東姫希
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東姫希
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誰にも配慮しておりません
検索避けなし
November 10, 2024 at 12:39 PM
「あのさぁ……」三井は鼻水を啜った。「オレ、めちゃくちゃ働いてデケェ風呂場作るからよぉ……それまで痛ぇこととか多いと思うけどよ……オレと一緒に生きてくれるか?」祈るように三井は仙道の両手を握った。仙道は相変わらず不思議そうに三井を見ていたが、海に帰らなかった。
September 3, 2024 at 8:00 AM
三井は乱暴に涙を拭って「何度だって誓ってやる」つって仙道の左手に指輪嵌めて「愛してる、彰」つったら、そしたら仙道が三井にキスするの。そしたらそれまで荒れ狂ってた波がピタリと止んでスーーーッと引いていく。仙道は乾燥して痛いのかボリボリと自分の身体をかいていて、その青白いまでの肌に赤い線ができる。三井はそれをやめさせようとして、でも仙道と生きるということはそういうことだと。自分は海で生きられないし、仙道も陸地では生きていけないと。仙道の肌が痛々しい引っ掻き傷だらけになるけど、自分と生きるということはそういうことなのだと。
September 3, 2024 at 8:00 AM
仙道を寄越せって言ってるみたいに仙道と同じ歌?みたいな超音波?みたいなとにかく不快な音を奏でていて、胸の中の仙道もそれに呼応するみたいにピーッて歌うの。波はそれに反応するみたいにザバザバ波が揺れて、三井はそれを回避しながらなんとか上に登っていく。そんで海を睨みつけながら「やるもんか!!お前らなんかにやるかよ!!仙道はオレのなんだよ!!仙道と一緒に居るんだよ!!」って泣きながら叫ぶ。するとそれまでピーピー鳴いていた仙道がケホッケホって咳き込んで、そこから指輪が出てくるのね。仙道はそれをキャッチして、不思議そうな顔をしながら三井に渡すの。
September 3, 2024 at 8:00 AM
ある日仙道が三井との指輪を呑み込んでしまって、吐けよ!って仙道殴っちゃうんだけど、仙道は呻くだけできょとんとしていて、あーーーもう仙道居ないんだ!って絶望した三井が仙道殺そうかな……って包丁持つんだけど、そのときまた仙道が歌ってるのね。そしたら急に津波警報がビビビって鳴って、三井は慌てて仙道の所行ってどうしようコイツ守らねぇと!ってワタワタすんの。そうしてるうちに大きな津波がきて三井のアパートも流されちゃうんだけど、三井は必死に仙道の手を握り「大丈夫だから!オレが守るから!」つって引いてなんとか水こない家の屋根に仙道と登るんだけど、そしたら海がまるで
September 3, 2024 at 7:59 AM
深夜その声を聞くと眠れなくなって、段々とやつれていった。超音波みたいだ。イルカかそこらへんが仲間と会話するために使うような、そんなやつ。三井は段々とやつれていった。この生物を、どうやって生かしていけばいいんだろう。下の階から水漏れで苦情が来ていた。殺した方が良いんだろうか。そんな恐ろしい思考が沸くことも増えていって、その度三井は一人で泣いた。ボロボロと泣く仙道が浮かんだからだ。これは仙道だ。仙道彰だ。オレが愛した男なんだ……三井はそう言い聞かせて、浴室を掃除した。仙道の鱗が溜まると排水溝が詰まるのだ。
September 3, 2024 at 7:58 AM
仙道とは次第に会話ができなくなっていって、仙道は段々白痴のようになっていった。三井が「おはよう」「今日は天気良いわ」など話し掛けても、その美しい顔をきょとんとさせ首を傾げるだけだった。仙道の身体では浴槽は狭くて、洗い場まで出ては戻れなくなって、乾燥で痛む肌を誤魔化すように打ち付け三井が帰宅すると浴室は血だらけになっていたこともある。酷い水道代に水道局から何度も手紙が届いたが、三井は給料を全て仙道の生活費に回して、仙道が暮らしやすいようになんとかするしかなかった。
仙道は次第に歌うようになった。歌うと言ってもそれはどちらかと言うと鳴き声や奇声に近くて三井は
September 3, 2024 at 7:58 AM
三井は何も言えなかった。ただ仙道を抱きしめることしかできなくて、気の利いた言葉1つ言えない自分が情けなくて、三井も鼻の奥がツンとしたが、泣くことだけはしなかった。自分が仙道を守ると決めたからには、泣くわけにはいかなかった。仙道の言う通りだった。仙道の美しい目はいつしか三井の言葉に反応せず、ぼーっと空を見つめることが増えていった。パンやおにぎりを渡しても、食べては吐くことが増えていき、刺身を食わせようとすると三井の手から引ったくって素手でムシャムシャと食うようになった。だから三井は最近、生の魚や肉をそのまま食わせている。
September 3, 2024 at 7:58 AM
ドラマを見た。ニュースは見せなかった。獣の病は日本でも爆発的な流行りを見せていて、未だ何も解明されていないこと、1番目のワクチンで人が死んだこと、そんな暗いニュースを仙道に絶対に見せたくなかったからだ。でも三井の奮闘は虚しくて、仙道は三井の前でも泣くことが増えた。最初は情けないとかで気丈に見せないようにしていたが、もうそんな気力もないようで、美しい顔を歪めてはらはらと涙を零しながらこう言った。「自分が自分じゃなくなっていく感覚があるんです。身体だけじゃない。頭の中がおかしくなってる気がする。そのうち三井さんとも話せなくなるかもしれない。そんな自分が情けなくて怖くて、どうしようもなくなるんです…
September 3, 2024 at 7:57 AM
そう言って左手の薬指に指輪を嵌めてやると、仙道は顔を伏せて肩を震わせた。三井はその身体を胸に抱き寄せ、髪に鼻を埋めた。仙道の身体は冷たく湿っていて、髪からは磯の匂いがした。
仙道の足が完全にくっついて尾びれになった頃。足だったとは思えないほど自然になっていて、本当に人間の足がここにあったのかと不思議に思うほどそれは自然になっていた。仙道は三井が帰ると一緒にリビングでテレビを見たがったが、水から出ると痛いのか、しきりに肌を掻くのが気になって、三井は仙道を風呂場の浴槽から出るなと言った。「iPad買ったんだよ」そう言って仙道は浴槽で、三井は洗い場に座って、2人で
September 3, 2024 at 7:56 AM
「別れてください」仙道がそう言って、三井の左手にあるものと同じ指輪を渡してきたとき、仙道は体育座りをしていて、風呂場からこのリビングまでを水浸しにしていた。その頃には両脚がくっついて、辛うじてそれが脚だったか分かる程度の形は見えたけれど、それがそのうちただのヒレになることは、なんとなく三井にも分かった。水に浸っていないと、乾燥して痛いのだと仙道は小さな小さな声で言っていた。「誰が別れるかよ」三井はその指輪を引ったくって、恭しく左手にキスした。「病める時も健やかなる時も、……なんだっけ。忘れたけどよ。とにかくオレはお前とずっと一緒だから
September 3, 2024 at 7:55 AM
ま白い脚だ。日焼けしても赤くなるだけで、女だったら喜びそうな白い肌を、実はコンプレックスだと仙道は言っていた。男にしては透明なほど白く、目を凝らすと薄らとすね毛が見えて、三井はそれを抜くのが好きだった。だというのにその脚には、目視できる異物が斑に、仙道の美しい脚を汚していた。「最近、歩くのに違和感があるんです。縺れるというか」仙道は何処か他人事かのように己の脚を撫でて「たぶん、足がくっつく。それでヒレになるんだと思う」と言った。仙道の言う通りだった。一週間の間に仙道は歩けなくなり、縺れた脚は鱗によって付着し、三井が力を込めて剥がそうとするとまるで指を裂かれるみたいに痛がった。
September 3, 2024 at 7:54 AM
July 28, 2024 at 6:36 PM
July 24, 2024 at 1:53 PM