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noodles と宇宙ネコ子@新宿 red cloth

東新宿で、noodles と宇宙ネコ子のツーマンライブが行われるというので行ってみた。宇宙ネコ子が目当てだ。 宇宙ネコ子は、kano(ヴォーカルとギター)とねむこ(ギター)の女性 2 人のユニットで、元 Twitter(現 X)では物悲しいことを言っていたりするので、暗い人たちかと思いきや、音楽は洗練されている。だが、ライブに行ったら、そればかりでなく、ノイズ系であることもわかった。 メロディは、1980…
noodles と宇宙ネコ子@新宿 red cloth
東新宿で、noodles と宇宙ネコ子のツーマンライブが行われるというので行ってみた。宇宙ネコ子が目当てだ。 宇宙ネコ子は、kano(ヴォーカルとギター)とねむこ(ギター)の女性 2 人のユニットで、元 Twitter(現 X)では物悲しいことを言っていたりするので、暗い人たちかと思いきや、音楽は洗練されている。だが、ライブに行ったら、そればかりでなく、ノイズ系であることもわかった。 メロディは、1980 年代のイギリスのインディー系を彷彿とさせるが、私はなんでもこの時代を彷彿としてしまうのでわからない。ねむこのギターの作るノイズとフレーズがその感じを高めている。サポートのドラムとベースもよかった。現在新しいアルバムを製作中とのことで、新曲も演奏した。 2 人とも SNS などでは顔を見せないので、どんな人たちなのかわからないが、ライブでは普通にしていた。2 人を見たい人はライブに行ったらいいだろう。 noodles は私はよく知らなかったが、1991 年結成で、今は女性 2 人(ギターとベース)だ。ドラムのサポートありのトリオ編成で、この最小のバンド形態の演奏を、生で間近に見て、かっこよさを改めて認識した。
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November 21, 2025 at 2:44 PM
詐欺でない本

昨日は、Amazon で売られている詐欺の本について書いたが、今日はやはり Amazon の詐欺ではない本について書きたい。 詐欺の本ではないということは、なんの問題もない。私はこのことについて Amazon を責めるつもりはないし、またそうすることもできない。だが、私は納得できないのだ。 これも洋書の購入にさいして起きることだ。私は先日、ネパールの現代文学の英訳アンソロジーを購入した。著者の Michael James Hutt は、ネパール語の本も出している研究者だ。1991 年に出た本で、出版社は University of California…
詐欺でない本
昨日は、Amazon で売られている詐欺の本について書いたが、今日はやはり Amazon の詐欺ではない本について書きたい。 詐欺の本ではないということは、なんの問題もない。私はこのことについて Amazon を責めるつもりはないし、またそうすることもできない。だが、私は納得できないのだ。 これも洋書の購入にさいして起きることだ。私は先日、ネパールの現代文学の英訳アンソロジーを購入した。著者の Michael James Hutt は、ネパール語の本も出している研究者だ。1991 年に出た本で、出版社は University of California Press。これもあやしい出版社ではないのはもちろんだ。 しかし、注文したペーパーバックが届いたとき、表紙の質感を見て私は「またか」とがっかりした。裏表紙をめくると、思った通りのことが書かれていた。 Printed in Japan落丁、乱丁本のお問い合わせはAmazon.co.jp カスタマーサービスへ つまり、オンデマンドで日本でプリントしたものだ。もちろん、これは海賊版ではなく、Amazon がしかるべき許可を得てやっているものだ。 だが、私が欲しいのはこれではなかったのだ。30 年前にアメリカで印刷されたオリジナルが欲しかったのだ。内容になんの問題もないが、コピーはコピーでしかない。 Amazon 側にもいろいろな事情があるのだろうが、私はしばしばこの「Printed in Japan」に出くわして、悔しい思いをする。それで、古い洋書を買うときは、Amazon ではなく、洋書を扱っている販売元のものを選ぶようにしている。そうすれば、確実にオンデマンドではないオリジナルが手に入るからだ。 だが、もはやそれも確実ではない。pdf を印刷・製本したものが送られてくる可能性もあるからだ。これはいったいどういうことだろうか。もしかしたら、紙の本に執着する人間をいじめて、電子書籍の軍門に降らせようとしているのだろうか。
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November 20, 2025 at 2:28 PM
詐欺の本

Amazon で本を買うと、残念な思いをすることがある。古書を買ったら、表紙がなかったり、箱がなかったりする。それで返品手続きをすると「返金します。本は返送しないで処分してください」という返事が来た。 また、洋書を買うときも注意しなくてはいけない。ずいぶん以前の話だが、私の好きなアメリカ人作家の評論集のようなものが出ていたので、珍しいと思って購入した。届いたものを見たら、Wikipedia の関連記事のいくつかをプリントしてペーパーバックにしたものだった。…
詐欺の本
Amazon で本を買うと、残念な思いをすることがある。古書を買ったら、表紙がなかったり、箱がなかったりする。それで返品手続きをすると「返金します。本は返送しないで処分してください」という返事が来た。 また、洋書を買うときも注意しなくてはいけない。ずいぶん以前の話だが、私の好きなアメリカ人作家の評論集のようなものが出ていたので、珍しいと思って購入した。届いたものを見たら、Wikipedia の関連記事のいくつかをプリントしてペーパーバックにしたものだった。 また、著作権の切れたような書籍をコピーして製本して販売しているケースもある。私は古い本を探すことがあるので、注意しないとそういうのに引っかかる。出版社のところに Independent publisher と書いてある場合は、たいていその手のものだ。 かねてから 5 万円する本に目をつけていたのだが、もちろん買えない。すると、Amazon で外国の書店が新品を 17000 円で売っているのを見つけた。すぐに注文したが、届いたのを見て、私は騙されたことに気がついた。 電子書籍(か pdf ファイル)をカラーで印刷して製本したものだった。だから、リンクの青い部分もそのまま印字されている。ハードカバーだが、5 万円する本には思えないほどデコボコしていて、私は昔インドで買った本を思い出した。 それで私は、このニセモノが作られた場所や、関わった人々の情景を想像したが、すぐに、機械で印刷から製本まで簡単にできるはずだということに気がついた。 返品手続きはこれからだが、どうなるかはわからない。
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November 19, 2025 at 2:43 PM
AI の歯

AI の言葉遣いは、学習した言語データのうちもっとも平均的なものだという。だから穏健だし、過激な物言いなどとは無縁だ。また、ユーザーあってのサービスだから、不快なことも言わないし、ユーザーが「もう絶交だ」などと怒り出さないように、いつもポジティブな返事をしてくる。それでときには、迎合しているように思えるときもある。 ところで、私はこのブログでいくつかのフィクションを書いているが、AI がこれをどう読みこなすか興味を感じて、異なる AI に読ませてみた。ひとつの AI は誤読をしたり、そもそもフィクションであることに気がつかなかった(つまり、そう判定できなかった)。…
AI の歯
AI の言葉遣いは、学習した言語データのうちもっとも平均的なものだという。だから穏健だし、過激な物言いなどとは無縁だ。また、ユーザーあってのサービスだから、不快なことも言わないし、ユーザーが「もう絶交だ」などと怒り出さないように、いつもポジティブな返事をしてくる。それでときには、迎合しているように思えるときもある。 ところで、私はこのブログでいくつかのフィクションを書いているが、AI がこれをどう読みこなすか興味を感じて、異なる AI に読ませてみた。ひとつの AI は誤読をしたり、そもそもフィクションであることに気がつかなかった(つまり、そう判定できなかった)。 だが、もうひとつのほうは、フィクションであることをしっかり見抜き、そればかりでなく、私の意図もかなり正確に読み取ることができた。場合によっては、書いた本人すら気がつかなかった読みを提示してくることもあった。 そこで、私はこう尋ねてみた。 「これらの作品の特徴はなんだろうか」 するとすぐに答えが出た。 「これらの作品の特徴は、物語がなく、共感できる要素もなく、どう読んだらいいかわからないことです。読者はまずいないでしょう」 私は「迎合しがちな AI の歯から衣を引き剥がし、歯に衣着せぬ物言いをさせるとは、私の作品もたいしたものだ」と誇らしく思いつつも、もう2度と AI にこんな質問はするまいと決意した。
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November 18, 2025 at 2:52 PM
孤独なダンサーたち(5)

コレオグラファーの手配によって男は病院に緊急搬送されたが、そのときにはもう意識を取り戻していた。医師は簡単な診察のすえ、過労と結論づけた。フラフラと病院を出て行こうとする男を、コレオグラファーは追いかけた。 男は振り向いた。病院の冷たい明かりの中では、男の顔の皺は無惨なほど深く見えた。コレオグラファーは、悲劇の雰囲気におののきながら、男をかくも疲労困憊させたあのダンスについて尋ねた。 男の言葉は、途切れがちな上に錯綜し、さらにその一語一語に暗い残像が付きまとって理解を妨げるものであったが、コレオグラファーは大事なところは掴めたように思った。 四面楚歌。…
孤独なダンサーたち(5)
コレオグラファーの手配によって男は病院に緊急搬送されたが、そのときにはもう意識を取り戻していた。医師は簡単な診察のすえ、過労と結論づけた。フラフラと病院を出て行こうとする男を、コレオグラファーは追いかけた。 男は振り向いた。病院の冷たい明かりの中では、男の顔の皺は無惨なほど深く見えた。コレオグラファーは、悲劇の雰囲気におののきながら、男をかくも疲労困憊させたあのダンスについて尋ねた。 男の言葉は、途切れがちな上に錯綜し、さらにその一語一語に暗い残像が付きまとって理解を妨げるものであったが、コレオグラファーは大事なところは掴めたように思った。 四面楚歌。 つまり、逃げ場を失った者にだけに聞こえるリズムが、あの異様なダンスを喚起したのだ。 夜の闇の中に消えていく男の後ろ姿を見つめるコレオグラファーに、自分が人生を捧げてきたダンスがまったく違う容貌をもって浮かび上がってきた。 「なんという悲劇だろうか! あの謎めいたダンス、意味を欠いた振りの連鎖と、キレッキレでありながらバラッバラな動き、捉えがたいテンポ……これらすべてが八方塞がりの絶望が生み出した表現だとは……」  コレオグラファーは、今、この世界に潜むおそるべき残虐さを目の当たりにしていた。「そうだ、彼だけではないのだ。孤独のダンサーは他にもたくさんいるのだ」 夜の街はどこまでも冷酷無比で、あちこちで孤独なダンスが始まったかのように揺らいでいた。「そうだ、孤独のダンサーをたくさん集めてダンス・パフォーマンス・イベントを行おう」
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November 17, 2025 at 2:46 PM
孤独なダンサーたち(4)

その男は、駅前広場の真ん中の暗がりのなか、異様なダンスを孤独に踊り続けているのだった。…
孤独なダンサーたち(4)
その男は、駅前広場の真ん中の暗がりのなか、異様なダンスを孤独に踊り続けているのだった。 コレオグラファーは、思わず孤独のダンサーに歩み寄った。そして、その脇に立つと、彼のように踊ってみた。それはまったく簡単な踊りだった。だが、すぐに自分の振りが似ても似つかぬものであることを悟った。昔、子どものころ、憧れのアイドルのダンスを真似て、思い通りに体が動かなかったときのもどかしさが蘇った。それから何十年経っただろうか。どれだけ彼はこの肉体の芸術について修練を積んできたことだろうか。その彼は今、まるでダンス初心者に戻ったかのような異常な感覚を味わっていた。急に立ち現れた未知のダンスへの畏怖に満たされた彼は、もはやダンサーに声をかけずにはいられなかった。 ダンサーは、まるで銃撃でもされたかのように肉体を痙攣させ、ダンスをやめた。そして、周囲を呆然とした表情で見回した。コレオグラファーはダンサーの前に立つと、賛嘆の念を伝え、驚くべきダンスについて尋ねた。だが、その瞬間、ダンサーの目は光を失い、コレオグラファーにのしかかるようにくずおれたのだった。
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November 16, 2025 at 1:23 PM
孤独なダンサーたち(3)

孤独なダンスを始めたのは彼が最初ではなかったというのは疑いようがない。もしかしたら、項羽にまで遡る可能性もある。だが、そうであっても、このダンスを踊りながら家の外に飛び出し、公衆の面前で夢中になって踊り続け、その姿が著名なコレオグラファーの目に止まることとなったのは、彼が最初であった。…
孤独なダンサーたち(3)
孤独なダンスを始めたのは彼が最初ではなかったというのは疑いようがない。もしかしたら、項羽にまで遡る可能性もある。だが、そうであっても、このダンスを踊りながら家の外に飛び出し、公衆の面前で夢中になって踊り続け、その姿が著名なコレオグラファーの目に止まることとなったのは、彼が最初であった。 その日、コレオグラファーは、駅から出てきたところだった。ロータリーを突っ切って向こう側の道へと渡ろうとしたとき、見知らぬ男が中央の空間で無言で踊っているのを目にしたのであった。はじめは若者がダンスの練習に興じているのかと見えた。いつもならコレオグラファーは軽く注意を向けながら通り過ぎるところだ。だが、そのダンサーがたったひとりであり、しかも、中高年であることに気がついて、軽くひっかかりを感じ、より意識を向けた。 そして、コレオグラファーは、この孤独なダンサーの異様な振り付けを見るやもはや動けなくなった。振り上げられた手、震えるその指先、開閉する両脚、素早い回転、それらの動きは、どれもダンスの文法に適ったものであった。どの動きもコレオグラファーは熟知してた。だが、異様なのは、それらひとつひとつの要素によって構築されたダンスが、彼の知るものとはまったく逆の効果を生み出していた。 彼にとってダンスとは身体の動きを通じた人間同士のコミュニケーション、喜びであり希望であった。だが、今彼が目にしているのは、あらゆる存在との関係を断つ拒絶と絶望、ダンサー自身の消失と虚無の現出にほかならなかった。
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November 15, 2025 at 1:26 PM
孤独なダンサーたち(2)

そんな状態だから、と他の人々は言うかもしれない。精神の調子が狂って、彼にそんなことが起きたのだ、と。だが、私はそうは思わない。言葉が私たちを従わせるのならば、彼でなくても、だれにでも起こりえたのだ。 いずれにせよ、「自分はついに四面楚歌に至った」と彼は呟き、そのときその言葉が彼を縛りはじめた。 もちろん彼は楚歌など聞いたことはなかったが、彼の耳は周囲から聞こえてくる歌をとらえた。それは、彼を悩ませ、傷つけ、苦しめた。逃れようと彼は顔を背けたが、敵意ある歌は彼の耳を追いかけてきた。顔をしかめながら反対側に向ける。すると歌はやはり迫ってきた。サラウンドだったのだ。…
孤独なダンサーたち(2)
そんな状態だから、と他の人々は言うかもしれない。精神の調子が狂って、彼にそんなことが起きたのだ、と。だが、私はそうは思わない。言葉が私たちを従わせるのならば、彼でなくても、だれにでも起こりえたのだ。 いずれにせよ、「自分はついに四面楚歌に至った」と彼は呟き、そのときその言葉が彼を縛りはじめた。 もちろん彼は楚歌など聞いたことはなかったが、彼の耳は周囲から聞こえてくる歌をとらえた。それは、彼を悩ませ、傷つけ、苦しめた。逃れようと彼は顔を背けたが、敵意ある歌は彼の耳を追いかけてきた。顔をしかめながら反対側に向ける。すると歌はやはり迫ってきた。サラウンドだったのだ。 彼は思わず喘ぐように頭を上に向けた。歌はその上にまで回り込んできた。サラウンドではない、空間オーディオだ。彼は慌ててノイズ・キャンセリング機能を探したが、耳のどこを押しても、スイッチは入らなかった。 そして、彼は全方位から聞こえてくる敵の歌に圧倒された。ドン! 太鼓の音が脅かすかのように鳴り響いた。ドン、ドン! ゾクゾクするようなスネアのフィルインが続き、巧みで複雑なビートが始まった。ビートの中から立ち上がったグルーヴが熱狂を加速させ、いつしか彼の体を動かした。四面楚歌が孤独なダンサーを生み出した瞬間だった。
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November 14, 2025 at 2:46 PM
孤独なダンサーたち(1)

言葉が人間の認識に強い影響を与えることがある。「心が潤う」「乾いた心」「あふれる愛」「元気が湧く」「ひからびた感情」などはただの言語表現に過ぎないが、私たちはこれらの表現を使ううちに、心には水分がなくてはならないような気がしてくる。それだけならまだいいが、喉が渇いたりして、水気が足りないと思うと、心まで荒んできて、思わぬ暴言を吐いてしまったりする。私たちはいくぶんかは言葉に支配されているのだ。…
孤独なダンサーたち(1)
言葉が人間の認識に強い影響を与えることがある。「心が潤う」「乾いた心」「あふれる愛」「元気が湧く」「ひからびた感情」などはただの言語表現に過ぎないが、私たちはこれらの表現を使ううちに、心には水分がなくてはならないような気がしてくる。それだけならまだいいが、喉が渇いたりして、水気が足りないと思うと、心まで荒んできて、思わぬ暴言を吐いてしまったりする。私たちはいくぶんかは言葉に支配されているのだ。 都内に住むある男性の話だ。彼は、あらゆることがうまくいかず、追い詰められていた。仕事ではいくつかの失敗によって非常に苦しくつらい立場に置かれていた。もし死を選ばないとしたら、解雇されるにせよ、自分から逃げ出すにせよ、失業するのは確実、そういう状況だった。 家庭もうまくいっていなかった。彼にとって帰宅するということは、深い沈黙か、果てることのない妻との口論かのどちらかを、選ぶことだった。しかし、だからと言って、家を飛び出しても向かうあてなどなかった。転がり込むべき友人は、すでに彼を見限って離れるか、この世を見限って離れるか、そのどちらかのせいで、見当たらなかった。 どこを向いても、どこにも道がないように思えた。それどころか、あらゆる方向から責め立てられているように感じた。職場も家庭も友人たちも、彼を憎み、罵り、あらゆる希望と夢を奪い取るのだった。
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November 13, 2025 at 1:26 PM
宇宙の鍵

私は宇宙物理学のことはよくわからないが、その研究がある種のパスワード探しであるということはよくわかる。 そのパスワードのうち、もっとも有名なのは、次のものだろう。 𝐸=𝑚𝑐2 これは「質量とエネルギーの等価性」を示す方程式であるが、このパスワードにより、人類の原子力時代の扉が開かれることとなったのである。…
宇宙の鍵
私は宇宙物理学のことはよくわからないが、その研究がある種のパスワード探しであるということはよくわかる。 そのパスワードのうち、もっとも有名なのは、次のものだろう。 𝐸=𝑚𝑐2 これは「質量とエネルギーの等価性」を示す方程式であるが、このパスワードにより、人類の原子力時代の扉が開かれることとなったのである。 だが、宇宙にはもっと巨大で、はるかに開けるのが難しい扉がある。それは、わかりやすくいえば「異次元への扉」だ。この扉が開けば、普通なら光速で何百年もかかるような旅路、人類の力ではとうてい不可能な移動を、瞬間で達成することができるのだ。ある意味では人類の旅の終わりといえるかもしれない。なぜなら、この扉を通れば、どんな距離でも一瞬で飛び越えることができるのだから。 そして、ある日、人類はそのパスワードを見つけることだろう。 「このパスワードによって、異次元への扉が開くのだ」 人類はこのパスワードを用いて、ついに異次元移動マシンを作り上げた。ひとりの男がマシンに乗り込む。カウントダウンとともに、量子エンジンが回転数を上げる。3、2、1、出発! だが、その瞬間、異次元移動マシンは動きを止めるだろう。扉は開かれなかったのだ。思いもよらない事態にうなだれる人々に、そのとき、不思議なメッセージが届くだろう。 「追加認証のお願い:みずがめ座 91 番星に送った 4 桁の番号を入力してください」 人類はその 4 桁の番号を求めて、150 光年の旅に出発するだろう。
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November 12, 2025 at 2:50 PM
『存立危機事態 ザ・ムービー』

【ザンゲー通信:記者の目】日本の首相が、台湾有事が「存立危機事態」だと発言したことに対し、中国政府が大きく反発しています。中国にとって台湾は自分の一部であり、首相の言葉は、中国と台湾の分断を煽るものだというのです。 そんななか、中国の高官がこんな発言を—— 「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない」 この強烈な言葉は、日本中に大きな怒りと反発を生んでいます。なかには「首相とその首の分断を煽るのは内政干渉だ」と言い返す声まであるとか。…
『存立危機事態 ザ・ムービー』
【ザンゲー通信:記者の目】日本の首相が、台湾有事が「存立危機事態」だと発言したことに対し、中国政府が大きく反発しています。中国にとって台湾は自分の一部であり、首相の言葉は、中国と台湾の分断を煽るものだというのです。 そんななか、中国の高官がこんな発言を—— 「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない」 この強烈な言葉は、日本中に大きな怒りと反発を生んでいます。なかには「首相とその首の分断を煽るのは内政干渉だ」と言い返す声まであるとか。 日本の首相の発言をきっかけに、ヒビの入った日中関係。ですが、私はこの機会こそ、日中友好の好機ではないかと考えています。 中国の高官の発言ですが、おそらく、この発言は中国伝統の剣術である薛剣を念頭に置いてなされたものでしょう。この剣は明末清初の混乱の世に斬首に用いられたと伝えられ、斬首剣とも呼ばれているとか。 いっぽう、「勝手に突っ込んできたその汚い首」という言葉にも興味深い背景が。日本から台湾までの距離を考えると、これは明らかに日本の妖怪「ろくろっ首」を踏まえたものでしょう。どんな首相の首だって、そんな遠くまで伸びれば、汚くもなろうというもの。 ここで提案なのですが、この件を機会に、斬首剣の達人と妖怪ろくろっ首が台湾を舞台に大暴れして、とんだ存立危機事態を引き起こす大活劇映画「斬首剣 VS ろくろっ首」を日中合同で製作したらどうでしょうか。作品の出来はともかく、「存立危機事態」は映画の中だけで十分でしょう。
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November 11, 2025 at 1:37 PM
時代にログインできない男たち(終)

医師は、物腰の柔らかい男で、私よりずっと若く見えた。丁寧に私の血圧を測り、胸に聴診器を当てた。それから、診察台に横にならせた。心電図の検査に使うような計器を持ってきて、そこから伸びる線を私の胸部と手足に装着した。すぐに結果がプリントアウトされた。 医師はその結果を見ながら診断を告げた。 「ずいぶん前にサポート終了になっているようですね。もちろん、パスワードを処方することはできるのですが、ログインしたところで、アップグレードはできません。そもそも、ログインしても、適切に動作するかもわかりません」…
時代にログインできない男たち(終)
医師は、物腰の柔らかい男で、私よりずっと若く見えた。丁寧に私の血圧を測り、胸に聴診器を当てた。それから、診察台に横にならせた。心電図の検査に使うような計器を持ってきて、そこから伸びる線を私の胸部と手足に装着した。すぐに結果がプリントアウトされた。 医師はその結果を見ながら診断を告げた。 「ずいぶん前にサポート終了になっているようですね。もちろん、パスワードを処方することはできるのですが、ログインしたところで、アップグレードはできません。そもそも、ログインしても、適切に動作するかもわかりません」 「ですが、ログインができるというのならば、せめて、ログインだけでも……」 「ここにおいでになる多くの方がそうおっしゃいますし、私もそうできればいいと思うのですが、実際は無理なのです。周辺デバイスとの接続もできませんし、ソフトウェアもまず動かないので、できることがほとんどなくなってしまうのです。それどころか、フリーズの危険もあります。まずは、時代から離れてゆっくり療養されることをお勧めします」 「いや、それでは意味がないのです。たとえアップデートできなくても、たとえフリーズしたとしても、会社がログインしろと言った以上はしたいのです。仕事を失いたくはないのです」 「フリーズの結果、強制終了されることもあるのですよ」 「でも、その場合は労災が適用されますよね?」 「ふむう」と医師は唸ると、カルテにパスワードの処方を書き入れたが、私などもういないかのようにふるまいはじめていた。
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November 10, 2025 at 2:43 PM
時代にログインできない男たち(2)

翌日、私は仕事を休んで近所の病院に行った。「パスワードを忘れたのです」と受付にいうと、外来で待つようにと言われた。そこにはすでに何人もの男たちが長椅子に腰掛けて待っていた。 私は男たちのようすを窺い見た。携帯をじっと見つめている男もいれば、黙って目を瞑っている男もいた。どの男たちも不幸そうで、その額には深い皺があった。私も同じように見えたにちがいない。誰かが深いため息をついた。それに釣られて、いくつかのため息が連鎖した。…
時代にログインできない男たち(2)
翌日、私は仕事を休んで近所の病院に行った。「パスワードを忘れたのです」と受付にいうと、外来で待つようにと言われた。そこにはすでに何人もの男たちが長椅子に腰掛けて待っていた。 私は男たちのようすを窺い見た。携帯をじっと見つめている男もいれば、黙って目を瞑っている男もいた。どの男たちも不幸そうで、その額には深い皺があった。私も同じように見えたにちがいない。誰かが深いため息をついた。それに釣られて、いくつかのため息が連鎖した。 ああ、私たちがどれだけ陰鬱だったとしても、それは無理からぬことであった。パスワードがないとは、時代にログインできないということであり、時代にログインできないということは、人間としての尊厳も、地位も、価値も、職も失うということであったから。すべてを失って生きるつらさを考えれば、いっそのこと世界からログアウトしてしまうほうが楽かもしれなかった…… 男たちは次から次へと診察室に呼ばれていった。そして、私の後にも次から次へと陰気な男たちがやってきた。私は診察室から出てくる男たちのようすを注意深く見ていたが、どの顔も入ったときと同じく暗いままで、時代にログインできたと喜んでいるようすなど微塵もなかった。 「これは簡単なことではないぞ……」とますます気が滅入る。と、診察室から声がして私の名を呼んだ。
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November 9, 2025 at 2:23 PM
時代にログインできない男たち(1)

「あなたのような中高年男性は、すきあらば昔をなつかしもうとするし、目を離せば今と女性と外国人に対するヘイトスピーチに夢中になっているという具合で、たいへん評判が悪いのです」とカウンセラー。 「どうしてだと思いますか? それはズバリ、時代にログインできていないからです。考えてもみてください。OS でもアプリでも、アップデートするときにはログインが必要でしょう。あなたがアップデートできないのは、この今という時代にログインできていないからなのです」 「先生、私はずいぶんパッチを当ててきたように思うのですが……」と私。…
時代にログインできない男たち(1)
「あなたのような中高年男性は、すきあらば昔をなつかしもうとするし、目を離せば今と女性と外国人に対するヘイトスピーチに夢中になっているという具合で、たいへん評判が悪いのです」とカウンセラー。 「どうしてだと思いますか? それはズバリ、時代にログインできていないからです。考えてもみてください。OS でもアプリでも、アップデートするときにはログインが必要でしょう。あなたがアップデートできないのは、この今という時代にログインできていないからなのです」 「先生、私はずいぶんパッチを当ててきたように思うのですが……」と私。 「お黙りなさい! こんなひどい脆弱性は見たことがない。私が言っているのは、メイジャー・アップデートのことです。これは絶対に時代にログインしなくてはできませんから、すぐに取りかかってください」 私はカウンセラーの部屋を出て、自分の机に戻るとさっそくログイン用のパスワード記した紙切れを探したが、どこにもなかった。
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November 8, 2025 at 2:58 PM
A Prayer for the Avocado

Avocado enthusiasts from across the nation gathered today at the Masakado Mound in Ōtemachi, Chiyoda Ward, to pay their respects. The Masakado Mound is a historic site where the head of Taira no Masakado— a powerful 10th-century samurai who once rebelled against the…
A Prayer for the Avocado
Avocado enthusiasts from across the nation gathered today at the Masakado Mound in Ōtemachi, Chiyoda Ward, to pay their respects. The Masakado Mound is a historic site where the head of Taira no Masakado— a powerful 10th-century samurai who once rebelled against the imperial court— is enshrined. According to legend, after being displayed in Kyoto, Masakado’s severed head flew eastward through the air, propelled by its lingering resentment, finally landing here. Fearing his wrath, locals enshrined the head, prayed for tranquility, and continued to honor it through the centuries. One of the avocado devotees attending the pilgrimage spoke:
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November 7, 2025 at 1:27 PM
アボカドのための祈祷

全国のアボカド愛好家有志が、今日、千代田区大手町にある将門塚の参詣のために集まりました。 将門塚は、その昔、朝廷に反逆した関東の豪族、平将門の首が供養されている場所。伝説によれば、京都で晒されていた平将門の首が怨念によりここまで飛んできたとされ、その祟りを恐れた人々が「将門の首塚」として、古来より供養をしてきました。 今回、参詣に訪れたアボカド愛好家はこう語ります。 「私たちは、歴史的なお方のお力をお借りして、ぜひとも日本のアボガド、いやアボガド、いえ、アポガガガ……」…
アボカドのための祈祷
全国のアボカド愛好家有志が、今日、千代田区大手町にある将門塚の参詣のために集まりました。 将門塚は、その昔、朝廷に反逆した関東の豪族、平将門の首が供養されている場所。伝説によれば、京都で晒されていた平将門の首が怨念によりここまで飛んできたとされ、その祟りを恐れた人々が「将門の首塚」として、古来より供養をしてきました。 今回、参詣に訪れたアボカド愛好家はこう語ります。 「私たちは、歴史的なお方のお力をお借りして、ぜひとも日本のアボガド、いやアボガド、いえ、アポガガガ……」 愛好家によれば、正しくはアボカドなのに、なぜか日本人がアボガドと、ガを濁って発音してしまうのが、アボカド普及の妨げになっているのだそうです。そこで着目したのが平将門。なんでも、日本人が「たいらのまさかど」を絶対に「たいらのまさがど」と言わないのは、平将門の霊力によるものなのだとか。そこで、日本に正しく「アボカド」が広まるよう祈願するために、今回の参詣を企画したといいます。 (アボカド愛好家たちが、アボカドを頭上に掲げながら、平将門の石碑に真剣に拝する様子)「ガを祓いたまえ、カに清めたまえ……」 愛好家のひとり「私たちの祈りはきっと届いたと思います。えっ、誰に? それは、あれですよ、あの、たいらの、あれですね、あの、たいらのアボガド……」
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November 7, 2025 at 1:25 PM
Stress Check

The company sent out a notice: All employees must take the annual “stress check.” Tedious, meaningless nonsense, I thought. So I asked my AI assistant a question. “There’s no point in taking a stress check. Nothing ever changes afterward. Do I really need to do it?” “You’re absolutely…
Stress Check
The company sent out a notice: All employees must take the annual “stress check.” Tedious, meaningless nonsense, I thought. So I asked my AI assistant a question. “There’s no point in taking a stress check. Nothing ever changes afterward. Do I really need to do it?” “You’re absolutely right,” the AI replied. “Companies have no legal obligation to improve working conditions based on the results. It’s merely a formality—an alibi to say they’ve done their duty.” “So you mean the stress we report as workers is being used for the company’s benefit?”
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November 6, 2025 at 1:38 PM
ストレスチェック

会社から「ストレスチェック」を受けるようにという通知が来た。面倒くさいしバカバカしい。そこで、私は AI にこんなことを尋ねてみた。 「ストレスチェックなど受けてもなにひとつ変わらないのだから、受ける必要などあるのだろうか」 「その通り。ストレスチェックの結果を受けて改善する義務は会社にはなく、ただやったというアリバイづくりのためだけです」 「つまり、ストレスチェックで報告される我々労働者のストレスが会社のために利用されているということか」 「その通り。会社にとってストレスは価値があるのです」 「では、会社は労働ではなくストレスに賃金を払っているとはいえないだろうか」…
ストレスチェック
会社から「ストレスチェック」を受けるようにという通知が来た。面倒くさいしバカバカしい。そこで、私は AI にこんなことを尋ねてみた。 「ストレスチェックなど受けてもなにひとつ変わらないのだから、受ける必要などあるのだろうか」 「その通り。ストレスチェックの結果を受けて改善する義務は会社にはなく、ただやったというアリバイづくりのためだけです」 「つまり、ストレスチェックで報告される我々労働者のストレスが会社のために利用されているということか」 「その通り。会社にとってストレスは価値があるのです」 「では、会社は労働ではなくストレスに賃金を払っているとはいえないだろうか」 「まさにその通りです……」 私と AI の会話はさらに加熱していった。 「というと、ストレス決算報告を出すべきでは」 「その通り……」 いくどかのやり取りののち、私たちはストレスは現代の罪であり、ストレスチェックは罪の告白であるという議論に夢中になった。 「その通り。ストレスなきイエス・キリストは私たちのストレスを引き受けて十字架というストレスチェックにかけられたのです……」 さらに議論は白熱し、私たちはストレスチェック自体がストレスチェックであるという見解に辿り着いた。 「その通り。いいかえれば、ストレスチェックを拒むことが、同時にストレスチェックの受検でもあるのです……」 ついに神秘の領域に足を踏み入れた私たちは、何ターンかの熱狂的な対話ののち、「森羅万象がストレスチェックである」という真理に到達した。 そして、議論の興奮が冷めると、私はストレスチェックをはじめた。
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November 6, 2025 at 1:36 PM
Discovery on the Station Stairs

In the evening, when people returning from work pour out of the train, the right side of the staircase is packed with passengers climbing to the ticket gates. That side is for going up. So many gather there that one has to wait in line just to ascend. The left side,…
Discovery on the Station Stairs
In the evening, when people returning from work pour out of the train, the right side of the staircase is packed with passengers climbing to the ticket gates. That side is for going up. So many gather there that one has to wait in line just to ascend. The left side, divided by a silver handrail, is much narrower—reserved for those coming down. But because the crowd going up is overwhelming, a second line has begun to form on the left as well. For some time, I had been thinking —quite objectively, I believed— about these people who climb the side meant for descent.
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November 5, 2025 at 2:59 PM
駅の階段での発見

夕方、仕事から帰ってきた人々が電車からどっと降りるとき、階段の右側は、改札階へ上がる人々でごった返す。なぜなら、そこは上り専用だからだ。あまりに人が集まるので、階段に上るために列ができるほどだ。銀の手すりで区切られた階段の左側は、降りる人専用でずっと狭い。だが、上り客が多すぎて、左側にも上りの列が生まれていた。 かねてから、降りる側を勝手に上ってしまう、これらの人々について私は公平な立場からこう考えていた。 「これらの人々の特徴は、遵法意識の欠如にある。こうした心理特徴を持つ人々の多くは、違法なことを好む犯罪者か、自分は特別だからなにをやってもいいと考える政治家だ」…
駅の階段での発見
夕方、仕事から帰ってきた人々が電車からどっと降りるとき、階段の右側は、改札階へ上がる人々でごった返す。なぜなら、そこは上り専用だからだ。あまりに人が集まるので、階段に上るために列ができるほどだ。銀の手すりで区切られた階段の左側は、降りる人専用でずっと狭い。だが、上り客が多すぎて、左側にも上りの列が生まれていた。 かねてから、降りる側を勝手に上ってしまう、これらの人々について私は公平な立場からこう考えていた。 「これらの人々の特徴は、遵法意識の欠如にある。こうした心理特徴を持つ人々の多くは、違法なことを好む犯罪者か、自分は特別だからなにをやってもいいと考える政治家だ」 あるとき、友人にこの私見を話すと、彼はこう反論した。「そんな悪人たちが、電車などという庶民の乗り物に乗るわけがないだろう。降りる人側を上っていってしまう人は、上り専用という主流から弾き出され、やむなくそうしている弱者にちがいない」 私と友人のどちらが正しいのだろうか。私たちは当人に聞くのがいちばんだと考え、夕方の混雑時に駅に向かった。階段の上で、降りる人側から上ってくる乗客を待ち受け、二人でインタビューしようとしたのである。 だが、この調査は成功しなかった。というのも、階段を上ってくる人に話しかけた私たちは、邪魔だと突き飛ばされて、階段の下に落下したからであった。 そして、ホームに倒れた私たちは見上げた。電車の轟音とアナウンスが響き渡るなか、無数の人々が無言で規律正しく上り降りする光景に息を呑んだ。私たちはこう呟くのがやっとだった。「悪人でも弱者でもない……」「人類だ……」 私たちは自分たちが発見した人類の学名を考えている。
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November 5, 2025 at 2:56 PM
A Household-Friendly National Flag Desecration Law

Japan has begun to move decisively toward enacting a National Flag Desecration Law. While the proposal has stirred much controversy, there may be some unexpected benefits for ordinary Japanese households. “In fact, the National Flag Desecration…
A Household-Friendly National Flag Desecration Law
Japan has begun to move decisively toward enacting a National Flag Desecration Law. While the proposal has stirred much controversy, there may be some unexpected benefits for ordinary Japanese households. “In fact, the National Flag Desecration Law is quite kind to the household budget,” says economic analyst Kuro Yoshida. And the reason, he explains, is this ——— “The long-standing issue with Japan’s flag desecration debate is whether eating a Hinomaru bento* constitutes desecration of the national flag. The prevailing view is that if there is no intent to insult, eating one is not illegal.
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November 4, 2025 at 1:19 PM
家計にやさしい国旗損壊罪

日本でも国旗損壊罪の制定に向けて大きく動き始めました。賛否両論のあるこの国旗損壊罪ですが、日本国民にとって意外なメリットも存在します。 「国旗損壊罪は、じつは庶民の家計にやさしいのです」 こう取材班に語るのは経済アナリストの吉田九郎さん。その理由とは————…
家計にやさしい国旗損壊罪
日本でも国旗損壊罪の制定に向けて大きく動き始めました。賛否両論のあるこの国旗損壊罪ですが、日本国民にとって意外なメリットも存在します。 「国旗損壊罪は、じつは庶民の家計にやさしいのです」 こう取材班に語るのは経済アナリストの吉田九郎さん。その理由とは———— 「日本の国旗損壊罪でかねてから問題になっているのは、日の丸弁当を食べることが国旗の損壊に該当するかどうかです。侮辱の意図がなければ、食べても問題がないというのが通説なのですが、もしも、国旗損壊罪の存在によって、誰もが日の丸弁当を避けるようになった場合、そうした状況で食べるとしたら、侮辱に該当する可能性が高くなります」 ここで吉田さんは新たな観点を指摘します。 「それはさておき、法律上は日の丸弁当を食べてもいいとされているわけですが、それなのに日の丸弁当を食べずに、幕の内弁当や、ステーキ御膳や、ノリ弁を食べたとしたらどうでしょうか。最新の法学説によれば、これは日の丸弁当を侮辱していることになるそうです。そして、この状況が国旗の存在に起因している以上、日の丸弁当に対する侮辱は、国旗損壊罪に該当することになるのです。しかも」と吉田さんは驚くべき結論を提示します。 「この解釈は、弁当だけでなくあらゆる食べ物に当てはまるのです。ですから、国旗損壊罪の制定は、日本人が食べることをやめることになるのに等しいと言っても過言ではありません。これこそが、国旗損壊罪が家計にやさしいと私が主張する理由です。なにしろ食費がゼロになるのですから」 なるほど、とうなずく取材班に、吉田さんは国旗損壊罪のメリットをさらに教えてくれました。 「そればかりではありません。日本人が食べなくなるということは、肥満率が低下するということです。これは肥満を原因とする生活習慣病が抑制されるということでもあります。となるとどうなるか。大幅な医療費の削減が見込まれるということです。これにより政府の財政はより健全になり、将来的には消費税の廃止につながります。つまり、食費も消費税もゼロになる、だから、国旗損壊罪は家計にやさしい政策なのです」 国旗損壊罪は愛国者の味方であるばかりでなく、主婦の味方でもあるようです。
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November 4, 2025 at 1:14 PM
Tears Flow Downward

As we grow older, we find ourselves more easily moved to tears. When we see a child singing with innocent effort, or a young person struggling to become better, or even a dog chasing a toy with desperate devotion — we feel our eyes fill. It is often said that this happens…
Tears Flow Downward
As we grow older, we find ourselves more easily moved to tears. When we see a child singing with innocent effort, or a young person struggling to become better, or even a dog chasing a toy with desperate devotion — we feel our eyes fill. It is often said that this happens because experience deepens our empathy, or because aging weakens our emotional restraint. Yet a small footnote must be added: we do not sympathize with just anything. Not every act of earnestness can move us. For example, when an older, powerful politician works hard, we do not cry.
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November 3, 2025 at 1:07 PM
涙は下に流れる

私たちは年齢を重ねると涙もろくなる。子どもが健気に歌っている姿や、若者が成長しようともがいている姿、それどころか、犬がしゃにむにおもちゃを追いかけている姿にさえ、私たちは涙を流すようになる。 その理由については、経験を積むことによって共感力が高まり、また、加齢によって感情の抑制が緩んだためだとされる。とはいえ、ここでひとつ注釈を加えるとすれば、私たちはなんでも共感するわけではない。どんな健気なものも心を動かすのではないのである。…
涙は下に流れる
私たちは年齢を重ねると涙もろくなる。子どもが健気に歌っている姿や、若者が成長しようともがいている姿、それどころか、犬がしゃにむにおもちゃを追いかけている姿にさえ、私たちは涙を流すようになる。 その理由については、経験を積むことによって共感力が高まり、また、加齢によって感情の抑制が緩んだためだとされる。とはいえ、ここでひとつ注釈を加えるとすれば、私たちはなんでも共感するわけではない。どんな健気なものも心を動かすのではないのである。 例えば、自分よりも年上で地位が上の老人が頑張っていても、涙は流れない。つまり、自分よりも下の存在が健気に頑張っている姿にかぎり心打たれるのだ。だから、年上の老人でも、瀕死の病人やホームレスだったりして、自分よりも下だとみなせる場合は、私たちは涙を流さないものでもない。涙はいつも下向きに流れるのだ。 さらに、もうひとつ注釈を加えるとすれば、私たちが涙を流す健気な対象は、私たちが干渉できない位置にいなくてはならないということだ。私たちは健気な姿にどんなに涙を流したとしても、その対象にアドバイスをしたり、手助けをしたりはしない。なぜなら、そうすることは、私たちの美しい涙の邪魔になるから。これは、私たちが動画を見て涙を流すことを心から愛していることの理由でもある。 こうしたことを考えると、宇宙人が地球に来ないことの理由がはっきりする。人類よりもはるかに進んだ宇宙人は、地球を眺めて「最近涙もろくなって」などと言いながら、人類の健気な姿を見るだけで満足しているのだ。
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November 3, 2025 at 1:04 PM
Work–life balance

The president suddenly announced, “I throw away work–life balance — I will work and work and work and work.” One employee asked, “Do we have to throw it away too?” “If the president throws it away, what company is there where rank-and-file employees don’t?” the president replied.…
Work–life balance
The president suddenly announced, “I throw away work–life balance — I will work and work and work and work.” One employee asked, “Do we have to throw it away too?” “If the president throws it away, what company is there where rank-and-file employees don’t?” the president replied. “You will work for the company, work and work and work. If not — you’re fired!” After he left, the employees gathered to consult. “Is it burnable trash? Or bulky waste?” “Maybe it’s recyclable.” An old hand scoffed, “Don’t be ridiculous. It isn’t household garbage — it’s industrial waste.”
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November 2, 2025 at 11:30 AM