日野
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日野
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成人　ゲームと映画とドラマの話
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#洋ゲーフェス2025
サイパン2077、Disco Elysiumの版権小説で参加します。pixivにて投稿予定です。よろしくお願いします！
May 9, 2025 at 2:59 PM
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#レカペ2504
ウルデプ小説短編展示で参加しています。よろしくお願いします
April 12, 2025 at 5:35 AM
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8/8
January 3, 2025 at 11:27 AM
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辛さ増し増しメキシカンを食べたせいでキスを嫌がられるウルデプ短編
※最終的にキスはしてますのでご注意ください
4/8
SPICE 「待った、今キスすんのやめろ」 　　非情な言葉が眼前に迫った唇から漏れて、ついでに容赦なく顔に掌を押し付けられる。その力強さは、普段へらへらと笑いながら押し倒されてくれるこの男の本来の膂力が遺憾なく発揮されていて、ローガンは思わず“待て”を受け入れた。 「…ウェイド、なんでだ」 　顔面に押し付けられた手を甘んじてそのままにして、一旦気持ちを落ち着けてから問う。夕食も終わり、今日は早めに寝室にアルテアが引き上げたので、ローガンはタイミングを見計らっていた。洗い物を終えて腕まくりを下ろし、隣に立って皿を拭いていたウェイドが最後のスプーン一本を引出に仕舞ったところで、ようやく肩に手を回した。 　しかし、この仕打ちである。ローガンは唸った。 「あんたさっき激辛料理食べただろうが」 「…激辛？」 「タコス、スパイス増量しまくりで注文してたの俺は見てたぞ」 　今日の夕飯は、最近アパートの近くに出来たアメリカとメキシコ料理の融合、テックスメックスの店でテイクアウトしたデリだった。ウェイドの好物のチミチャンガに、アルテアにはチーズ多めのナチョスを選び、確かにローガンは自分の分のタコスにはスパイスを増量で注文した。 「そんなに辛くなかったぞ」 「ヒーリングファクターで舌が麻痺してんの？」 「それとこれと何の関係が」 「だーかーら、それでキスしたらヒリヒリして痛いの。俺のただでさえ敏感で繊細な唇が余計ぼろぼろになるだろうが」 　冷めた様子で淡々と説明をされ、掌すらも離れていけば、ローガンには既に反論は出来ない。コーヒー淹れるけど飲む？とすっかり普段の調子でウェイドに問われ、ローガンは唸り声をまだ抑えきれずに返事をした。 「あ、歯ァ磨いてうがいしても駄目だかんな。しばらく残るんだよ、スパイスは」 　のそのそと洗面所へ向かおうとした背中に追いうちのように声をかけられ、思わず足を留める。今日のウェイドは、流されてくれそうにもない。 　何より、痛いから嫌だと言われて無理強いできるローガンでは、なかった。 「…あのさ～、もう一生キスしないって言ったわけじゃないんだから、そんなに見るなよ」 　ソファで隣り合わせにコーヒーを、適当な映画を流して世間話を。その間にもウェイドの唇を見ては、む、と自らの唇をへの字にして我慢していたローガンに、ついにキスを拒んだ本人が耐えかねて声を上げた。 「辛いのがそこまで駄目だと思ってなかった」 　お前だって美味そうにスパイスだらけのタコスを食べてるだろうに。そう口にしてから、ローガンは自分の声色が想定よりも大分悲観的である事に驚いた。別に、キスなんていつでもできる。明日、明後日、いつでも。一生キスしないと言われたらもちろん困るが、ほんの一時だけの話だ。しかしすっかりそういう気分だったのを止められれば、余計に惜しくなるのは人の性だろう。 　どれだけしょげているように見えたのか、ウェイドはほんの少し眉尻にあたるであろう部分を下げて仕方なさそうに笑った。 「いや俺ちゃんだって好きだよ、スパイスたっぷりメキシカン。でも今日はちょっとお肌の調子がよくねえの」 「…大丈夫なのか」 「んん、あんがと」 　マグカップをローテーブルに置いて、ウェイドの手がローガンの肩に乗る。頬に寄って来た唇が、耳元でリップ音だけ響かせてすぐに離れて行った。 　待て、今この男、頬にキスをしたか。ローガンの一旦落ち着いていた欲が、この瞬間に頭をもたげた。 「おい、お前だけするのはずるくないか」 「はい？」 「俺は我慢してるのに」 　肩に乗ったウェイドの手を、そのまま握り込む。そのまま手の甲に、指に、頬に、唇に口付けたいのをぐっと我慢して、ローガンは皮膚の感触を確かめた。確かに、指で撫でた皮膚は普段よりも荒れている気がしたし、間近で見る唇も赤らみ痛々しい。今度から、メキシカンを食事の候補に挙げる前には確認しなければ、とローガンは心に刻んだ。 （次ページへ） （続き） 「俺の口がだめなんだろ」 「え、ちょっと」 　唇や舌じゃなけりゃいいんだろうが、と半ば意地になっていた。ローガンは掴んだ手に、顔を伏せて──それから、思い切り鼻を摺り寄せた。 　嫌がられるかもしれない、と一瞬懸念が脳裏をかすめたが、鼻の先を指の股に押し込んですんと鳴らせば、ウェイドは口を噤んだ。さっき押しとどめられたように“待て”をされないのは、つまりは“良し”の証である。そう勝手に決めてから、むず痒そうに頬の筋肉を痙攣させているウェイドの顔に、ずいと面を近付けた。 「ローガン、あんたってほんと」 「喋ると唇があたるぞ」 　恨めしそうに口を開くのを止めて、そのままずいと顔を寄せる。反射的にウェイドが瞼をぎゅうと閉じたのを見て、薄っすら笑ってから、ローガンは鼻の先を、ほんの優しく──目の前の男の鼻っ面へと押し付けた。 　でこぼことした感触は、既にローガンにとってはそれがウェイドだと確かめる為の要素のひとつだった。高い鼻筋を辿って、鼻先にもどって、突くようにお伺いを立てる。少し前、ローラとウェイドが騒ぎながら見ていた動物の動画で、犬だか何だかがこうやって互いの鼻を押し付け合っていたのを思い出す。かわいいねえ、と騒いでいる二人を見てひそかに和んでいたローガンだったが──今は、目蓋を痙攣させて震えるウェイドを、愛でたい気持ちになっていた。 「ああもう、ほんっと、あんたって焦らすのうまいよね」 「ウェイド、」 「黙ってな、ピーナッツ」 　まだ手にしたままだったマグカップを、ウェイドの手が取り上げる。もどかしげにローテーブルに置かれた瞬間コーヒーがふちから溢れるのが見えて、ローガンの意識がそっちに向いた瞬間、ウェイドはしなやかな動きでローガンの膝の上に跨っていた。 　反射的に、その両脚を支えるように手を伸ばしたのはいつもの癖だった。ベッドでも、そうじゃなくとも。ウェイドの手が強引にローガンの顎を掴み上げて、それは“待て”ではなくて、“来い”の合図だとすぐにわかる。痛いんだろ、いいのか、と目で問えば、答えるウェイドの目は楽し気に細められた。 　食いつくように、赤みを帯びた唇が飲み込みにかかってくる。一瞬怯んだのは、痛いから嫌だと言われた言葉にまだ縛り付けられていたからだった。言葉に出さず、しかし当のウェイドが苛立ったように舌を突き込んで来るものだから堪らない。むしろスパイスの味を確かめるかのように口蓋を舐められて、ローガンは思わず太腿を掴む手に力を籠めた。今さっきまで飲んでいたコーヒーの味が、少しでも紛らわせてはくれないだろうか。いや、今更だろうか。ローガンが考えている内に、ウェイドが息継ぎをしようと唇を離した。 「…痛い、やっぱひりひりする」 　唇をもぞもぞさせて、ちょっと目を潤ませて、ついでに鼻に皺も寄せて。ウェイドの表情はさもありなんといった状態だ。 「そらみろ」 「痛いけど、やめなくていいよ」 　危なげな言葉に、ローガンの眉間に皺が寄る。ともすれば自分の身を損なう事を厭わない男の、自虐の気配が滲むのを見逃す事は出来ない。あんただって似たようなもんだろ、と昔ウェイドに指摘された事があったが、この男のそれは奴の人生の陰日向構わず染みついているように見えた。もう一度鼻を擦り付けてやれば、ウェイドの表情が不満そうに曇る。“待て”も“良し”も受け入れたのに、“来い”だけ無視されてご立腹なようだった。 「もうやめとけ」 「言ったっしょ、スパイス好きなんだって」 「ウェイド」 「いいから来な」 　──お前がいやだといったのに、今は高慢にもやれと命じる。膝の上で動きを封じるように跨られ、にやりと笑われればもう、ローガンには拒めなかった。 　ベッドに行くか、と問えば、もうちょっとここで、と答えられ、ソファでやったらアルテアに杖で尻を刺されるぞと笑えば、だったら抱っこして１６号室まで連れてけ、と強請られる。 　スパイスも悪くないだろ、とふざけて言った瞬間、ウェイドはほんの少し驚いたように目を見開いてから、痛むだろう唇をそのままローガンの唇に押し付けた。 　 　次の週、再び同じ店でメキシカンを注文する時に、ウェイドがいかにも意味ありげな悪戯っぽい視線を投げてきたのは、言うまでもない。 （終）
January 3, 2025 at 11:27 AM
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8/8
January 2, 2025 at 10:31 AM
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額とその他にキスするウルデプ短編
映画本編程度に出血する表現があるのでラベルをつけてます
4/8
BLESSING 　銃声が響いて、たったそれだけで命が終わる瞬間を俺はもう嫌って程見てきた。 　戦場で覗くスコープの向こうで、時にはそれがこっちに飛び火して自分の隣で、仕事で飛び込んで行った場所で、追い詰めた相手が懇願するのを無情にも却下して突きつけた銃口の先で。 　生憎と、治癒能力がお盛んな俺ちゃんの体には無縁になった事ではあるし──何より、背中を預け合うヒーロー、ウルヴァリンだってそれは同じだ。 　同じだってわかってる。頭では理解してるけど、撃たれた頭を仰け反らせたローガンが、そのアダマンチウムの重みを殺すことなく、重低音を響かせて後ろ向きに倒れたその瞬間には、そんな事はどこかへ吹き飛んじまってた。 　生き残ってた犯罪者の銃の腕がいいのは本人にとっちゃ僥倖だったろうが、背後に気を付けられないのはただの馬鹿の証拠だ。ローガンが倒れたと同時に、投げつけたベ赤ちゃんナイフがその犯罪者の頭を貫通する。噴き出た血が地面に花を描くのと、俺がローガンの方へ駆けだしたのは同時だった。 　わかってるって、落ち着けよ俺ちゃん。ヴァネッサの事を思い出して、ただブルってるだけだ。クソッタレ、ビビるな。 　頭の端っこの方で皮肉屋な人格がけらけら笑っていやがるけど、そんなのは何の足しにもなりやしない。ローガンが大の字に伸びてる、その体に覆いかぶさるみたいに飛びついて、黄色いマスクを引き剥がした。 「──おちつけ、アホンダラ」 　ローガンは、血が飛び散った唇を舐めてから軽く笑った。額からだらだらと流れた血はもう止まりかけてて、スプラッタ上等ってくらいにめくれた皮膚と肉が、盛り上がっていく。破壊の逆再生だ。ホロ―ポイント弾でも当てられたのか、派手に弾けた額の肉が頬にくっついていたので払ってやれば、それはべちゃりと音を立てて地面に落ちた。アダマンチウムの石頭に跳ね返されたか、弾はどこにも見当たらなかった。 　そこまできっちり確認してから、俺はようやく詰めてた息を吐き出した。なるたけそっと、ローガンに笑われないように密やかに。 「…落ち着いてるわ、クソクズリ。なに大げさに倒れてんだよ。足元おぼつかなくなっちゃった？」 「うるせえ、ちょっとクラッと来たんだよ。脳震盪ってやつだ」 「やだ繊細、よちよちしてあげまちょうか～？」 　両手を口元に持って行って首を傾げてみせれば、ローガンは嫌そうに目を細めて、体を起こして──起こそうとして、思い切り顔をしかめた。 「なに、どったの」 「いてえ」 「は？」 「破片が残ってる、クソ」 「あちゃあ」 　ヒーリングファクターあるある、だ。傷を負った端から再生する俺達の体は、異物だってちゃんと吐き出そうと作用するけど、小さい破片や妙な場所に残っちまった欠片は下手するとそのまま体の中に飲み込んじまう。それがまた内側から身を傷つけ、そして再生し、傷つけ──繰り返し。しかもこれが結構痛いのだ。 「取ってやるから、おいこら動くな」 「気持ち悪ぃ」 「ピーナッツ、大人しくしなって」 　水に濡れて嫌がる犬みたいに頭を振るローガンを押さえつけ、額の中途半端に盛り上がった部分を指で撫でる。既に皮膚が再生しきろうとしていて、こりゃあ切開しないと無理そうだ。やだなあ、このかわいいおでこに刃物つきたてんの？まあ治るんだけどさ。 （次ページへ） （続き） 「ちょっと切るよ。良い子だから動かないで」 「さっさとしろ」 　不機嫌丸出しのローガンの頭をぽんぽんと叩いてあやしてやって、胸元のプッシュナイフをするりと抜き出す。眉間へと続く深い皺が寄った部分をぐっと指で押し広げ、冴えた刃を当てれば、赤く血が垂れた。手早くやらないとまた傷が閉じる。だってのに、破片は小さくて俺の指じゃいまいち掴みきれなかった。 　めんどくせえな、と思っただけだ。さっさとしないと、って焦ったのもある。苛立ちながらマスクの口元だけ引き上げた時、ローガンが怪訝そうに俺の名前を呼んでた。返事をする間も惜しい。弾の破片が残っているであろう血に濡れた肉の裂け目に、俺は後先考えずに唇を寄せた。 　血と肉の味がする。あまりにも濃い、これがローガンの、とか色々考えちまって、背筋から首筋までが派手に総毛だったもんだから、今じゃねえよ引っ込め俺の俺ちゃん、と叱咤した。じゅ、と吸いあげれば、それが口いっぱいに広がる。一瞬、本当に一瞬だけこのまま飲み込んでしまいたい、とか空恐ろしい考えが浮かんだけど、俺は口の中に飛び込んで来た忌々しい破片と一緒に、全部をぺっと地面に吐き出した。 「うええ、すげえ味」 「お前…」 　ローガンは眉間に一際皺を寄せて、俺をじろりと睨み上げてる。ヘイゼルのきらきらお目々は、今やぎらぎらの熱っぽい色に濡れてる。やだな、そんな目で見ないで今は辛い。 「はいはいごめんってば。痛いの痛いの飛んでけー、消毒、あとなんだっけ、祝福？」 　額へのキスは、祝福の意味。ロマンチストを自称する俺ちゃんは、それがするりと舌先に出てくる。そう言ってから「ぶちゅ」と音がする程子どもっぽいキスをローガンの額の、既に傷も塞がろうとしている額にかましてやった。 　──さっきのは、結構やばかった。そういうつもりじゃなかったのに。焦りを誤魔化そうとして、ローガンからさっさと離れて立ちあがったわけだけど──この時点ですでに、嫌な予感はしたよね。 「ウェイド」 「さっさと帰ろうぜ、もう血だらけ」 「おいこら待ちやがれ」 「やだ。ほら、もうＴＶＡ呼ぶよ」 「まだやめとけ」 「なんで」 「見せつけたいのか」 　ああ、もう本当にやだこのクズリちゃん。犯罪者の頭からびちょ濡れの赤ちゃんナイフを回収した瞬間、後ろから伸びて来た手が腰に巻き付く。誤魔化されてくんないか、ちくしょう。 「死体だらけなんですけど、ここ」 「気にした事ないだろうが」 「気分じゃない」 「うそつけ」 「あっ、馬鹿」 　腰どころかあらぬところに伸びて来た手を叩き落として、でも後ろから抱き付かれてるのを解けはしなくて、いや別にこの展開期待してたわけじゃないんだからね、とか脳内で言い訳している内に、ローガンの唇がつい、と耳に寄って来た。引き上げたマスクのぎりぎり下にはみ出た耳朶は、おそらくは俺ちゃんのスーツと同じくらい、赤いだろう。そこにローガンの唇がくっついて、離れて、またくっつく。やめろよ、やらしいな。 「額のキスが“祝福”なら、耳は何なんだ？」 「ひえ…なにその気障な台詞。どこで教えてもらったんだよ、正直に言いなさい怒んないから」 「お前が俺に教えろって言ってんだ」 　横暴なようでいて、懇願するように耳元で言われれば、俺ちゃんはもう駄目。はあ、と溜息ついたつもりだったけど、それはもうほとんど熱っぽくて誤魔化しきれなくなっていた。 「“誘惑”だろうが。知ってるくせに、ピーナッツ」 　首をひねって、悪戯っぽく笑って、意趣返しのキスを、相変わらず血で濡れたまんまのウルヴァリンの耳朶へ。子どもっぽいキスじゃなくて、ベッドでするみたいなねちっこいのをお見舞いすれば、ローガンはそのまま固まった。 　さて、この後まっすぐお家に帰れるのかどうか、これでわかんなくなっちゃったよね。 　俺ちゃんとしては、どっちのコースでも大歓迎だけど。 　生きてるって実感があるのは悪くない。死なない俺達だけど、それだけいつも死に近い場所で突っ立ってるわけだもん。 　マスクを解いた首筋に、ローガンの唇が落ちてきて──そこは“執着”って意味だよと教えてあげるタイミングを、俺はそのまま見送った。 （終）
January 2, 2025 at 10:31 AM
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遊んでた楽しい
January 2, 2025 at 7:45 AM
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8/8
January 1, 2025 at 1:47 PM
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リップバーム塗るウェと塗られるロのウルデプ短編
4/8
LIP BALM 　その時画面に映ってた主人公役の俳優は、後にウェイドが言った通り、確かに魅力的な唇をしていた。 　少しばかり昔の映画で、似たような内容を見た事があるはずなのに、途中でローガンの当ては外れた。主人公と相棒は途中で喧嘩別れし、敵対するはずだった。しかし今見ている映画では、まるで恋にでも落ちたかのように息を合わせて、目の前の敵を二人がなぎ倒していく。違う時間軸、違う世界だから、似ていようがいまいが違う映画なのだ、と改めて思い知らされた。 　今にも唇がくっつきそうな至近距離で、主人公と相棒が口喧嘩を始める。既視感がある、と思って、そういえば自分とウェイドがカサンドラの一味に捕らわれた時も、向かい合わせに縛られていたなと思い出した。 　何とは無しに、ソファに隣り合わせて座るウェイドの方へ視線を向ければ、奴は映画に夢中だった。 　曲げた膝に顎を乗せ、前のめりになって画面を見つめる横顔は、明かりに照らされて輪郭がはっきりと浮かび上がっている。映画を観る時、ウェイドは部屋の灯りを落として雰囲気を出したがるのだ。照らされた顔は、映画の進行に合わせて明滅し、時に赤く、時に黄色く光を受けていた。 　ふいに、ウェイドの手が持ち上がる。もう長い付き合いだと言って時に笑い飛ばし、時に厭わしそうにする己の肌の凹凸の、顎のラインを指で撫でた後、それは唇へと辿りついた。 　映画の中で二人の口喧嘩がヒートアップしていく。音だけでそれを判断して、ローガンの視線はそのままウェイドの方へ釘付けになっていた。 　乾いて少し赤切れた唇は、ほんの薄っすらと開かれたままだ。指で撫でられ、押し上げられた下唇がついと上へ持ち上がる。む、と閉じた唇が、しばらくそのまま指で弄ばれてから、思い出したように現れた舌が唇を湿した。赤い舌が引っ込んでいくのを見送ると、また現れて今度は唇の端を舐める。三度目が来る前に、ローガンはテーブルの上の小さな籠から目当ての物を取り上げた。 「ウェイド」 「え？」 　ん、と言葉もなく目の前に突き出してやれば、ウェイドは意外そうに目を見開いた。ローガンの指一本分のないような、あまりの小ささに潰してしまいそうな──リップバーム。猫のキャラクターが描かれた間抜けなパッケージで、ウェイドがそれを度々唇に塗りつける姿は見慣れたものだった。 　少しばかり不思議そうに、それから薄っすら笑って、ウェイドが「ああ、ありがと」と呟き受け取る。一瞬画面に視線をやると、取っ捕まった主人公と相棒の二人は牢に入れられ、何やら脱出方法を相談しているようだった。しかしローガンの意識は、既に物語の筋からは離れている。すぐに視線を戻せば、ウェイドがちょうど唇にリップバームをあてているところだった。 「…あんたも塗りたいの？」 　三往復させて、唇をしっとりと潤わせて、それからローガンのあまりの視線のうるささに観念したのか、ウェイドがついに疑問を漏らした。いや、とか、ああ、とか適当な言葉を返してから、二百年生きてきてそんなものを唇に塗った事は一度もなかったと気付く。 「塗った方がいいのか」 「なに、うるうるくちびるになって誰を落とそうっての」 「お前だな」 「あら熱烈」 　でももう落ちてるし、と付け足して笑ってから、ウェイドは手をこちらへと伸ばした。顎をすくい上げるように手を当てられて、その親指が髭をなぞってから、下唇を押し開こうとお伺いを立てて来る。従うように薄く唇を開けば、ウェイドはうっとりと目を細めた。 「俺は別にこのままでも、いいんだけどさ」 　さっきまで、そのお喋りに忙しく開いたり閉じたりする唇にあてられていたリップバームが、今度はローガンの唇の上を滑っていく。つるりとした感触が、ゆっくり、角度を変えてじっくりと、まるで唇を喰む時のようになぞっていくものだから、ローガンは思わず目の前の男の顔を食い入るように見つめた。ウェイドの手付きは殊更に丁寧で、確実に楽しんでいるそれだった。 「はい、終わり」 　しつこいくらいに唇の表面を往復していったリップバームが、離れていく。ウェイドは間近に顔を寄せ、唇を検分するかのように視線を伏せた。そんな顔をされては、堪らない。ローガンは吸い寄せられるようにその頬に手を、 「じゃあ映画の続きね」 　添えようとして、しかしウェイドはするりと腕の中から抜け出した。再びソファの定位置に戻って、いつの間にか一時停止させていた映画の続き見るべく、リモコンをいじっている。ローガンは間抜けに宙を切った手を持て余し、それからじろりと澄まし顔を睨んだ。 （次ページへ） （続き） 「…ウェイド」 「何だよ」 「こっち向け」 「やだね」 　ウェイドはつんと鼻を上向きにして、本当に映画の続きを見始めた。何故だ、キスする流れだっただろうが。短気を起こして馬鹿正直にそう喚きたい気持ちをぐっと抑え、ついでにやたらべたつく唇をもぞもぞと擦り合わせてから、唸る。映画の中の二人はついに、牢を打ち破って脱出した。手錠で互いの手を繋がれたまま、二人で馬に乗って逃げる様はやはり異様に距離感が近しく、しかし今のローガンにはそれが癪だった。 「…この俳優、唇がすっごいセクシーだよな」 「あ？」 　突然のウェイドの言葉に、思わずローガンの返事は低く地を這った。画面の向こうの存在とは言え、自分ではない男をセクシーだ何だと褒めそやされれば対抗心が湧き出る。いつもの軽口が続くものと思われたウェイドの表情は、しかしローガンが拍子抜けするほどに気弱に崩れた。 「俺のはいっつもがさがさで気持ちよくないだろ」 「おい」 「ごめんな、もうちょっと気をつける」 「ウェイド」 　もう、映画を観るのを邪魔したら機嫌を損ねるだろうか、などと悠長な考えはどこかへ行ってしまった。ウェイドの腕を引いて、抵抗がないのを確かめて、逃げられないように腕の中にそのでかい図体を閉じ込めてから、引き結ばれた唇めがけてキスを落とす。お互いにべたべたの唇をしているものだから、最初に押し付けた瞬間はぬるりと滑った。 　別に、こんなものなくてもいい。どうせ濡れて、何を塗ってたってわからなくかるのだから。 　少し首を傾けて、頼むから唇を解いてほしいと懇願するように舌でつつけば、ようやくウェイドは薄らと呼吸を零した。ぬるつく唇を割って、引っ込んでいこうとする舌を追いかけて、追いついて、先をくすぐればそれが跳ねる。 　角度を変えようと一瞬唇を離した瞬間、ローガン、と息継ぎのついでに名を呼ぶその声は既に湿り気を帯びていて、ウェイドの体をそのままソファの座面に押し付けた。 「やっぱ、こっちのほうが、いい？」 　リップバームなどでなく、別のものでてらりと濡れた唇に再び噛みつこうとした瞬間、ウェイドは笑って、しかしどこか諦めたように聞くものだから、ローガンはすかさず口を開いた。至近距離だから、喋っているのかキスしているのかわからなくなる。しかし、それでも良かった。 「馬鹿、ちがう」 「馬鹿とはなんだよ、けだものめ」 「俺だって、別にいつものままでいい」 「いつもって」 「がさがさでも、血の味がしても、なんでも、」 「なんでも？」 「ああ」 「ロー、」 　名前を呼ぼうとする上擦った声は、そこで途切れた。 　結局垂れ流すままになった映画の中では、馬を駆る俳優達がまたぞろ何か言い争いを始めていた。じゃれ合うようなそれは、ローガンの耳にはもう癪に聞こえはしなかった。 　愛でも恋でも情でも、なんでもいい。 　お前なら、なんでもいい。 　キスの合間にようやく告げれば、溺れそうにソファに埋もれる男はようやく、溶けたように笑って両手を広げた。 （終）
January 1, 2025 at 1:47 PM
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6/6
December 31, 2024 at 3:12 PM
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年末と年始を跨ぐウルデプのめちゃくちゃ短編　4/6
COUNTDOWN 「ごー」 　それは額に吸い込まれ、 「よん」 　それは尻の穴を二つに増やし、 「さん」 　それは灰に風穴を開け、 「にい」 　それは開いた口から飛び込んで、 「いち！」 　それは心臓を撃ち抜いた。 　残っていた五発っきりの銃弾がきっちり、俺のカウントダウン通りに敵さんをあの世に送り終わった瞬間、遠くの空が、ぱあ、と明るく光って花火が上がった。 （次ページへ） （続き） 街の中心部、カウントダウンで大騒ぎしてる連中は、こんな治安最低地域の路地裏の血見どろ事情なんぞ知りもしないだろう。 　ま、それでいいんだけどね。 「あーらら、年が明けちゃったじゃねえか。聞いてんのかクソッタレ。いやもう聞こえてねえな」 　赤いスーツの目立たない返り血、路地に倒れ俺に足蹴にされる五つの死体に、硝煙の香りを添えて。年の瀬に引き受けた仕事は簡単だったけど、予定外にも長引いてしまった。おかげさまで、俺ちゃんてばこんな寒い街角で犯罪者共と年末ダンスパーティをやるハメになってちょっとばかり不機嫌だ。 　実入りのいい仕事だったし、他に頼めないってお願いされちゃあ、断れないのが俺の性。とは言え、さすがにもう来年はこういうのやめとこ。いやもう今年だってば。 　別にね、家でカウントダウン特番を見れなくたっていいんだよ。今年はローラってば、学園で友達とカウントダウンパーティするんだって張り切ってたから。親でも何でもない俺だけど、寂しいような嬉しいようなむず痒いような感覚よ。アルは年寄りだからさっさと寝ちまうし、別に年越しで大仕事しちゃっても問題ないわけ。 　でも、残念な事がひとつある。 「年越しの瞬間に間近の奴とキスするってのは、果たせなかったから──そこんとこ、今からどうにかしてくんない？」 　さっきから痛いくらいに刺して来る視線の主に向かって、話しかけても返事は無し。つれねえの。二丁のデザートイーグルを西部劇さながらに回転させてホルスターに戻し、それから振り返って一礼。小首を傾げながら表を上げてみれば、すぐそこの角からようやく人影が現れた。 「勿体ぶってると、そこの死体にキスしちまうぞ」 「それはやめとけ、妬ける」 　大股で近付いて来た人影が、ようやっと頼りない街灯の下に届いてその顔が照らし出される。寒さに少しだけ赤らんだ耳がかわいい、だなんて思ってる内に、人影は大股でこちらへやって来て、あっという間に吐き出された二人分の白い息がふわりと一つに合わさった。 「ローガン、新年おめでと」 　口元だけもがくようにしてマスクを捲り上げて、せめてもの言葉を告げる。その数秒の間に伸びて来たぶ厚い手が、俺の後頭部を雑に引き寄せるもんだから──年越しから少しばかり遅刻したキスは、ティーン同士の慣れてないそれみたいに、ぶつかるようにして遂げられた。 　焦るように、探るように、それから少し落ち着いて、挑発し合って、煽って、煽られるように。ローガンの髭がちくちく当たってこそばゆいのを感じながら、お手本みたいに整った歯並びを舌で撫でていくこの瞬間が堪らなく好きなんだよね。 　ほんの一瞬、唇を解いて出来た隙間がまた埋まってしまう前に、ウェイド、と掠れた声で呼ばれれば、次に噛みつかれた瞬間には背中が痺れて息も震える。 　遠くで花火が上がって、遅れて音が届いて、耳の後ろで何度も跳ねるそれは心臓の音に似てた。 　死体と凍った地面、血、寒さ、舌と舌が縺れる音、焦れるような熱──止まるはずのない心臓が止まるんじゃないかと思うくらい、何百回目かのキスはいつもと同じで、やっぱり俺を殺しにかかってくるみたいに情熱的だった。 「…お掃除屋さんが来ちまう前に、かえろ」 　何秒か、何十秒か、何分か。ようやくローガンが離してくれた時には遠くの花火は終わってて、俺は息切れしてた。ローガンはすっかり興奮して目がぎらぎらになってて、当てられた俺ちゃんは寒さもすっかりどこかへ吹き飛んでる。それでも、ローガンはスーツ姿の俺の肩に腕を回すと、自分の体で寒さから守るみたいに抱き寄せてくれた。 「帰って続きだ」 　ローガンの台詞はすっかりベッドの事しか考えられない獣みたいになってるけど、空いてる方の手が俺の唇がべったり濡れちゃってるのを拭いてくれてるし、うーん、愛を感じる。なんつって。 「あったり前じゃん、俺ちゃん今めっちゃエロい気分」 「…もっと他に言い方ねえのか」 「ええ…なんだよ、めちゃめちゃにして、とか？」 「聞き飽きたな」 「ひっでえの」 　抱き寄せられた肩をごつんとぶつけてやっても、ちっともよろめきやしない。全く、頑丈でかわいくて愛しい、俺のクズリちゃんめ。 　ベッドに直行する前に、一緒にお風呂であったまろーよ、とでへでへ笑いながら持ちかけたら、相変わらず眉間に皺を寄せたローガンはちょっとだけ考えるフリをしてから、満面の笑みで頷いた。 　HAPPY NEW YEAR！ 　俺たち、今年も順調です！ （終）
December 31, 2024 at 3:12 PM
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掃除ついでにやっとデプフィギュア設置した
メリーとタコスにも並んでもらった！
December 31, 2024 at 6:56 AM
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S2注文の流れでこっちも買っちゃった
ジャケットかっけえ
December 29, 2024 at 1:09 PM
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デプフィギュア開封しましたかわいいね
デップーのフィギュアの写真
November 30, 2024 at 3:46 AM
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ロキグッズとDP&Wのステッカー配置出来て満足
November 23, 2024 at 3:56 PM
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ドット絵の投稿、こっちの方が綺麗に見える？か？
これはデトの店舗外観見本みたいなやつ
DBHゲーム内イメージのピクスク店舗外観の見本、過去に使ったものを８つ並べている
November 2, 2024 at 2:45 AM
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年賀状印刷の息抜きに遊んでる
December 30, 2023 at 5:10 AM