くそ…ってなり。負けじと、真っ最中に揺さぶられながら「ンッ、は…きもちぃ、か？はは…っ、必死…で、可愛いな？」とか言っては倍返しされるれんれん、可愛いね。本人たちは真剣でも、どう見ても惚気合いとしか思えないやりとりしてるアケシュは可愛い

それ以後、あけちがたまに「可愛いよ、無様で、情けなくて」「随分と素直になって…可愛いものだね？」等々囁いてくるようになって。しかも普通の時に言われたのなら、れんもむしろその挑発受けて立つぐらいの気概で煽り返してやるのが。囁かれるのはきまって行為中の、理性が崩れてまともに言葉も紡げないレベルでとろっとろに溶かされてる時や、行為後、あけちに与えられた刺激の衝撃を消化しきれず意識が朦朧としたまま余韻だけで達し続けていたりぼんやりしている時ばかりで。身体が、あけちのその囁き声に敏感に反応するようになってきてしまい

しっかりすけべなことまでしていつもと違うれんを堪能して。最終的に、たまになら面白いかもしれないな、と味を占めるあけちくんと。初めは(なんでレンに内緒で急に出かけなきゃなんねーんだよッ)って警戒してたのに、持ち前の察しの良さから数回同じことを経験しただけですぐ、(アケチのヤツ…なんだかんだ言ってるが、イチャつきたいだけなんじゃねーか…？ )と真相を見破ってしまい。まさか自分が不在になるだけで相棒が能動的に動かなくなるなんて思ってもいないから。あけちが多忙期を乗り越えた頃とか空気を読んで、定期的にふらっと出かけるようになるもなもな

時間が経過するにつれて段々元気が無くなってきて、窓の外ジッと眺めたりソファに座り込んだまま動かなくなっていって。いつも以上に無口になり、買ってきた夕飯も食べようとせず。ついでに「少しは食べたら？」「俺、いらない。もるがなが帰ってきたら一緒に…」「普段いらないって言っている僕に説教してきて食べ始めるまでそばに座り続けるお節介は誰だっけ？」「……」って、簡単に言いくるめられるため。想定以上の効果に、ふーん…？とほくそ笑み。どこまで従順になるのか、実験したくなってきて。「ねぇ、もるがなが居ないのがそんなに気になるなら…………気晴らしに少し、遊んであげようか？」って優しく囁きかけ

詳しくは知らないよ」ってシレッと嘘をつき。「どこに行ったんだ…？何かあったんじゃ」「さぁ、そのうち戻ってくると思うよ。もるがなだって自由に過ごしたい時ぐらいあるんじゃない？」ともっともらしいことを言って観察を始めたら。れんが。いつまで経っても落ち着かなくて。部屋の中を歩き回りあちこち隙間を覗いていたため、思わず「…きみ、まさかずっとウロウロしているつもり？」って嘲笑したところ。「…でも、もるがながいない」「きみが歩き回ることで戻ってくるのかな」「ん…それは…」と。いつものれんだったら俺がやりたいからやってるだけだって鼻で笑い返してきそうなのに、今は少し俯いたまま言葉を飲み込むだけ

「急で悪いけど、しばらく、席を外してくれないかな」「構わねーが…レンに一言言ってからで良いじゃねーか」「それだとれんが『もるがなについていく』とか言い出しかねないからね、れんには僕から伝えておくよ」と追い立てて、渋々出かけていくもるがなを見送り。それから間も無く、帰ってきたれんに素知らぬ顔でおかえりと声をかけたんだけど。いつも家の中でも一緒に行動しているため、すぐにもるがながいないことに気づいたらしく。キョロキョロし始めて。「あけち、もるがな知らないか？いないんだ」って平静を装いつつも不安そうな態度を隠し切れていないれんに尋ねられたので、「そういえば、少し遠出してくるとか言っていたかな