アジサイ
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アジサイ
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蓮垢
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(10/13)
「んっ……あっ……」 　抑えたくても声が漏れてしまう。痛覚が快楽に変換され、両手はキスをしている時に握られたまま動かせず綴理先輩のなすがままにされるだけになっていた。 「さや、かわいいよ」 「それ今言わないでください……」 　恥ずかしさはもう限界まで来ていた。綴理先輩の表情は楽しんでいるみたいで、わたしの一挙手一投足すべてを見られているような気がしてくる。 「さやの今の顔、できたての親子丼みたい」 「んん゛～～～～っ！」 　熱くてとろとろの卵みたいにとろけてると綴理先輩は言いたいのだろう。手で顔を覆い隠したいのに綴理先輩の手はわたしの腕を握ったまま隠すことを許してくれなかった。痕をつけて満足そうな先輩はまたわたしにキスを落とした。 「さや、指舐めて」 　綴理先輩はわたしを拘束していた手を離すと、わたしの口元に人差し指を近づけて唇をなぞる。 　わたしは甘噛みでその指をくわえると、綴理先輩は咥内をいじりはじめた。ただでさえ綴理先輩がすること言うことすべてに体が反応してしまうのに、先輩の細長い指が自分の口の中に入っているという事実ですらもわたしの余裕を奪う。 　指はわたしの舌の上に置かれて、わたしはそれを舐める。目を閉じていてもなんとなく先輩がどんな表情をしているのかわかる。 「ん、ぁ……。ちゅっ……」 　目をつむって視覚情報を自分で遮断している分、舐めるのに漏れる音が余計に響く。それに先輩の指の形、温かさがなんとなく伝わってくる。余裕なんてものは既になく、差し出された指をただ舐めるだけだった。 「さや、だいすきだよ」 「わふぁひも、ん……すき、でう……」 　綴理先輩がわたしの口から指を抜くと、抜いた指から銀の糸が垂れて光沢を残して、切れた。 「ん、おいしい」 　綴理先輩はさっきまでわたしの咥内を犯していた指を自分で咥えて舐めていた。 「綴理先輩！？」 「ん？」 　今更綴理先輩と間接キスすることには気にしてはないけど、流石のわたしも驚きを隠せなかった。ただそのことにツッコミを入れる余力は今のわたしにはなかった。 「さや、続きする？」 　この場合続き、というのがどういう意味なのかは今更思考するまでもなかった。ただそれを嗜虐心からとかではなく、同意を求めるために聞くのがなんとも綴理先輩らしいというか、少し安心してしまった。 「いいですよ。綴理先輩。……その、わたしもそのつもりで来た、というか……」 「ふふ、さやかわいいよ」 「なっ、！　今のはちょっと嬉しくないかもしれないです……」 「え」 　あぁ、やっぱりわたしは綴理先輩が、いや。夕霧綴理が好きなんだな、と。 　わたしの返答に少し戸惑っている綴理先輩の首を両腕で絡め、わたし達は夕暮れとは逆の方向の、暗い夜に落ちていった。
December 14, 2024 at 3:47 PM
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(9/13)
　先輩は壁に追い詰められてもたれかかるわたしに顔を寄せると、そっとキスをしてくれた。 「ん、あまい」 「ふふ、ちょっといつも使ってるのとは違うやつです」 　それから何度もキスを交わす。部屋の静寂は次第に布の重なる音、ちょっとリップ音がなったり、それはわたしの心臓の音ほど大きくは無いが、わたしをその気にさせるのは十分だった。 　何度目かのキスを交わした後、唇を離した先輩はわたしの首元にももぐる。 「さやのほくろにもキスしていい？」 「わ、わざわざ口にしなくても……んっ……」 　答えようとした時には綴理先輩はもう聞いていなかった。 「痕付けてもいい？」 　下からわたしを覗きこみ上目遣いになってる綴理先輩があまりにも刺さりすぎて結局わたしは無言でうなずくことしかできないのであった。付けられたらしばらくはちゃんと痕を隠せる服にしなきゃいけないから大変なのに。
December 14, 2024 at 3:47 PM
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(8/13)
　今でもその時の事は鮮明に覚えている。普段の綴理先輩だったらきっと「ボクもすきー」って言ってくると思う。それはそれでとても恥ずかしいけど……。 　付き合うかどうか聞かれた時は考える余裕なんてなかったけど、でも綴理先輩はわたしの漏れた言葉を付き合うという意味で解釈していたことは今思うと信じ難いことだった。間違ってはいないけど、それほど顔に出ていたのでしょうか……。 　ただ付き合い始めたわたし達だったけど、恋人らしいことはほとんどしていないのが現状だった。朝、先輩起こすのも、お弁当作るのも、一緒にお弁当食べるのも一緒に寮まで帰るのもすべて前までと何も変わらない日常だった。わたしとしても段階は踏んでいくものだと思っているから関係の変化についてはそれほど焦ってはいなかったけど、昨日の、綴理先輩からキスをされたことだけはまだ現実として受け止めきれていなかった。それに加えて今日もまた先輩のお部屋に呼ばれるだなんて……。ただ単純にわたしが考えすぎなのだろうか、はたまたわたし達の関係にほとんど変化がないことに綴理先輩が耐えかねたのか。考えれば考えるほどだんだんわかって来たと思っていた綴理先輩のことがわからなくなって しまうことが悔しく思う。 　そんなことを考えて歩いていたらいつの間にか綴理先輩の部屋の前まで着いてしまった。 　いつもだったらさほど躊躇がなく入る先輩の部屋なのに今日だけは深呼吸をひとまず置いてからノックをした。 「綴理先輩、失礼します」 「うん、いらっしゃい。さや」 　薄手のシャツにハーフパンツという練習着のそれとほとんど変わらないものを身にまとった綴理先輩はわたしの方を見て笑って迎えてくれた。 「お、おじゃまします……」 　わたしの様子がおかしいことに気付いたのか綴理先輩は首を傾げた。 「さや、体調良くない？」 「いえ、全然元気ですよ！」 「そう？」 　元気ではある、元気ではあるけど、今ここで本調子になれないのはあなたのせいなんですよ。とはとても言い出せるような雰囲気じゃなかった。それはやっぱり綴理先輩はキスよりその先をしたいという私欲があるのかとか、まず前提に綴理先輩にそういった知識があるのか、それさえも分かっていないのが現状だった。 　十五年生きてきてそれまでで経験なんてある訳がないのだがここはわたしが引っ張るしかないのだろうか……。そう唾を飲み込んで綴理先輩の方を見ると、こちらの視線に気付いた綴理先輩はニコリと笑うと、わたしの方に迫ってきた。 「さや、さっきの続きしてもいい？」 　目の前の美貌にわたしは何度目かの恋に落ちた。心臓の音がうるさい。もしその時には、わたしが引っ張ろうだなんて、さっきまで決めたつもりだった覚悟はもうわたしにはなかった。 「さや、唇ぷるぷるだね」 　目を閉じて、覚悟していたわたしの唇に触れたのは綴理先輩の唇ではなく、先輩の人差し指だった。 「えっ……！？」 　あまりの予想外の出来事にわたしは呆然としてしまった。 「お、お風呂あがりでクリーム塗ったからですかね……？」 　特にこの時期だと乾燥しやすいからお風呂上がりのスキンケアで一応付けてから来たけどまさかそれに綴理先輩が目を惹かれるとは……。 「綴理先輩、恥ずかしいです……」 「ふふ、さや。かわいいよ」 　まだ唇を触られているだけなのにもう耳まで熱い。 「さや、口開けて」 　先輩は指を唇から離したが、依然顔は近いままだった。先輩がどういうものを求めているのかはなんとなくわかる。でも、想像していたものとは違ってまだわたしは衝撃から覚めないままだった。 「先輩、そ、の……さきに……きす……したい、です……」 　絞り出したわたしの欲に綴理先輩は笑ってわたしの頭を撫でた。 「ごめんね、さや。しよっか、キス」
December 14, 2024 at 3:47 PM
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疲労ね
November 24, 2024 at 12:59 PM