別は特に面白かったです。しかし、個々の章は一つ一つ面白いのだが、それが序章であげていた問いとのつながりとなると少々わかりにくかった。やはりこのへんは、こうした論文集の難しさであろうか。全体としてどのように関連しているのかが見えにくくなりがちである。それでも、「民衆的個人主義」という概念が今後どのように発展していくのか(あるいはしないのか)楽しみではある。
November 10, 2025 at 10:12 AM
中條さんの新書読了。黒人史を学んでいる人ならばこの人の新書は読みたい、と思える中條さんの人種論。とても勉強になりました。レイシズムを中心テーマとした本書が注目したのは奴隷制、ジム・クロウ制度、ゲトー、ハイパー・ゲトーの4つである。今回のこの4つのテーマで共通するのは空間でしょうか。黒人たちの生活空間がさまざまな形で制限されていることが明らかになります。また、少々抽象的な話も思想史をご専門とする中條さんならではの具体的な事例も示しながら議論を進めていてとても読みやすいです。個人的には中條さんの公民権運動とブラック・パワー運動に対する見解が知れてよかったです。#岩波新書
#中條献
November 6, 2025 at 12:28 PM
著者の南川さんからご恵贈いただきました。ありがとうございます!南川さんによるコミュニティ研究。読むのが楽しみです。
November 5, 2025 at 11:42 AM
著者の和泉さんから『日系カナダ人の移動と運動』の新装版をご恵贈いただきました。本書は2021年にカナダ研究国際評議会から、カナダに関する学術出版の中から選ばれる外国語部門で受賞した著書です。(アジアからの国で初の受賞作だそうです!)旧版より表紙の写真も変わり、一回りコンパクトでソフトカバーになっていてこれまた良き。
#小鳥遊書房#和泉真澄
October 13, 2025 at 1:11 AM
話題の加藤喜之さんの『福音派』読了。非常に読みやすい本でした。福音派とはどのような人々なのか、ということを丁寧に説明されていると思います。専門であるアメリカ史の内容なので知っていることが多いのですが、重要なのは具体的な歴史的事象に対して福音派がどのように対応したか、という点が通史的に理解できて勉強になりました。福音派の著名なリーダーだけではなく、個人的なコネクションや団体の活動など点と点がつながる感じもあり、読みごたえがありました。また、福音派の中の多様な立場も知る事が出来て面白かったです。黒人ファンダメンタリストについては知らなかったので、ぜひ参考文献を読もうと思います。
October 9, 2025 at 2:04 PM
弓削さんの『入門男らしさの歴史』読了。1970年のメンズ・リブから始まりを、男性のみの徴兵制に対する疑問、父親の親権を巡る運動、同性愛者の運動から紹介しています。また、アラン・コルバン監修『男らしさの歴史』の3巻本の表紙が原著と日本語訳でどう違うか分析しているのが興味深いです。体操と身体の鍛錬の話や徴兵制と男らしさの話などは、初学者にとっても興味深いと思います。個人的には決闘の文化の話と戦傷病兵と性の関係についてが面白かったです。とても読みやすいので、ぜひこの分野に関心のある学生さんに勧めたいです。
October 2, 2025 at 3:31 AM
読了。有名な写真もたくさんあるが、それよりも知らない写真が多くて勉強になった。本文の解説も分かりやすく、文献資料だけでは分かりにくかったり、伝わりにくい内容を写真で視覚的に示してくれて大変勉強になった。日本の戦後について興味を持つ学生も多いので、積極的にこの本を勧めたい。
September 24, 2025 at 12:27 PM
『黒いイギリス人の歴史』読了。本書の魅力は長期的な視野から描かれるイギリス黒人の歴史だと思う。しかも単にイギリスにおける黒人の歴史だけでなく、イギリス植民地の黒人も描いているがゆえにアメリカ研究者としては面白い。つまり、イギリスの視点からの(アメリカ大陸の植民地の)黒人の歴史なのである。これはアメリカ史研究者としては面白くないわけがない。また、そうした黒人といっても多様な社会的なステータスや複雑な立場にあるのだが、それをわかりやすく描かれている。この本を読みながら学生と(史料購読とば文献購読の授業などで)アメリカ黒人の歴史に関する本と比較して読んで議論したいところである。大変勉強になりました。
August 22, 2025 at 12:59 PM
昨日は京都でアメリカ史学会例会に参加。それぞれの発表者の話が面白かったし、何よりコメンテーターの京大の森口先生のコメントがそれぞれの研究の視点をさらに広げてくれてが素晴らしかった。今日はクローズドの研究会にお邪魔させていただき、非常に勉強になった。京都も暑かったけど、カラッとした暑さで名古屋のようなちょっとジメジメした暑さとは違う感じ。明日は授業があるので名古屋へ…。
July 20, 2025 at 7:49 AM
佐藤郁哉『リサーチ・クエスチョンとは何か?』読了。
自分は「リサーチ・クエスチョン」というものを明確に定義して理解できていなかったのだな、と考えさせられた本でした。日本の院生時代の指導教員やアメリカ留学時代の指導教員から教えてもらった歴史学としてのリサーチ・クエスチョンを自分なりに理解していたつもりですが、理解していたつもりだったかもしれません。新たな理解を促してくれた本であると同時に、それでも歴史学の分野では多少違いがあるかもしれないとも思いました(もちろん、これは著者の主張を否定するのではなく、私の理解が追いついていないだけの話)。
July 13, 2025 at 12:11 PM
ディン・ケネディの『脱植民地化』読了。
脱植民地化とは第二次世界大戦後の30年間というよく知られた時代だけでなく、4つの波があるいう主張は新鮮でした。帝国間のグローバルな戦争が契機となって脱植民地化が起こるという著者の主張は非常に説得的である。また、植民地化された側、反植民地闘争を展開する人々はその時の条件で様々な目標をたてたり、複数の選択肢の中から行動を起こすという。脱植民地という言葉から今までは考えてこなかった視点を提供してくれて大変勉強になりました。また、訳者の長田紀之さんのあとがきも大変丁寧に本書を解説されていて読み応えがあります。
July 9, 2025 at 4:54 AM
井上弘貴『アメリカの新右翼』読了。近年の保守派の動向がわかってとても勉強になりました。かなり入り組んでいてよくわからなかった点も整理できました。こうした新右翼の人々の主張を思想と呼べるのか、イデオロギーではないのかとも思いましたが、あとがきを読むと井上さん自身のこの点は理解されているようでした。そして、こうした新右翼の行動はもう無視できないまでにアメリカ社会に多大な影響を与えているので、何かしらの行動が必要だろうけど対応策が見えないところにこれからのアメリカに対してなんともいえない不安を抱いてしまします。
#新潮社#井上弘貴#アメリカの新右翼
July 1, 2025 at 2:11 PM
生井さんの『アメリカのいちばん長い戦争』読了。ヴェトナム戦争後の話なのですが、ヴェトナム戦争がその後のアメリカ社会のさまざまな局面で尾を引いているのがわかります。生井さんらしい映画分析もあり、とても面白かったです。また、カーター大統領の評価も大変興味深かったです。確かに9.11後のテロとの戦争はアメリカ政治に非常に大きな影響を与えているなと再確認しました。現代の戦争を考える上でも重要な本だと思います。
#集英社新書#生井英考
June 29, 2025 at 12:46 PM
渡邉雅子さんの『論理的思考とは何か』読了。論理とは何か?どういう意味なのか、という点を国別に検証した点は大変勉強になりました。また、本書で強調された「作文」と「論理」の違いを丁寧に1章使って説明していて勉強になりました。さまざまな「論理」のかたち提示することで、いかにある国ではそれが論理的とは捉えられないのだ、ということがよくわかる本だと思います。大学生に人気があるのは納得できます。
#岩波新書 #渡辺雅子 #岩波新書#論理的思考とは何か
June 28, 2025 at 11:01 AM
訳者のお二人から御恵投いただきました。ありがとうございます!モスコウイッツの翻訳ですが、新自由主義的な政策が人種問題と絡み合いながらジェンテリフィケーションという形で行われたのを見事に描いています。原書を読みましたが、忘れている箇所も多いので勉強し直します。
June 24, 2025 at 4:08 AM
土屋さんの『福祉権運動のアメリカ』読了。大変勉強になりました。福祉権運動がいかにアメリカで展開されたか、とても丁寧に検証されいています。特面白いのが、福祉依存の言説を主張する保守派の言説とその問題性と欺瞞性を指摘する研究はあるけど、そこから取り残される受給者自身の声を丁寧に拾い、福祉権という概念を彼女/彼らがいかに展開したか、これまであまり明らかになっていなかった人々に焦点を当てて考察しているとことです。主に黒人女性を中心とする人々の活動に光を当てながら、公民権運動がこの問題に取り組めず、黒人男性中心的な運動の欠点を見事に暴露しながら、NWROを中心に福祉権としてこの問題を顕在化していく姿は、
June 23, 2025 at 12:09 PM
最近のお買い物その②
昭和堂のDMで特別価格だったので購入。研究費が削減されていく中でありがたい。
June 18, 2025 at 12:27 PM
最近のお買い物その①
アメリカ学会で小鳥遊書房さんで購入。買い忘れと新刊と学生用。いつもありがとうございます。
June 18, 2025 at 12:27 PM
土屋さんからご恵投いただきました。ありがとうございます。論文も引用していただき、ありがたいことです。すぐに読み始めたいと思います。
June 14, 2025 at 1:10 AM
吉田裕『続・日本軍兵士』読了。
大変おもしろく読みました。
前作の続編という位置付けだが、食料、装備、軍服、病気などに注目したより社会史的な視点で分析した本でした。日本軍の構造的な問題でもある杜撰さがよくわかる本でした。吉田先生をもってしてもなかなか史料が見当たらず、苦労されていたというのはいろいろ考えさせられる。お勧めです。
#中公新書#吉田裕
June 12, 2025 at 8:22 AM
紀平先生の遺作『リンカン』読了。個人的にはイリノイ州の発展の話と政治家リンカンがが形成されていく様子が勉強になりました。リンカンに関しては和書でもかなりの著作があるのですが、ほとんどが分厚くて分量も多く、それなりのお値段がする。そのため授業やゼミでも学生には少し勧めにくかったけど、今回は新書でコンパクトにまとめられていてありがたい。
#岩波新書 #紀平英作 #アメリカ史 #リンカン
June 2, 2025 at 5:57 AM
中村さんの『ブラック・カルチャー』読了。『野蛮の言説』が素晴らしかった中村さんの最新のご著書。『黒人法典』や『黒人と白人の世界史』などの重要な書物の翻訳も精力的なやられていて、注目の研究者ですよね。自分の専門に近いのよく知る内容が多いのですが、だからこそ、それをコンパクトにまとめて何を強調しするかは本当に難しい問題かと思います。それをこのように分かりやすくまとめるスキルは素晴らしいです。(むしろ、専門書を執筆するよりも難しいと思います。)また、文学については勉強になることが多かったです。
May 16, 2025 at 11:34 AM
井野瀬さんの最新書読了。
本書は植民地支配と現代の問題がいかに繋がっているか、あるいは過去の記憶がいかに現在に掘り起こされるかということがよくわかる本でした。ブリストルのコルストン像が引き倒された話、骨を通してアイルランド大飢饉の話、そしてカリブ海の女性奴隷の話が特に勉強になりました。いわゆる論文とは違って少し文体も緩やかで、もともと読みやすい文章をお書きになる井野瀬さんですが、さらに読みやすかったです。
May 15, 2025 at 4:25 AM
吉見俊哉さんの『アメリカ・イン・ジャパン』読了。吉見さんのハーバード大学の講義録ですが、興味深い内容でした。特に原子力発電については、以前読んで大変勉強になったちくま新書の『夢の原子力』がベースになっていて面白かったです。ただし、「脱亜入米」は少々大胆な主張かなと思います。この時代の日本史におけれヨーロッパとアジアの関係に関する研究(特に東アジアをめぐるは中国と朝鮮の研究)を見ると、決してアメリカ一辺倒ではなかったと思います。
May 3, 2025 at 1:33 PM