しじょー
LightNews LightNews
banner
creamanko.bsky.social
しじょー
@creamanko.bsky.social
140 followers 55 following 5.9K posts
成人済み。銀博を嗜んだり騎空団の団長をやってたりする人。食べ物、猫も多め。
Posts Replies Media Videos
creamanko.bsky.social
終わった後ランクウッドにも行った。（2/2）
「いや、そういう問題じゃな……ん？　なんで君、私が今からトリマウンツに行くって知って――」 　伝えただろうか。いや、言っていない。 　ぱちりぱちりと瞬きをするドクターに、エンシオディスは輝く相貌で答えた。 「丁度私もトリマウンツへ向かうところだったからな。既にロドス側の了承は得ており、出立の準備は完了している」 「何それ私知らない」 「ああそうだ。あちらでの滞在の宿は私と同じにしておいたぞ。セキュリティも万全で、私も常宿にしているホテルだから安心するといい」 「？？」 　慌てて確認するとたしかにそのようになっている。今朝確認した時にはなっていなかった筈だ。つまり到着してからこの部屋に来るまでに交渉、審議、承認されたというこで……。 「さっきまでのべしょべしょしょぼぼんは一体なんだったんだ！？」 　まんまと色男の演技にしてやられたとドクターは言うが、しかしエンシオディスは清廉潔白、何一つ嘘偽りもないと微笑む。 「私にとって、ここの巣穴でお前と過ごす時間は何ものにも変え難い、ということだ」 　揺れる尻尾に、ドクターの方を向いたままの耳。 　ドクターは知っている。二人きりの時、その二つは本人よりも雄弁だということを。けして嘘をつかないことを。 　ドクターはエンシオディスを見つめ、問いただす。 「たまたまロドスを訪れた君が、たまたまトリマウンツへ向かう途中だっただけだよね？」 「ああ」 「そしてたまたま私もトリマウンツへ向かうところだった、と」 「そうだ。運命を感じるな」 「……」 　その運命とやらは何がもたらしたものなのか、それとも自力で引き寄せたものなのか。 　そんなもの問い詰めたところで現実は変わらない。 「じゃあ、その、道中よろしく頼むよ」 「ああ。任された」 　しかも悪いことは何一つない。ロドスは移動にかかる経費が浮き、エンシオディスはドクターと過ごす時間を合法で手に入れた。 　そしてドクターはべしょべしょのしょぼぼんしている姿を見るより、こうして自信に満ち溢れてきらきら顔も周囲の空気も輝いている方が彼らしくて好きだった。 　 　 「ところで」 「うん？」 　そう多くもない荷物をまとめ、部屋を出ようとした時エンシオディスが問いかけてくる。 「到着日の夕食の予定は？　ガリア系移民のシェフが営む雰囲気の良い穴場のレストランを見つけたのだが」 「せめてロドスを出るまでは『たまたま』って感じを出し続けてもらっていいかな？」
November 23, 2025 at 3:03 AM
creamanko.bsky.social
銀博（♂）
お前次第だが？（1/2）
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「honest person」、「@cream_anko」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Nate Johnston on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　honest person 　 　 「置いていくのか、この私を」 「……」 　そこにいるのは見上げる程の高身長の肉食大型フェリーン。国一番の美男子と領民から讃えられ、事実国外でも着実にそれは広まりつつある美しく整った顔面と、それが付くに相応しい均整の取れた長い手足の体躯。そして低くやや粘性の高いボイスは、まるで耳朶から鼓膜までを甘く溶かすよう。 　ヴィクトリアの夜会に足を踏み入れようものなら我先にと先んじようとする子女に囲まれ、またランクウッドの通りを歩けばスカウトが列を成す。そんな様子が容易に想像できる男（ただし実際それを見たことはないのであくまで想像ではあるがそれが想像に難くはないとドクターは信じている）、それがエンシオディス・シルバーアッシュ――である筈なのに。 「多忙を極める中、せめてひと時ばかりの逢瀬に心身共に愛するお前に癒されに来た私を置いていくのか？」 「……」 　今ドクターの目の前にいるのはまあるいふさふさなお耳をぺしょんと真横に伏せるようにして、長く太く立派な尻尾をしょぼぼんと垂らしたデッカイネコチャン（ただし顔が極上なことには変わりはない）だ。 「えーっと、いや、別に置いていくとかいかないとか、そういう話ではなくて」 　なんてことはない。ドクターがロドスを発つタイミングでエンシオディスがロドスを訪れただけだ。そしてドクターはスケジュール通りの任務であり、エンシオディスはアポ無しの突撃訪問である。置いていくもいかないもない。ドクターには何一つ非はない。 「だが、事実だ。私は愛するお前の顔を見て、声を聞き、あわよくばめくるめく時間を愛の巣で過ごそうと 訪れたと言うのに」 「しっかり一晩過ごすつもりで来たんだね？　アポどころか連絡すら寄越さずに」 　その太々しさに若干の呆れを顔に出すが、だからと言ってドクターが訪問者に一旦は止めた支度の手を再開させないことはない。 「多忙を極める君が時間をやりくりして私に会いに来てくれることはわかっている。勿論その為に事前の連絡もアポイントもままならないこともね。けれども私だって働いているのだから、私のスケジュールがある。それは君だってよくわかっているだろう？」 　当然こちらが正論だ。ぐうの音だって出させやしない。 「ああ、その手のことは身に染みている」 　エンシオディスは頷き、否定をしなかった。 　しかし、 「だが実際ままならないことに遭遇し、それに対し遺憾する気持ちは何人にも否定はできない。例えお前自身であろうとも」 「まあそれはそう――…」 「ではどうすれば良いか？」 「？」 　その時納得しかけたドクターに向かって、まるで自然な動作でエンシオディスが両腕を広げてみせた。まるで、さあ今からここに飛び込んで来いと言わんばかりだ。 「どう、とは？」 「見てわからないか？」 「……飛び込んで来いと言われているような気がします」 「或いは私から抱きに行ってもいいが？」 　そんなことをしたら勢いあまってそのたわわな胸囲に弾き飛ばされてしまいそうな気がした。もっとも、そんなことになる前にその長い腕と尻尾に巻き取られ、 離してもらえなくなる可能性の方が遥かに高いが。 　なのでここでの正解は。 「エンシオディス」 「！」 　ドクターが同じように腕を広げると、べしょべしょしょぼぼんとしていた耳と尻尾をたちまち跳ね上げた。そしてその長い足で数歩で二人の距離をなかったことにし、ドクターの細い腕の中にその恵体をねじ込むのだ。 　スーツ越しでもわかるみっしりとした体躯を押し付けられ、ドクターは腕の中で窒息しそうになった。それでも腰に回された腕も、足に絡みつく尻尾も離れない。ぴったりと隙間なく密着した体にエンシオディスが盛大に鳴らす喉の音の振動が伝わってくるのは、体の中の空洞を揺らされているようで実は少し心地が良かった。 　ただその反面、ベッドの上でこの恵体に抱きすくめられ、押し潰される経験からくる想像がどうしても頭の隅をちらついてしまうのだが。 「……そろそろ満足した？」 　やがて幾許かそうして広い背中を撫でていたドクターは、少しだけ時間を気にしてエンシオディスに問いかける。 「常にお前が不足している私としては、この程度で到底足りるものではないという見解だ」 「良い大人なんだからいい加減我慢して。その、……埋め合わせは今度するから」 　言ってドクターは少し顔を上げると、エンシオディスの喉元に彼がするよう額を擦り付ける。 　唐突なのも、アポをとってくれないのも困ったものだが、仕事抜きで会いたいと思って会いに来てくれることは嬉しかった。そうでなければろくに本艦から動くことはなく、またあったとしても任務としておもむくことしかできないドクターでは多忙でテラ中を飛び 回るエンシオディスを捕まえることすらできないだろう。 「ではキスをしても？」 「欲張り」 「それでも足りぬのだから仕方あるまい」 　ドクターは呆れつつ、更に上を向く。そこにはさっきまでのべしょべしょしょぼぼんなど見る影もなく、腕の中のドクターの方を懸命に向くぴんぴんのお耳と、その下に直視すれば目が眩むほどつやつやと輝く男前のお顔があった。 　足りないのならば、仕方がない。 　降ってきた男前の顔で視界をいっぱいにしてから、目を閉じる。すると唇に柔らかいものが触れて、離れて、また触れて、少し角度を変えて啄み、吐息を漏らしたところでぬるりとその隙間から温かく湿ったものが口の中に入り込んできた。 「……は」 　やがてぞくりと腰の辺りがざわめく頃。エンシオディスの顔がようやく離れ、ドクターは抜け出ていったものた共に湿り気を帯びた息を吐き出す。 「やりすぎだよ」 　こら、と咎めて軽く背を叩くと、エンシオディスは満足気ににんまりと笑う。懲りずに降ってくる顔中のキスに「もうおしまい！」と告げ、ドクターはどうにかその強固な檻の中から抜け出した。 「まったく。今から出るというのに、腰が立たなくなったらどうしてくれるんだ」 　それで出立ができなくなるなんて、流石にそんなことあってはならないし、どう言い訳をすればよいというのか。 　すると入ってきた時とは明らかに機嫌を良くし、つやつやふっさりしたフェリーンの男はこうのたまった。 「案ずるな。私が責任を持ってお前をトリマウンツへ送り届けよう」
November 23, 2025 at 3:03 AM
creamanko.bsky.social
クールダウン中
ずっとひなたにいたほかほかねこのひと
November 20, 2025 at 2:46 AM
creamanko.bsky.social
みんな猫あげてるな
みっちり猫
November 18, 2025 at 12:16 PM
creamanko.bsky.social
2025年11月23日開催のノアの休日＃4に銀博♂で参加します。
完売している既刊のWEB再録と、当日新作の展示を予定しておりますのでごゆっくりいらしてください～。
１番艦え-8　KOHL of Duty
#ノアの休日 #ノア休4
#ノア休4_サークル告知
November 17, 2025 at 4:49 AM
creamanko.bsky.social
カップルとギャルたちと戦いながら撮ってきたイルミネーションと高島屋のツリー
なんかハリポタコラボってた 夜景が綺麗に撮れる！ってキャッキャしてた いつもの高島屋のデカビカビカツリー
November 14, 2025 at 10:16 AM
creamanko.bsky.social
今日食べたものたち
伏見町popeye モーニングのおにぎり一汁五菜定食 ミリオン座　抹茶ミケルセン Your,GURT&GRANOLA グリークヨーグルトのコムハニーとはちみつのせ きのかわ軒　特濃きのかわラーメン
November 14, 2025 at 8:43 AM
creamanko.bsky.social
抹茶・ミケルセン飲んできた！これが北欧の至宝の顔の味…
November 14, 2025 at 3:29 AM
creamanko.bsky.social
（無言で頭を撫でくりまわす）
November 13, 2025 at 8:25 AM
creamanko.bsky.social
ありがたいイェラガンド様から賜りし大自然の恵の水（を模した富士山の湧水）を大事に飲まずにとっている皆様へ。
そろそろです。
November 13, 2025 at 3:55 AM
creamanko.bsky.social
ゆーちゅーぶ見てる時視線を感じる…
November 11, 2025 at 2:20 PM
creamanko.bsky.social
銀博（♂）
一般人には耐性がない。
※銀灰不在のモブオペと博士の話
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「you’re only」、「@cream_anko」と記載されています。 画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Enrico Mantegazza on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　you're only 　 　 「ドクターはシルバーアッシュさんのこと、怖くないんスか？」 「うん？」 　突如振られた話題に、ドクターは手元から顔を上げてそちらを見やる。 　何事もないデスクワークの午後。声をかけてきたのはドクター宛ての荷物を運んできた、後方支援部に所属するフェリーンのオペレーターだった。 「いや、特別そう思ったことはないけれど……？」 　首を傾げつつそう答えるドクターに、フェリーンのオペレーターはマジっスか、と感嘆する。 「前にロドスの廊下ですれ違ったことがあって、その時オーラっていうか、プレッシャーというか、カリスマっていうんですか？　俺は圧倒されてブルッちまったんですよね」 「それはまあ、気持ちはわかるかな」 　エンシオディス・シルバーアッシュ。イェラグ出身の貴族で、カランド貿易代表。しかもその身には遠からずあのヴィクトリアの女傑、カスター公の血が流れている。それだけでもプレッシャーの塊のような男にはそれに加え、過分な程に整った容姿と、恵まれた体躯まで備わっている。そんな男を前にして、極普通の生まれや暮らしをしてきた人間が畏怖してしまう子のも致し方ないだろう。 　しかし、 「彼は現状我々ロドスと敵対していない。それに協定企業の代表ではあるが、君と同じロドスのオペレーターでもある」 　そうだ。オペレーターとして登録がある限り、ロドスにとってエンシオディスと目の前の彼との扱いに差はない。例え個人が類い稀のない高い能力を持つとし ても、後方支援なくして永遠に前線に立つことはできない。それに戦場以外で後方支援部が活躍することは多岐に渡り、そもそもロドス自体、活動が立ち行かなくなってしまうだろう。 　それに何より、 「何より彼と君と同じフェリーンじゃないか」 「いやいやいや！」 　ザラックのような比較的小柄な種族がフェリーンを怖がる事例を知ってはいるが、今回はその限りではない。エンシオディスもフェリーンで、彼もまた同じフェリーンだ。 　けれどもフェリーンのオペレーターはそんなことはないと大袈裟に首を左右に振り、否定してみせる。 「フェリーンにだって色々違いがあるんですよ。あんな何もかもスケールがデカいフェリーン故郷にいなかったし、そもそもロドス、そこら辺に重要人物居すぎじゃないですか！？」 「それはそう。でもそんなことを言ったらマウンテンだって何もかもでっかいフェリーンじゃないか」 　エンシオディスも見上げて首が痛くなる程背が高いが、マウンテンはさらにその上をいく。アポなしでたびたびロドスを訪れるもののオペレーターとしては『レアキャラ』なエンシオディスとは違い、外勤任務がなければロドスに滞在するマウンテンの存在は本艦勤めならば見慣れている筈だ。 　だが、 「いや、マウンテンさんは俺らみたいなのにもいつも丁寧に対応してくれるから全然別です」 「……」 　それはそう。どちらも育ちの良い、波瀾万丈な人生を歩む恵まれた体躯のフェリーンであることに大した違いない筈なのだが。 「まあでもドクターはアーミヤさんやケルシー先生と並ぶロドスの代表の一人ですからね。怖いフェリーン が来ようが、ドラゴンが来ようが天災が来ようが、何も怖いなんてことはないんでしょうけど」 　そう言ってフェリーンのオペレーターははっと時計を見ると「サボり過ぎました」と執務室を慌てて出て行った。彼のエンシオディスより三回り以上細くてしなやかな尾が扉の向こうに見えなくなって、 「その三つは同列なんだ」 　ドクターはそういうものなのか、と感心したように呟く。 　彼はああ言ったが、別にドクターにだって怖いものがないわけではない。そもそも無慈悲に、分け隔てなく人々の生活を奪っていく天災などはテラに住まう誰しも恐怖の対象である。 　ただドラゴンに関してはロドスにはドラコのオペレーターがいる。そしてデカくて怖いフェリーンに関しては言わずもがなだ。 　怖いと言えば、やらかしの後のケルシーの呼び出しの方がよっぽど……と思いかけ、ドクターは改めて今ここにはいないがいたらいたで我が物顔なフェリーンの男のことを思い浮かべる。 　顔が非常に良く、背丈も恵まれており、波瀾万丈ではあるものの育ちも今ある立場も極上で――ふわふわのお耳と尻尾を生やしてごろごろと喉を鳴らし、その大きな体ですりすりと擦り付いてくるのをにこにこと撫でて甘やかし油断していると、気が付いたらぱくりと食べられてしまう、そんな男のことを。 「デッカイカワイイネコチャンなんだけどなぁ」 　呟き、窓の外を見る。ここにはいない筈なのに、何故だか鼓膜をくすぐる猛獣が唸るような重低音のゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえるような気がして、ドクターは理由もなく近い内に彼が訪れる、そんな予感がしたのだった。
November 11, 2025 at 3:25 AM
creamanko.bsky.social
銀博（♂）
伝達:本日×時〜解除の通達があるまでドクターの執務室への入室を禁止する。（緊急の場合は秘書またはメールにて問い合わせください）
Sleeping beauty 「エンシオディス」 耳に心地良い声が名前を呼ぶのに、エンシオディスは浅く散漫とさせていた己の意識をゆっくりと浮上させた。 それは父と母から贈られたものであり、他者からエンシオディスをエンシオディスたらしめるものである。それを口にするに特別な資格は要らず、ある者は敬意を持って、ある者は悪意を持って、またある者は親しみを込めてその名を口にする。 そして多くの者にとってそれは『シルバーアッシュの』のエンシオディスという意味を持つ。他の何者でもない。受け継いだその意味を、呼ばれるその名を、エンシオディスは幼い頃から今の今までよく理解していた。 「エンシオ…………エンシオディス」 また、己を呼ぶ声がする。 何度呼ばれても耳が心地良い。目覚めの霞がかった気分をより幸福なものにしてくれる。閉じた目蓋をこのまま開けずにずっと優しく呼ばれていたい、そんな欲望に身を任せたくなる。しかしそれではその眼差しを、その姿を、己の目で捉えることは二度と叶わなくなってしまう。 「……エンシオディス、君、起きているんだろう？」 そんな葛藤を抱いていると、呆れの吐息と共にそんな声が降ってきた。どうやら目を開けねばならない時がきてしまったらしい。 しかしすぐに目を覚ましてしまうのは、やはりまだ惜しい。今この争い難い微睡みを振り切るにはそれ相応の対価が必要だ。 「目覚めのキスを」 「うん？」 「童話の姫たちは王子のキスで目を覚ますと相場が決まっているだろう？」 「どちらかと言えば王子様側の見た目をしている君が何を言ってるんだか……」 また呆れた声。しかし、今度はさきほどより近くに聞こえる。そうこうしている内にまぶたの裏に影が差し、やがてエンシオディスの唇にややかさついたものが押し当てられた。 その瞬間、エンシオディスはそれまで頑なに閉じていたまぶたをカッと開く。 「ーーようやくお目覚めかい？寝たふりが上手なデッカイネコチャン自認お姫様め」 「……」 しかし目を開けたそこには、エンシオディスの期待した人間の唇はおろか、顔すらなかった。唇の上に差し出されたのは細く白い指先で、本人はエンシオディスが長い手足を放るように横たわっているソファーの隣で、膝を抱えてしゃがみ込んでいる。室内でもかぶるフードの奥には、悪戯が成功した末妹のような笑みが浮かんでいた。 「それは違反行為なのでは？」 「そもそも眠っている女性に突然、王子様とは言え見ず知らずの男がキスをするってどう思う？」 「童話に現実的な解釈はナンセンスだ」 それにエンシオディスとドクターは見ず知らずではない。キスもするし、それ以上もする世間的にも『恋人』と定義されて相応しい関係だ。恋人、それは目覚めのキスをねだったって非難される関係ではない。 「君はここに寝に来ているけれど、私はばっちり就業中だ。オンとオフはしっかり区別しないとね」 「オフであれば構わないと？」 「オフの時は私を抱え込んでやりたい放題だろ」 咎めるように鼻を摘んだ指が、今度は前髪を梳き、掻く。目覚めのキスは得られなかったが、ここでしか 得られない覚醒を促す甘く名を呼ぶ声とこの感触、これはこれで悪くない。 エンシオディスは心地よい感触に自然とごろりと喉が鳴るのをやめず、その白く細い手に額や頬を擦り付けて懐いた。するとそれは好きにさせながら、ドクターは仮眠の間のことを告げる。 「一時間ほど前にクーリエから連絡があってね。急ぎではないけど、君が目覚めたら伝えたいことがあるそうだよ」 「そうか」 「私も実は君に確認してほしいロドスの書類がある」 ひとときの幸福の代価にしては安いものだ。惜しむらくは、この後滞在は叶わず、ロドスを発たねばならないことか。 「わかった」 「！」 頷き、最後に頬ずりをした手を掴んでその内側にしてもらえなかったキスの代わりに唇を押し付ける。見やるとぴくりと揺れた指先の向こうで、フードの奥の顔がほんのり照れたように染まっていた。 「なんだ？」 「……そういう気障な仕草がはちゃめちゃに似合うから、君はきっと無断でキスをしても許される部類の王子様だよ」 「私がキスをするのはお前だけだが？」 「わ、あ！」 相手の身分が何であれ、したいのもして欲しいのもただ一人しかいない。 エンシオディスは体を起こすついでにその腕を引き寄せ、倒れ込んできたドクターを受け止めついでにその前髪あたりにキスをした。お預けと言うならば、待てはできる。待つことは得意だ。 ただし、良しと言われた後のことは保証できはしないのだが。
November 7, 2025 at 4:59 AM
creamanko.bsky.social
ダイジョウブ！
November 6, 2025 at 6:34 AM
creamanko.bsky.social
音楽性の違いでバンドが解散した瞬間を激写しました
November 3, 2025 at 1:34 PM
creamanko.bsky.social
こいつがヤベェんですよ
November 3, 2025 at 7:23 AM
creamanko.bsky.social
この後家まで送ってもらった。
（2/2）
「この私に養う甲斐性がないとでも？」 何を言っても、何も問題はないと返される。恐らくドクターがどんな理由を捻り出しても、エンシオディスは瑣末なことだと笑うだろう。そして恐らくどうにかしてしまうし、実際男にとって何一つ問題はないのだ。あったとしても、意にも介さないだろう。 知り合って経た時間はそう短いものではなく、尚且つ自分に向けられた好意に気付かずとも男の性質を理解するには十分足りる時間だった。 「私もお前に一つ聞いていいか」 「な、なにを……？」 エンシオディスの問いに、もはや何も口にできなくなって黙ってしまったドクターはまだ何があるのかと身構えた。するとその様子にエンシオディスは少しだけ困ったような顔をして、笑って尋ねる。 「私にこうされて、嫌か？」 「！」 握った手を、そっと撫でられる。それだけではなくテーブルの下であの立派な尻尾が脛に絡みついてくるのを感じた。いつもは勝手に巻き付いてくるくせに、こんな時ばかりはドクターの反応を伺うように、酷く臆病に、遠慮がちに。 そしてその質問に関してドクターが答えられるのは、 「いやじゃ、ない」 という事実のみ。 「そうか」 エンシオディスの頭部に頂くフェリーンの耳がぴくぴくと嬉しそうに震える。それを見てドクターはうっかり、そう非常にうっかりこの長身肩幅広顔良し立場良し性格は若干難ありの男を可愛いと思ってしまった。可愛いと見えてしまった。 「ふむ……ではすぐに答えが出せないと言うならば、しばらく『お試し』をしてみてはどうだ」 「お試し？」 突如提示された案に、ドクターは首を傾げた。 「付き合ってみて、私がお前の伴侶に足るかどうかを見極めるのだ」 「私が君を、ではなくて？」 「恋うているのは私だからな。試されるのは私の方だ」 「……」 惚れた腫れたにお試し期間があるなどと聞いたことがない。しかしエンシオディスは冗談を言っている風もない。何を馬鹿なことを。しかしその提案に対してドクターが何らかのアクションを返さなければ、恐らくずっとこの手は離してもらえないだろうことはわかる。 非常に奇妙なことになったと思う。年下で同性の友人ができたと思ったら、その人からプロポーズまがいのことをされるなんて。しかも相手は未婚なのに三人の子持ちで、しがない研究職でおまけに男の自分だというのに。 ーー今思えば、この時しっかりとノーと言っておくべきであったと、後のドクターは後悔する。 しかしドクターは知らなかったのだ。雪深い男の祖国の狩人は、狙った獲物を仕留めるまでけして諦めることはないのだ、と。 「じゃあ……いいよ。その、君の言うお試しってやつなら」 「では、仮契約成立だな」 するりと掴まれた手を解放され、ドクターはようやく己の手を取り戻すことに成功した。しかし長らく包まれていた手にはエンシオディスのぬくもりが移っており、先程うなじに感じたものと同じものを思わずにはいられない。 それが不思議と嫌悪するものではない理由には、ドクターはまだ思い当たることはできなかった。 「では改めて乾杯といこう」 話し込むあまり、すっかり気泡の抜けてしまった シャンパンのグラスをエンシオディスは手に取る。 「ッ、まだお試しだから、その、クーリングオフはいつでも効くんだろう？」 「ああ、その通りだ」 しぶしぶ乾杯と軽く掲げたグラスの中で、薄琥珀色の液体が踊る。気を落ち着かせる為にすぐさまそれに口を付けるドクターに対し、ふと液体越しにその様子を眺めてエンシオディスは言った。 「だがお前も勤め人であるならばわかるだろう。仮契約を結べたのならば、あとは『全力』で取りに行くのみ、ということをな？」 「……！？」 その宣戦布告とも思わせる言葉にドクターは口に含んだシャンパンを吹き出しそうになったが、周囲も目の前の男もとても弁償できないほど高級なことを思い出してどうにかとどまる。エンシオディスはその様子を楽しげに見つめつつ、テーブルの下でドクターの脛に尻尾を巻き付けた。
October 31, 2025 at 8:29 AM
creamanko.bsky.social
銀博（♂）
先日の現パロ。
ラブストーリーは突然に。
（1/2）
you're the one. 「私と結婚を前提に付き合ってほしい」 「え」 名前くらいは知っている、超高級三つ星ホテルの最上階に鎮座する超高級レストラン。足を踏み入れることすら分不相応なまさに住む世界が違う空間の、更に区画分けされたＶＩＰルームは、壁一面がガラスになっており今の時間都市の百万ドル夜景を独り占めしたかのような煌めきが目に焼き付く。 けれども一生に一度だってお目にかかれないような光景も、状況も、目の前の真摯に己を見つめる男を前にすればその引き立て役にしかならないのだと思い知らされる。 まるで夢のようだと考えた。 勿論それは良い意味ではなく、あまりにもあまりに現実が夢としか思えない遥か現実離れし過ぎているために抱いた感想だ。そうだ。まだ夢だと明かされた方が納得のいく。 それか、そうだ、詐欺とか。 しかし目の前で相対する男が、そういった小ずるいことをする人間ではないと知っている。 エンシオディス・シルバーアッシュ。 イェラグという小国出身の貴族であり、自身が興したカランド貿易という会社のＣＥＯだ。今もっとも勢いのある企業として経済誌には引っ張りだこであるし、そのずば抜けた本人の容姿から女性誌からも引っ張りだこのフェリーンの男である。 雪国出身者特有の白皙の肌に、降り積もる新雪のような銀の髪。祖国特有のフェリーン種であるらしく、一般的なフェリーンよりも遥かに長く太い尻尾はこれまたゴージャスで豊かな銀の毛を纏い、しかし一般的平均成人男性身長からしてみれば見上げる程高い背の 為か、持て余している様子は微塵もない。長い手足を含め全身をフルオーダーのスーツに包み、胸のポケットに真っ白なチーフを覗かせる様は、正に寸分の隙も狂いもない。 それなのに、頬に影を落とす程長いまつ毛に縁取られたアイスグレーの切れ長の瞳は今、一心に目の前の存在を見つめている。目の前の存在は、そう、自分だ。ここに来ることですら場違い、身分不相応の、成人男性の自分ーー同僚からはドクターと呼ばれる一般市民の男が。 「え……っと、それって……？」 考えることが体を動かすことよりかは得意であった筈が、何故か今のエンシオディスの言葉が理解できずドクターは聞き返す。 「言葉通りの意味だ。将来結婚することを前提に、私と付き合ってほしいと言った」 「それって君の国の言葉的に、私をロドスからカランドにヘッドハンティングしたい的な意味だったりする？？」 するとそれはかなり的外れな返答だったのだろう。ドクターが相対する男は視界の端でゆるりと尻尾を揺らし、その眉間にわずかなしわを寄せた。 「それもまた私の望むところではあるが、今はそうとは言っていない。結婚ーーつまり、私という雄の番いとなり、末長く共に愛を育み生きることを前提に、その前段階として恋人という立場になってくれないか、と言っている」 「どうしてそうなった？？」 エンシオディスとドクターの関係は、弱小製薬企業の重役という名のただの古参社員と、そのスポンサー企業のＣＥＯだ。提携当時、カランド貿易はそこまで注目される企業ではなかった。しかしここ数年は目覚ましい発展を遂げ、今は新進気鋭の企業として、ＣＥＯを含め非常に注目されている。 方やドクターの務めるロドスアイランド製薬は、特殊な病気の研究、薬の開発を担う、世間的にはあまり有名ではない企業だ。 エンシオディスとドクターの縁は、彼の妹がその特殊な病気に感染してしまったことから始まっている。その治療薬を開発していたのがロドスだ。そのことをきっかけに企業として出資が始まり、なんやかんやあってドクターは彼の祖国で彼の家に関するゴタゴタに意図せず関与することにもなり、それがカランド貿易に何故だか業界内で力を強める結果をもたらすことなどあったりしたのだが、ドクターにとってはただの研究職の自分が巻き込まれて難儀して記憶でしかなかった。 「それにしたって急すぎる」 「急なことなどあるものか」 エンシオディスが同性の目から見てもセクシーだと言えるそのやや厚みを持った唇から細い吐息をこぼした。 「これまでずっとお前に私の好意をアプローチしてきた筈だ」 「ええ、そんなこと……」 言われ、ドクターはこれまでのことを思い浮かべる。 たしかにエンシオディスから何度も食事に誘われたことも、それに応えたこともある。高級店は場違いすぎて緊張すると伝えれば、休日にもっとカジュアルな店に連れて行ってくれたこともあった。南の島へバカンスに連れて行ってくれたことも、彼の国で大自然を満喫するホリデーに誘われたこともあった。 多忙だろうエンシオディスは必ずそばにいたし、祖国にいる友人や家族を紹介されたこともあった。 歩く時は必ずドクターの隣を歩き、長椅子に座る時も常に隣に座る。そしてその時、あの魅力的で立派な尻尾をよくドクターの腰に巻いてーー。 「……」 言われてみれば、という気付きを顔に浮かべるドクターにエンシオディスが笑みを浮かべた。 「その鈍さ、私以外にも遍くお前に懸想を働かせる物に平等に発揮されて助かったと言うべきだな」 「！」 テーブルの上で所在なげにしていたドクターの左手に、エンシオディスがその体躯に見合った大きな手の平を重ねる。同性である筈なのに、容易に包み込んでしまえる体格差を改めて自覚したが、ドクターはその手を今すぐ引っ込めることができなかった。 「臆病者らの中で私が唯一先に抜きん出たおかげで、こうしてお前の心意を問う最初で最後の権利を得られた」 「最初で最後って……そもそも私はまだ応えるとは一言も」 「では逆に、お前が私の想いに応えられない理由はなんだ？」 問われ、ドクターは一旦口を噤んだ。そして目の前の男をそろりと見た。 エンシオディスは相変わらずまっすぐドクターを見つめている。長く豊かなまつ毛に縁取られた切れ長の瞳が、これほどまで情熱的に映るのは果たして初めてだっただろうか。 じわりとうなじのあたりに熱を感じた。頬がむず痒いような感覚があり、耳の縁も熱いような気がする。 けれどもドクターは戦慄きそうになる口をどうにか開き、思いつく限りの理由を羅列した。 「私と君は取引先同士で、友人だし！」 「友人同士が情を結び、やがて家庭を共にすることは別段珍しくはない話だろう」 「そ、そもそも私は男で……！」 「性別にこだわりはない。否、お前であるから性差にこだわりはないと言うべきか」 「〜〜〜っ、わ、私には三人の娘がいるんだぞ！」
October 31, 2025 at 8:29 AM
creamanko.bsky.social
October 28, 2025 at 8:56 AM
creamanko.bsky.social
ひぃーーーー
October 28, 2025 at 4:48 AM
creamanko.bsky.social
いろんなパーツを拡大したらパーツ一つボタン一つにも凝った意匠がはいってて白目になった
October 26, 2025 at 3:18 AM
creamanko.bsky.social
あまりにもわからない
October 26, 2025 at 1:43 AM
creamanko.bsky.social
お昼は枝豆とソーセージのナポリタンよ〜
October 25, 2025 at 2:45 AM
creamanko.bsky.social
あとこれ、自分みやげ
October 24, 2025 at 8:42 AM
creamanko.bsky.social
17Proの8倍かーなーり使えるし、20倍くらいならほとんど気にならない（ただしめっちゃ手ブレする）
October 24, 2025 at 8:41 AM