可能性に満ちている。
フィガロはそう思ったのであった。
『オズと幼いアーサー 〜三つ編み〜』
可能性に満ちている。
フィガロはそう思ったのであった。
『オズと幼いアーサー 〜三つ編み〜』
それと同時に、本人にそんなつもりがなくとも、子育てに励むオズの様子も興味深い。
かつての魔王が今や子どもに自身の長い髪を三つ編みにされている。
それと同時に、本人にそんなつもりがなくとも、子育てに励むオズの様子も興味深い。
かつての魔王が今や子どもに自身の長い髪を三つ編みにされている。
最初の頃はオズのやらかしを止めに来ていたが最近はアーサーの近況を聞くのがフィガロの楽しみになっていた。
北に残してきた幼な子たちとも重なる部分もある。
重ならない部分もある。
最初の頃はオズのやらかしを止めに来ていたが最近はアーサーの近況を聞くのがフィガロの楽しみになっていた。
北に残してきた幼な子たちとも重なる部分もある。
重ならない部分もある。
誰かと暮らすなんて何百年もしていなかった男を心配したフィガロによるオズの館への訪問はもうずっと続いていた。
今日も気まぐれに蒸留酒と子ども向けの本を持ってきてはオズを晩酌に誘っていた。
アーサーはすでに眠りについていて、本は明日の朝には彼の手元に届くだろう。
「オズの三つ編み、見てみたかったな〜」
「おまえにわざわざ見せる必要はない」
「じゃあ今度は可愛い女の子の本でも持ってこようか?ツインテールの子が表紙の本なら今度はツインテールをしてみたいって言うかな。くくっ、オズのツインテール……」
誰かと暮らすなんて何百年もしていなかった男を心配したフィガロによるオズの館への訪問はもうずっと続いていた。
今日も気まぐれに蒸留酒と子ども向けの本を持ってきてはオズを晩酌に誘っていた。
アーサーはすでに眠りについていて、本は明日の朝には彼の手元に届くだろう。
「オズの三つ編み、見てみたかったな〜」
「おまえにわざわざ見せる必要はない」
「じゃあ今度は可愛い女の子の本でも持ってこようか?ツインテールの子が表紙の本なら今度はツインテールをしてみたいって言うかな。くくっ、オズのツインテール……」
すると声がした。
「できました……!」
アーサーの小さな手には綺麗に三つ編みされたオズの毛束の先が握られていた。
しかしアーサーはここで大事なことに気づく。
「あ、でもひもがない……」
そのつぶやきを聞いたオズは手を軽く横に振った。
自身の髪をアーサーの手から浮かせて、どこから取り出したのか紐で毛先を縛った。
「満足か?」
「はい!オズさまとても素敵です!」
アーサーは満面の笑みをオズに見せた。
「もう寝なさい」
「わかりました」
「って、それで大人しく三つ編みにされたんだ?ははっ、本当に面白いな。アーサーは」
すると声がした。
「できました……!」
アーサーの小さな手には綺麗に三つ編みされたオズの毛束の先が握られていた。
しかしアーサーはここで大事なことに気づく。
「あ、でもひもがない……」
そのつぶやきを聞いたオズは手を軽く横に振った。
自身の髪をアーサーの手から浮かせて、どこから取り出したのか紐で毛先を縛った。
「満足か?」
「はい!オズさまとても素敵です!」
アーサーは満面の笑みをオズに見せた。
「もう寝なさい」
「わかりました」
「って、それで大人しく三つ編みにされたんだ?ははっ、本当に面白いな。アーサーは」
オズは魔法で髪を解いた。
カウチに漆黒の髪がひらりと広がった。
「オズさまありがとうございます……!」
アーサーは靴を脱いでカウチに乗り、早速オズの髪に手を伸ばした。
どれくらい時間が経っただろうか。
そこまで時間はかかっていないが、オズの長い髪に苦戦したアーサーによって三つ編みは何度かやり直されていた。まず三つの毛束に分けて、編んでいく。
右、左、もう一つを真ん中に。
えーっとえーっと次はどっち?
文字の情報しかなかった童話の話を一生懸命に思い出してアーサーは三つ編みをしてみる。
オズは静かに魔道書を読んでいた。
オズは魔法で髪を解いた。
カウチに漆黒の髪がひらりと広がった。
「オズさまありがとうございます……!」
アーサーは靴を脱いでカウチに乗り、早速オズの髪に手を伸ばした。
どれくらい時間が経っただろうか。
そこまで時間はかかっていないが、オズの長い髪に苦戦したアーサーによって三つ編みは何度かやり直されていた。まず三つの毛束に分けて、編んでいく。
右、左、もう一つを真ん中に。
えーっとえーっと次はどっち?
文字の情報しかなかった童話の話を一生懸命に思い出してアーサーは三つ編みをしてみる。
オズは静かに魔道書を読んでいた。
「……どうした」
「えっと、この前フィガロさまがもってきた童話にかみが、それはそれは長いひめの話があったのです。そのひめがまちに出かけたときにまちむすめたちに三つあみをしてもらうばめんがありました。わたしは三つあみをしたことがないのでしてみたかったのですが、わたしのかみは短いので……」
オズは合点がいった。
どうやらアーサーはオズの髪を編んでみたいようだ。
しばらく熟考した末にオズは立ち上がった。
「こっちに来い」
オズは1人掛けのソファからカウチに移動して、そこに腰掛ける。
長いカウチはオズとアーサーで寝転がっても余裕がある大きさだ。
「……どうした」
「えっと、この前フィガロさまがもってきた童話にかみが、それはそれは長いひめの話があったのです。そのひめがまちに出かけたときにまちむすめたちに三つあみをしてもらうばめんがありました。わたしは三つあみをしたことがないのでしてみたかったのですが、わたしのかみは短いので……」
オズは合点がいった。
どうやらアーサーはオズの髪を編んでみたいようだ。
しばらく熟考した末にオズは立ち上がった。
「こっちに来い」
オズは1人掛けのソファからカウチに移動して、そこに腰掛ける。
長いカウチはオズとアーサーで寝転がっても余裕がある大きさだ。
双子の館を真似て館を作ったはいいが、1人で暮らす住居としてはオズの館はどこか歪だった。
そんなオズの館に温かな光を灯したのは間違いなくアーサーだ。
オズの冷たい口調にも臆することなく優しく笑いかけるアーサーは間違いなく生来から愛されるべき気質を持っていると言っていいだろう。
そんなアーサーがもじもじとソファの横に立った。
そこから動かないアーサーを不審に思ってオズも開きかけた魔道書から目を離した。
アーサーが口を開く。
双子の館を真似て館を作ったはいいが、1人で暮らす住居としてはオズの館はどこか歪だった。
そんなオズの館に温かな光を灯したのは間違いなくアーサーだ。
オズの冷たい口調にも臆することなく優しく笑いかけるアーサーは間違いなく生来から愛されるべき気質を持っていると言っていいだろう。
そんなアーサーがもじもじとソファの横に立った。
そこから動かないアーサーを不審に思ってオズも開きかけた魔道書から目を離した。
アーサーが口を開く。