「どうした、俺に見惚れたか」
「否定しづらい冗談やめて」
笑い声が軽く弾んで春の陽光に似た視線が私を見守る。私は視線を前に向け、ゆっくりと言葉を探した。宝探しで研がれた感覚が胸の奥に沈む輝きを掬いあげる。
「私、鶴丸が好き」
小さな小さな宝石に、私は二文字の名をつけた。
「どうした、俺に見惚れたか」
「否定しづらい冗談やめて」
笑い声が軽く弾んで春の陽光に似た視線が私を見守る。私は視線を前に向け、ゆっくりと言葉を探した。宝探しで研がれた感覚が胸の奥に沈む輝きを掬いあげる。
「私、鶴丸が好き」
小さな小さな宝石に、私は二文字の名をつけた。
よく晴れた朝方の澄んだ空気、路傍で揺れる緑の鮮やかさ、目の前に現れ一瞬で飛び去っていく小鳥、通勤時間を共にする乗客、端末の向こうで輝く誰かが願った物語。世界を歩き始めたばかりの子どもみたいに目についた欠片を拾って鶴丸に見せた。綺麗なものを見ると柔らかくなるまなざしや緩む口元が好きで、驚くと目を丸くして顎を抑える仕草が好きで、たまに一言二言こぼす感想を聞けるとスキップしたくてたまらなくなる。いつしか私の日課には宝探しが加わって、世界は輝きで溢れていると知った。杖であったはずの刀は、長い旅路を共に歩く相棒になっていた。
よく晴れた朝方の澄んだ空気、路傍で揺れる緑の鮮やかさ、目の前に現れ一瞬で飛び去っていく小鳥、通勤時間を共にする乗客、端末の向こうで輝く誰かが願った物語。世界を歩き始めたばかりの子どもみたいに目についた欠片を拾って鶴丸に見せた。綺麗なものを見ると柔らかくなるまなざしや緩む口元が好きで、驚くと目を丸くして顎を抑える仕草が好きで、たまに一言二言こぼす感想を聞けるとスキップしたくてたまらなくなる。いつしか私の日課には宝探しが加わって、世界は輝きで溢れていると知った。杖であったはずの刀は、長い旅路を共に歩く相棒になっていた。
透けるように美しい青を見た。
うっすらと真白の雲がただよう鮮やかな青空。何年かぶりに触れた世界の美しさ。
「ねえ鶴丸、空、きれいだね」
初めて、苦しみ以外を語りかけた。
「そうだな。——きれいな青だ」
初めて、目を細める鶴丸の横顔に心を見た。初めて、彼を知りたいと思った。
透けるように美しい青を見た。
うっすらと真白の雲がただよう鮮やかな青空。何年かぶりに触れた世界の美しさ。
「ねえ鶴丸、空、きれいだね」
初めて、苦しみ以外を語りかけた。
「そうだな。——きれいな青だ」
初めて、目を細める鶴丸の横顔に心を見た。初めて、彼を知りたいと思った。