さかもと@カンデラリア
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さかもと@カンデラリア
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二次創作用アカ/成人済/ばくごうかつきのもんぺ/ワはイコさん、荒船、カゲが好き/skmtはシンとししばさんを推す/最近カグラバチ面白い/ゴ…カムイは映画からで勉強中
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とっぴんぱらりのぷう!(なけなしの昔話風味を醸し出す)
これ屋敷の主人はアレじゃない?ひのとりみたいなヤツじゃない?
June 8, 2025 at 11:42 AM
さて、そこから数十年が過ぎて
とある町で暮らすばくごうくんが、親に頼まれてある村を訪ねる事になる
よく晴れていたのに急に雨が降り出して、止んだかと思うと濃い霧が出て、迂闊に動けないなと思っていたら、明かりの瞬きに気付く
人家があるなとそこを目指すばくごうくんには、遠い昔の記憶は何も残っていない
だから、やけに大きな門をくぐるばくごうくんは気付いていない
門の先の屋敷の中、赤い髪と赤い目の10に満たない歳の子供が、寂しくて悲しくて、会いたくて、どうか自分を見つけないでくれ、でもそれを超えて見つけてくれないか、と、部屋の隅で身を丸めて待っている事を
それは、いつかのばくごうくんと同じようだった事も
June 8, 2025 at 11:41 AM
赤ちゃんを見下ろすばくごうくんの姿がどんどん淡くなってきて、それを見た赤ちゃんが火がついたように泣き始める
結局てめえは俺を忘れてもお人好しは治らねえから、ここに来たら絶対に俺を連れ出すし大事にしてしまう。
だから次こそ俺が、てめえを連れ帰らず、これを終わりにしてやる
言い聞かせるようなそれが終わると同時にばくごうくんは消えてしまうし、後には5歳くらいの子供…きりしまくんが残されている
June 8, 2025 at 11:40 AM
で、姿を消したその青年…ばくごうくんは、山中をあの屋敷へと戻って行く。門を潜った途端に唸り声をあげて、「こんなクソみてえな事を何度…」って絞り出すように言ってしゃがみ込んだ。
握っていた掌から、ころんと赤いガラス玉のようなものが転がり落ちてそれが割れたかと思うとそこには乳児が現れる
赤ちゃんを座敷に連れていって布団に寝かせて、着物に包んだ時にはもう子供は3歳くらいになっていた。
今度は俺が外に生まれる番だ、とばくごうくんは覚悟する。自分たちがこんな茶番を止めるには、ここから互い以外を持ち帰るかあるいは持ち帰っても抱え込まずに捨てる事。不思議な事にそれはここで暮らした側だけは理解してる
June 8, 2025 at 11:38 AM
あの山中の屋敷から戻ってからきりしまくんはそれなりに裕福になって、村中どころか近隣の村からも嫁入りの話が来るようになるんだけど、この生活はこの子のお陰だからこいつを大事にして暮らしたいって全部断る。
なんなら財産はどんどん親兄弟親類にも分けていって、一族は大いに栄えた。
めでたしめでたし、…って思うじゃん
やがて寿命が来て、きりしまくんは青年期に入って時間が止まったかのようなその子を置いて逝くのが心配で、でもおめえはしっかり者だからきっと平気だよな、幸せに生きろよ、って言い残す
親類縁者が駆けつけた時にはもう、青年の姿は無かった
June 8, 2025 at 11:36 AM
きりしまくんは子供を自分の村に連れ帰って、一緒に暮らし出すんだけど、そこからびっくりするほどあらゆる幸運が舞い込んでくる。
何をやっても上手くいく。
もしかしてこの子供のおかげなのかな?って思いながら、そんな事関係なく可愛がる。
その子は普通よりも成長が早くて、出会った時は7, 8歳くらいは違ってそうだったのに、5年も経つと同じ歳くらいになってる。
やっぱり不思議なヤツだなあって思うけど、よく働いて頭も良くて一緒に暮らして楽しいからきりしまくんとしては問題無い。
相変わらず彼の声は出なくて、それがちょっと残念。
June 8, 2025 at 11:34 AM
どうやら土産を持たせて帰らせようとしているらしい。
あまりに現実離れしていて、狐狸妖怪の類に化かされてるのか?って思いながら、「こんな高そうなものを貰っても使い道に困っちまう、それより本当にここにおめえしかいないなら、子供一人は心配だから一緒に行こう」って手を差し出す
子供は首を横に振るけど、目には確かに期待する光があるから、きりしまくんは手を握ってこの屋敷から子供を連れ出す。
散々迷っていた筈なのに、今度はあっさりと親戚の村に着くし、病気だった親戚はあっという間に元気になった。
そしてその子供は煙のように消える事はなかった。
June 8, 2025 at 11:33 AM
若干気味が悪くなりつつ、屋敷の奥へ奥へと進む。その間に覗き込む部屋はどれにも上等な茶器だとか絵とか、美しい織物が積まれてたり随分と裕福な様子。
最奥の手前の部屋を見ると、そこでようやく人に会えた。
明るい髪と、赤い目の、10に満たないだろう子供。
部屋の隅で座り込んで、嬉しいような悲しいような、なんとも言えない顔できりしまくんを見てる。
きりしまくんは色々話しかけるけど、どうやら声が出ないらしい。
親は?って聞いても答えがなくて、急に手を引いて今までの部屋を戻りながら高価そうなあれこれを指さしてくる
June 8, 2025 at 11:32 AM
でもなんだかおかしい。だんだんと道は整えられて、山の中なのに大きく構えた門まで見えてくる。
こんな場所にお屋敷?ときりしまくんは不思議に思いつつ、迷っている以上そこに向かう以外の選択はなかった
門は開いていて、すみませーんと声をあげて中に入る
大きな屋敷で、井戸に牛小屋、納屋もある。
誰も顔を出さないから、きりしまくんはやむを得ず建物の中に入る事に。
大きな部屋には大家族と思しき食事の膳が幾つも並んでいて、蓋の空いた椀から見える汁物は湯気までたってるのに、人の姿がない
June 8, 2025 at 11:30 AM
読んでいただきありがとうございます😊
これ系は海より山が舞台の方に惹かれます
良いですよね山の深いところ
耳が痛いくらい鳴いてた蝉が同時にピタッと鳴き止んで今度は静けさに耳が痛むような時とか本当にどこかに連れていかれる気がします
May 29, 2025 at 12:27 PM
とっぴんぱらりのぷう!
(昔話の締め言葉を使って無理矢理に昔話感を出す)
これは昔話ですか?昔話…
それきりばくごうは村に戻らなかった、でも、みんな当然のように思っているが実はいつの間にか村の住人が一人増えている、でもオチはなんでも良いです
May 28, 2025 at 2:27 PM
俺はいつも一人で町との往復をしていて、何故なら自分はとりわけ丈夫で健脚だからその早さについて来れる者が居ないからで、だから今日も俺は一人で村を出ていて……じゃあ今後ろにいるのは、なんだ?
なあ、ってソレは朗らかに言う
もう大丈夫だぜ、そんなに急がなくてももういいんだ、気が付いてるんだろ、もうアレは『呼べない』
おめえは賢くて強くて面白れえなあ度胸もある
だからもっと色々教えてくれよ
なあ、俺はなんだと思う?
そうして行きと同じように、ソレは袖をつんと引いた
May 28, 2025 at 2:25 PM
ざくざくと道を進みながら、呼び声どころか、行きにあった音がひっそりしてる事に気づく
鳥の鳴き声も、虫の羽音も、なんなら葉擦れの音も
みんなみんなぺったりと地に伏せ枝に隠れ、気配を殺して様子を窺っているような
いつもと違う、何かおかしい
ばくごうくんはますます足を早めて村に向かいます
ゆっくりと空が橙に変わる頃、村の近くまで戻って来ていて、ばくごうくんがホッとしたら、背後から、なあ、って声が掛かって驚いてしまう
ああ、こいつはよく俺の足について来れたな、って同行者の事を思って、それで気付くんだよね
May 28, 2025 at 2:23 PM
おおい、おおい
早朝から声に追われるように進んで昼前に町に着く
「帰りもアレは気が重めえなあ」ってぼやきながら男は別に用事があるのか姿を消して、ばくごうくんは自分の用事を済ませます
用事を済ませたらすぐに町を出る
いつの間にか男も合流していて、行きと同様ばくごうくんの後を着いてくる
傾き始めた日差しの中、黙々と山道を進みながら、ばくごうくんは首を傾げる
何でかって、いつもならそろそろ呼び声が聞こえだすのにそれがない
May 28, 2025 at 2:22 PM
それを伝えると、人の良さそうな顔をくしゃっと歪めて、「追いつかれたりすんの?」って恐々と聞いてくるから、ばくごうくんは、「さあ」って答える
暮らしの為に狩や山菜取りで山中に出向かざるを得なくて、たまーに帰って来ない者もいるけど、事故かコレかは分からない
ちなみに大抵の村人は何名かで山に入るんだけど、ばくごうくんは一人で行くんだよね、他は足がついて来れないから
「危ねえだろ、心配だぜ」って言いながらばくごうくんの服の袖をつんと引くから、「今まで何もなかったわ」って返して早足で進みます
May 28, 2025 at 2:19 PM
「でも怪我してるのかもしれないだろ?」って呑気な事言うものだから、ばくごうくんは深々とため息をひとつ
「よく聞いてみろ」って言葉に従って男は暫く耳を澄ませる
おおい、おおい
その声はさっきより近いところからする
「動けなくて助けを呼んでるわけじゃなさそうだな?」ってようやく分かった顔をするから、少し足を早めて進み始める事にする
村の中では聞こえないけど、出ると山道を歩く間ずっと呼び声が追いかけてくるんだよね、村人全員経験済み
May 28, 2025 at 2:17 PM
周りの読みの方が当たってて、ばくごうくんは告白されたのは嬉しいのにめちゃくちゃ悔しいというレアな心境だし、きりしまくんは浮かれトンチキになってるし、当然この先行われる同窓会では毎回この時の事が語られます

毎回同じようなオチでごめんなさいこれが好きなんです(笑)!
May 26, 2025 at 2:41 PM
その奥に立つばくごうくんは顔真っ赤にしてうぎぎ…って凄い顔してて、混乱のままにきりしまくんやったー!!って叫んで大ばくは食らいます 
ばくごうくんはきりしまくんよりも早くに好きな自覚があったんだけど、きりしまくんの態度が読み難くて、卒業が見えてるのに態度変わらないって事はあっちにその気は無いと思ってて、かみなりくんたちは絶対に卒業の節目で告白するタイプだからあいつは!って言ってたんだよね
May 26, 2025 at 2:41 PM
連絡するから、とか、こっち来る時は声かけろよ、とか、そういう無難な事を言おうと思ってたのに、いざ口を開いたら「ばくごう、好きだ」って言っちゃう(笑)
ばくごうくんびっくり
きりしまくんもびっくり
でも結局のところ、今と同じようにばくごうくんに関わりたくて関わられたくて、自分が希望するのはコレなんだなって、言葉にしてやっと自覚したきりしまくんはそこで、ここ…教室…、ってなるんですね(笑)
うわって青ざめてたらきりばくの間にかみなりくんとあしどさんが割って入って満面の笑みで「知ってた!!」って言ってくれる
May 26, 2025 at 2:39 PM