お腹も脹れて満足したところで店を出た2人。これまでも2人で食事したことはあったがイブの日は初めてで何となく離れがたい。
賑やかな街の喧騒に華やぐクリスマスイルミネーション、そこかしこを歩く恋人たちの密着度。すっかり空気にあてられてしまい、離れて歩くこの距離が寂しいだなんて。
少し後ろを歩く🥦︎に視線をやるとほんのり潤んだ緑の瞳にぶつかる。
「チッ」と１つ大きく舌打ち。🥦︎がビクッと肩を振るわせる。（てめーの考えてることなんざ手に取るように分かるンだわ）それが同じ気持ちなら尚更で。
「ん…」とバトンリレーさながら後ろに手をやる。

🥦︎はおとうさん呼びで、息子くん成長後は父さん
💥はパパ呼び、成長後は親父だといいなと思って

広場はまるでお祭り騒ぎだった。さっきの占い師を探すと、女の子相手にカードゲームに興じている。
「ああ、来たね。すごいよ、この子。カットの才能があるみたいなんだ」
カットとは初めてきく言葉だったがパーティにいる🍵みたいな特殊能力を指すのだろう。
女の子は何の話か訳が分からないらしい。占い師は構わずにどんどんカードを捲っていって「ほら、負けちまった」と手を上げた。

見たところ女の子は4、5才くらいだ。自分の力がどんなものか分からないなりに、畏怖を感じているようで打ち解ける素振りはない。それはおそらく、自分の意図しないところで他人を傷つけてしまうことを厭う気持ちからなのだと🥦︎には分かってしまった。