「おやおや、見てもらったほうが早くていいじゃないですか」
「そうそう。おれらの衝撃をアズールたちも味わってほしいし~」
「か、かんとくせい…」
「あ、デュース。ただいま~。ヤ、心配かけちゃって」
「監督生~!!!!」
「ヴぉ」
「おやおや、見てもらったほうが早くていいじゃないですか」
「そうそう。おれらの衝撃をアズールたちも味わってほしいし~」
「か、かんとくせい…」
「あ、デュース。ただいま~。ヤ、心配かけちゃって」
「監督生~!!!!」
「ヴぉ」
「ヴィルさん?」
「魔法もなしに人間が30分も水中で生きてなんていられない。悪いけど、信じられないわ」
「賛成だな。草食動物は魔法薬を飲んだ様子もなかった」
「ご、ゴーストっていうんですか?」
「それに子じゃがは髪が短かったはずよ。こんなに長くなかったわ」
「さすがヴィル先輩ですね。答えはこうですよ」
ぐいっと持ち上げられ、床に滑るように投げ出された監督生の人魚の姿に全員の目が釘付けになる。つやつやと光る鱗は黒真珠色、ヒレは黒曜石。濡れた鱗とヒレは水中とはまた違う美しさでもって見るものを惹きつけた。
「ヴィルさん?」
「魔法もなしに人間が30分も水中で生きてなんていられない。悪いけど、信じられないわ」
「賛成だな。草食動物は魔法薬を飲んだ様子もなかった」
「ご、ゴーストっていうんですか?」
「それに子じゃがは髪が短かったはずよ。こんなに長くなかったわ」
「さすがヴィル先輩ですね。答えはこうですよ」
ぐいっと持ち上げられ、床に滑るように投げ出された監督生の人魚の姿に全員の目が釘付けになる。つやつやと光る鱗は黒真珠色、ヒレは黒曜石。濡れた鱗とヒレは水中とはまた違う美しさでもって見るものを惹きつけた。
「わぁあああああああああ!!!!!」
「はひゅっ…!」
ふちにそっと手をかけ、思い切りジェイドに持ち上げてもらった監督生である。まずもっとも近くにいたアズールが驚き、下を向いていたデュースが呼吸に失敗して、むせかえった。1年生たちは単純に驚いていたし、2年生たちは生還を喜んだが、3年生たちは監督生が生きていると思っていなかったので不審に思っていた。
「わぁあああああああああ!!!!!」
「はひゅっ…!」
ふちにそっと手をかけ、思い切りジェイドに持ち上げてもらった監督生である。まずもっとも近くにいたアズールが驚き、下を向いていたデュースが呼吸に失敗して、むせかえった。1年生たちは単純に驚いていたし、2年生たちは生還を喜んだが、3年生たちは監督生が生きていると思っていなかったので不審に思っていた。
「!フロイド、ジェイドっ!監督生さんは…!」
「小エビちゃんは…」
意味深なことろで言葉を切るフロイドにピリリと空気がきしむ。息苦しいほどの怒りが充満して、一年生たちにはきついものがあったが、自分たちも統制できない怒りが身の内を焦がすのを感じていたので、及び腰になることもなかった。まさか、本当に、ダメだったのか…?そんな空気が流れた時、雰囲気をぶち破ったものがいた。
「!フロイド、ジェイドっ!監督生さんは…!」
「小エビちゃんは…」
意味深なことろで言葉を切るフロイドにピリリと空気がきしむ。息苦しいほどの怒りが充満して、一年生たちにはきついものがあったが、自分たちも統制できない怒りが身の内を焦がすのを感じていたので、及び腰になることもなかった。まさか、本当に、ダメだったのか…?そんな空気が流れた時、雰囲気をぶち破ったものがいた。
「ヤ、もう大事になってっから。俺ら食堂で大騒ぎしたし」
「監督生さんのお友達は多いですからね」
「アー…なんかすみませんね」
眉をハの字にして、さも困ってますという表情をした監督生はジェイドとフロイドに先んじて泳ぎ始めた。二人はうなづきあってから、監督生を追って泳ぎ始め、それから先導するように前を泳いだ。まずは帰ることのほうが先決だからだ。しかし、余裕も出始めていて、これはアズールが驚くなと不敵な笑みが漏れるジェイドとフロイドであった。
「ヤ、もう大事になってっから。俺ら食堂で大騒ぎしたし」
「監督生さんのお友達は多いですからね」
「アー…なんかすみませんね」
眉をハの字にして、さも困ってますという表情をした監督生はジェイドとフロイドに先んじて泳ぎ始めた。二人はうなづきあってから、監督生を追って泳ぎ始め、それから先導するように前を泳いだ。まずは帰ることのほうが先決だからだ。しかし、余裕も出始めていて、これはアズールが驚くなと不敵な笑みが漏れるジェイドとフロイドであった。
「はい」
「ハイ???俺知らなかったんだけど???」
「誰にもナイショでしたよ」
やれやれと尾びれを動かして動作を確かめる監督生に、目を白黒させるジェイドとフロイドであった。いままで監督生が人魚であるなどと言う噂すら流れたことはない。それは陸に上がった人魚らしい行動がなかったからだ。海に長くいた人魚は、人魚あるあるの行動をとる。重力が緩い海での行動をそのまま陸でも実行しようとするのは、その最たるものである。
「はい」
「ハイ???俺知らなかったんだけど???」
「誰にもナイショでしたよ」
やれやれと尾びれを動かして動作を確かめる監督生に、目を白黒させるジェイドとフロイドであった。いままで監督生が人魚であるなどと言う噂すら流れたことはない。それは陸に上がった人魚らしい行動がなかったからだ。海に長くいた人魚は、人魚あるあるの行動をとる。重力が緩い海での行動をそのまま陸でも実行しようとするのは、その最たるものである。
「ア、 そうですか…」
「よっ、と。ほらこういうことですよ」
瞬きの間に、監督生の二本の足は人魚のものに変わっていた。魚体部分は黒真珠のごとき艶やかさで、二股の長い尾ひれは黒曜石の瞬きを思わせる。監督生の短かった髪もまた、みごとなつややかさと長さでもって揺蕩っている。烏の濡れ羽色、制服の黒、黒真珠、黒曜石。黒であるのに違う色味は、監督生によほどぴったりと似合っていた。
「ア、 そうですか…」
「よっ、と。ほらこういうことですよ」
瞬きの間に、監督生の二本の足は人魚のものに変わっていた。魚体部分は黒真珠のごとき艶やかさで、二股の長い尾ひれは黒曜石の瞬きを思わせる。監督生の短かった髪もまた、みごとなつややかさと長さでもって揺蕩っている。烏の濡れ羽色、制服の黒、黒真珠、黒曜石。黒であるのに違う色味は、監督生によほどぴったりと似合っていた。
「や、ホントにびっくりでしたよ」
「びっくりとかじゃなくない?俺ら、小エビちゃんのこと死んだと思ってたからね」
「こんなに心配かけて、監督生さんたら…しくし…なんで脱ぐのですか????」
ウソ泣きしてやろうとしたジェイドが、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたのは、監督生がズボンをえっちらおっちら脱ぎだしたからである。さすがに陸2年生と言えども、突然海でズボンを脱ぎだす意味が分からなくてびっくりする。
「や、ホントにびっくりでしたよ」
「びっくりとかじゃなくない?俺ら、小エビちゃんのこと死んだと思ってたからね」
「こんなに心配かけて、監督生さんたら…しくし…なんで脱ぐのですか????」
ウソ泣きしてやろうとしたジェイドが、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたのは、監督生がズボンをえっちらおっちら脱ぎだしたからである。さすがに陸2年生と言えども、突然海でズボンを脱ぎだす意味が分からなくてびっくりする。
「監督生さん!」
「!」
「小エビちゃんなんで生きてんの?なんか薬飲んでから来たわけ???」
「それ証明したいんですけど、先に石外してほしくって」
「ア、 OK」
「監督生さん!」
「!」
「小エビちゃんなんで生きてんの?なんか薬飲んでから来たわけ???」
「それ証明したいんですけど、先に石外してほしくって」
「ア、 OK」
「!」
「?」
ハミングが聞こえてきてすぐに動いたのはジェイドだった。ジェイドは監督生からモールス信号の話を聞いたことがあった。短く3回、長く3回、短く3回でS、O、S。これは異世界からきた監督生から始めて聞いたものであるので、これは監督生のSOSだと、ジェイドは瞬時に判断したのである。
しかしこの時すでに30分は経っていて監督生の生存は絶望的だった。もはやゴーストが歌っているのではという思いもあったが、体だけでも連れ帰るべきだとジェイドは思った。
「!」
「?」
ハミングが聞こえてきてすぐに動いたのはジェイドだった。ジェイドは監督生からモールス信号の話を聞いたことがあった。短く3回、長く3回、短く3回でS、O、S。これは異世界からきた監督生から始めて聞いたものであるので、これは監督生のSOSだと、ジェイドは瞬時に判断したのである。
しかしこの時すでに30分は経っていて監督生の生存は絶望的だった。もはやゴーストが歌っているのではという思いもあったが、体だけでも連れ帰るべきだとジェイドは思った。
一番に動いたのはフロイドである。お気に入りの靴も投げ出し、制服を脱ぎながら走り抜けモストロラウンジの管理口から海に飛び込む。人魚形態で猛進するも、監督生の姿は見えない。監督生は血を流していたので、早くしないとサメが来る。あとからジェイドもやってきたが、やはり見つからない。足に石をくくられていたので、どこかにも行けないはずだ。まさか、もう。
最悪がよぎって、吐き気がする。
一番に動いたのはフロイドである。お気に入りの靴も投げ出し、制服を脱ぎながら走り抜けモストロラウンジの管理口から海に飛び込む。人魚形態で猛進するも、監督生の姿は見えない。監督生は血を流していたので、早くしないとサメが来る。あとからジェイドもやってきたが、やはり見つからない。足に石をくくられていたので、どこかにも行けないはずだ。まさか、もう。
最悪がよぎって、吐き気がする。