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読書と映画で楽しい余生を。
大阪圭吾『とむらい機関車』読了。
戦前の本格派である著者のベスト・コレクション。

『とむらい機関車』が圧倒的で、その後の推理小説への影響が大きいと思う。
同じくタイトルに機関車が付く『気狂い機関車』も凄い。どちらも動機が…

個人的には『あやつり裁判』が好き。タイトルでネタバレしてる気もするけど、いろんなバリエーションでストーリーが作れそう。
December 10, 2025 at 2:51 PM
長田幹彦『霊界 五十年の記録』読了。
著者が見聞きした心霊・怪奇実話の記録。

谷崎潤一郎と同時代の作家という事だけど、浅学で知らなかったけど、凄く文章が読み易く面白かった。

心霊の話としては今ではよく聞くような話から、霊を見るため、写真に撮るために奮闘する話もあって飽きずに一気読みした。

終盤の『霊界夜話』の『死姦』は導かれたと考えるとかなり怖い。
December 8, 2025 at 2:35 PM
チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』読了。
1970年代、アメリカ。10代の若者のみが感染する謎の伝染病…

長らく積読ずっとベッドの横に置いてたんだけどネトフリでドラマ化の話もあるようなので。

面白いのは身体に不気味な変形が起こる以外に症状はないんだけど、その変形故に家族から離れて生活する状況しか選べなくなっている状況。

思春期特有の不安や焦りのメタファーなんだと思うけど、自分自身を取り戻す事が鍵になっているんだろうな。

アメリカ映画にもよくあるパターンの踏襲ではあるけど、日本の漫画とは違った描き方が面白かった。
December 7, 2025 at 10:18 AM
吉本隆明『父の像』読了。
著者の断章形式の表題作と、著者の好きな作家の父の像を取り上げたもの。

取り上げたられてるのは漱石、鴎外、芥川、有島武郎、宮沢賢治、太宰治など。

日本の文学には母親の影響を受けた話はよくあるけど、父親の影が薄い。

書き手が男性が多かったというのもあるけど、時代的な父親像みたいなものが影響を与えているというのは新鮮だった。

あとテーマとは少しズレるけど、『銀河鉄道の夜』の初期稿読みたい。
December 6, 2025 at 2:05 PM
古川日出男『13』読了。
橋本響一は如何にして神を映像に収めたのか…

何度も途中で挫折して数十年。漸く読了。詰まらなくて挫折したんじゃないけど、500頁超えの文学作品でこういうテイストのものはなかなか集中力が必要で…

マルケスのマジックリアリズムの様で、むしろ逆じゃないか?と思ったら解説の方も似たような指摘してた。

非キリスト教社会でのキリストの誕生を描くところでも読者側には種明かしがされてるのはまさにそういう事だと思った。

神へのアプローチも思弁や信仰ではなく色や音楽というのも面白かった。
December 5, 2025 at 12:56 PM
アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの回想』読了。
ホームズもの第2短編集。

病みあがりなのでミステリーからと思ってホームズを。

兄マイクロフト初登場『ギリシャ語通訳』やモリアーティ教授との対決を描いた『最後の事件』までホームズものとしてはおさえておきたい作品が入ってる。

ただ個人的には『ボール箱』と『黄色い顔』が印象に残った。

ホームズって推理というよりホームズの観察眼と冒険活劇が中心なものが多いけど、この二つは少し特殊なところがあるので。

今年中に残りも読めるかな。
December 4, 2025 at 10:43 AM
書泉にしか売ってない本を買いに行ったらセルフレジになってた。電波悪過ぎてpaypayチャージできないとかあったけど、シンプルな操作なんであれならお年寄りでもいけるのでは。
ただカバーとか手渡しになって自分でする感じが人によっては嫌かも。
November 28, 2025 at 9:00 AM
辻原登『円朝芝居噺 夫婦幽霊』読了。
遺品から見つけた三遊亭円朝の幻の落語…

夫婦幽霊が作中作のようになっていて、その外側で落語から小説への変遷、円朝親子の微妙な関係、著者自身の立ち位置が虚実入り混じって書かれてる。

一筋縄では読み解けないところが面白いところだけど、そういうの抜きにしても夫婦幽霊は面白かった。オチはすぐわかるんだけど。語り口かな。
November 27, 2025 at 3:46 PM
ユーリイ・オレーシャ『羨望』読了。
酔い潰れたカワレーロフはアンドレイ・バビーチェフに拾われ居候となるが…

アンドレイの兄イワンは言う。
革命後の新しい世界では人間の感情というものは滅びる運命にある。だからせめてその前に感情の天才達を見つけたい。

そんな中1人だけ見つけたカワレーロフは「羨望」という感情を持つ。その感情に寄り添い、刺激して、アンドレイのような新しい人間達にぶつけようとするが…最後に辿り着いた感情は…

イワンの作った武器が「オフェーリヤ」という本来感情の対極にある機械というのが面白い。

スターリン政権下での著者の感情の変遷とリンクしているように見える。
November 26, 2025 at 2:36 PM
堀田善衛、司馬遼太郎、宮崎駿『時代の風音』読了。
20世紀の終わりに宮崎駿の要望で実現した鼎談。

20年以上前の鼎談だけど現在の日本の問題とリンクするところ多い。
少子化、移民、国家、文化、環境…

最近は意見の違うと意見以外を攻撃する風潮だからもうこういうのは成り立たないんだろうか。
天皇の戦争責任の問題でのやり取りとか知識のある2人でやり合うからどちらの意見も頷ける。

司馬遼太郎の言う「名こそ惜しけれ」というのが結論っぽいけど、まだそこまでいけてないのが現実。
November 24, 2025 at 4:35 AM
倉阪鬼一郎『すきま』読了。
購入した郊外の一軒家。ロフトに残された「こわい」という文字…

ホラーにこういう書き方があるんだなという。王道のホラー要素もほぼ全て入ってるんだけど、やはりあれが印象に残る。

もう少し救いが欲しかったところだけど、面白かった。
November 23, 2025 at 2:40 AM
財布の小銭入れに穴が空いた。Amazonセールで注文。

なかなか来ないので外出。カフェで読書してたらワンギリ。番号確認するとAmazon。返信できない番号なので何かあった?と思い走って帰宅。

ポストには不在票がない。宅配ボックスに空きはある。部屋でビデオ確認するとジャージ姿のおじさん。

カスタマーサービスに連絡。不在票ない旨を伝えると無しになったと。電話してきたのは何?配達員に確認してと言うと個人事業主だから…

AmazonFlex!ブロック単位で「完了」になると報酬が貰える。うちはルート的に効率悪いので最初から来ないというのをやられたの忘れてた。キャンセルした。

楽天で買わなきゃ。
November 22, 2025 at 10:08 AM
阿刀田高『冷蔵庫より愛をこめて』読了。
著者の初期作品18篇。

どれも面白くハズレがなかった。
少し時代的に今だとちょっとというのはあるけど、そういうのもまた面白い。

特に好きなのは、
『趣味を持つ女』いろんな葬式に現れる女の目的は…
『あやかしの樹』妻が亡くなり遺産が手に入った男がオムの樹を手に入れて…
『真実は強し』娘が逮捕された母親は自身の知る無罪の理由を警察に説明するが…
November 21, 2025 at 4:19 PM
高野文子『るきさん』読了。
マイペースなるきさんの日常生活。

自宅で1ヶ月の仕事を1週間で終わらせてあとはのんびり過ごす生活と友達とのやり取りが中心。未婚で恋人もいないのでその手の話はほぼ無いのがいいんだろうな。

最終話近く少しシリアスなコマがあって、あの最終回。ちょうどバブル崩壊と時を同じくしているので、いろいろ考えてしまった。深読みし過ぎか。
November 20, 2025 at 2:55 PM
黒島伝治『橇・豚群』読了。
プロレタリア文学の中でも特異な著者の代表作を集めた短篇集。

プロレタリア文学は余り読んでなかったので『電報』『二銭銅貨』の様な作品が続くなら通勤読書向きじゃないなと思ってたら『渦巻ける烏の群』のようなシベリア出兵体験を描いたものもあって何とか。

イデオロギー色はそれ程ないんだけど、明らかに階級的なものを感じてる人達の言動は描かれてる。今は違った意味の階級があるけど、人が感じる事はあまり変わらないんだな。
November 19, 2025 at 1:15 PM
ウラジーミル・ナボコフ『青春』読了。
ロシア亡命者でイギリスに住む1人の青年の平凡な青春。

何か特別な事が起こるわけでもなく、誰にでも起こり得る事が起こり、誰でも思う様な事を思う。まさに青春小説なんだけど、そこが著者の狙いというか、だからこそ…の部分の意味が大きくなるという…

題名が『青春』なのでそこに引っ張られると勿体無いないという感じの作品だった。だからかもしれないけど古典新訳文庫版では『偉業』となっている。
November 18, 2025 at 4:37 PM
ジョン・ブラックバーン『小人たちがこわいので』読了。
<騎士の丘>と呼ばれる禁忌の地。村人は誰も近寄らない。童謡に歌われる小人とは…

プロローグが凄く良くてホラーとして読み進めていると、いろんな要素がてんこ盛りで、どこにいくんだこの物語は…

ある意味、定番ではあるんだけどもエピローグで全て良しと。あれが誰だったかがわかると…
November 17, 2025 at 1:00 PM
岡崎武志『古本極楽ガイド』読了。
タイトル通り古本好きの為の極楽ガイド。

仕事の疲れが取れず、なかなか本を読む気力が出なかったんで、肩の力を抜いた感じでこちらを。

本の紹介系を読むと本を買いたくなるから気を付けていたんだけど、2冊注文してしまった。木山捷平、上林暁、阿部昭なんかと並べて紹介されると…

昔、銭湯が当たり前の時代は銭湯帰りの客目当てで古本屋さんも深夜まで開いてたとの事。そういう時代にも流石に戻れないけど、羨ましい。

後半、読書好きなら〜という内容のものが幾つかあって個人的には頷けるんだけど、今、そういうのは否定される流れだなと少し寂しくなった。
November 16, 2025 at 7:25 AM
今週は疲れた。プロジェクトからやる気のない32歳の転職してきた人を外して貰って2人分の仕事をやってるのもあるけど、やる気のないまま作られた仕様書擬きを全部作り直したりでしんどかった。でも、1人でやる方がストレスはない。

週末だし本読むつもりがKindleのセール見てたら寝落ちしてた。
最近のKindleは写真にあるようなクーポン方式が増えててチェックし忘れるとそのままの金額で買ってしまう罠があるから眠い時は避けないと。それでも光文社古典新訳文庫が安く買えたの嬉しい。
November 15, 2025 at 1:01 AM
橋爪大三郎、大澤真幸『ふしぎなキリスト教』読了。
社会学者による討論形式のキリスト教入門。

会社のPCが謎の動作不良で仕事が出来ず残業したので疲れたから新書を。

こちらはKindleで初めて買った新書。3部構成の2部まで読んで10年近く積読…

キリスト教に関する本は結構読んだ方だけど、知らない事いっぱいあった。解釈の仕方のバリエーションが多過ぎるのもあるけど。

後半、これからの世界の動きというのを考察してるんだけど2012年の予想は大きく外したと言えるのでは。

正教会の知識が足らないので今度はそちらを読みたい。
November 13, 2025 at 4:55 PM
吉田篤弘『奇妙な星のおかしな街で』読了。
北海道新聞に連載されたエッセイ集。

カラスの鳴き声、コーヒーの味、時刻表の前提、日常の言葉への拘りなど、ちょっとした気付きが楽しい。

『旅先で読む本』に本の読み方として、外に出ること、ゆっくり読むこと、そして、一人きりで読むことの三つが提案されてて、もっとゆっくり読むのもいいかなと思った。
November 12, 2025 at 3:26 PM
G.ガルシア=マルケス『戒厳令下チリ潜入記』読了。
1985年のピノチェト政権下に亡命中の映画監督が潜入して映画を撮った記録を監督視点でマルケスが書いたもの。

マルケスのジャーナリストとしての本は2冊目。時代がアジェンデ『精霊たちの家』と同じなので割と背景もわかるので楽しめた。

いつバレるかみたいなところもあるんだけど、監督のキャラクターが読んでて楽しいんだよな。なぜそんなに髭を剃りたかったのか。

この時の映画観てみたいけど配信とかしてないっぽい。
November 11, 2025 at 2:43 PM
田辺青蛙『生き屏風』読了。
県境に住む妖鬼・皐月のもとに屏風に憑依した奥方の話し相手の依頼が…

怖いホラーではなく優しい妖怪譚。最初は高飛車だった屏風の奥方が皐月の話を聞きながら優しくなっていくところで少し泣きそうになった。

夫に疎まれながらも、それを受け入れて自身の最後を自分で決めるとか理想的な人生。妖怪になった後だけど。
November 10, 2025 at 2:41 PM
雨だし家に籠って本読もうと思ったんだけど東京堂書店で作品社のバーゲンフェアやってるので頑張ってヘーゲルの大論理学3冊買ってきた。死ぬまでに読めるか疑問だけど半額だし。

残念なのはレジで半額シールが付いてないのがあってフェアのところ以外から持ってきました?と女性店員さんに疑われた事。そんな事する動機がどこに?と思いつつ黙って再度3階までシール付き取りに行った。昔から女性には意地悪されてきたので諦めてるけど気分は良くない。

帰りに雨の中歩きながら肉食べようと吉野家まで。外国人の女性店員さんが丁寧な対応で少し帳尻が。

家では積読消化で新書を2冊。この手の新書が無茶苦茶ある。頑張って読まなきゃ。
November 9, 2025 at 3:25 PM
アレクサンダル・ヘモン
『ブルーノの問題』読了。
著者の初期作品の短編集。

今まで読んできた作品のバックグラウンドがより詳しくわかる作品が多かった。

自分が子供の頃暮らしていた街が破壊されていること、知り合いの人達が殺されていること、故郷というものにあまり惹かれない人間だけど、胸にくるものがあった。

一方で子供の頃の野良犬との触れ合いや、映画館での思い出などが描かれた短篇があると、その先を知ってしまってるのでなんともやりきれない気持ちが起こる。

アメリカで小説家としてやっていけず、なんとか目の前の仕事に真剣に取り組む姿とかは東京に出てきて土日も仕事してた頃のことを思い出した。
November 8, 2025 at 4:39 PM