私の脳がポンコツだったからか、中途半端に眠る直前のリアルが取り込まれていたおかげで、それ以上イヤな思いをせずに済みはしたものの、それはそれとして悪意を向けられたとわかったときの、あの肺がギュッと押しつぶされるような感覚をあたえられただけで何もできなかったというのはシンプルに腹立たしい。どうせ夢なのだから、すぐさまイスでも机でも手当たり次第に放り投げて、「誰が言い始めた？」と凄み返すくらいのことはやらせてもらえなかっただろうか。そしてさっさと帰り、以後学校には通わ図に通すというような。こちらには時間がないのだ。くだらんおふざけに付き合っている時間などない。

閾値というより、侵犯か。そしてそれがもたらす、ふだんは大ぴっらにそれを享受しての喜びをあらわにできないような快に言及するときに、おそらくは「絶頂」なる語があてがわれている。

「背徳」という表現とセットになっているところ、またアナウンサーというパブリックな存在から反応を引き出している（あるいはこれも「ゆがませる」とか言ってみたほうが良いのか？）ところなどが、おそらくは「絶頂」なる表現と相性が良いポイントなのだろう。何らかの閾値を取っ払うなり飛び越えるなりというニュアンスがそこにはある。

私自身が「絶頂」の語をみかけて「おや？」と思うきっかけになった場所というのが、YouTube、およびそのコメント欄である。

最初に印象に残ったのが、春とヒコーキのぐんぴぃとママタルトの大鶴肥満が出演する「背徳」メシを売りにする動画。そのひとつ、確か割りと初期のほうの回だったはずだが、サムネイルの文言に「巨漢が脂で絶頂」という表現があったのだ。

より直近では、ナガノ作のマンガ『ちいかわ』のアニメへの反応でもみかけた。『めざましテレビ』におけるいわゆる「スタジオ受け」でのアナウンサーらのリアクションをみて、作者ナガノが「絶頂」しているに違いないという言い回しである。

そして、みずからが負うているものがどこからきたのか、いや正確には負うているつもりになってフンフンふんばっているだけだからその実際の重みすらも知らないものだから、真面目につきあった者たちばかりがどんどん損をするというのに、そのことにも無頓着である愚かさ。

単なる突発的な行動の帳尻をあわせるために、みずからの発作的な情動からは目を背け、その代わりに初めから一貫した崇高な意志があったのだというハリボテのウソで固めるものだから、後に引けなくなる愚かさ。

根底にそういう態度がある者のことって、残念ながら私は、細かなコミュニケーションのとりかたとか、端々の言い回しとかから、割りとかんたんに察知できてしまう。何というか、こいつからは何か私を値踏みするような、私に大枚を叩いているような、反対に初めから安く見積もるような、私に貸し借りがあるように振る舞うような、そういう緊張感なり負担感を常に持たされるような相手というのがいて、そういうのが結局は〈人並みに扱われなくても仕方がない理由〉の答えあわせだったりするからだ。

前にも似たようなことをここに記した気がするが、私が言う「差別問題にかんして見解［が］一致しない」というのは、単純に〈何々の差別にちゃんと反対しているかどうか〉とか、〈あらゆる差別に反対する用意があるかどうか〉みたいな話ではない。いやまあ、実際には後者の〈あらゆる差別に反対する用意があるかどうか〉が問題ではあるのだけど、私にとってはむしろ、〈この社会には人並みに扱われなくても仕方がないだけの理由のある者たちがいる〉のだという答えあわせに取り憑かれたような態度への反発のほうが大きい。

（こういう投稿しないでおくための場所だったんだがなぁ……ちょっとモヤモヤすることどもが畳みかけてきやがったもんで、小枝のスナップとまではゆかずとも、積もった雪がズルっと落ちて大きくしなるようなかんじで、心は揺れています）

まあ嫌いだけどよくできる方なので参考にはしますけどね。そういう無理を重ねるたびにどんどん他人を嫌いになってゆくのだけど。「けど」多すぎなんだけど。けど。

しかし寒暖差アレルギーのせいだろうが鼻がつらくてならんね。